徳之島 航空運賃引き下げへ?
大きな政治問題となっている普天間基地移転に関連し、米軍機能の一部を徳之島(徳之島空港を想定?)に移転しようという話があります。新聞報道などによりますと、この件に関連し、平野博文官房長官が16日、基地受け入れのための条件として航空運賃引き下げなど徳之島住民が要望した事項について「すべてのむ」と発言した模様です。
毎日新聞によりますと、
「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題に絡み、平野博文官房長官が16日に鹿児島県・徳之島の移設賛成派の住民と鹿児島市で会談した際、徳之島3町の借金(公債)の棒引きなど、住民側が示した移設受け入れの7条件にすべて応じる意向を示したことが19日、明らかになった。」
とのこと。この7条件のひとつに「航路・航空運賃を沖縄並みに抑制」が含まれていると報じています。
確かに徳之島をはじめとした奄美群島各島の航空運賃は非常に割高です。徳之島には鹿児島・奄美の両線しか定期便はなく、第一航空が運航する不定期乗合便の那覇線を含めても3路線でアクセスしにくい一面もあります。
要望のあった運賃は、奄美群島の主要島である羽田-奄美間(787マイル)は、最も安い先得割引でも30300円もかかります(平成22年5月)。しかも運航便数はたったの1便。
この運賃は、羽田-宮古間(1158マイル、特便割引3で33200円・先得なら19000円)や羽田-石垣間(1228マイル、同38400円・20000円)と比べても異様な高さです。
問題の徳之島の場合、羽田ー徳之島間の最安値は、鹿児島にスーパー旅割(12100円)で飛び、そこから先得割引(往復割引18000円)で飛んでやっとこさ30100円です。
当然、住民にとっても旅行者にとっても運賃が高いのは大問題です。
ただ、今回、住民が国に運賃引き下げを要望したというのはやや疑問です。なぜかというと、奄美群島の航空運賃が高い最大の理由はJACしか飛んでおらず競争がないからだからで、住民の要望はただゴネているだけのようにしか見えません。
そもそも国が一航空会社に対して強制的に運賃を下げさせるわけにもいかないでしょうから、国に要望して運賃下げろというのは、つぶれた会社グループの運航会社にさらに税金を投入して運賃下げろということなのでしょうか。これは誰も納得し得ない話。
国は離島路線にはすでに維持するための費用を出しており、それでも運賃が下げられないというのであれば、それはそれだけの需要しかないことにほかなりません。また、JACには奄美群島の市町村が出資しており、要望するのではあれば、国ではなく、当然JACや出資している市町村のような気もします。
国が行うとすれば、米軍基地負担対応として、航空旅客に補助金を出したりする手があるかと思いますが、それを徳之島で実施するのであれば、三沢や岩国、那覇、伊江島(定期便ないですが)などでも実施しなければ批判が出るのは確実でしょう。同様に島民割引をするのであれば、沖縄をはじめ、横田や厚木、岩国など米軍基地がある市区町村住民に対しても割引を実施しないと公平性に欠ける気がします。
個人的には、島内を活性化し、他の航空会社の参入を促すとか利用者を増やして、運賃値下げに向かわせる方がスジと思うのですが、、、。
ただ、国の動きで値下げが実現すれば、場合によっては、運賃を下げるための今後のモデルケースになりうる話でもあります。官房長官は「すべてのむ」と確約発言したようですから、要望された内容をどのように実現するのか注目されます。
(ちなみに米軍部隊は徳之島にのみ移転するのですから、税金投入して安くなるのは当然徳之島便だけなんですよね、、、。)
■普天間移設:徳之島受け入れ7条件「すべてのむ」官房長官(毎日新聞公式サイト)
http://mainichi.jp/select/seiji/futenma/news/20100520k0000m010128000c.html
2010年05月21日
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