2009年05月22日

日本最北端へ(2日目)

■2009.05.22 (稚内)→利尻→礼文→(稚内)


朝からいろいろと観光

 道の駅おといねっぷでのひと眠り。3時に目覚ましをセットしたはずなのに、携帯の目覚まし機能が鳴ったので目を覚ますと、周囲が少し明るい。

 ヤバい、寝すぎたか?

 不安になって時計を見るとまだ3時だった。なんと北海道の朝は早かった。3時なのにもう空がうっすら明るくなってきていたのだ。暗くなるのは19時くらいだから、明るい時間は16時間もあることになる。こんなに昼間を使えるなんて夏の北海道は羨ましい。札幌でサマータイム導入が議論されてるみたいだが、ぜひ続けてほしいものだ。だが、トイレに行こうと外に出るとかなり寒く震えがとまらない。初夏の季節で朝は早いが、朝晩はかなり冷え込むようだ。

 寒さで完全に起きれたので再び車を走らせ、国道40号(名寄国道・稚内国道)を延々北上する。まだ3時すぎたばかりだというのに明るいから景色を楽しみながら車を運転できる。とても得した気分だ。北の大地を楽しみながらのドライブはなかなかだ。
 幌延町で北緯45度を通過。記念碑があるとの掲示があり、国道から途中少しそれると記念碑が立っていた。東京付近がだいたい北緯36度前後。だから、およそ10度も北に来たことになる。そしてこんな時間でも観光ができたことがうれしい。時刻は4時を過ぎたばかりなのに明るいから実現できたこと。この時期の北海道はぜひ早起きして観光をしたい

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明るくなってきた空をバックに北緯45度を撮影。朝が早いこの時期の北海道だから寄ることができた。


 北緯45度記念碑をあとにし、再び国道40号へ戻り、再び北上する。20分ほど北上した豊富町で豊富ヘリポートに寄った。このヘリポートは日本最北の公共用ヘリポート。まだ4時半だが昼間のような明るさで普通に見学できた。ただ施設自体は当然9時位開場だろうから閉鎖されている。時間が早すぎて日の出フライトみたいなことができないのが、残念なところかもしれない。ちなみに、このヘリポート周辺にはサロベツ原野が広がっており、天気の良い日に空から眺めたら壮観だろう。
 ヘリポートは10分ほどで見学を終え、再び稚内を目指し北上を続けた。


船も、飛行機も、の理想形

 結局休み休みいったせいか、稚内港には6時少し前に着いた。港にある駐車場(←有料で1日1000円)に車を止めた。外に出ると風が強く、油断すると物が飛ばされそうだ。風が強いから船が出るのか心配したが、入口を入ったところにある天候予報の掲示で、曇りのち晴れ、波は「2mのち1m」とある。風は強いが運航には影響なさそうな波予報だ。実は道の駅おといねっぷを出る前に、携帯のお天気サイトでこの波予報は確認していたのだが、ここに来るまでの運転中、風が強いので信用していなかった。だが、フェリー会社がそういう予想なんだから信用できそうだ。
 1、2メートルの波なら、大きな揺れはないだろう。酔いやすい自分にとっては安心な情報のひとつだ。

 朝早いのに、ターミナルには結構な人がいた。朝早いといっても3時頃から徐々に明るくなる土地だから、感覚的にはそれほど早くはないのだけれども、、、。なんとも不思議な感覚だ。
 利尻・礼文は山歩きの名所として知られ、5月ぐらいから訪問する人が多くなるそうだ。ハートランドフェリーも4月まで3便だった利尻行が5月から4便に増便される。当然利用者には登山服の人も多い。そんななか、普通の私服にビジネスバックという一見観光客には見えない自分もカウンターに並んだ。ここではクレカを使用でき、全区間の乗船券を購入できる。早速、稚内→利尻、利尻→礼文、礼文→稚内の三区間を購入した。便指定かと思ったら、ただの片道券で当日中ならどの便でも乗っても良いようだ。
 通常フェリーは30分位前までには来るよう指定されることが多いが、ここは改札開始すら15分前からで、入船までにもまだ時間がある。改装されたばかりというフェリーターミナルがあまりに立派だったので空港ターミナル同様にパシャパシャやっていると、出発20分前くらいに観光バスが到着、年配の方々がドヤドヤ降りてきた。大勢でぎりぎりで来ても大丈夫なところは高評価だ。船も飛行機もこのくらいの手ごろさがほしい。
 船って、便数少ない、古いターミナルビル、現金のみ、集合時間が早すぎる、、、などなどあまりよい印象はなかったのだが、ここは全く逆を行く素晴らしい航路。搭乗にとかく面倒くさい船や飛行機搭乗の理想形と言えるかもしれない

