残念ながら、入国者による感染拡大リスクは
いまだに、非常に高い状態です
油断することなく、自粛を頑張りませんか
いまだに、非常に高い状態です
油断することなく、自粛を頑張りませんか
4月3日に入国者に対するPCR検査の全員実施が始まってから、ついに2か月となりました。5月上旬に一度落ち着いていたものの、5月下旬は感染確認が明らかに急増し、異常事態であることが明らかになりました。
5月下旬の罹患率は0.445%と異常な上昇
5月末までに空港検疫で感染確認されたのは191人。そのうち115人が4月3日以降に確認されていました。
検査した人数はおそらく2日遅れで発表されており、4月4日発表の数字から比較することで推定できます。この推定値を使用して罹患率を計算すると、5月下旬(5月21日〜5月31日)は罹患率0.445%(推定値)と異常な状況であったことが判明しました。
4月上旬の方が感染確認数が多かったため、罹患率も高かったと思われがちですが、それでも罹患率は0.352%(推定値)。5月下旬と比べると入国者数(検査数)も多かったため、5月下旬の方が危険な状態になっています。
5月中旬(5月11日〜5月21日)は罹患率0.090%(推定値)まで下がっていましたら、あまりに異常な急増と言えます。
今回は、渡航元と居住地のみ簡単分析していますが、4月上旬に感染者の多かった米国や英国の勢いが収まった一方、5月下旬はブラジルが急増しています。フィリピンは4月上旬から継続的に確認が続いていて、勢いが全然落ちていないと推定されます。
居住地では、東京は継続的に確認されていますが、5月下旬に愛知が急増している点が特筆すべきところでしょうか。
団体での感染も急増
詳細は公開されていないので推定でしかないですが、家族感染と思われる事例も5月下旬に急増しています。
同じ日に空港到着で同じ居住地(都道府県)、同じ滞在元という事例はそう簡単に出るものではないですから、一緒にきた感染者団体と推定されます。また、こんな時期に10歳未満の乳幼児・小児が一人で国際線に乗っているとは考えにくいですが、それらで感染確認された事例では、20代、30代の方が同時に感染確認されていることが多く、家族感染が疑われます。
新聞やテレビの報道では、5月9日成田着のフィリピンからの入国者(鳥取県在住)、5月25日羽田着のブラジルからの入国者(愛知県滞在)は明確に親子だと報じられています。
そして、団体感染が疑われる事例は、なぜか、国内感染分布ではそれほど多くない、愛知が多いのが特徴です。
外国居住者や日本在住外国人の入国も多いようで、報道では「外国人」との報道も散見されます。家族感染が疑われる5月28日成田着の非公開先からの入国者(愛知県在住)7人も外国人、岐阜で30日ぶりに出た感染者の家族(5月30日成田着)も外国人との報道がなされています。
なお、個人的に気になったのは「非公開」の入国者。ポツポツとしかいなかったのに、5月下旬に急増しています。
5月下旬はブラジル、外国人、愛知、家族感染、非公開がキーワードな状況です。
感染拡大の重大局面で、感染リスクは完全に赤信号ですが、「赤信号みんなで渡れば怖くない」という入国が多くなったということでしょうか、、、。
空港検疫からのすり抜けに注意
元データがどこで公開されているのか見つけられなかったのですが、北海道大学の西浦教授らの分析で「感染者が1日10人入国すると90日後には99%の確率で、緊急事態の再宣言が必要となる規模の流行が起きた」といった結果が30日に発表されたとセンセーショナルな内容が報道されています。空港検疫がいかに重要かが分かります。
この分析については、前提(入国者数の規模)や分析の条件がよく分かりませんが、「完全には防げず一部は流入」(NHK)とのこと。
空港検疫での感染確認は、事実として、無症状が9割を超えています。つまり、気が付かずに無症状者が国内に流入している可能性は非常に高い状態です。「赤信号みんなで渡れば〜」な感覚でいると、知らずに感染媒介している可能性も高いことになります。
