2012年11月19日

そうだ那覇行こう(旅行後)

※この旅行記は2013年1月にアップした旅行記です。



■2012年11月 成田国際・那覇の旅行後
今回の旅ではエアアジア・ジャパン(WAJ)とジェットスター・ジャパン(JJP)の2社に搭乗しました。9月に乗ったPeach Aviation(APJ)とあわせると、今年誕生した3つの国内LCCすべてに搭乗したことになります。
同じLCCというくくりでも、3社のサービスは色々なところで違いが。今回は乗り比べて分かった各社の違いをクローズアップします。


予約方法
まずは予約方法から。
各社ともネット予約がベースになっているが、意外と貧弱な印象だった。

携帯サイトはJJPだけしか開設していなかった。国内では既存大手も携帯サイトは開設しており、携帯で予約状況を確認できないのは大きなマイナス点だろう。
携帯サイトを開設しているJJPも、パソコンサイトからアクセスすると、なぜか携帯メールでのやり取りを拒否されてしまう。予約時、連絡先としてメアドを入力するのだが、JJPだけはPCのみに限定されていたのだ(携帯サイトから予約すると携帯メールでOKの模様)。JJPはメールのレスポンスも遅く、予約内容を記したメールが届いたのは予約数時間後。気軽に搭乗できる会社ではなかった。

予約完了メールは、APJは予約番号とバーコードを記した確認票、JJPとWAJは搭乗券が送られてきた。当日は印刷して持っていくことを忘れずに。JJPとWAJは預ける荷物がなければ自分で印刷した搭乗券でスルーチェックインが可能だ。
WAJはバーコード読取り機械がなく、紙にスタンプを押されるので、紙媒体の搭乗券がないと搭乗できない。必ず自分で印刷したものか空港の自動機での発券を忘れないようにしたい。


基本運賃
予約時の一番の注目点はやはり運賃だろう。
運賃は各社とも総じて安いが、同じ搭乗便でも予約時刻が違うと値段が違うので注意が必要だ。安い安いと言われているものの、繁忙期や土・日・祝日は値段が高いことが多いようだ(初の年末は片道3万円近い値段も出回っていた)。

大手は時刻表などで普通運賃が提示されているが、LCCはどれが普通運賃でどれが割安運賃か分かりにくい(というより、普通運賃が日や便により変動する)ので、正直適性価格かどうかは不明だ。だいたい、同じ路線でもどの便が一番安いかは、その都度ネットで検索をかけるしか確認の方法がない。同じ便でも予約後にキャンペーンがはじまり、より格安の運賃が出ることもあるぐらいなのだ。大手のように横並び運賃ではないので、安い値段はとにかく探さないと見つからない。

そんな運賃の傾向だが、3社を比較すると、単発の激安キャンペーンを除くと、WAJが最安のことが多い印象がある。JJPは最低価格保証をしているが、ネットで示される運賃は他社より高いことが結構多い。しかも最低価格保証利用は電話予約で面倒臭い。APJは競合が少ないせいか価格がやや高いイメージがあるが、長崎や鹿児島の地方路線もあるので、平均的に格安を提供している印象だった。
ちなみに、今回利用した11月17日の那覇線を見ると、距離が長い成田発着のJJPやWAJの方が関空発着のAPJより安かった。LCCだとそんなことはしばしば起きていて、運賃は距離ではなく、あくまでも他社競合と利用者数で決まるようだ。

追加料金
追加料金も設定は各社バラバラ。これも細かくチェックすべきだ。
たとえば、座席指定料はAPJが210〜1050円、JJPが250〜1300円、WAJが300〜1200円、手荷物受託料はAPJが1050〜2100円、JJPが1000〜4700円、WAJが799〜3599円などと値段が違う。

APJは同じ手続きをネット、電話、カウンタで値段分けしており、手荷物は個数制になっている。JJPとWAJは受託手荷物の追加料金が重さで細かく分かれている。

複数の追加サービスがセットになった料金(たとえばAPJのハッピーピーチプラス)もあるが、いらないサービスを除くと基本料金にサービスを追加した方が安いこともある。追加料金単価は各社ともあらかじめ定額で設定されているので、事前によく調べて、どちらが安いか比較すべきだろう。

APJ、JJP、WAJの3社は基本料金の記載に空港利用料や支払手数料は含まれていない。基本料金がぱっと見安くても手数料等が加わると結局高くなるなんてこともある。この点、既存社は座席指定も空港利用料も全部コミコミの総額表示だから、基本料金はLCCが安く表示されていても、大幅な対抗値下げをしている既存社が最安値ということも起こっている。

