朝から大荒れ、飛行機が飛ばない!?
いよいよ旅行当日。
今日は早朝から暴風雨が強い荒れた天気だ。ちょうど前線が通過したからで、暗いうちからみぞれ気味の横殴りの雨が降っていた。ただ、朝の時点で天気図を見るとあと少しで前線が抜け切りそうで、予報では午後から晴れだ。なんとか予約した飛行機が飛ぶ頃は晴れてくれることを願う。しかし、日の出の頃に少し風雨が弱まったものの、会社を終えて出ようとする少し前、再び雨が強くなり、やや不安な天気が続いていた。
調布飛行場には50分前集合だった。遊覧飛行でもないのに異常に早い。最終便とは言っても14:20発なので13時半には飛行場にいなければならない。新宿・調布間は10分間隔の特急で15分。調布駅からバスは10分に1本程度あり最寄バス停まで10分強、そこから歩いて10分ほどだから、新宿駅には集合時刻1時間前の12時すぎにいなければならない計算になる。はっきり言って余裕がない。会社を出たのが11時すぎだったので、家にいったん帰るのははじめからあきらめ、私服に着替えて近くのコインロッカーに突っ込むと、昼飯も食わずにまっすぐ調布に向かった。最終便を予約したはずなのに、昼には空港に行かねばならないとは不便すぎる。
飛行場には13時少し過ぎに着いた。調布駅でのバスへの接続もあるが、次の特急だとギリギリな感じだ。ぜひ利用しようとしている人がいれば気をつけてほしい。この時点で、さっきまで降っていた雨はこのころにはやみ、雲も切れ、雲間から太陽が出てきはじめていた。
ターミナルに着くと多くの人でごった返していた。カウンタ後ろの発着案内をよく見ると、ここまで全方面全便が欠航している。そして自分が予約した神津島行も含め、15時頃に離陸する各最終便は天候調査になっていた。あふれた人々は欠航振り替えを待つ人々だったのだ。
手続きをしようとすると、まだ天候調査中だからと断られてしまった。50分前集合なのに、手続き拒否はないだろう。これから1時間位待つことになる。ごった返したターミナルは余りの席はない。調布飛行場は売店もなければ飲食店もない小さな飛行場。いったい1時間もどうやって時間をつぶそう。羽田で50分前集合ならいくらでも時間をつぶせる場所があるが、ここには何もない。待ってる間、何も手続きしないんなら15分前締切にしても問題ないのではないだろうか。
会社から直行したから余計な荷物がなく、時間を潰せるようなものを何も持ってこなかったから、ずっと壁によっかかったまま何もしないで待つはめになってしまった。
14時少し前頃、係員が一人説明をはじめた。
島の天候も回復してきたが、間の空にまだ低い雲がかかっているために運航に支障があり、最大で15時まで待って運航可否を判断すると言う。
調布周辺はすでに晴れ。ちょっと視界が悪いだけでも飛べない有視界飛行だからなかなか決められないようだ。いきなり島へ渡れないことは実はまったく想定しておらず、そうなったら困る。いざとなったら明日の朝一便に振り替えれば良いのだが、神津島は上陸後空港見学していると、竹芝行のフェリーには間に合わないし、下田航路に乗るにもちょっと時間がギリギリ。島を楽しむ間もなく、少しお金がもったいない。ここは絶対今日中に神津島に渡りたかった。
そんな中、飛行はまだ未定たが、ひとまず受付・荷物預けなどは開始され、ターミナル内がやや騒がしくなった。
結局待たされた揚句、14時半過ぎに運航が決定した。当初、窮屈なことで知られるBN-2Bアイランダーでの運航が予定されていたが、運航時刻が近づいた時点でドルニエDo228-212に機種が変更されていた。新中央航空を利用したことで初めて利用する機体。どんなものか楽しみだ。
明日はこのまま晴れそうだから、島へ飛べばひとまず予定どおりいける。ホッとひと安心だ。ここで、旅館に電話を入れた。楽天の予約では最終チェックイン時間が17時になっていたのだが、飛行機が遅延したから、間に合いそうにない。ひとまず無理を言って18時チェックインにのばしてもらった。
遊覧飛行気分のドルニエ
