2010年07月20日

隠岐がる?旅行へ(旅行後)

■2010年07月 東京国際・出雲・隠岐・美保・鳥取・神戸・徳島・大阪国際の旅行後

今回の旅行では、愛称をもつ空港を三つも利用しました。今回はそんな愛称をもつ空港について掘り下げます。


出てくる出てくる空港愛称
今回利用した出雲空港の愛称が決まったとき、新聞報道では全国で20空港が愛称を付けているとの報道があった。が、一覧になっている記事が見当たらず、調べることができなかった。
そこでまずは愛称の付いている空港を列挙してみることに、、、。

紋別空港   オホーツク紋別空港
福江空港   五島福江空港
中標津空港  根室中標津空港
大館能代空港 あきた北空港
佐賀空港   有明佐賀空港
帯広空港   とかち帯広空港
但馬飛行場  コウノトリ但馬空港
石見空港   萩・石見空港
多良間空港  かりゆす多良間空港
高知空港   高知龍馬空港
松本空港   信州まつもと空港
中部国際空港 セントレア
花巻空港   いわて花巻空港
神戸空港   マリンエア
種子島空港  コスモポート種子島
釧路空港   たんちょう釧路空港
熊本空港   阿蘇くまもと空港
対馬空港   対馬やまねこ空港
静岡空港   富士山静岡空港
徳島飛行場  徳島空港/徳島阿波おどり空港
美保飛行場  米子空港/米子鬼太郎空港
出雲空港   出雲縁結び空港

いやあ、出てくる出てくる。
20以上あるという突っ込みは置いておいて。管理者や関連団体が愛称として売り出し中のもの、空港ターミナルの前面や空港入口などに空港名が記載されているものをとりあえず列挙してみた。

よく使われる通称のある空港を加えると、さらに増える。

成田国際空港 成田空港
関西国際空港 関空/KIX
東京国際空港 羽田空港
大阪国際空港 伊丹空港
新千歳空港  札幌空港
奄美空港   奄美大島空港
喜界空港   喜界島空港
那覇空港   沖縄那覇空港
名古屋飛行場 県営名古屋空港/小牧空港
札幌飛行場  札幌丘珠空港
百里飛行場  茨城空港

新聞記事が言う20空港とはどれを指すのかは良く分からないのだが、五島福江やかりゆす多良間などを取り上げない記事が多い一方、県営名古屋を愛称とする記事もあったり茨城や米子が正式名称なのか微妙な記事もあったりして一定していない。
そもそも一部看板に見られるだけであいさつ言葉とも読めるかりゆす多良間なんて、愛称と言うべきか迷うところではあるのだが、、、。

通称の場合、例えば、那覇空港は沖縄空港、大阪国際空港は伊丹空港と認識している人が多いのか、JAL国内線時刻表やANA時刻表では「沖縄(那覇)」とか「大阪(伊丹)」などと表現されている(SKYは「那覇」、SNAは「沖縄」と表現)。新千歳などは羽田空港の電光掲示には「札幌」としか表示されていないぐらいだ(JALとSKYは札幌(新千歳)、ANAは札幌(千歳)、ADOは札幌)。成田空港などはもともとは新東京国際空港で、民営化を機に成田国際空港と改称したぐらいだから通称は結構重要な存在なのだろうが、こちらも基準はあいまいになっている。

ANAやJALの配布時刻表を見ていると、神戸や種子島のように愛称が付いているにもかかわらず愛称記載がない空港もあったり、逆にとかち帯広や五島福江のように愛称だけしか書かれていないものもあったりとやや面白い。女満別(網走・美幌・北見)といった感じで近隣の都市名を入れることもあったりして、まったくもって一定していない。

それにしてもまあ、びっくりするくらい多くの名前が付いているようだ。

top.jpg
空港入口に「かりゆす多良間空港」と書かれている多良間空港。ネットサーフィンをしていても愛称として紹介されている事例を一度も見たことがないが、一部の店舗紹介などでは「かりゆす多良間空港売店」などと書かれたページがヒットしており、ほんの少しだが浸透はしているようにも思える。ちなみに、館内にも「かりゆす多良間空港」と書かれたものがほんのちょっと見られる。


目的が地域PRから珍しさへ
さて、こんな愛称化戦略。この愛称戦略を考えついたすばらしき空港はここ!とさし示したいのだが、初めて愛称が付いたのは実は良く分からなかった。

先にあげた愛称名は、だいたい命名順に並んでいるのだが、ネットでいろいろ調べては見たものの命名の経緯が分からない空港が複数あったので、前後しているものがあると思われる。愛称付が流行りだという記事があっても、誰もその歴史を調べていないから、YAHOO!の一覧表でも情報欠損が目立った。それほど愛称はいい加減なもののようだ。

ちなみに自分で確認できた中で最も古い愛称付空港は紋別空港ではないかと思われた。紋別空港は旧空港時代から「オホーツク紋別空港」という愛称がつけられていて、旧ターミナルの看板にも掲げられていたぐらいだが、愛称が付いた年月日が分からない。そもそも紋別市が門別町と区別するために様々な施設に「オホーツク紋別」をつけてPRしていて地元の人にとってみれば、これが普通なのかもしれない。随分昔からついている名称のようなのだが、実際のところはよくわからなかった。

