■東京国際空港(羽田空港) APJが自転車アクセスを提案
8日、Peach Aviation(APJ)が国内格安航空会社(LCC)では初めての東京国際(羽田)発着路線を就航しました。この出発の際にAPJのCEOが自転車アクセスを提案しました。
Aviation Wireによりますと、「ピーチの井上慎一CEO(最高経営責任者)は、「大田区の方なら、自転車で羽田空港まで来て、荷物を持たず日帰りで台湾へ行くこともできる。台湾の方は、都内のおしゃれなバーで出発まで楽しめる」と、これまでとは違った気軽な旅を提案した。」と報道しています。
飛行機を格安で使うなら、アクセスもとことん安く済ませよう、そんな利用者を意識した発言と思われます。
しかし、この提案、日本の空港の少し不便な点を浮き彫りにしています。
自転車では搭乗しづらい羽田
今回の提案は、飛行機への搭乗が気軽できることを表現したかったと思われるのですが、実は羽田空港へは自転車では容易にアクセスできない問題があります。正確には、自転車でアクセスは出来るのですが、自転車を置いておく場所がなく、サイクリスト以外は使えないアクセス手段なのです。
「自転車で羽田空港まで来て、荷物を持たず日帰りで台湾」へ行こうとすると、一緒に誰かと来て自転車を持って帰ってもらうか、片道6,250円払って自転車を預けるか、あるいは一番近い天空橋駅の駐輪場に止めて歩いてくるしかないのです。
羽田では放置自転車が多数見られます。また、折りたたみ自転車で預けるつもりでも、国際線はまだしも、国内線の場合は、国道357号線の、離合も難しい狭い歩道を通過せざるを得ません。
自転車での利用は、非常に不便、これが羽田の実態です。
あの有名都知事も分かっていない不便さ
実は、これと同じような発言を過去にした有名人がいます。
石原慎太郎・元東京都知事です。
5年前、京急が京急蒲田を通過するエアポート快特を設定し、大田区が猛反発した際、石原元都知事は、蒲田と羽田の移動について「目と鼻の先で自転車だって行ける」と発言しています。
確かに距離だけ見れば蒲田から羽田なんて、東京都庁から東京駅まで程度の距離しかありません。このため、自転車で行けないことはないですが、羽田空港へのアクセスには実質使えないことはあまり知られていないようです。
空港アクセスに自転車を使えるか
そもそも、空港アクセスに自転車を使うか、というと、少し疑問があります。
旅行で飛行機を使うなら大荷物の人も多いでしょうし、荷物が少なめのビジネス利用でも、スーツでのチャリ利用は大変そう。そう考えると、自転車アクセスよりもバスや鉄道アクセスをきちんと整備すべきでしょうし、このためか、日本国内は、気軽に自転車で利用できる空港はあまり多くありません。
それでも、近年は駐輪場を設けたり、松山のように自転車向け施設を設けたりする空港も増えました。稚内や三沢、喜界などではレンタサイクルも展開されています。
空港発着のレンタサイクルは、空港周辺で撮影しに来た航空マニア向け?といった感じもしますが、例えば最寄駅で乗捨てできるレンタサイクルがあれば、利用する人もいるかもしれません(山形ではさくらんぼ東根駅で借りて空港で返せるレンタサイクルが提供されています)。
今回のAPJの場合は、荷物を持たずにぜひ自転車でも気軽に来て搭乗してほしい、ということでしょう。APJの発着時刻は、バスや鉄道が不便な早朝発着ですから、運行ダイヤに依らない自転車でアクセスできれば、アクセスもとことん安く済ませたいという利用者の心をつかみ、搭乗率も増えるかもしれません。
今回の提案が契機となり、今後、羽田をはじめ、全国の空港で自転車が利用できるようになるのか注目していきたいと思います。
■ピーチ、国内LCC初の羽田便 台北行き初便、台風で夕方出発(Aviation Wire公式サイト)
http://www.aviationwire.jp/archives/67020
2015年08月09日
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