2010年03月01日

琉神と球美島へ 旅行後

■2010.02月 東京国際・沖縄那覇・久米島・中部国際・成田国際(旅行後)


離島空港がたくさんある

久米島を訪れたことで、南西諸島は実質休止中の波照間を除いた全空港の訪問を終了しました。
日本には98もの空港があり、乱立しすぎとの議論がありますが、実はその3分の1に当たる36空港は離島空港です。
今回はそんな離島空港の状況をまとめてみました。


非常に大変な離島空港
離島は船か飛行機でしか行けない場所である。総務省統計局の日本統計年鑑によれば、日本には6852島あるというから、36空港だと極々ほんの一部の島にしか空港はないのだが、空港はあればあったで、なくてはならない存在になっている。特に海が荒れている時や緊急時などは大活躍するのが空港だ。

しかし、普段は生活路線として利用するにはあまりに運賃が高額(だいたい船便の3〜4倍の値段はする)。観光客がいなければ数少ない島民位しか利用しないわけなので、なかなか客が集まらない問題がある。
使用機材も小型機であることが多く、乗り心地も速さもジャンボのような快適さはない。サービスもたいしてないので、のびのびしたい人は船に流れてしまう傾向がある。絶対に船のほうが揺れるのだけど、トイレもない小型機では酔ったときに吐けもしないと嫌う人もいるぐらいだ。小型機だと輸送効率は悪いし、部品がなくなって更新できなくなる機体が多いなど、航空会社側にも大きな負担なようだ。

本土の空港と違い離島空港はそもそも近隣空港との競争は起きないのだから、一見、安泰なように見える。最近、空港乱立批判が多いけれど、離島に関しては、それよりも機材や便数など航空側の理由で利用者減が起こっているようだ
とにかく維持が大変な印象。それが離島空港だ。


路線を維持できない空港が急増中
そんな厳しい状況に置かれている離島空港。
過去を見ると、発着する航空会社はさまざまな会社が参入しては消えている。長く維持できている会社として長崎のオリエンタルエアブリッジ(ORC/旧・長崎航空)、鹿児島の日本エアコミューター(JAC)、沖縄の日本トランスオーシャン航空(JTA/旧・南西航空)などがあるが、よく見ると過疎離島にはあまり飛ばしておらず、主要島を結んでばかりになっている。鹿児島県と周辺市区町村の出資を受けるJACが唯一薩南全域をカバーしているが、運賃は他地域に比べ高い設定。JTAは過疎空港については子会社のRACに運航させているが、それでも運航できない空港があるぐらいだ。運航は大手傘下なら大丈夫かと言うとまったくそれも当てはまらず、近年もANA系のエアー北海道がなくなっている。

離島空港は滑走路が短いから小型機しか飛べないことが多いのだが、小型機は、中大型機よりも天候等に左右されやすく欠航率も高い。最近は計器類の向上により飛行機の安定運航化が図られる空港が増えた。そんな中で、小型機しか飛ばない離島空港は、欠航率がより相対的に高く感じられてしまう。
なんとなく欠航イメージが付きまとっているのに、それに加えて高速船就航など船の充実と不景気の影響もあって、ここ数年は特に利用者離れが加速している。航空会社側も小型機材の維持が困難で、小さな飛行機しか飛べない空港は次々に路線撤退が相次いでいるのが実情だ。
ここ10年弱ほどで見ても、礼文、佐渡、小値賀、上五島、慶良間、波照間から定期便が消滅。礼文にいたっては休止されてしまった(これらの空港は現在不定期便すらない)。

ならば安定運航できるよう、機材を大型化するために空港を拡張し、少し大きな飛行機で運航できれば良いかというと、簡単にそうはいかない。大型化したからといって急に客が増えるわけではないし、提供する座席数から考えれば、小型機運航時よりも減便せざるを得ず、利便性は減少するというジレンマがある。


ダイヤ不便の致命傷
時間短縮効果の大きい飛行機利用者は、機材の大小や快適性よりも、行きたい時間帯にきっちり動ける便があるかどうかを重視するという人は多いだろう。だが、離島空港はそれも満たせず、ダイヤが不便という致命傷を抱えるところが多い

飛行機が就航していても、一路線で一日一往復しか飛んでいない離島空港は空港もある。一日一往復だと昼便になるからビジネスにはきわめて使いづらく、短い休みをフル活用したい観光客にも不評。最低でも朝晩の二往復はほしいところなのだが、それすら維持できていない状況だ。
もっとも、二路線以上が飛んでいながら、発着時間が集中し、日帰りできない島もある。

路線網の実態は実に厳しい。

※複数便が飛んでいながら日帰りが無理な島は、与論島が代表的な一例だろう。鹿児島、沖永良部、那覇の3路線が飛んでいながら各々は1往復しか便がなく、着発は12時前後にまとまっている。鹿児島や那覇を拠点に日帰りで行き来できないのに加え、鹿児島から那覇へ抜けつつ日帰りで島観光するような形でも時間がとれない。質が悪いのが、ダイヤが微妙にズレていてハブ化されていない点で、那覇から沖永良部へ乗り継ぐことができないというもったいない話になっている(ちなみに繁忙期は那覇便が増便されるのだが、増発便は夕方便なので、便が増えても沖永良部への乗り継ぎは不可能なままだ)。