15時頃、神津島便から搭乗検査が始まり、搭乗となった。神津島便は10人ほどの搭乗。体重が軽かったせいか、最初に呼び出され、2番席につくよう指示された。左右どちらでもいいというので、島々が見えるはずの左に座った。搭乗客が少ないと左右どちらも選べるとは非常にうれしいことだ。
調布飛行場の出発は南への離陸だった。東京スタジアムや中央高速が間近に見えながら徐々に高度を上げていく。調布を出てからしばらくはやや雲が出ていたが、横浜丘陵部付近で晴れはじめた。住宅街がよく見え、鎌倉を眺めたと思ったら海上に出た。(右からは富士山がきれいに見えたようだ)
とにかく高度が低いので、眺望は抜群で、1/10000程度の都市地図を上から眺めているようだ。鎌倉を過ぎると三浦半島が見え、葉山などがくっきり見えた。大島では空港の空撮に挑んだが、真上を通過し無理で、わずかにターミナル地区が見えた程度だった。三原山は手に取るような位置にあり、まさに遊覧気分。運賃は驚きの値段で高いけれど、この遊覧気分が味わえるなら◎だ。

まるで地図を見ているかのような低空飛行。鎌倉付近上空から三浦半島を望む。
海上まではしばらく静かな飛行が続いていたが、大島を過ぎてから風の影響で揺れがひどくなった。海上を見るとかなり白波がたっている状況だ。
さっきまで余裕でカメラのシャッターを切りまくっていたのに、揺れがひどくて酔いそうだ。前の座席がたまたまいなかったから、頭を前のシートに固定して我慢するが、今にもはきそうな状況。気持ち悪くて新島はあまりよく見れず、気が付くと神津島が見えてきていた。
神津島は天上山という平らな山が目を引く独特な外観の島だ。
空港は調布から一番遠い島南端にある。島北西から南下した飛行機は左手に島を見ながら半時計まわりに着陸していく。やや強い揺れと吐き気でまったく安定していなかったが、せっかく空から見える状況。これを逃すまいと片手にエチケット袋を持ちながら空港を空撮した。東西に滑走路がのびる神津島空港には東からのアプローチ。空港を左手に見ながら島南側の海上を270度半時計回りに回って着陸したから左窓席から撮影はベストコンディションだったが、気持ち悪いのがどうにもならない。
かなり揺れたうえ、着陸時はブレーキの衝撃が強い。いつも乗り物酔いはするものの吐くところまではなかなかいかない。それが、飛行機では10年ぶり位久々に吐く直前まで達してしまった。なんとか持ちこたえたが、なんともきつい飛行だった。
一番最初に搭乗したので降りるのは最後。こういうときはうれしい。
狭い機内を撮影後、降機するとかなり風が強く、簡単に帽子が飛びそう。エプロンを撮影しようにもカメラが風でブレてしまう状況で、よくこんな風のなか着陸したなあと妙に感心してしまった。

NCAドルニエ機の機内。各席に窓があり、1人席だから隣席に気を使わなくていい意外と快適なシート配置だ。トイレはないので要注意。機内放送もほとんどないので、離着陸時の扱いもいつからいつまでなのか全く不明(←おかげで機内での撮影はすべてフイルムカメラだった)。
空港前の高台への行き方がわかりにくい
神津島空港は、プレハブの調布に比べれば大きいが、非常にこじんまりとしたターミナルを持つ。外観は普通のコンクリ造だが、入ってみると、赤色を所々配色した結構凝った内装が目を引いた。明日は船での出発になるので、ここは今日中に調べておく必要がある。航空便に接続するバスを無視して館内、館外を撮影した。小さなターミナルでほんの15分ほどですぐ調査が済んだので、折返便の離陸も見ずに空港を離れることにした。
空港から今晩の宿がある島中心部までは歩いて1時間ほどの距離。宿の送迎があるのだが、なにせ到着後に空港見学しようとしているから送迎を頼めない。空港にレンタカーやレンタサイクルがなく、バスも発車した後だから、見学後は歩いていくしかないのだ。
すぐに出発しようとはしたのだが、その前に、空港正面の高台から空港を撮影することにした。旅行前にネットサーフィンしていたら、空港正面にあると思える高台から写したと思える写真が数点ヒットしていた。自分もぜひその角度で撮影したいし、間に合えば折返便の離陸を写したいところだ。