 出発の15分前、空港の改札のような乗船口を抜け、一度グランドレベルに階段で下りたのち、地上乗船した。
 稚内発が6:30、利尻島鴛泊着が8:10と2時間程度の航行船としては立派で内装もきれいだ。ひとまずゴロ寝できるところを確保するため、船尾側の二等船室に入ると、6つほどある区画はほぼ埋まっていた。大体の区画は奥側2、3人組、手前をツアー客がふさぐように占領し、奥に隙間はあるが入りづらい。ツアー客はもう少しまとまってほしいものだが、だいたい2、3人グループで来ているので、小さな組に分かれて分散していた。一人だから最悪ごく小さなスペースがあれば良いのだができるだけ他人と近くならないところを確保したい。大きめの隙間はないか探して一番船尾の区画に来ると、ややコワモテのにいちゃん二人が奥にいる区画の手前側が空いていた。他の客は完全にここを避けていた。

 ここならゆっくりできそうだ。ひとまず荷物を通路側に置いて区画を確保。大の字に寝転がってみても全然コワモテには関わらない位置だ。区画入口近くだが、横向きに寝れば、出入りを妨げないし、問題なさそうだ。

 続いて出航の様子や船内の様子を見るべく、カメラを抱えて、甲板へ出た。
 風がすごく強い中、甲板で出港の様子を見学。続いて船内をチャチャッと撮影してまわる。エレベータもある立派な船だった。ほどなく出港となり、北海道遺産にもなっている北防波堤ドームなどを横目にフェリーは快調に走り出した。
 昨日からあまり寝ていなかったので、撮影はほどほどにし、眠るため、さっさと確保した区画へと戻った。

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稚内出港時に見えた北防波堤ドーム


マナーが悪い乗客でよく眠れず

 2等客船の区画に戻ると、荷物を置いて確保しておいたはずの区画の入口付近に中年2人組が占拠して座っている
 驚いて区画に上がると、なんと私の荷物はまるで自分のですとでも言えそうなくらい区画を確保した荷物の近くを占拠されていた。しかも靴置きスペースは入ってくるなと言わんばかりに入口をふさぐように靴を置いているため、中に入りにくい。

 これでは私の区画がない!そもそも横になる区画が狭く寝れないではないか。

 中央仕切りは最も入口寄りは1メートルほど途切れているので、その部分で隣の区画に頭をはみ出ささせればなんとか自分の空間を確保できそうだが、二人組はコワモテを避けてかそのぎりぎり入口側の端まで来ているうえ、少しはみだしてきているので、とにかく狭い。そもそもこの位置は、通路に面した場所で、歩き回る他の乗客によって起こされる可能性が高い。本来ならもう少し内側に頭を置く予定だったのに、二人組のせいで中側に入れない。
 二人組は内側はコワモテまで三、四人は寝れそうなスペースがあるのに、こちら側は私が寝たら間に一人入るのがやっとな位しかない位置に入り込んだのだ。当然私は通路側の壁へ追いやられた

 「もっと内側寄れんだろ。」とガン飛ばしたもののまったく効果がなく、私が荷物をいじりはじめても、全くずれようともしない。仕方がないので、「ここは元々ウチが占領してたんだよ」と主張するようにやや斜め気味に横になった。
 足側はすでに接触するギリギリ。背中付近は1人がやっと入れるくらいの隙間。寝返りなど絶対にうてない。ややイライラしつつ、できるだけ動かないよう注意しながら寝ることにした。

 しばらくしてなにやらごちゃごちゃ話しているので薄目を開けると二人組に一人が加わり三人組になろうとしていた。当然内側に入り込むのと思いきや、なんと三人組はさらにこちら側にずれてきて、コワモテ側にできるだけ寄ろうとせず、侵食してきてそのまま寝てしまった。自分との間に一人も入れない程の近接。いまさら他の区画に移るのもバカらしいが、あまりにも近すぎる。寝返りもうてやせず、じっとしたまま寝ることになってしまった。



