■2015.07 名古屋・中部国際・静岡の旅行後
今回の旅行では、鉄道の夜行列車を利用して名古屋へ向かいました。
夜行便の場合、仕事終わりでもゆっくり準備できるのが良い点のひとつです。
日本では、航空便も昭和40年代には国内線の深夜便が多数運航されていましたが、いま国内線にはそのような便はなく、国際線のごくごく一部で運航されているだけとなっています。
今回は、そんな航空の夜行便を取り上げてみます。
■夜行便をもっとうまく使った旅行を
近年注目されている夜行便は、東京国際(羽田)を発着する国際線だ。
この夏にも中国便を中心に深夜発便の増便が決まっていて、羽田へ行くと、深夜の時間帯にもかかわらずかなり混雑している。羽田は夜〜深夜の便が非常に多いのだ。
羽田空港の深夜便は、日付が変わる頃の出発となるため、集客に苦労しているとよく聞くが、よくよく考えてみると、仕事が終わってから出発できるうえ、一旦家に帰れる点では非常に便利な存在だ。
成田の便と比較してみる。
成田の場合、運用時間の壁があるため、最遅でも飛行機の出発時刻は22時頃発になる。これだと、チェックインのため21時前には空港に着いていなければならず、東京を20時前には出ないと間に合わないことになる。
仕事終わりに家にいったん帰るとすれば、旅行の準備も含めて19時には自宅に帰宅していたい。となると、よほど職場から自宅まで近くない限り、ほぼ定時で帰路につかなければ、間に合わなくなる。残業が確定した時点でアウトというわけ。
千葉住民ならなんとか成田空港へ行けるかもしれないが、埼玉や神奈川はもちろん、都内在住でも、一旦家に帰るのはリスキーだ。
一方、羽田の深夜便は、同じ22時発として考えてみても、家に一度帰る場合、東京都や神奈川県からも充分利用できるし、埼玉県と千葉県でも利用可能範囲が広い。
しかも羽田の場合は、成田みたいに門限がないから、出発時刻をもっと遅い時刻にできる。
例えば、24時出発にできるなら、チェックインは23時前でOK。東京なら22時前に出れば間に合うから、会社からの帰宅は21時頃でもなんとかなる。南関東はもちろん、北関東でも不安なく利用できる範囲が広そうだ。
この効果が大きく発揮されるであろう路線が、シドニー路線だ。
オーストラリア路線は、成田を夜に出発の便が多い。初日は飛行機に乗ってすぐ終わってしまう。例えば、ツアーで「3泊4日」とあっても、実質3泊3日になり、4日の休日が必要になる。成田発だと、出発日を休日か半休にする必要があり、ほぼ一日を無駄にしてから乗ることになるわけだ。
一方、羽田発なら成田と違い、余裕をもって駆けつけられる地域が広がる。
そんななか、8月1日からカンタス航空のシドニー線が成田発(20時30分発)から羽田発(22時発)に変更される。出発時刻は夜発であまり変わらないが、無駄に有休や半休を取る必要がなくなり、例に出した実質3泊3日なら、休みが3日でもなんとかなる(門限を気にする必要がなくなったせいか1時間半出発が遅くなり、利用可能範囲がさらに広くなった)。
今回設定されたQFAの羽田発着は、早朝着、深夜発なので、昼間羽田に12時間以上駐機せざるを得ない点はあるものの、深夜早朝しか飛ばせない国については、成田より羽田の方が集客はしやすいことがよく分かる。
似たような成田夜着発路線は、中東や太平洋路線に多く見られる。これらの路線は、深夜早朝便が特徴の羽田との相性が良さそうだ。
逆に欧州路線や枠の配分で大モメしているアメリカ路線などは、成田発着も昼〜夕方ぐらいまでの運航なので、深夜早朝便ではなかなか難しい路線なのかもしれない。
深夜発で夜の間の運航になるなら、利用者は、通常の夜の感覚で寝ている間に目的地に到着。ちょうど朝になった段階で目的地に到着できれば、現地でその日一日をフルに活用できる。
ややきつい日程になるが、休日をフル活用したいレジャー客や現地ですぐに仕事しなければならないサラリーマンにはもってこいのダイヤ。もっと深夜便をうまく使った旅行が定着してほしいところだ。
日本の空港は24時間運用のところが少なく、深夜も発着できるのは、羽田のほかには、新千歳(便数制限あり)、中部国際、関西国際、北九州、佐賀、那覇程度しかありません。深夜便を活用と言っても、なかなか難しいのが実状です。
枠がないからと仕方なく深夜便を飛ばすのではなく、もっと積極的に深夜便を展開する航空会社が増えて、昼出発で楽に出発する旅行もあれば、深夜便で時間を有効活用する旅もある、そんな選択肢の多い航空便が運航されることを期待しつつ、今回の旅行を〆たいと思います。
ラベル:旅行記