2013年02月18日

快適バスで日帰り見学(旅行後)

この旅行記は2014年11月に公開したものです。



■2013.02 百里の旅行後

百里飛行場(茨城空港)は、国内線はスカイマーク(SKY)のみ、国際線は春秋航空のみしか飛んでいない空港でした。
SKYだけが飛んでいる空港というのは実は非常に珍しく、ここ茨城のみです。日本には、このような定期便が一社しか飛んでいない空港が結構たくさんあります。
今回は、そんな一社のみしか飛んでいない空港を取り上げます。


■就航一社空港は意外と多い?
まずは国内線定期便が一社(一グループ)しか飛んでいない空港を列挙してみる(季節によるものは除く、定期チャーター便含む)。

稚内空港 ANA(離島)
紋別空港 ANA
中標津空港 ANA
札幌飛行場 HAC
奥尻空港 HAC(離島)
花巻空港 JAL
大館能代空港 ANA
庄内空港 ANA
百里飛行場 SKY
調布飛行場 NCA
新島空港 NCA(離島)
神津島空港 NCA(離島)
三宅島空港 ANA(離島)
佐渡空港 NJA(離島)
松本空港 FDA
能登空港 ANA
名古屋飛行場 FDA
南紀白浜空港 JAL
但馬飛行場 JAC
鳥取空港 ANA
美保飛行場 ANA
隠岐空港 JAC(離島)
出雲空港 JAL
石見空港 ANA
壱岐空港 ORC(離島)
佐賀空港 ANA
天草飛行場 AMX(離島*)
種子島空港 JAC(離島)
屋久島空港 JAC(離島)
喜界空港 JAC(離島)
奄美空港 JAL(離島)
与論空港 JAC(離島)
粟国空港 FFC(離島)
久米島空港 JTA(離島)
北大東空港 RAC(離島)
南大東空港 RAC(離島)
多良間空港 RAC(離島)
与那国空港 RAC(離島)
*天草は離島だが、九州から橋を通じてアクセス可能。

あれ、、意外と多い、、、。

数を数えてみると38空港もある。全97空港だから、ざっくり3分の1以上にも当たる空港が国内線定期便が一社・グループ独占になっている。
小さな離島は後背人口が絶対的に少ないから、一社・グループのみの運航となってしまうのは仕方がない面もある。しかし、四国を除く北海道、本州、九州と地続きの場所にも点在しており、19空港もあるのはちょっと驚きだ。

■就航一社空港は運賃が高い?
新千歳とか福岡とか那覇とか複数社が就航する空港は航空会社間の競争が激しいので、格安運賃が多数出ていて、最近は格安航空会社(LCC)の就航でさらに値段が下がりつつある。しかし、一社・グループのみが就航する空港は、競争がないから運賃が高止まりになりがちだ。
一社・グループのみが就航する空港も、できれば複数社・グループに参入してもらって、競争で値段が下がるのを期待したいところだが、空港に拠点を張るのはお金がかかるので、競争してまで複数グループが参入するのは容易ではない。
先に挙げた空港をよく見てみると、その多くは利用者の少ない空港であることが分かるだろう。就航社が少ないから利用者が少ないのか、利用者が少ないから就航社が少ないのかはよくわからないが、二社目が就航に二の足を踏むのもなんとなく分かる気がする。

面白いのは、これら本土の、一社・グループしか就航していない空港の多くがANAのみの就航空港になっている点だろう。19空港のうち半数の9空港を占めている。羽田線が枠の関係で撤退できないというのもあるのだろうけど、なかなか興味深い。JALが潰れたとき、不採算に地方に就航しすぎたと批判されていたが、ANAはもっとたくさん就航しているのは、ちょっと心配になるところだ。

航空会社だけの取り組みで無理だと、行政が出てきてしまう。
石見は、よく航空運賃補助を実施しているが、税金を使ってまで補助をしないと利用が維持できないのはなんとも悲しい事態だ。佐賀では、下がりにくい航空運賃では勝負できないと踏んだのか、県の補助でレンタカーを格安提供し、旅行のトータル費用を下げる施策を実施している。
二社以上が参入して競争し、自然と運賃が下がるのが一番だが、それが難しい。

