今回、空港施設にスポットを当てたのにはわけがあります。
それは、「一般客が使う空港施設がよく分からない!」という素朴な疑問です。
空港が拡張されたり、新空港が出来たりすると、反対派、推進派といった具合に大論争が沸き起こります。空港設置に多額の税金が使われ「無駄遣いだ!」という意見が出てきます。また、ここ数年空港をめぐって様々な動きが出てきています。空港法が改定され、空港の分類を変更。空港の整備もほぼ終了し、国土交通省でも今後は空港の活用を目指す方針を明らかにしています。
でも、実際に一般客が利用している空港施設にスポットがあまり当たっていないように思えたのです。
本屋さんで「航空」に関する本・雑誌を探してみると、ゴロゴロその種の本が出ています。ところが目を凝らして「空港」の本に限って探してみると、関連する本・雑誌は激減しています。
羽田空港に航空関係の本が多数揃っていることで知られる「ブックスフジ」という本屋さんがあります。羽田空港を利用する機会があったら是非覘いてみてください。空港に関する本は、せいぜい古本として売っている「エアポートレビュー」という専門雑誌程度(すでに絶版のようで、最近は置いてもいません)。あとは著名人が書いた「空港無駄遣い」といった類の本か、空港建設反対派が書いた運動記録本、空港で働こう!的な本しか目にすることは出来ないでしょう。(近年の空港を巡る騒動のおかげで便乗発刊する著者が増えたため、ポツポツその種の本が増えてはきましたが、、、。 )
それに比べて、飛行機に関する本の豊富なこと、豊富なこと。航空工学に関する本をはじめとして、飛行機の機種を紹介する本やルートマップ、さらには撮影地ガイドまで。一般旅客には関係ないミリタリー(いわゆる軍用飛行機分野)という分野ですら、数え切れないぐらい本が出ています。
「いやいや、航空関係雑誌の最大手イカロス出版から「日本の空港シリーズ」なる本がありますぜ。」
そうなんです。空港に関する本は少ないのですが、そんな雑誌も存在します。ところが実はこの本ですら、”実際に一般客が利用している”空港施設に関する記事は少ない雑誌。半分は、撮影地ガイドや見れる飛行機など、空港ではなくて航空の記事になっています。しかも、9空港を取り上げただけでシリーズが終了し、同じ空港を再び取り上げる新シリーズに移行してしまいました(残念無念)
よく考えてみてください、「空港」にスポットを当てた雑誌ですよ。「航空」の雑誌会社とはいえ、「空港シリーズ」と名乗る以上、周辺の撮影地ガイドよりも、空港ターミナルに入っているお店の詳細とか、空港ターミナル建設で工夫した点とかを知りたいんですよ。極端なことを言えば、それこそ機種がどうこうと同じ類で、カウンターはどこ製とかそういった話を知りたい!!!!!
ちょっと感情的になって極論に走ってしまいましたが、、、、。ここまでの極論は置いておいて。
とにかく、一般旅客が飛行機を利用する場合、「空港」はなくてはならない存在です。でも、それを知るすべは各空港の公式サイトにアクセスするぐらいしか方法がないのです。
飛行機で旅行に行った時の様子を再現してみましょう。
バスを降りてやっと着いたカウンタでチェックインし、売店でお土産を買い、ちょっとお高いレストランで食事をし、金属探知機にピーピー言われ、トイレを済ませたら、搭乗橋をわたって飛行機に乗り込み、いざ離陸。乗って気づいたが、これってポケモンジェットだったよ。今回のスッチーは美人だなあとか考えつつ出されたお茶を飲み、音楽聴いてたら、あらもう着陸。〜〜〜と言った感じでしょうか。
見て分かるとおり、空港の話題が半分ぐらいは占めるでしょう。確かに飛行機の機種が何、というのも重要だけれども、主役の旅客にとっても、それこそ航空ファンにとっても、空港は、少なくとも撮影地と同じくらい大事だと思いませんか?
※ちなみに、海外ですと空港に関する本は結構たくさん出ているようです。紀伊国屋書店オンラインの洋書検索で「Airport」と検索をかけてみると、1000件以上がヒットします。結局、日本では飛行機では人の興味をそそるのだけど、空港だと興味はそそらないと考えられているようなのです。
こうなったら自分で行って確認してしまえ!