明るくなるのは早いのに、、、


 「利尻富士が見えてきたわよ!」

 けたたましい話し声とバタバタ走る足音で目が覚めてしまった。近すぎる侵食者を気にしてただでさえ寝た気がしないのに、最悪の目覚めだ。利尻着岸まではあと30分という頃、ちょうど隣の区画にいたツアーのおばさんたちがバタバタ出たり入ったり。気になりだしたらもうダメで、寝られなくなってしまった。
 昨晩からたいして寝ていないから船の中で爆睡しようとしていたのに、これではまったく寝た気がしない。仕方がないので起き上がり、この狭い空間にいるのも嫌になったので、荷物をまとめて甲板に出た。

 甲板に出ると利尻富士がもうすぐそこというところだった。興奮するのは分かるけど、船室内では声を抑えてほしい。
 外は油断すると帽子が飛びそうなほどのかなりの風だが、船はあまり揺れがなかった。内海だから波が高くならないんだろうか。奄美航路で大揺れしたときとあんまり変わらない風だから不思議だ。神津島で船が欠航したときだってここまで風が吹いていなかった気がした。

 そうこうしているうちに、船は利尻島鴛泊港に着岸した。着岸時刻はほぼ時間どおりの8時すぎだった。

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利尻島鴛泊港を船から撮影。奥に止まるバスは定期観光バスで、船のダイヤに合わせて運行される便利なバスだ。


 利尻島は一周63キロ。礼文への船は13:15発だから5時間ほどの時間がある。車を借りても島内全部をまわるのはぎりぎりの時間だし、レンタカーはボッタクリ料金でメチャメチャ高いので、はじめからチャリか歩きで空港と鴛泊周辺を散策しようと決めていた。ターミナルの案内所でレンタサイクルがあるか聞くとターミナル出て正面右前にあると言う。ネットで調べたとき、旅館しかヒットしなかったので、歩きを覚悟していたのだが、レンタサイクルがあるなら迷わずチャリだ。
 行ってみると、ネットでヒットした旅館雪国がプレハブで運営するレンタサイクルだった。朝が早いせいか、対応している人がいない。不在時は電話するように書いてあったので電話をすると、5分ほどして係員がやってきた。本来は3時間1200円だが、船発まで4時間1000円で良いという。元の値段が高いといえば高いが、すんなり安くしてくれるところはやや太っ腹だ。

 利尻島は、鴛泊港東方から、鴛泊のやや山側、利尻空港海側、などを抜ける形で沓形まで、島の北側を半周する形でサイクリングロードが整備されている。管理人さんにも勧められたが、ひとまず空港見学が目的なので、まずは空港方面へと進み、余裕があれば、鴛泊港東方の野塚展望台方面へ抜けることにした。
 まずは利尻温泉へ向かった。この温泉は、日本最北の天然温泉として紹介されているところ。一昨日以降簡単なシャワーしか浴びていないし、最北ならぜひ行くべきと考えていたからだ。空港を見たあとに寄ることもできるが、飛行機は13時前後の離着陸だからあまり早く行くとターミナルが開いていない可能性もある。そこで先に寄ることにしたのだ。

 港を後にし、快調に進みたかったが、延々続く上り坂の上、北西の風がとにかく強く、こいでもこいでも自転車が進みやしない。チャリにはやや悪の天候状況だった。
 やっとこさ温泉に着き、さて入ろうとするが閉まっている感じだ。看板をよく見たらなんと5月は12時開店だった(6〜8月の夏場でも11時から)。朝明るくなるのはすごい早いのに、なぜか遅い開店時間。北の方では汗もかかないから、朝風呂する人もいないのだろうか。まだ9時で、当然閉店中。開店直後に再度戻ってきて入ろうかとも思ったが、フェリーにはぎりぎりの時間。しかも風が強い中今来た道は戻りたくない。結局、温泉に入るのはあきらめることにした。

 すぐわきでサイクリングロードが分岐していたのでさっそく北に向かって走りはじめる。風はあるが、温泉まで上りだったためにしばらくは下り坂になり快適だ。数分走るとポンモシリ島を望める富士野園地に到達した。島には多数のアザラシが休息していた。
 東京のテレビを見ていると、釧路川ですら一頭アザラシがいるだけで大ニュースになるが、ここには目の前にアザラシがうようよいる。ニュースにならないのが不思議な光景だ。動物園にはない自然の魅力を体感できる絶好の場所。旭山動物園もいいけれど、せっかく道北に来るのなら、ぜひ自然の中の本物を見てほしい。「利尻島へカモン!」と言いたくなる光景だった。

