2011年05月30日

北海道へ弾丸旅行(旅行後)

※この旅行記は2011年9月にアップした2011年5月の旅行記です。



■2011.5月 東京国際・新千歳・千歳・帯広・札幌の旅行後

今回の旅では空港に分類されない離着陸場や滑空場を多数回りました。北海道はこれら小さなものを含めた飛行場の密集度が全国トップレベルにあります。今回は北海道の小さな飛行場を探ります。




飛行場密集地帯の空知地区
旭川から札幌にかけての地区は滑空場など小さな飛行場の密集地帯となっている。これらの飛行場は空港ではなく、場外離着陸場と分類されている。これまでに訪ねたものを含めると、旭川から札幌にかけては、北から愛別飛行場、当麻滑空場、美瑛滑空場、深川市グライダー滑空場、あかびら場外離着陸場、たきかわスカイパーク、中空知地区農道離着陸場、新篠津滑空場、南幌場外離着陸場などがある。
スカイスポーツの盛んな北海道で中規模都市が連なり、かつ石狩川などの河川敷が広く分布しているためたくさんの飛行場があるようなのだが、あまりにもたくさんありすぎ。
いわゆるハコモノの代表格として「あん町がやったならオラが町も」と、どこの町も競うように建設したのか、町毎に持っている無駄な事態となっている。この地域は冬場は雪に埋もれるため、離着陸場の開設期間は夏場限定のところがほとんど。5月位〜10月位がシーズンで一年の半分しか活用しないオマケ付で存在している。

この地域にある場外離着陸場を見ると実に様々な種類のものが密集している。代表格である農道離着陸場はひとつ美唄に存在。本格的な民間飛行場も上川地区になるが空知地区から程近い愛別にある。自衛隊基地も数か所点在しており、離着陸場がある美唄と滝川にはすぐそばに自衛隊が駐屯しているといった具合だ。
全国を見渡すと、戦争中に多くの飛行場が造られ、跡地などが密集する場所は見られるものの、現役飛行場がここまで密集する地帯はなかなかないだろう(米軍基地が集まる沖縄本島くらい?)。


皆で楽しめる滝川
空知地区にある大小様々な場外離着陸場の中で、最も目立つ活躍を見せるのが、滝川スカイパークだろう。駅チカでミュージアムもあって子供も大人も楽しめるスポットになっている。
その楽しめる一例が遊覧飛行だ。他の空港だとお堅い感じの事務所で手続きすることが多いのだが、滝川ではミュージアム入口のカフェのレジで申し込み。とっても手軽な印象だ。
見学に行ったときもフラリとやって来た親子連れがその場で申し込みをして、すぐに滑空機の練習に使っていたプロペラ小型機を使い遊覧飛行に飛び立っていった。
日本広しと言えども、こんなに気軽に遊覧飛行ができるところはなかなかない。関東だとホンダエアポートがよく似た雰囲気だが、駅チカ、気軽、というところは決してマネできないだろう。
そんなホットなスポットである滝川スカイパーク。一見成功しているように見えるのだが、ここも維持に市から毎年億単位のお金がつぎこまれているのだそうだ。


やっぱりイベント会場化?
滝川でもそんなだから、空知の離着陸場群でも成功している例は少なく、閑散としたところが目立つ。レジャー利用が増えるはずの日曜に訪れたにもかかわらず、今回訪ねた離着陸場のうち、人が乗る機体が飛んでいたのは滝川(小型機)と新篠津(滑空機)だけだった。
他地方の飛行場同様にイベントに力を入れるところもあり、美唄の農道離着陸場ではよさこいの練習に使われていたのだが、イベントに使っているならまだマシな方。赤平ではラジコン飛行機を飛ばしている人がいたものの、管理者なんて見当たらないから勝手に使っている印象。南幌にいたっては公園の一角に滑走路があると案内板に書かれているのに、草ボーボーの空き地が広がっているような状況だった。