初期の愛称は地名を含めたものが多い
初期の愛称は単純に地名を二重に付けたものが多い。これはその名前だけでは場所が想像しにくい地名に多く、著名な観光地などを名称に入れることによってPRするもので、県名以外の空港名の場合に多いようだ。
たとえば中標津空港は日本の最東端都市である「根室」を入れたし、松本は広域の名称である「信州」を入れている。花巻空港は「花巻」では分からないと判断してかそのものずばり県名を愛称で取り付けた。
ただ、複数地名での命名はもっぱら愛称で付けるのが主流になっている。新幹線駅や高速道路のインターなどでは正式名で複数地名を付ける事例が見られるのだが、空港は少数派で大館能代くらいだ。
正式名ではなく、いわゆる通称になるが、大阪府豊中市と兵庫県伊丹市にまたがる大阪国際が伊丹空港、千歳市にある新千歳が札幌と表現されていることもあるように、面積が広く近接して設置されない空港は地名にあまりこだわりのないところが多い印象。正式名やら愛称やら通称やらいろいろあるからますます紛らわしいというのが空港の特徴だった。前出の大館能代にしても、この名では分からないと、開港前にあきた北などと言う愛称が付いたぐらいだから、空港の名前なんてなんとも不思議なものだ。
石見空港に至っては、隣県である山口県の観光地の名称を入れている。石見だと知らなくても萩なら知っている人が多いという判断だろう。萩に行く人が新幹線ではなく飛行機でも近くまで行けることを知って利用すればそれは大きなPR効果だったことになる。

top.jpg
空港入口の看板には「大館能代空港」、ターミナルには「大館能代 あきた北空港」と書かれた大館能代空港。秋田県北部の空港ではあるけれど、大館能代じゃ誰も位置をわからないでしょうか、、、。ちなみに空港売店の紙袋には「あきた北空港」の文字が書かれている。

珍しい愛称が急増中
近年増えてきているのが地名以外のものを入れる例だ。これは、愛称の目的が、広域的なPRという点から、珍しさ重視に変わってきていることを意味しているようにも思える。
こちらはコウノトリ但馬がそのはしり。地域を象徴するものを入れることが多く、偉人名を入れたり(高知龍馬)、行事名を入れたり(徳島阿波おどり)と、地名は知らなくてもイメージがつく名前にして来場を促す効果を狙っているようだ。今年は大河ドラマで坂本龍馬が扱われ、ツアーなどが盛んだが、高知駅に降り立ちました、ではなくて龍馬空港に降り立ちました、と言う方が、マニア的にはうれしい話だろう。
意外だったのは特産品を入れている空港がないことだった。愛称募集をすると必ずといってよいほど上位に入るのに、いまだに命名された試しがない。徳島も愛称募集時に「すだち」などが上位に入っているが最終的には「阿波おどり」(阿波踊りと名産の阿波尾鶏を兼ねている)になった。例えば、パッと浮かぶだけでも、青森りんご、庄内だだちゃ豆、新潟米、茨城納豆、成田らっかせい、松本そば、静岡茶、広島お好み焼き、香川うどん、愛媛みかん、大分カボス、宮崎マンゴー、鹿児島さつまいも、粟国塩などいろいろ付けられそうだが、いずれもPR力にはやや欠けるということなのだろうか。

ただ、米子鬼太郎空港のようにそもそも地域と直接関係ない名称や、出雲縁結び空港のように抽象的な愛称も出てきていて、これはこれで議論が起こりそうな予感がする。単なる珍しさ重視の典型例といった感じで、出雲などは美保が付けたから、対抗上つけただけという感じもする。
良く分からないと言えば、セントレア(すでに地名化!)やマリンエアなどは、調べないと名称の由来すら分からず、こういう珍しさ重視の愛称を持つ空港は、名称によって空港利用者を増やしているかどうかは未知数だ。

tour100711.jpg
美保飛行場に近い境港駅に掲げられていた「米子鬼太郎空港」愛称化決定の横断幕。境港では鬼太郎を使ったまちおこしが進んでいて、今回の命名もそれに合わせたものになった。後方に見えるのは鬼太郎がデザインされた鬼太郎電車だ。美保飛行場を米子空港と呼ぶのも通称だが、それに加えて愛称ができたのだから、どれがどれだかわけがわからない。


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こうしてみてみると、空港の名称というのもいろいろと面白いものが増えてきたなあという印象でした。
「名は体を表す」というぐらいですから愛称化によって空港の印象が大きく変わればよいのですが、最近の愛称化は珍しさだけを狙ったものが多い印象で、実態も同じように空虚な印象を受けるもののように思えてしまいました。だいたいPRのために愛称化したはずなのに、それすらPR道具になっていない場合もあるほど。本当に必要なのは空港に人を呼ぶ方法を考えることなのでは?と素朴な疑問を抱きつつ、今回の旅行記を〆たいと思います。


posted by johokotu at 18:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ◆旅行記 | 更新情報をチェックする
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