追加料金の中で利用したいと思う客が一番多いと思われる手荷物預けは各社とも追加料金が必要となる。このため、LCCでは手荷物を預ける人が少ないそうだ。手荷物の追加料金は、大手でも一定サイズ以上はかかるから、あまり大差はないことなのだけれど、無料の範囲が広いから格好の比較対象になりやすい。クロネコや飛脚に宅配を頼むのと同じと考えれば、たいした問題でないことはすぐ分かるのだが、これまでの大手が追加なしだったから、なかなか理解はしてもらえないようだ。
一方で各社とも荷物+体重の総重量に対する追加料金はないまま。体重が重い人のほうが、飛行機を飛ばす燃料消費量に対するお得感が高いのは大手と同じだった。

空港カウンタ
空港は、新千歳と福岡は3社とも大手同様にカウンタを設け、搭乗橋も使用しているが、成田、関空、那覇は3社に違いが出ている。

成田はWAJは専用出発施設を利用。JJPは出発カウンタは専用だが、待合室などはJALやSKYと共同使用している。
一方の到着はJJPとWAJは両社用の到着施設だ。これらの施設、LCC用に簡素に造ったと思われがちだが、JALとSKYが使うものと大差はない。成田はもともとの国内線施設が小さいから、大手との差はあまり感じられない印象だ。

関空はJJPは大手と同じ。APJはLCC向けの専用ターミナル(第2ターミナルビル)を使用している。JJPが利用する第1ターミナルビルなら駅直結だが、第2は専用バスに10分ほど乗らねばならず、アクセスがやや面倒くさい。しかし、第2も最低限の店舗が揃っているし、地上搭乗の動線がよく考えられていて、使い勝手に大差はない。

那覇はJJPは大手と同じ。APJとWAJはLCC専用ターミナル使用だ。LCCターミナルは専用の連絡バスでないとアクセスが出来ない上、売店も少ない。那覇の特権でもある免税店利用も出来ず、サービスレベルに大きな差が出ている。

こうしてみると、空港サービスについてはJJPのみ大手と遜色ないレベルを維持していて、利用しやすいだろう。

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3社のカウンタが並ぶ福岡空港の様子。LCCはカウンタ位置が分かりにくい位置にあることが多いので注意が必要。

チェックイン
チェックインは各社とも自動機での手続きが基本。カウンタでの手続きには追加料金がかかる。自動機だって維持費はかかるから、カウンタ手続きとたいして変わんないだろうし、結局分かんない人は係員に操作方法を聞くから人を付けざるをえなくなる。ナンセンスといえばナンセンスな追加料金だろう。おかげでマスコミからは強い驚きをもって伝えられ、慣れない人は不安がる。
だが、実は各社とも操作自体は単純だ。事前にバーコードを印刷していれば、それをかざしてOKボタンを押すだけ。鉄道の自販機のほうがよっぽど難しいくらいなのだ。

三社の中でも特にLCCらしさが出ているのはJJPとWAJで、この二社は自宅で搭乗券を印刷してもっていけば、スルーチェックインが可能となっている。これまた驚きとともに伝えられることが多いが、あらかじめパスモに入金し、券売機に寄らずに自動改札を通る電車の乗り方とたいして変わらない。カウンタの長い列に並ばなくて済むことを考えれば、こんな合理的なことはないだろう。
逆にAPJは発券機での発券が必要。こちらはバーコードか予約番号を入力して発券する。ちなみに関空で見学していたとき、遅刻しそうな友人に代わり電話でやりとりして手続締切直前に発券していた人がいた。搭乗券の印刷を忘れても番号さえ分かればなんとかなるし、これはこれで日本人にはお馴染みの方法かもしれない(WAJもJJPも発券機での発券は可能です=そうしないと自宅で印刷できない人は搭乗できなくなってしまうので、、、)。

機材
機材は3社とも同じエアバス320、しかも同じ180席仕様なので差が無い。
狭いと言われるシートピッチは、自分の場合はあまり気にならなかったが、足を組むのはちょっときつかった。大柄な方には足元の広いシートをあらかじめ有料指定することをお勧めしたい。

シートは各社異なるものを採用しており、ポケットに持ち込んだ小物を置く方法は別々になっている。JJPはテーブル収納部上にプラスチックで出来た細長いポケットがあるだけで、冊子以外は入れにくい。WAJはテーブル収納部下にポケットがあるが口があまり開かない。APJは、WAJと同じテーブル収納部下にあるものの、挟む形のポケットで、脇に出来る隙間から物が落ちてしまうものだった。

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3社のシート比較。左からAPJ、JJP、WAJ。

機内サービス
機内誌は、JJPの圧勝。JJPのみ日本語の機内誌が搭載されており、俳優を表紙に採用するなど、大手並みのレベルが確保されていた。WAJは分厚いが全編英語。APJは機内誌はなかった。