だが、良く見てみると、今自分がいる空港ターミナルの目の前に高台があるのは見えるのだが、そこに登る階段がない。ツーリングマップルの地図をみると、正面には金長運動公園と書かれていて、高台はこの運動公園のようだ。
おそらくはターミナル前を横切る道を進んださきに分岐路があるのだろう。だが、調布飛行場でもらったパンフの地図ですら、あまり細かくなく、分岐路らしきものは書かれていない。周囲に看板などもないので、空港の前を横切る形で整備されているこの道路、どちらに進んだらよいかが分からなかった。持ってきたツーリングマップルを見ると、空港アクセス道路として東側へ道路が整備されているが、宿がある神津島港方面へはやや遠回り。反対の西側へ進むと短い距離で済む細かい道路があるようなので、そちらから行くことにした。こちら側は千両池やありま展望台、ヘリポートと見どころもありそうだから期待して歩き始めた。
ところが、西への小道を進んだでも高台に行けそうな分岐路が見当たらない。
そこで一度空港に戻って今度は東のアクセス道路を進むことにした。
果たして5分もたたずに道路わきに金長運動公園が姿を現した。これはラッキー。さっそく入ろうとすると、入口にはチェーンがかかっていた。だが、これがまた中途半端な設置。管理棟には誰もいない。万人受けいれの公園にしては疎外感がありすぎ、閉鎖中立入禁止にしたいのであれば施錠が不十分。空間制御センサーでも設置されていたら大変だが、グランドしかないから盗むようなものもないし、ひとまずグランドに入り撮影することにした。グランドからは眺めは良かったが、ターミナル横からの眺めで想定していた正面の景色ではない。どうも高台は金長運動公園ではないようだった。
ここで飛行機が動き始めたので、しょうがなく撮影しようとしたが、正面からの風が強すぎ、カメラがなかなか安定しない。フェンスに無理矢理押しつけてなんとか撮影を済ませた。
「やっぱりターミナル正面の高台はむりやり斜面を登るのかなあ?」
それではしんどいので、高台での撮影はあきらめ、宿へ向かうことにした。
ひとまず東側の道路に来たし、地図を見るとこの先に三浦湾展望台があるようだったので、そのまま空港アクセス道路を進むことにした。
道は空港から連続的に上り坂。運動公園を過ぎると道は左カーブしていた。ここまで10分ほど。上り坂をのぼると、その先に左折路がある。もしやと思い、左に進んで5分ほど歩くと道が未舗装になった。行けるところまで行こうとさらに歩みをすすめると、果たして空港正面の高台に出た。整備はまったくされていない草地だが、ここからの眺めは抜群で、空港がほぼ欠けることなく一望できた。ターミナルを正面から眺められる空港はあまりないから、ターミナル見学を続ける身には非常にうれしい。空港に案内看板があればもっと良かっただろう。
高台からの空港撮影を済ませた後、来た道を戻って空港アクセス道路に出てから北上して三浦湾展望台へと向かった。
展望台までは歩いて20分ほど。塔でも立っているのかと思ったが、アクセス道路脇に小さな展望スポットがあるだけだった。だが、ここからはさっきまでまったく見えなかった天上山と三浦湾がくっきり見える。山のこちら側は一気に海まで落ちる白い崖になっていて、まさに絶景と言うにふさわしい景色だ。
脇に島の案内地図が立っていたのでよく見てみると、さきほど寄った空港正面の高台には「空港展望地」との名前が付いていて、アクセスする小道も載っていた。この地図はかなり細かく、小さな道も結構載っている。こういう地図が島のウェブサイトにあると事前に計画を立てやすいんだけどなあ。空港展望地への道が、空港から距離があると前もって分かっていれば折返便の離陸を考慮して少し急いだのにと少し残念に思った。

三浦湾からのながめ。まさに絶景と呼ぶにふさわしい。
ここで時計を見ると、時刻は17時。飛行機遅延を理由に18時チェックインにのばしてもらったが、あまり時間がない。街ん中のビジホなら少しくらい時間を延ばしても問題なんだろうが、今晩の宿はもともと17時までしか予約できないところだったし、なにより民宿だからこれ以上時間を遅らす訳にはいかなかった。
