※この旅行記は2012年12月にアップした旅行記です。
■2012年11月 三宅島の旅行後
今回訪れた三宅島空港は、平成20年には訪問を計画し、何度も行く予定にしていました。ところが毎回欠航で訪問できず、4年の月日が経過。結局、今回船での強行訪問になってしまいました。
全然飛ばない三宅島便。巷では就航率三割と言われていますが、飛びやすい日が分かれば、訪問まで4年もかからなかったはず。今回は三宅島便の飛びやすい日を探ってみます。
三宅島便就航の傾向と対策
受験勉強ではないのだが、とりあえず傾向と対策を、、、。
とにかく欠航が多すぎる三宅島。やっと到達したターミナル内には、運航判断基準なる看板が掲げられていた。
その内容は二点で、
1.坪田地区・坪田高濃度地区に火山ガスが観測されていないこと。
2.飛行経路及び空港に火山ガスが流れる予報がないこと。
だった。
この基準によれば、西風時に運航できないことは容易に想像がつく。だが、この基準は、羽田空港には掲げられていないし、ANAの公式サイトはおろか、三宅村や三宅島観光協会のサイトにも載っていない。1は当然としても、2があることは現地に行くまで知ることができなかった。
自分は4年間、空港現地の運航時間帯の実際のガス濃度が高いか低いかだけで運航が決まるのだと思っていた。ANAのサイトにも「運航の可否は、当日の火山ガス観測を含めた気象観測実施後決定します。」(念のため強調すると「予報」とは一切書かれていない)としか書かれておらず、現場の火山ガス噴出量や濃度だけが判断基準だと思いこんでいたのだ。
当日の火山ガス噴出量やガス濃度が相手ではなかなか予想が難しい。当然ながら運航可否はギリギリまで決められないものだと思っていた。
ところが、2.の基準を元にすれば、空港区域の火山ガス濃度が高くなる可能性があると予報が出ただけでも運航はできないということになる。
風向きが西向きのときは、雄山で出た火山ガスは東へ流れる。火山ガスの噴出量に関係なく、東側にある空港区域にはガス濃度が高くなる予報が出る。空港現地の実際のガス濃度が高いか低いかはまったく関係なく、西風時ははじめから飛べるものではなかったのだ。
このことが分かれば、飛ばない可能性が高い日は、西向きの風のときとすぐに分かる。飛ぶ日を予想はできなくても、ほぼ確実に飛ばない日は分かるのだから、飛ぶか飛ばないかギリギリまで気をもんだり、そもそも羽田まで行って運航可否を確認したりする必要がある日はぐんと減っていたはずだ。
実は三宅島便の欠航に風向きが大きく関係しているのではないか、という疑いは、別の事例で薄々感じてはいた。
それは平成23年1月に霧島の新燃岳が噴火したときだった。新燃岳は宮崎空港よりも鹿児島空港の方が近いのに、噴火当時、鹿児島は平常なのに宮崎の欠航が相次いでいた。当時は冬で西風の日が多く、「西風が強いので東側広範囲で降灰」との報道も頻繁に流れていた。三宅島も似たような話なのかとなんとなく感じたのだ。桜島の降灰に慣れている鹿児島人なら当たり前かもしれないけれど、東京人にはこの単純なことが分からなかった。
それ以後、風向きと欠航の関係を気にし始め、平成23年の春頃には西向きの風のときに欠航が多いことに気がついた。このことが確信に変わったのは、旅行前でも書いたとおり、今夏に地元の民宿から西風時は飛ばないと言われたときだった。
西向きの風の時にはほとんど飛ばないことが分かってから、運航可否の予測は簡単だった。気象庁の予報で西向きの風のときは運休するのだから、東向きの風のときのみを狙えばよい。
飛びもしない飛行機を待ちに無駄に羽田に行く回数が減ったうえ、欠航が予想される日に事前に別の予定を入れやすくなった。
東風=天気が悪い
東風の日を狙えば良いことが分かったのだが、実はこの東風は三宅島ではちょっと曲者だった。
日本上空は偏西風が吹いているから、結構な日数、西寄りの風が吹いている。三宅島も例外ではなく、西寄りの風が多いから島東部の坪田が高濃度地区になっているのだし、船の港が三池港のことが多くなっている。つまり、東寄りの風の日はあまり多くない。
風が東寄りになるときは、気圧に変化が見られるときが多い。気圧が変化するのは前線が通過したりするときで、つまり天気が悪くなるときだ。
このため、東風のときは、火山ガスによる欠航は回避できても、強風や視界不良での欠航可能性があがってくる。三宅島空港は滑走路が南北方向に延びていて、東西方向の風に弱い。特に海から直接風がくる東風のときは強風の欠航が増えてしまうのだ。
今回はまさにこれに当たって視界不良欠航になってしまった。
となると、運航に最も適しているのは、北東か南東の風になる。
季節風は、太平洋気団が強い夏場は南東、シベリア気団が強い冬場は北西のことが多いから、夏の就航率が高い傾向もあるよう。