機内販売はネットでも検索はできるので、参考にしてほしいが、各社とも独自商品が充実している。
機内食は各社とも当日販売もあるが、WAJは前日予約が基本。JJPも事前受付をしている。
各社とも食べ物はオリジナル商品だが、WAJは市販の菓子も販売。飲料は市販のものが売られており、各社とも350ml級ソフトドリンクが200円程度。アルコールは各社とも販売しているが、JJPは缶飲料のみ。APJは日本酒、WAJはワインも販売されている。
WAJは、機内販売かエアアジア・カフェでの購入品(成田のみ)以外の飲食物は持ち込み不可なので、飲食したければ買うしかないが、ペットボトル飲料はエアアジア・カフェなら150円なので、そちらの利用をお薦めしたい。
ちなみにWAJは朝便だったこともあり、スッチーが丸見えのギャレーで機内食を食べていて、おいしそうな匂いがプンプンしていた(眠気には勝てなかったけど)。

フイルムカメラの使用
フイルムカメラの使用は対応が分かれた。
JJPは迷うことなく常時使用OK。
WAJは一度使用を止められたが、それは対応したスッチーの勘違いだったようで、すぐにチーフに確認し常時使用OKになった。
APJはおそらくはスッチーの勘違いと思うが、使用を禁止された。

スッチーの対応
ということで、スッチーの対応も三者三様だった。最も声掛けをしていたのはJJPで、知識もJJPが一番。お堅いJALに近く、最も客扱いに慣れていた印象だった。
WAJはカーテンをひくのも面倒らしく、ギャレーが丸見えだった。

各社とも共通していたのは、シートベルト着用の遵守がやや緩かったことで、ランプ点灯後もなかなか着席しようとしなかった。

座席の割り振り
座席指定は各社とも別料金がかかる。
指定をしなかった場合、自動で席が割り振られるが、この配置も各社でやり方が違う。最も驚いたのはAPJで、中央翼付近に極端に集中させていた。JJP、WAJは真ん中席は後回しで、窓側と通路側を先に埋めていく割り振りの印象だった。
割り振りについては予約数に応じてやり方が異なるだろうが、真ん中席や3人横並びが嫌いなら座席指定をした方が快適な可能性が高い。

降機・搭乗時間短縮のため海外LCCや石垣空港では当たり前の前後搭乗は、搭乗率が高いごくごく限られた場合のみ実施されているようで、各社ともあまり頻繁ではない模様。各社とも前方座席のみ高い追加料金を設定しているほどだ。
新千歳、成田国際(JJPのみ)、関西国際(JJPのみ)、福岡、那覇(JJPのみ)の各空港は搭乗橋に着く場合があるので、この場合は前からしか搭乗・降機ができない(上記空港でも地上搭乗の時はある)。

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3社の機内比較。シートの色で全く雰囲気が違う。左からAPJ、JJP、WAJ。座席の割り振りも注目!

安全
安全は、正直ぱっと見ではどこが良く、どこが悪いかは差が無い。各社とも基準は国交省の示すものを守っているはずなので、差は出ないはずなのだが、こればかりはよく分からないことだ。
目に見える範囲だと、各社とも安全の案内はきちんと座席にしまってあるし、離陸時に救命動衣のデモもやっている。普段テレビに放映して済ませているせいで、テレビ故障時に久しぶりにデモをしたら、全然うまくできず、客が不安になる某航空会社よりはまだましだろう。
ただ、シートベルト着用サインが出てから、乗務員が着席するまでは各社とも長かった。

遅延
ちょうど国交省から平成24年度上期の遅延率が出ていた(→航空輸送サービスに係る情報公開(平成24年度第2回))。

これを見ると、遅延はWAJの惨敗だ。
就航から2か月ということもあるが、WAJは五割以上が15分以上遅延している(定時運航率42.78%)。WAJは欠航率も高い(欠航率3.55%)ので、安かろう悪かろうの典型みたいになっていて、定時に運航しようという気が全くないことが分かる。
次に遅延率が高いのがJJPで、こちらも三割は遅延している(定時運航率74.04%)。JJPは予約時に「ご指定いただいた日時の便で搭乗者および搭乗者の荷物を目的地までお届けする保証はいたしません。」と脅しが入る。
APJは遅延率があまり高くない(定時運航率89.82%)。SKY(定時運航率86.61%)よりも若干だが少なく、LCCの中ではかなり安定的な印象だ。それでもSKYですら「遅延が多い」との声をよく聞くので、日本人には遅れが多いとの感じを受けるかもしれない。

欠航
欠航は、JJPとWAJは成田門限による欠航がクローズアップされている。悪天候や機材不良と異なり、この欠航は遅延で処理できず、利用者には納得のいかない、とてもやっかいな欠航だ。翌朝から用事がある際は、前日最終の成田着は利用しないほうがいいだろう。
関空拠点のAPJは成田発着みたいな心配はない。遅延率の低さもあわせ、LCC3社の中ではAPJの安定性が際立っていると言える。



こうして見てみると、同じLCCでもサービス内容は各社さまざま。上手に使えばこれまでよりもかなり安く、そして快適に移動ができそうです。
でもそのためには、利用者が事前によく調べる必要がありそう。
LCCが上手に使いこなされ、航空利用者がもっと増えることを願いつつ、今回の旅を〆くくります。

posted by johokotu at 18:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ◆旅行記 | 更新情報をチェックする
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