※この旅行記は2011年12月にアップした旅行記です。
■2008年8月 名古屋・秋田・大館能代・花巻・東京国際の旅行後
今回の旅では平成生まれの空港として大館能代空港を訪問しました。今回はそんな平成生まれの新しい空港を利用状況を中心にほんの少しだけ探ります。
■平成生まれは全部で22空港
まずは平成生まれの空港を列挙してみる。
紋別 平成11年11月11日
大館能代 平成10年7月18日
庄内 平成3年10月1日
福島 平成5年3月20日
神津島 平成4年7月1日
能登 平成15年7月7日
中部国際(中部) 平成17年2月17日
関西国際(関空) 平成6年9月4日
神戸 平成18年2月16日
但馬 平成6年5月18日
石見 平成5年7月2日
広島 平成5年10月29日
高松 平成元年12月16日
北九州 平成18年3月16日
佐賀 平成10年7月28日
天草 平成12年3月23日
大分県央 平成9年8月14日
枕崎 平成3年1月21日
種子島 平成18年3月16日
慶良間 平成6年11月10日
南大東 平成9年7月20日
多良間 平成15年10月10日
平成になって20年。98空港のうち実に22空港が平成生まれだった。
■移転空港が結構多い
先に挙げた空港をよく見てみると、移転で新たに開港したケースが結構多いことに気が付く。
該当する空港は、紋別、高松、北九州、種子島、南大東、多良間の6空港。これらは、実は旧空港からの移転で新しい場所に出来ただけという空港で、全便が旧空港から移転している。実質的には新設空港とは言えなさそうだ。
さらに中部と関空、広島は既存空港から多くの便を移転して出来た新設空港となっている。こちらは移転元の空港がまだ残っているものの、それまでの利用者をある程度引き継いでいる点で、移転空港と似たようなものになっている。純粋な新設とは少々異なると言える存在だ。
■不便な平成生まれ
となると、純粋な平成新設空港は、残りの13空港、ということになる。
これらの空港は、列挙してみると、あまり聞いたことがないような空港が多い印象がある。出来て間もないから知らない人が多いのは仕方がないのだが、それにしても知名度も人気もいまひとつの空港ばかりだ。
よくよく調べてみると、これらの空港は、そのほとんどが利用者数や便数の少なさに悩まされていた。
各空港に運航されている路線を詳しく見てみる。
大館能代、庄内、石見、佐賀、天草は2路線あるがいずれも総便数は5便以下。能登、但馬は1路線のみでいずれも総便数は2便しかない。いずれの空港も国際線は未就航で、大分県央、枕崎、慶良間の各空港は定期便すら飛んでいなかった。はっきり言うと使いづらい空港ばかりなのだ。
便が少ない最大の原因として、1県で2空港目の整備である点があげられるだろう。平成生まれの空港のうち便数が少ないところは、ほとんどがその県で2個目の空港で、元々ある空港がその県のメイン空港になっている。(庄内は山形、石見は出雲、天草は熊本、大館能代は秋田、能登は小松、大分県央は大分、枕崎は鹿児島が、それぞれ元からあるメイン空港)
このため、これらの空港は県庁所在地から離れているために元々需要が期待できないばかりか、ただでさえも少ない同一県内の旅客が分散してしまうため、なかなか利用者獲得に結び付いていないようなのだ。しかもすでにメイン側の空港があるから、知名度の低い地名が付いて、そもそも知られないという事態になっている。便数が少なく不便だから、観光需要などの新しい需要もあまり創出できておらず、数々の問題を抱えてしまっていた。
よく能登が成功事例として引き合いに出されることが多い。だが、この空港も羽田路線のみが1日2往復運航しているだけで、旅客用の空港としてはまだまだ貧弱な存在だ。航空旅客の新しい需要が創出できていると言っても、仮に搭乗率100%だとしても年間利用者数は24万人程度(166席×4便×365日)にしかならず、需要喚起になっているかどうかもよく分からない。約50路線と結ばれている羽田が年間6000万人の利用だから単純計算では年間120万人は利用していても全然おかしくないはず。同じ石川県内には小松空港があるのだが、軍民共用で運航上の制約が多い小松の方が便数も輸送量も断然多くて利便性も高くなっている(年間利用者数は2006年度で約246万人)。
利用者が少ない平成生まれの空港は、それゆえに減便され、さらに利用者が少なくなる負のスパイラルに陥る危険もある。佐賀はすでに開港時就航していた日本エアシステム(現・日本航空)が撤退。石見や紋別は、航空会社が欲しがる羽田枠を活用したから就航したようなもので、ほとんど利用がない。
平成生まれは、羽田枠や地元自治体の積極的な誘致策がなければ路線をつなぎとめるのも大変そうな空港ばかりな感じだった。
これらの空港は造りすぎと言えば確かに造りすぎなのだが、とにかく立地が既存空港に比べて悪すぎる場所ばかりなので、より利用者が少ないことが目立ってしまう原因になっているようにも見える。
■健闘中の空港も、、、
そんな中で比較的健闘している平成生まれの空港として、福島と神戸がある。福島は国際線もあり国内線は2路線7往復、神戸は国際線はないものの30往復近くが飛んでいる。
しかし、調べてみるとこれらの空港も評判は必ずしも芳しくないのが実状だった。
便数だけ見ると、これらの空港はなんとか便数を確保しているように見えるのだが、実際にはフル活用には程遠い状態であるため、評判が良くないようなのだ。
福島は県内初の空港としてオープンした。県の代表空港として県内の需要を簡単に取り込めそうに見えるのだが、東北地方を代表する大空港の仙台に近く、県内需要はそちらに流れたままになっている。だいたい大空港が近くにありながら、それらと同等かそれ以上にアクセスが不便であるなど、そもそもの立地条件が最悪な空港で、そう簡単には需要喚起に結び付かなかったようなのだ。大空港と比べられ、便数が少ない、行きにくいといったイメージが先行してしまっている残念な事例のひとつでもある。
唯一優等生と言えそうな神戸も、便利な立地なのだが、関西国際や大阪国際との関係から運航本数が30便以下になるよう制限されていて、大都市圏を後背地に持ちながら便数が少ない。30分に1本羽田便が飛ぶ伊丹にはまったく太刀打ちできない状態で、比較されると不便と言われてしまう。まさに宝の持ち腐れ状態となっていた。
こうやって調べてみると、大館能代みたいな平成生まれの空港はいっぱいあり、そのほとんどが閑散空港、というさびしい現実があった。
訪れていない空港はたくさんあり、どうも淋しい空港はまだまだ出てくる模様。これから訪れるであろうたくさんの空港が、より多くの人に利用されることを期待しつつ話をしめたいと思います。
2008年08月25日
この記事へのトラックバック
>山形県民さん
より多くの便数(頻度)でより多くの場所へ飛んでいけるというのが理想ではありますが、なかなかそうもいかないのが日本の航空事情のようです。
平成生まれの空港は昭和生まれのものよりも便数、路線ともに少ない空港が多いという印象でした。
より多くの人に利用されることを期待したいところです。
それでは失礼します。