しかし、せっかく来た離島。時間の許す限りちょっとでも寄り道をしたい。
あまり道から離れずに行ける名所がないかと考えていたら、展望台のすぐ脇に秩父山への登山口がある。地図を見るとほぼアクセス道路に沿って登山道が延びている。海沿いの展望台ですでにすばらしい景色だから山に登ればさらにいい景色かもしれない。加えて反対側に空港が見えたらラッキーと思い、すぐ行くことに決めた。
展望台側からアクセスすると水平移動はあまりなく、斜面は逆からアクセスする場合より急。エッチラオッチラ登るが、木々に囲まれあまり景色は良くなかった。山頂付近は尾根伝いにしばらく道が続く。両側に笹が生い茂り、空港側はほとんど何も見えない。天上山側はまだ眺めがよいものの、展望台とあまり見た感じは変わらないものだった。
この秩父山。この山の名前の由来は、自分の地元である埼玉県の秩父だそうだ。この山は三十四ヶ所札所が一ヶ所にまとめられた信仰の山で、観光地ではないらしい。しかし、これも何かのご縁。道中の安全も祈り、山を下りた。
山を下りてアクセス道路にでると、ちょうどそこは島東部の多幸湾と島西部の神津島港を隔てる峠部分で神津島港に向かって長い下り坂か続いていた。秩父山から結構下ったつもりだったが、まだまだここから延々と長い下りが待っていた。
これまで西側に山があったのでそれほど気にならなかったが、西側が開けたことで西から強風が吹いてくる。ちょうど山と山に囲まれた峠のせいか特に風が強く、下りを歩いているはずなのに、なかなか体が前に進まないほどだ。
前のめりになりながら必死に歩いていると、車が一台停まり、おじさんが顔を出してきた。
「乗ってくかい?」
なんてよい人だろう。一瞬甘えようかとも思ったが、神津島を歩いて見てまわりたいというのがあったので、丁重にお断わりし、再び歩き始めた。
しばらく歩いて崖を階段で下りると街の中になった。
宿の場所がはっきり分からなかったこともあり、まずは海岸へ出て海の状況を確認すると、海はかなり荒れていて、白波の白い部分がかなり目立つ。この調子で風がおさまらないと、今晩竹芝を出る船に影響が出そうでやや不安になってきてしまった。
ボリューム満点の食事にびっくり
宿には18時頃着いた。
主人の家とは別棟に和室が用意されているタイプだ。部屋は6畳ほどで広々としており、この時期としてはありがたいコタツ付き。だが、風呂は離れにあり、風が強い今日はアクセスが少し寒かった。
到着が民宿にしては遅かったせいか、食事がすぐに用意された。おかみさんがわざわざ来たので、民宿なのにまさかの自室飯かと思ったら、主人の家の中で食事だと呼びにきてくれたのだった。
案内された居間に入ると食事は一人分が用意されていた。自分以外に泊まる人はいないようだ。自分ん家で食べるように気楽にはできないし、かといって、この状態で一人黙々と食事するほどきついものはない。なんとも不思議な感じだ。こういうとき、宿の人と和気あいあいと食べれる宿だったらなあと少し残念な気持ちになった。
食事はボリューム満点で肉、魚、野菜すべてが山のよう。皿の数が10位。ご飯はおひつが一つででーんと置かれている。今日は、昼飯を食う暇がなかったからおかわりできたが、あまりの量に食べ残しが出てしまった。
少し宿泊費が高く感じていたのだが、この食事を見ると、納得のお値段かもしれない。しかし、これだけでかなり費用がかかってそうで採算があっているのか妙に気になってしまった。
静かに食べおわると腹はパンパン。明日のことも深く考える余裕もなくそそくさと寝てしまった。
■今日の教訓!
・調布飛行場へは調布駅から意外と時間がかかるので要注意(←バスのダイヤは要チェック)
・新中央航空は集合が50分前。でも時間はつぶせない!(←つぶせるものを持参するべし)
・新中央航空のドルニエは晴れていれば遊覧飛行気分!(←アイランダーは狭いですよ、、、)
・調布→神津島は島を見るなら左側、富士山を見るなら右側