なかなか有効な利活用がされていないこれらの離着陸場。利活用が低調な原因に、あまり知られていないことが挙げられる。
だいたい空港見学を目的にまわっていても気が付かない離着陸場があるんだから、ヒドイ話。監督省庁に届け出はしてるから、公告などを片っ端から探して見れば把握はできるはずだが、そんなことする人がいるわけない。国交省のサイトに掲載がある空港のように一覧もないので、どこにあるのかも知られず、遊覧飛行や旅客便が飛んでいるのかどうかも分からない状態なのだ。
結果、航空や離着陸場を職業にしているか、自分で操縦する人、あるいは地元民でなければ、存在自体知られることがほとんどなく、滑走路ができても有効な利活用ができないままになってしまうようなのだ。

多くの離着陸場は自治体が造っているのだが、使う人なんてそんなにいないから、利用者が特定の団体に偏る弊害もみられる。○○航空協会みたいなところが我がもの顔で使っているところも多く、旅客向けに飛行機が飛んでるところは少ないから、いつのまにかただの滑空練習場と化してしまう。
仲間内だけで盛り上がっているところもあって、これまで訪問した離着陸場の中にはなんだか近寄りがたい場所もあった(話してみるとウエルカムなところは多いんだけど、話するまでが大変なんだよね〜)。
例えて言ってみれば官営自動車教習場みたいな感じで、お祭りイベントで人が集まることはあるものの、普段は特定の人々が出入りするだけ。こうなるともう一般人には遠く遠く離れた存在になってしまう。


一般人が気軽に利用できるには?
旅客便が飛べばまだ状況が違うかもしれないのだが、これら小さな離着陸場は旅客輸送が事業としてなかなかなりたたないのが実状だ。その主な原因は、高速交通網の発達によるところが大きい。
バブルな頃までは、代替交通がそんなに発達していなかったから、近距離でもそれなりの潜在需要が見込めたのだが、ここ20年ほどは高速交通網がかなり発達、近距離なら車移動となる例が増えた。北海道でも相次いで高速道路が整備されており、その流れは止まっていない。
小さな離着陸場は滑走路が短いから飛べる距離も限られてくるし、飛行機自体も小さいから運べる荷物も少ない。車で行ける距離ならわざわざ飛行機を選ぶ理由は見当たらないというわけだ。
例えば滝川の場合だと、飛んでいける先はせいぜい道内のみ。滝川からなら函館方面を除き高速道路を利用すればせいぜい三時間もあれば行けてしまう場所ばかりで、家から飛行場までの所要時間や飛ぶまでの手続時間などを考えれば、自分で車を飛ばすほうが良いとなる。(ちなみに滝川スカイパークに掲げられていた地図には函館や稚内、中標津などは飛行先としては完全に圏外になっている。)

飛行機が活路を見いだすとすれば、新千歳で乗り継ぎ客を取り込むことなどがありそうだが、スカイマークの新千歳-旭川が5000円台で運航されているにも関わらず定着に時間がかかっていることなどを見ると、事業として成功するまでのハードルは高そうだ。
旅客便がなく、そもそも離着陸場の存在が知られていない。当然、一般人は使わなくなる。結局ただの滑空練習場になるほかない。いつまでたってもこの悪循環が止まらない。
しかも、昨今はテロ対策もあり、旅客便を飛ばすなら保安設備の充実が必要になってきており、旅客便就航へのハードルはさらに高くなってしまった。

ただ小さな飛行場のメリットはその小ささにある。滝川のように市民の憩いの場になっているところもあり、一般人が気軽に利用できる土壌が整えば、100以上ある日本の飛行場をもっともっと活用していけるところはありそうだ。




今回の旅は、日本が実は離着陸場大国であることを実感する旅となりました。
はっきり言うと、税金の無駄遣いのようなところばかりですが、何かうまく利活用を図っていくことが重要なのではないかなあと思いつつ、今回の旅を〆ようと思います。


posted by johokotu at 18:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ◆旅行記 | 更新情報をチェックする
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