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富士野園地から見たポンモシリ島。岩の上にアザラシがウヨウヨいた。かなり驚きの風景だった。

 相変わらず風が強い中、再びチャリを進める。このあたりは海岸が断崖、陸は広い平地で広範囲にくま笹の原っぱが広がっている。風をさえぎるものがなにもないから、チャリにはつらい。しかも富士野園地を過ぎると道は西に向きを変え、向かい風になったから、なかなか自転車が進まなくなってしまった。
 鴛泊から全然離れていないのに、風の影響か、ほとんど観光地に寄っていないのに利尻空港には10時前になってようやく到着した。空港のアプローチ道路に入ると、風はますます強くなり、ついに手で押さないと進まないほどになった

 吹き飛ばされそうになりながらまずは外回りを撮影。駐車場付近からみると、ターミナルの向こうに利尻富士が見える絶妙な位置にターミナルがあった。
 続いてターミナルに入ると、開館直後なのか、まだ照明はほとんど点いておらず誰もいない。ここにカメラを持ったヲタが一人。これじゃあはっきり言って不審者だ。やや不安になりつつも、ひととおり見て回る。当然チェックインロビーや飲食店は開いておらず、見学中も係員が一人出てきただけだった。

 10時半にはターミナルを出て、滑走路周辺をまわることにした。やはり風が強い。やっとの思いで西側に達したが、ターミナルがきれいに見える地点がない。「全国空港ウォッチングガイド」によると、北側に広場があり、撮影スポットとして紹介されているが、ここと空港北側の間にはくま笹が生い茂り行けるような状態にない。どうも東からでないとアクセスできないようだ。すぐに東へ戻る。この向きは追い風なのでラクチンだ。しばらく走って空港北東端に達したが、こんどはアクセスする砂利道は草が生い茂り簡単に行けそうにない。ガイドだと草原のような書き方をしているが、くま笹や腰高の木々が生い茂り、気軽に行き来できるような場所ではなかった。すぐ脇の滑走路は見えるものの、ターミナルは全く見えず、結局あきらめ港へと戻ることにした。

 空港に戻り途中、夕日ヶ丘展望台に立ち寄り、12時前には港に戻っていた。野塚展望台までサイクリングロードを行ってもよかったのだが、富士野園地から利尻富士温泉の間が結構長い上り坂であることは分かっていたし、ずっと風に向かって自転車をこいでいたせいか疲れてしまって行く気にはなれなかった。
 港前で自転車を乗り捨てて、ペシ岬展望台に登頂。鴛泊を眺めたのち、再び港に戻り、礼文行の船が出るのを待った。

 風が強かったから、あまり広くは回れなかったが、鴛泊周辺だけでも結構見どころはあるようで、5時間時間があるから、もう少し回ってみたかったというのが正直なところだ。
 13:15分利尻島鴛泊発の礼文行はかなり空いていて、二等客室の各区画に二人ずつくらいしかいない程度だった。のびのびして寝不足の体を休めた。



説明の長いレンタカー貸出にイラッ

 礼文島までは約40分の船旅。いつもは良いが気になる船旅だが、相当疲れていて爆睡していたので、まったく問題がなく、あっと言う間に礼文島に着いた。

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礼文島香深港。礼文島はこの港のみの発着となる。海岸の後ろはすぐに崖になる低地の少ない島となっている。


 礼文島の出発は17:25。約3時間30分の間に礼文空港も見て回らなければならないからこの島はニッポンレンタカーでの移動としていた。乗船が15分前からなのは、こういう時間がない時はうれしい措置だ。

