■2007.12月 東京国際・福岡・佐賀・長崎・宮崎・鹿児島・枕崎・天草・熊本の旅行後
今回の旅行は、九州を一周する行程で多くの飛行場を訪問しました。
訪れた飛行場にはこの地域にだけ就航する地域航空会社が多数就航していました。
今回はこの地域航空会社を掘り下げます。
沖縄を除く九州七県には定期便を運航する地域航空会社が3社ある。まずはこれらを簡単に見てみる。
オリエンタルエアブリッジ(ORC)
長崎空港を拠点に長崎県の離島を網羅するのがORCだ。
元々長崎航空として設立されたこの航空会社は、長崎空港の旅客ターミナルを運営する長崎空港ビルディングが筆頭株主で、長崎県や県内の会社などが出資しているまさに「長崎の翼」だ。
長崎空港からは福江線、対馬線、壱岐線、鹿児島線が就航。かつては小値賀と上五島にも路線があり、長崎の離島の足となっている。長崎は日本一海岸線が長い県で、多数の離島があり、これらを結ぶ地域交通の要となっているわけだ。
ただ、離島路線を維持するのは大変なようで、小値賀と上五島への乗り入れは2006年に廃止されている。
天草エアライン(AMX)
天草飛行場開港にあわせて設立された新規航空会社。天草市など周辺都市が出資している、いわゆる第三セクター方式の航空会社だ。
天草飛行場を拠点とし、福岡線、熊本線、それに熊本ー松山線を運航している。天草唯一の就航航空会社で、独自路線を展開している。旅行記でも触れているが、天草へは熊本から近いように見えて意外と時間がかかるので、飛行機需要もしっかりあるよう。いわゆる「熊本の翼」と言えるのだが、熊本空港が郊外にあることもあってか、熊本県関係の需要はなかなか取り込めないのか、熊本線より福岡線の方が便数が多いという面白い特徴がある。
弱点は飛行機がたった一機のみである点で、年に数回半月程度にも及ぶ整備運休がある。このため、不安定な運航に見えてしまっている。
日本エアコミューター(JAC)
おそらくは日本一知られていると思われる地域航空会社。日本航空(JAL)グループに属するプロペラ機運航会社だ。
鹿児島空港に本社がある「鹿児島の翼」で、奄美群島でほぼ独占的に路線網を築いている。元々は鹿児島県など周辺自治体と日本エアシステムの出資ではじまった会社で、設立時は奄美空港に本社を構えた。今も奄美の自治体の出資はあるが、JALグループの小型機運航会社として路線展開に完全に組み込まれていて、鹿児島以外の発着路線も多数運航している。伊丹や福岡発着の便も多いため、路線規模はスカイマークや北海道国際航空より大きく、地域航空会社の枠を飛び越えつつある会社となっている。
3社を見ると、いずれの会社も地元自治体が出資し、地元空港を利用しているのが共通した大きな特徴だ。そして離島に飛ばす会社が多い。
離島以外では陸上交通で行き来できるから、小規模都市にある空港へは定期便運航がなかなか成立しない。一方で、離島の足は飛行機が欠かせない存在なのだが、大手では維持できず、地元の協力なしでは運航できない。そんな構図がなんとなく見えてきた気がした。
九州はこれらの定期便を飛ばす地域航空会社に加え、不定期旅客便を運航する会社も結構多い印象があった。大分県央には大分空港との間に貸切便を飛ばす九州航空があると聞くし、鹿児島には離島にチャーター便を飛ばす新日本航空があった。枕崎では、かつて東和航空が屋久島や種子島へ乗合便を飛ばし、エアタクシーと宣伝していたらしい(格納庫がまだある)。
実は、日本全国を見てみると、小さな航空会社は多数あるのだという。だいたい一空港に一社はどこかの航空会社が入居しているのが普通だ。
しかしこれらの会社は撮影用などの事業用がほとんどで、旅客向けは遊覧飛行だけというパターンが多い。定期便運航を扱う会社になるとその数はグッと少なくなり、そのほとんどはJALかANAのグループ会社になってしまう。JACをはじめ、北海道の北海道エアシステム、沖縄の日本トランスオーシャン航空や琉球エアーコミューターはJAL系列。ANAも系列子会社のエアーニッポンが伊豆諸島や長崎、沖縄の離島、エアーニッポンネットワークが北海道の輸送を担っている。
ドル箱と言われる羽田線を持たない独立系で定期便を運航するのはORCとAMXぐらいで、九州は定期便運航しやすい土壌があるようだ。
全利用者の過半数が羽田利用という日本では、地域航空会社があること自体に新鮮な印象を持つ人が意外と多いのではないか?
知名度は低くくても、地域の足としてなくてはならない存在に少し関心が向いた気がした。
今回の旅は、日本に小さな航空会社が多数あることを実感した旅になりました。
大手では運航できない航空路を維持していくためにも、これら小さな航空会社が知られることが重要なのだろうと認識。小さな航空会社で離島の旅をしてみたいなあとフワフワ思い始めたたところで今回の旅を〆たいと思います。