定期便のない離島空港 8空港
 礼文、佐渡、小値賀、上五島、伊江島、慶良間、下地島、波照間

1日1往復のみ運航の離島空港 5空港
 利尻 新千歳1
 奥尻 函館1
 三宅島 東京国際1
 北大東 那覇0.5※・南大東0.5※
 与那国 那覇0※・石垣1※
※北大東は沖縄-南大東-北大東-沖縄を結ぶ路線が1日1便経由。
※与那国は毎日与那国-石垣間に1日1往復。火・水・金・日のみ那覇-与那国-石垣間に1日1往復運航追加。

一路線のみで一日二往復以上の離島空港 8空港
 新島 調布4
 神津島 調布3
 八丈島 東京国際3
 壱岐 長崎2
 種子島 鹿児島3
 久米島 東京国際0※・那覇6※
 粟国 (那覇3)
 多良間 宮古2
※久米島は夏期のみ東京国際路線が就航。
※粟国は那覇との間に不定期乗合便あり。

二路線以上で五往復程度以下の離島空港 8空港
 大島 東京国際1・調布3
 隠岐 大阪国際1・出雲1
 天草 福岡3・熊本1
 喜界 鹿児島2・奄美3
 徳之島 鹿児島2・奄美2・(那覇2※)
 沖永良部 鹿児島3・奄美1・与論1・(那覇2※)
 与論 鹿児島1・沖永良部1・那覇1
 南大東 那覇1.5・北大東0.5
※徳之島と沖永良部は那覇との間に不定期乗合便あり。

便数の多い離島空港 7空港
 対馬 福岡4・長崎4
 福江 福岡4・長崎3
 屋久島 大阪国際1・鹿児島5
 奄美 東京国際1・大阪国際1・鹿児島5・喜界3・徳之島2・沖永良部1・那覇1
 那覇 (略)
 宮古 東京国際1.5・関西国際0.5・那覇9.5・多良間2・石垣2.5
 石垣 東京国際1.5・中部国際1・関西国際1・神戸1・那覇11・宮古2.5・与那国1※


島側のアクセス
もう一つ離島空港を大きく悩ます問題が島側のアクセスだ。
離島といえども、港のある市街地から離れたところにある空港は多い。空港から市街地までのアクセスをよく考えないと、直接市街地に着く船との競争にはなかなか勝てない。日帰り客を増やすなら空港から観光ルートを展開することも必須だ。
実はこのヒントは礼文・利尻にある。両島は憧れの離島としてランクインすることが多い島で、実際シーズンの夏場は観光客が大挙して押し寄せるそうだ。アクセスの船は難民船のごとく激混みらしいからかなりの需要があるはず。だが、飛行機は、礼文は休止で、利尻も唯一ある一日一便の新千歳線は搭乗率がとても悪い。船が便数が多くて便利というのもあろうが、同じような条件で屋久島などでは航空便が維持できているのだから少し不思議なのだ。
これを解くカギは現地アクセスにある。実は両島には、船を下りたらすぐ乗れて、港に戻ったら船が待っているという島一周観光バスが運行されている。船なら稚内との間に一日四便あり、この観光バスでまわれば、浅いとはいえ、日帰りで二島観光も可能になる。だが、飛行機だと一日一便なうえ観光バスが寄らないからこんなまわり方はできない。ここに両者の大きな差がある。
特に礼文は空港位置と規模が悪い。仮に飛行機が四便飛んでいたとしても、礼文は小型機しか飛べず観光バスを満載にできるほどの客は望めないし、まわりは市街地ではなくレンタカーはないから利便性は悪い状態だ。

アクセス向上なくして、島間移動ができない飛行機では、高速性・快適性ともに向上した船に対抗するのは無理に近いと言える

※利尻はジェット化済で観光バスを満載させることに無理はなく、市街地にも結構近いので、観光客の多い夏場だけでも実験的に四便運航+観光バスをやってみたらおもしろいかもしれない)。
便数の少ない空港を見てみると、島一周の観光バスなどないところばかりで、与論のようにアクセスが貧弱なところもある。
まずは島に降りてからどうするかの足が浮沈に関わってくると言えそうだ。



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こうして見ると、最低朝晩2便確保、乗継需要の取り込みは必須で、これに地上アクセスを便利にすることが求められるように思います。

各島とも自然の魅力は一級品。工夫さえすればいくらでも空からの入島者を増やすことが出来そうです。
離島空港の中で最も便が多い那覇には格安のスカイマークが飛んでおり、東京からでも安くアクセスが可能。ここを拠点に離島へ繰り出す人も多くなってきました。これらの人を引き寄せるというのも一つの手でしょうか。

今後は、より安くより早くより便利な時刻に離島へ行けるように航空会社と現地の人に頑張ってもらうことを期待しつつ、今回の旅行記をしめたいと思います。


posted by johokotu at 18:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ◆旅行記 | 更新情報をチェックする
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