 さっそく走り出すべくニッポンレンタカーへ直行。この営業所はホテルのフロントにあった。
 まずはいつも通りの支払い。
 予約は済んでるし、すぐ走りだせると思ったら、なぜか料金に含まれてるはずの安心コースへの加入や保険への加盟を勧めてくる。「これまでの利用同様だし、予約した通りだよ。」とややキレながら言うと、どうもすべてを確認しないと済まない様子だ。しかも説明が終わって機械への打ち込みをしたのに支払いは後だという。「レンタカー借りるときに時間がかかるのは会計をするからなのに、それをしないでこんなに時間がかかるってどういうこと?」なんだかいつもと勝手が違う。それ以上にチンタラ対応の係員に半ギレ気味で、車運転前のイライラをセーブするのが大変だった。
 さらに追い打ちをかけたのが島の説明。とにかくこの説明が長い。貸出単価がバカ高いうえ、貸出時間が3時間とただでさえも短いのに、とややイライラしつつ説明を聞く。礼文島の道は北端のスコトン岬から南端の知床まで島の東岸を通るほぼ一本道で山道には入るなとの注意をしているのだ。

 長い説明がやっと終わり、車を案内された。ホテル前の公道に路駐してある車がそれ。行ってみると用意されていたのはこれまた扱いにくそうなデカイ車(インプレッサ)だった。最小クラスを頼んだのにちょっとこれはちょっとデカすぎる。デカいのに運転席が低くて運転しづらい。車長が長いから小回りきかなそうだし、なにより横幅が広いから小道に入れなさそうでちょっといやなサイズだ。長い説明にもうんざりしていたし、このサイズの車。係員は車発進まで見送りなしと、なんだかいつもと勝手が違い、不満だらけのまま、運転を開始した。

 まずは車を北へ走らせ、礼文空港へと直行した。
 礼文空港は神津島空港によく似た雰囲気の立地だ。周囲に建物がほとんどない島外れの高台に位置。空港周囲は断崖。前面道路から20台ほどの駐車場。ターミナル前面は崖があり、その上から空港を眺められる。などなど共通項が多数ある。ただ、ターミナルは静かだ。それは休止中だからでまったく人がいない空港だった。ちょちょっとターミナル区域を撮影し、空港周囲で撮影できるところを探してみるが、広範囲にくま笹の原っぱが広がっていて、滑走路やターミナルをはっきり見れる場所は見当たらなかった。

 30分程で見学を済ませ、そそくさと礼文島観光に移行した。この島は車で移動できる場所が限られており、観光バス同様スコトン岬、澄海岬、金田ノ岬、桃岩展望台と回ることになった。礼文島は、山歩きをせず観光地をまわるだけなのであれば、フェリー発着に見事に接続する定期観光バスが安上がりで絶対にお薦めだ。
宗谷バス公式サイトによると、自分が乗ってきたフェリーに接続発車し、これから自分が帰りに乗るフェリーに接続到着する、礼文Bコース(香深FT〜ウニむき体験センター〜スコトン岬〜桃台猫台〜香深FT/3,100円)が設定されていた)
山歩きする場合も、2・3時間ごとになるものの路線バスがあるから、登山口まで行くのも可能。この島に観光で来てレンタカーを借りるとすれば、自分のように、観光地でない場所に行きたい場合や短い時間でまわりたい場合位だろう。自分の場合も空港を見たあとは定期観光バスと同じ場所をまわるのだから、一回7000円もかかるレンタカーを借りるのはバカらしい
 とにもかくにもスコトン岬へと進むことにした。


エセ日本最北はPRしても本当の日本最北をPRしない不思議

 スコトン岬には、空港から10分強で到着した。この岬は礼文最北端にあたる。先端に立つと海の向こうにトド島が見える。渡る手段はあるようでツーリングまっぷるに電話番号も載っているが5人以上でないと無理とのこと。単身旅行する身には無関係な話だ。この岬の特徴は礼文最北であることよりも岬の断崖下に複数の民家・民宿があることかもしれない。こんなところに住むのは大変そう。最先端の断崖下にはいまは降りられないようになっているのだが、崩れた家が二件ほどあり、木材が散乱している。はっきり言って汚らしい。時化か何かの不可抗力で破壊されたのだろうが、こんなところに家をたてたんだから、片付けくらいはしてほしい。礼文島の印象が著しく悪くなってしまった。

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礼文島最北端のスコトン岬とトド島。「日本最北限」だそうです。


