■東京国際空港(羽田空港) 平成26年度政策コンテスト枠の効果は限定的
山形県、鳥取県、島根県、佐賀県は27日までに、平成26年度の各県内空港の利用者数を発表しました。東京国際空港(羽田空港)の政策コンテスト枠に選出された山形-羽田線、羽田-鳥取線、羽田-石見線の3路線は路線によって明暗が分かれ、効果はあまり大きくありませんでした。
地方自治体と航空会社が利用者獲得に向けた政策を提案し、その提案内容の優劣で、羽田の貴重な発着枠を振り分けた政策コンテスト枠。平成26年度、27年度の2年間限定で少便数路線の増便を実現しています。
山形、鳥取、石見、佐賀の4空港から応募があり、石見911点、山形891点、鳥取874点で3空港が選出されました(佐賀は799点で落選)。
今回発表された結果を見ると、山形-羽田線が昨年度比2.6倍と大幅増加を記録したものの、羽田-石見線は五割増、羽田-鳥取線に至ってはほぼ横ばい止まりでした。大幅増加した山形線も、1往復当たりの利用者数で見ると鳥取線の半分ほどしかなく、そもそもの利用が少なすぎるという結果となりました。各路線とも地方自治体がお金をかけて利用維持しているわりに、効果はあまり大きくありませんでした。
一方、唯一落選した佐賀線は、ANAが自主的に増便を実施していますが、こちらはほぼ増便分の二割増を記録しました。1往復当たりの利用者数も選出された3路線より多く、政策コンテスト枠路線の効果が限定的であることを際立たせる結果となってしまいました(佐賀では春秋航空日本が競合路線の成田線を運航開始したにも関わらず利用が伸びています)。
提案された政策が浸透するまで時間がかかると考えれば、一年目は、自治体の努力はまだ効果が出ず、単純に便が増えたことが直接与える効果しかなかったとも考えられます。しかし、平成27年度は、評価された政策が評価に値しなかった(逆の見方をすれば評価者の評価がいい加減だった)とのレッテルを貼られることになりかねません。今後の羽田発着枠・政策コンテスト枠の在り方にも影響するとみられ、今年度はさらなる利用増加が求められます。
すでに3空港とも今年度からのアクセス交通強化を実施。鳥取では、空港に愛称を付けてPRを強化するなど利用者増加に向けた取り組みが進んでいます。
ただ、石見は目立つ政策は相変わらず補助金ばらまき位であるなど、利用維持方法の限界も見え隠れしています。
今年度はさらにどんな新たな取り組み・工夫が行われるのか注目されます。
平成26年度 羽田線 利用者数 ( )内は昨年度比
山形:1→2往復 74,687人(+46,160人、+161.8%)、68.0%(+15.9P) 37,344人/1往復
石見:1→2往復 110,199人(+35,815人、+ 48.1%)、52.2%(▲ 8.9P) 55,100人/1往復
鳥取:4→5往復 342,926人(+12,910人、+ 3.9%)、57.9%(▲ 9.4P) 68,585人/1往復
佐賀:4→5往復 391,976人(+68,562人、+ 21.2%)、66.9%(+ 0.7P) 78,395人/1往復
2015年04月28日
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