夏場に晴れている南東の風の日を狙う。
これが三宅島便に乗れる確率が最も高まる条件だった。
ちなみに、運航するかしないか事前に予測したいときは、以下のサイトを参考にしてみると良いだろう。
気象庁三宅島火山防災連絡事務所
http://www.seisvol.kishou.go.jp/tokyo/rovdm/Miyakejima_rovdm/Miyakejima_rovdm.html
毎日7時と17時に火山ガス予報を出している。7時の予報で三池・沖ヶ平地区、あるいは坪田地区に予報が出ていれば運航はほぼアウトだ。
気象庁
http://www.jma.go.jp/jma/index.html
気象庁では2日前から各地方の予報(天気、波、風)を出しているので、最新の予報はここでチェックできる。
Windfinder
http://www.windfinder.com/
風予報を出しているサイト。1週間前から1時間ごとの風予報を出すので、早めに風向きを予想できる。風速が10mを越えると強風欠航の可能性が高まるが、ここのサイトの風速はやや大きめに書かれていると感じる。
三宅島観光協会
http://www.miyakejima.gr.jp/
ブログで毎日の運航情報を出している。当日はここで確認。
座席指定をすばやく
さて、三宅島便が飛びにくい日が分かったところで、座席指定の注意点を。
就航率が悪く飛ぶか飛ばないか微妙なこともあって、三宅島便は搭乗率もあまり良くない。だいたい三割〜四割程度だそうだ(就航率が高い大島便と同程度の搭乗率、、、)。
しかし、「この程度の混雑率ならスキスキ運航で楽に好きな座席に座れる!」と油断しないほうがいい。
この便は、上りと下りで混雑率が大きく異なるのが大きな特徴で、羽田発は全然搭乗客がいないのに、三宅島発は満席近いことが多いという。
この現象は船のダイヤが大きく関係している。
三宅島の船は、竹芝22時過ぎ→三宅島5時、三宅島14時過ぎ→竹芝20時で運航している。飛行機は羽田12時前→三宅島12時過ぎ、三宅島13時過ぎ→羽田14時前だ。
東京発は、飛行機を欠航で逃すと、船に切り替えたとしても三宅島到着が翌朝になってしまう。そこで、できれば飛行機がいい、という人も、はじめから船にしてしまうことが多いようだ。
一方、三宅島発は、飛行機を欠航で逃した場合、すぐあとの船に切り替えが可能で、その日中に東京に着ける。とりあえず飛行機を予約しておいて、飛ばなきゃ船へという人が多いのだ。
当然三宅島発は飛んだら激混みというわけ。
となると、問題になるのが座席指定。
2日目でも書いたとおり、三宅島便は離島路線のため事前の座席指定はできないのだが、当日になると指定ができるので、できるだけ早く指定を済ませたい。運航に使用されるボンバルディアDHC8‐Q300は窓側席でも翼(エンジン)がかかってしまう席が意外と多い。すぐに前後の窓側は埋まるので、座りたい席があるなら、0時を過ぎたら即指定したい。
三宅島空港の注意点
最後に、三宅島空港の注意点。
三宅島空港のターミナルは暫定ということもあって、必要最低限の施設しか用意されていない。
まず、売店がない。おみやげなどは島内の商店で購入しておきたいし、携行が義務付けられているガスマスクも購入できないので注意が必要だ。羽田から来る場合、火山ガス濃度が高い時は運休となるので、着陸後すぐにガスマスクが必要という事態にはならないにしても、島に着いてからマスクを手に入れるまで時間がかかるので、持っていないなら羽田で購入しておきたい。
また、一般トイレは保安検査場外のみの設置。搭乗待合室内に多目的トイレはあるにはあるものの、1か所なので、金属探知機をくぐる前にトイレは済ませておいたほうが無難だろう。
成田空港にエアアジア・ジャパンが就航した時、搭乗待合室にトイレも売店もない!とマスコミが大騒ぎしてたけど、それと同じような状態になっているのだ(離島の空港はだいたいこんな感じだから、マスコミが大騒ぎしている意味が分からないのだけど、、、)。
火山の島三宅島。飛行機を利用する際は、事前にしっかり準備したい。
火山の自然景観が豊かな三宅島。一日、二日ちょっと観光するだけなら、火山ガスの影響はあまり受けずに済む印象でした(半日滞在でガスマスクは使用せず)。
なかなか行きづらい印象がある島かもしれませんが、羽田から一時間もかからず行けるとても身近な離島です。
飛行機が飛びやすい日をうまく狙ってぜひ訪ねてみてはいかがでしょうか。
そんなこんなで最後の空港訪問記を〆たいと思います。
2012年11月25日
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