ちなみに東京都ですら1日の感染者数最大は4月17日の206人。東京都の人口は1千4百万人ですから、この日の罹患率は0.00147%です。
また、米国が1日3万人感染という日がありましたが、人口は3億2700万人ですから、罹患率はざっくり0.009%程度です。
5月下旬(5月21日〜5月31日)の空港検疫の罹患率0.445%(推定値)ですから、感染スピードが高かった時の東京都の約300倍、米国の約50倍という数値。どれだけ異常な数値かが分かるかと思います。
ぜひ入国される皆様は、入国後感染が少ない国だと安心することなく、少なくとも14日間は自宅待機を頑張っていただきたいですし、迎えに行く家族や友人の方も、心して迎えに行くことをお勧めしたいですね。
■家族感染と思われる事例
・4月20日 羽田 愛知 インドネシア 2人(年齢は不明)
・5月09日 成田 鳥取 フィリピン 2人(10代未満有)
・5月25日 羽田 愛知 ブラジル 3人(10代未満有)
・5月28日 成田 愛知 非公開 7人(10代未満有)
・5月30日 成田 埼玉 ブラジル 2人(10代未満有)
■空港検疫での感染確認 各月上中下旬別の傾向
・4月上旬(4/3-4/10)
検査対象11,359人 感染40人=罹患率0.352%(推定値)
成田12・羽田24・関空2・非公表2
フィリピン1・インドネシア1・タイ1・アイルランド1・英国7・仏国2・コンゴ民主1・カナダ2・米国11・カナダ米国2・ブラジル1・豪州1・確認中8・非公表2
北海道1・栃木1・茨城2・埼玉1・千葉1・東京10・神奈川5・長野1・石川1・岐阜1・愛知3・京都1・大阪1・広島1・福岡2・確認中6・非公表2
・4月中旬(4/11-4/20)
検査対象8,909人 感染15人=罹患率0.168%(推定値)
成田5・羽田10
香港1・フィリピン1・タイ1・インドネシア2・カナダ1・米国2・確認中7
栃木1・東京5・神奈川2・愛知2・確認中5
・4月下旬(4/21-4/30)
検査対象6,341人 感染16人=罹患率0.252%(推定値)
成田7・羽田9
中国1・フィリピン4・スイス1・英国1・カナダ1・米国1・ブラジル3・豪州1・確認中3
埼玉1・千葉2・東京2・神奈川1・愛知1・大阪1・大分1・確認中7
・5月上旬(5/1-5/10)
検査対象5,910人 感染8人=罹患率0.135%(推定値)
成田6・羽田1・関空1
フィリピン2・チリ米国1・ペルー1・確認中4
栃木1・千葉1・東京1・鳥取2・確認中3
・5月中旬(5/11-5/20)
検査対象5,527人 感染5人=罹患率0.090%(推定値)
成田2・羽田3
UAE1・カナダ米国1・米国2・確認中1
東京2・確認中3
・5月下旬(5/21-5/31)
検査対象7,191人 感染32人=罹患率0.445%(推定値)
成田22・羽田10
フィリピン3・インドネシア2・パキスタン2・UAE1・英国2・マダガスカル1・カナダ1・米国1・ブラジル8・確認中2・非公開9
茨城1・埼玉2・千葉2・東京2・山梨1・長野1・静岡1・岐阜1・愛知11・兵庫1・フィリピン2・インドネシア1・確認中3・非公開3
※検査対象数は、何月何日着が何人という発表ではなく、2日遅れで集計発表していると思われる数値しか公表されていません。毎日更新されているので、それほど大きくブレることはないと思いますが、確実に何月何日到着分の数値かは不明です。推定値に近い数値として捉えてください。
■1日10人の感染者入国で「再宣言」に 西浦教授ら試算(朝日新聞公式サイト)
https://www.asahi.com/articles/ASN637KPNN63ULBJ00G.html
■“感染者 1日10人入国で3か月後に大規模流行”(NHK公式サイト)
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/38551.html