 駐車場に戻ると売店があった。看板には「日本最北限」の文字が躍る。ホントは宗谷岬が日本最北で、ここは単なる礼文最北。ちょっとは申し訳ない気持ちがあったのか、最北端ではなく、最北限としているが同じこと。看板に偽りありだ。
 売店を覗くと、客より販売員が多い異様な空間。おいしそうなグルメや土産品は多くあり、ぜひ寄った方がいい売店だが、販売員が多すぎてゆっくり見ていられない。定番の証明書をはじめ日本最北限グッズは多数ある。何度も言うが日本最北は宗谷岬。つまりすべてはエセグッズだ(礼文最北とか日本最北の有人離島とかなら問題ないんですよ〜)。それでも買っていく人はいるのだろう。それはさておき本当に日本最北になる礼文空港グッズがないか、ワクワクしながら目を凝らしてみたが見当たらなかった。エセ最北はPRしても本物の最北は取り上げないらしい。日本最北の空港なんて窓口で最北証明の紙切れを販売するだけでボロ儲けできそうなものなのだが、、、。そんなことすらやっていないのだから、利用者減になるのも休止になるのもなんとなく頷ける。

 この売店にいた時、ちょうど定期観光バスが来ていたのだが、なんとお客さんは定年後の夫婦と見られる一組だけ!運転手と仲良く話をしていた。ただ、客二人に対し、バスは大型車。人数に応じてマイクロバスとかタクシーとか変えられないと燃費が無駄になりそうだ。採算が合っているか非常に気になってしまった。

 続いて澄海岬へ向かった。この字を書いてスカイと読む。まさに海と空のきれいな岬だ。にょきにょきした断崖が続く海岸で、ここも雰囲気が神津島に似ている。咲く花々が北の感じをさせているのが特徴だろう。ここではツアーの人々と遭遇。ほとんどが定年後の夫婦やグループで、若い旅行者が見当たらないのは残念だった。そういえば、ここに来る前に良いツアーがないか旅行代理店を必死に探したけど、料金が高くて断念したんだった。高い料金払えるのは定年後ってことなのだろう
 駐車場近くの土産屋でうまいものでも売っていないか見て回るが、量が少ないのに高いものばかりだ。ここにくるまでに散財しているからなかなか手が出ない。それでも奮発して一串200円というタコザンギを買う。案の定カードは使えず、レジを打ちもしない。当然レシートも出ない。どうせ売上に計上されていないのだろう。味はまずまずだが、ただタコを揚げただけ。なにより量が少なすぎだった。

 残りは約1時間だ。
 残念な思いのまま、澄海岬をあとにして金田ノ岬を経由しつつ香深へ向かった。
 香深に着くとあと30分ほどになっていた。ただでさえも値段の高いレンタカー。フル活用すべく、間に合うか少々不安だったが時間ぎりぎりながら桃岩展望台へ。これが大当たりだった。展望台ではやや曇っていたものの、眼下に広がる海岸線、草原の向こうにうっすら見える利尻富士とすばらしい景色が広がる。最後にとても良いものが見れた。山歩きに来る人が多いのも納得だ。とにかく上陸から悪い印象ばかりがこの島には残ってしまったが、自然はとにかく美しい島。礼文空港の定期便が再開したらまた来たいなあと思った。

 香深には返却時刻ぎりぎりの到着。すぐにフェリー乗船時間だったことから急いで会計を済ませようとした。


 しかし、、、、


 会計がはじまったが、なんと値段が9000円以上だという。確か予約のときは7000円前半の値段を言われたはず。私の記憶違いだろうか。なんでこんなに高いのかよく分からない。よく分からないが、借りるときからイライラしていて正常思考はできておらず、深く考えられない。それに向こうがそう言うのだから計算は正しいのだろう。船の出港までも時間がなく、疑問を投げかける暇もない。妙に腑に落ちないまま港へ向かうことになった。

 レンタカーの会計がおかしかったので、フェリーに入ってから確認することにした。レシートをよくよく見ると、なぜか車クラスが下から四番目のクラス(SSコース)だ。最小クラスを頼んだはずなのに誰か他の人と間違えたのだろうか?これは絶対におかしい。ボッタクラレタか、、、!?。

 これについては帰宅してからニッポンレンタカーに問い合わせをし、なぜこんなことになったのかが判明した。予約の電話をしたとき、ガソリン代も安心コースも補償もすべてコミコミだと思っていた7000円強という料金はなんとガソリン代しか入ってない値段だったのだ。予約のとき、補償も加入すると伝えたにもかかわらず、オペレーターはそれを入れずに値段を伝えてきたのだ。だから、その値段から安心コース525円、補償1050円が上乗せされ、合計が9000円を越えていた。さらに、礼文は最小クラスがSSコースで、今回インプレッサ(通常は1クラス上のSAクラス)だったのは車がなかったからだとか。最初に7000円と伝えられていたから、なんだかものすごく損した気分になってしまった。
 自動対応のネット予約と違い、オペレーターを介した予約は説明が不十分でいつも失敗する。ほんと、困ったものだ