そんな感じで、一般客が利用している空港施設の現状を知ろうと思っても、出版物はあまりなく、なにも分からない状況。無駄かどうか以前に、現状の把握もできないというが日本の空港が置かれた実態でした。
日本には100近い空港があると言われます。それぞれどんな空港なのか、どんなお店があるのか、ガイドブックが出版されている空港も一部あるものの、全ての空港を体系的に詳しく知れる本はあまりありません。空港に関する本は、官公庁や空港会社などが出している本が中心で、市販されていないものがほとんど。しかも数少ない、体系的に知れる本も、多くは空港一覧のようなデータや文章中心で、視覚的に日本の空港を直感的に感じることは出来ないのです。
それなら「自分で行って確認してしまえ」、ということで、全国の空港めぐりをすることにしてしまったわけです。
私は一般旅客ですから、空港施設といっても、立ち入れるのは、旅客ターミナルビルのそれも一般スペースのみです。貨物ターミナルや管制塔に入ることはできませんし、進入灯や無線設備に触ることができるわけでもありません。そこで、「空の駅情報館」では、空港の一般スペースを、街の駅や道の駅と同じように人々が集まる「空の駅」と考え、「空港」の中でも一般人が入れる部分(つまり、旅客ターミナルや駐車場、空港周辺に整備された公園等)にスポットをあて、ここを見学してくることにしました。そして、ここでは、写真を中心に解説を加えながら紹介することにしました。
まあ、旅客ターミナルの裏側(事務所とか、、、)や旅客ターミナル以外の施設(貨物ターミナルとか管制塔とか滑走路とか、、、)の様子の紹介は、それをプロの仕事として行っている雑誌や本の「空港シリーズ」にお任せするとします。
多種多彩な空港群、日本って飛行場だらけだった
「空の駅」に行くに当たり、調べてみると、飛行場は、民間機が飛んでいるよく知られた空港以外にも、自衛隊専用飛行場とか、米軍基地とか、民間飛行場などさまざまにあるようです。
新聞とかで、日本の空港は100近いなんて、よく書かれていますが、そもそも、この数は、国交省が空港として認定した数値にすぎず、日本にはゴマンと飛行場が点在していました。しかも、認定されていない空港で離着陸の多い飛行場があるかと思えば、認定された空港ながら離着陸のない空港などもある模様。
これではそもそも飛行場を全部把握するのも困難だし、全部の飛行場に行くことはまず不可能と判断。そこでまず、訪れる空港を決めることにしました。
考えた挙句、結局は、国土交通省航空局のサイトに載っている公共用空港(見学を開始した当初は「第1種空港」「第2種空港」「第3種空港」「その他飛行場」として分類されていた空港)を対象にすることにしました。定期便の飛んでいない飛行場もありますが、それも含め、現在整備中の空港を含めると100近い空港が対象になりました。
なんだか金も時間もがかかりそうな空の駅訪問
さて、この「空の駅めぐり」、かなりの費用がかかりそうです。
ANAとかJALの社員だったら年間何十回も飛行機に乗るの無料らしいですが、私は何せ一般人。飛行機なんて一回乗っただけで短い区間でも1万円以上が軽く吹っ飛びます。
何よりイタイのは、空港をじっくり訪れる安いツアーなんて一切存在しないことでした(空港なんてツアーではただの通過点ですもんね、、、)。
さっきも書いたとおり、飛行機に関する認知度は高いようなのですが、空港に関する認知度は非常に低く底の底。最近は飛行機乗りつぶしツアーのようなものが組まれていることも多いのですが、空港訪問ツアーなんて企画する旅行会社など皆無です。例えば、飛行機引退ツアーはあるのだけれども、空港休止ツアーなんて企画されているのは見たことがない。よく組まれることが多い空港開港記念ツアーだって、空港見学をメインにしているものは皆無で、さっさと旅行先へ旅立ってしまいます。
こうなると、安く空港へアクセスする手段はあまりなく、本土の空港であれば、安い高速バスとかJRの青春18きっぷなどを駆使して、離島空港なら安いフェリーで訪れることになってしまいます。
しかも各空港とも、騒音対策とかで郊外にあることが多く、都市からのアクセスが悪すぎる!当然時間がかかってしまい、長期休暇がないといけないじゃないですか、、、(苦笑)。