■就航一社空港は認知度が低い?
一社・グループしか就航していないと、認知度も低い。先にあげた空港を皆さんはどのくらい知っているだろうか。
今回訪問した茨城をはじめ、調布や天草は、大手二社も就航しておらず、旅行代理店で大量配布されているANAやJALの時刻表にも載っていないから、取り上げた空港の中でも、特に空港の存在を知らない人も多そうだ。

これらの空港は、まずは認知度をあげることが先決だろう。
但馬や石見などは都内や大阪でよくPRしているけれど、ほかの空港はあまり宣伝していない。但馬なんて、かなり宣伝しているのになかなか認知度が上がらないのだから、地道なPRはなんとしても必要そうだ。

利用しやすいとしてPRするのも重要。
アクセス改善などの取り組みを期待したい空港も多く、今回利用した百里の東京駅バスなんかはそのよい一例だろう。

■他国では地方でも航空会社が集まる空港あり
航空会社を集めるヒントは、ヨーロッパなど他国の事例が参考になるかもしれない。

LCCが発達したヨーロッパなどでは、大都市から少し離れた地方空港をLCCが活用し、複数の航空会社が乗り入れる例がある。
例えば、ドイツ・フランクフルトには、多くの航空会社が使うフランクフルト国際空港とは別に、ライアンエアーなどが利用するハーン空港がある。ハーンはフランクフルトから約100キロ離れていて、日本では、福岡空港と佐賀空港がよく似た位置関係の感じだ。
イギリス・ロンドンの各空港も、東京国際・成田国際・調布飛行場・茨城空港が位置関係がよく似ている。
そういえば、お隣中国・香港も代わりに深圳が使われている例がある。

海外では、LCCが、大都市の空港ではなく、その周辺の近郊空港を活用し、それにより大都市空港の利用者を奪いにいくのが当たり前だが、日本はそれが当てはまっていないのは少し不思議なところ。先に挙げた一社・グループのみ就航空港なら、百里や佐賀などはもっと利用が増えてもおかしくない感じがするが、LCCが就航する空港はすべてがANA、JALなどが2社以上が就航している空港で、日本ではLCCがまだまだ定着しない土壌なのかもしれない。

さらに、地方空港間の航空会社誘致という点では、イギリス・ブリストルも参考になりそうな事例だ。ネットで検索してみると、様々な調査でコピペみたいに調査結果がヒットする。
ブリストルはイギリス南西部に位置する空港。カーディフ空港エクセター空港とそれぞれ100キロ程度しか離れておらず、航空会社の誘致合戦が行われている。3空港のうち、カーディフはウェールズの首都なので、一見、利用はそっちの方が多いようにも思えるが、ブリストルが航空会社誘致に成功し、カーディフの利用者が減り、ブリストルは利用者数が大きく増えたことで知られている。ブリストルなんて、イギリスの地方の一都市に過ぎないのだけど、航空会社誘致に積極的で空港の人気が出たのだ。

利用増に向けた取り組みの一つに、今回利用した茨城で着目したアクセスバスがある。
アクセスバスは、カーディフ空港は1日数本と日本の地方空港並みしかないのだが、ブリストル空港は市中心部から24時間体制で10分〜60分間隔で運行されていて、とても利用しやすい。
24時間運行は成田や羽田にも見習ってほしいぐらいで、今回利用した茨城の東京駅バスは全然便数は少ないが、航空会社が増えてくれば、もっと利用しやすいものになるかもしれず、期待したい。
ブリストルの状況は、先に挙げた空港なら美保や出雲が結構近い存在のようにみえるし、ブリストルが進める利用増へ向けた取り組みは、日本でも利用増を目指す空港には参考になることが多いかもしれない。

20130204.jpg
カーディフ空港やエクセター空港からも利用者を奪ったとみられるブリストル空港。
航空便は、早朝から深夜まで日本で言えば成田と同じくらいの時間帯で、easyJetを中心に多くの航空会社が多数の便を飛ばしている。(2012年訪問時に撮影)




国内線LCCの幹線展開も一段落してきているので、今後は、一社・グループのみ就航空港への航空会社誘致戦略に期待したいところです。
茨城空港は、日本初のLCC対応空港として開港時には結構話題となっていましたが、いまだ就航する航空会社は増えないまま。今回利用したアクセスバスは意外と利用しやすいものでもあったので、今後も様々な取り組みを進めて、航空会社誘致から利用者増加に成功してほしいと願いつつ、旅行記を〆たいと思います。


posted by johokotu at 18:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ◆旅行記 | 更新情報をチェックする
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