日本最北温泉につかって疲れをいやす

 稚内行のフェリーはこの日一番空いていた。
 もう酔い止め薬の効果も切れているだろうが、ここまであまり揺れがなかったので初めて船首側の二等室で寝転んだ。昨晩からやや体を酷使したこともあり、すぐに眠気が襲ってきたが、出発直前、子供の団体さんが来てやや騒ぎに。うるさくて途中で目が覚めた利尻行の二の舞か?とも思ったが、寝ている先客が数人いたのを察してかやや声のトーンを下げてくれたのでぐっすり寝ることができた。島の子供は礼儀正しい。

 快適な船の旅は爆睡で終了。気がつくと稚内で、空はたいぶ暗くなっていた。時刻は夜19時過ぎ。
 ひとまず、稚内駅で入場券を買おうと駅へ行くと、20時過ぎまで休憩中となっていた。ならば窓口が開くまで時間つぶしも兼ね、ひとまず飯にありつこうと稚内駅周辺を車で回るが、開いてるのは居酒屋程度。車では利用できないのがイタイ。こういうとき、地元料理が食べられる駐車場付の定食屋がないのは困る。朝明るくなるのが早いから人々の行動も早まるのだろうか。わずかに見られる定食屋系は閉まっている店がほとんど。結局、南稚内まで足をのばすとファミレスがあったので夕食にした。
 夕食を終え外に出ると、雨が降りだしていた。昨日朝の天気予報では旅行中はおおむね曇り予想だったはず。車の中で携帯で検索すると、なんと明日の予想は宗谷、紋別とも雨に変わっていた。天気図を見ると明日にかけ二つの低気圧が北海道の南海上を抜ける模様だ。宗谷はなんとか持つかもしれないが南に行くにつれ雨は強まるだろう。明日稚内空港を写せるか少々不安になった。

 ひとまず時刻が20時過ぎていたので、天候のことは後で考えることにして、稚内駅に寄りつつ、稚内温泉童夢へと向かうことにした。
 今日も車中泊。また温泉に入れないと大変だ。それに日本最北温泉のこの温泉を逃すわけにはいくまいと、事前によく調べておき、22時まで開いていることをチェック済だった。まだまだ間に合う時刻だ。
 街灯もあまりない暗い道を進んでいると前方にパチンコ屋みたいな明るい一帯が。まさかそこかと思っていたら、まさにそこが目指す温泉だった。ちょうど横に電気をコウコウと照らす競技場があり、そのせいで明るかったのだ。
 さっそく日本最北の温泉へ。普通の街中温泉で複数の風呂があるタイプ。ロシア人が多いのか、英語の案内はないが、ロシア語の案内が掲示されていた。昼間で晴れていれば日本海と利尻富士がきれいらしいが、夜だからなんにも見えなかった。ここでは日本最北温泉として証明書を販売しているので当然ゲットした。
 閉店間際に温泉を出ると雨はややおさまっていた。今晩はどこに泊まろうか。明日朝から稚内空港に行くので市内にとどまりたいが、稚内周辺には道の駅がまったくない。地図を見ると一番近い道の駅的存在は宗谷岬のようだ。それでも稚内からは小一時間かかる。もともと翌日は朝一で宗谷岬を一通り見た後、7時頃から空港外周を見ておき9時の開館と同時に入館。10時には空港を出て、再度宗谷岬にちょちょっと寄って最北証明を手に入れようとしていた。宗谷岬で寝れば朝一の移動が省けるではないか。
 早速移動し、23時頃宗谷岬に到着。すぐに眠りについた。





今日の教訓!

 ・5月の北海道の朝はメチャメチャ早い!有効利用をするべし。
 ・利尻礼文航路は入船が15分まで非常に利用しやすい。
 ・日本最北の天然温泉「利尻富士温泉」は12時開店!(←朝風呂不可!)
 ・礼文島スコトン岬では「日本最北限」グッズが売っているがだまされないように!






posted by johokotu at 00:00| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ◆旅行記 | 更新情報をチェックする
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