時間も同様。
便数が少ない空港などではアクセス交通は航空便に合わせた運行がほとんど。飛行機で到着してから空港見学すると、アクセス交通には絶対に間に合わず、一方、飛行機で出発しようとすると、アクセス交通でアクセスすると出発までギリギリ。アクセス交通が使えないと、かなりの時間がかかってしまいます。
だいたい、飛行機乗りつぶしツアーなら、同じ空港滞在時間は短くてもいいから、乗ってきた折返便で戻ればよいのだけれども、空の駅見学だとそういうわけにいかず、1日1便しか飛んでいないような空港は訪問に時間がかかりすぎてしまうのです。
気長に行きます、空の駅訪問
こうして数々の問題を抱えながらも、平成19年6月から北海道を皮切りに空港ターミナルめぐりをスタートしました。そして、平成21年3月、訪れた空港が50空港を超えたことから、サイトにて公開を始めることにしたものです。
空の駅めぐりは全国に散らばっているものの、数が多い郵便局めぐりや鉄道駅めぐり、道の駅めぐりなどに比べればかわいいもの。まだまだ気長に訪れていこうかと思います。
平成22年9月には残っている未訪問空港も、千歳、新島、三宅島、波照間の4空港になりましたが、なかなか手強い空港が残っている印象です。
ちなみに以下の空港!定期航空路再開を待ってます!(ターミナルビル自体が閉鎖されているらしいので、再開まで行く意味ないんですもん、、、)
▼波照間/平成18年3月定期(石垣)便が廃止。不定期チャーター便もなく閉鎖中の模様。エアードルフィンが運航中だったので、そろそろ行くかと思っていたら行こうと計画を立てていた1か月前になんと路線休止です(トホホ)、、、。
以下の空港は行ってしまいました。
●佐渡 見学に行こうと考えたのが廃止発表前だったのでなんとか廃止までに間に合いました。
●礼文 いつまでたっても定期便が再開されない。そうしているうちに休止になってしまい、利尻のついでに見学へ。
●小値賀 いつまでたっても定期便が再開されない。我慢しきれず見学へ(内部の見学は不可でした)。
●上五島 いつまでたっても定期便が再開されない。我慢しきれず見学へ(内部の見学は不可でした)。
●伊江島 いつまでたっても定期便が再開されない。急きょ行くことに(内部の見学は不可でした)。
●慶良間 いつまでたっても定期便が再開されない。我慢しきれず見学へ(内部の見学は可でした)。
このサイトを見てもっと空港に興味を持ってほしい
世の中に多数ある、空港や航空を取り上げているサイトのほとんどは、就航している飛行機の情報や飛行機写真が中心。航空ファンと呼ばれている人々も関心の中心は飛行機であることがほとんどでしょう。
しかし、「空の駅情報館」では、上記にツラツラ書いたような理由から、飛行機よりも空港ターミナルにスポットを当てた内容になっています。このため、飛行機の情報や飛行機の写真などはかなり少なく、いわゆる航空ファンの方にはやや不満の残る内容かもしれません。
平成21年の後半からは羽田のハブ発言とか地方空港を造りすぎだといった議論まで出てくるようになってきました。 で、地方空港に無理に飛ばされていたと報道されているJALが破綻。
さまざまな動きがあって、地方空港は総スカンを食っている状況です。
でも、空港は地上と空を結ぶ重要拠点。赤字で苦しんでいる空港も多いようですが、「空の駅情報館」を見た皆さんが一人でも多く「空港に足を運んでみよう」と思って、空港に買い物に来たり、飛行機を見に来たりと、空港の利用者増に寄与するようなコンテンツ作りを目指していきますので、どうぞよろしくお願いします。
ちなみに、、、。
ここで公開している写真類は、各空港ターミナル内でjohokotuが完全に勝手に撮影している写真です。どこまで公開していいのか、自分でも迷いながらの公開なのですが、各施設が公共施設であること、旅行の時に空港内で写真撮影してそれを公開している人もいることなどから、ちょっと不安ながら公開しています。
自分としては、空港の利用者増に寄与するよう考えているつもりですが、管理者側からすれば迷惑千万であるかも。問題があるでしたら、ぜひともご連絡いただけると幸いです。
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