2015年08月23日

鉄道で今度は南東北へ(旅行後)

※2015年10月にアップした旅行記です。

■2015.08 山形の旅行後

今回は、さくらんぼ東根駅で自転車を借りて空港へと向かいました。
さくらんぼ東根駅のレンタサイクルは、山形空港で返却ができる珍しいものになっています。
そこで、旅の終わりは、空港の自転車アクセス事情を取り上げてみます。

■話題となった自転車アクセス
今月はじめ、空港への自転車アクセスが少し話題になりました。
日本初の国内線LCCとして知られるPeach Aviationが東京国際(羽田)-台北線を就航した際、CEOが自転車での羽田へのアクセスを提案したのです(→詳細はこちらの記事で)。

例えば、自宅から、駅とか長距離バス乗り場とかに行くときに、自家用車で行くか、タクシーで行くか、バスで行くか、自転車で行くか、歩いていくかは人それぞれ。レンタカー・シェアカーやレンタサイクルを使っている人もいるでしょう。分担比率は異なるものの、空港だって、自転車も立派なアクセス交通なはずというわけです。

しかし、羽田空港には駐輪場がなく、自転車でアクセスしたくても、なかなかできないという現実があります。
羽田だけでなく、日本の空港はそんな空港が結構多くあります。
職員向けに駐輪場がある空港は多いものの、旅客向けに駐輪場を設けているところがあまりないのです。しかも、駐輪場が整備されていても公式サイトで紹介しているところはほとんどありません。さらにレンタサイクルになると、数えるほどしか扱いがありません。

サイクリストでもない限り、飛行機でチャリを運ぶ人などほとんどいないでしょうから、日本の空港では、自転車はアクセス交通手段になっていないのです。
飛行機を使うときは大きな荷物を持ってくるのが当たり前、飛行機は金持ち向け(=チャリみたいな安い乗り物でアクセスしない)、という意識がまだまだ強いのかもしれません。

そんななかで、今回利用した山形は、おそらく日本の空港の中でも高い利便性を誇るレンタサイクルを提供している空港でした。
レンタカーもそうですが、借りたところで返さなければならないことが多く、これでは、片道利用は実質利用不可能になってしまいます。
駅で借りて空港で返せるということは、そのまま飛行機に乗り継げるということですので、アクセス交通として利用するには好都合。山形の場合、空港での貸し出しがない点や、空港ターミナル前に駐輪場がないためにチャリの置き場に困るなどの難点はありますが、利用しやすいレンタサイクルになっています。

20150822d.jpg
さくらんぼ東根駅東口側(空港とは反対側)の様子。事前予約制の乗り合いタクシー乗り場もあるが、晴れていればレンタサイクルも選べる。左側にレンタサイクル用の自転車が並べられていた。

■増えてきたチャリアクセスへの配慮
山形空港のようなレンタサイクルに限らず、最近はチャリを意識した空港が増えてきています。その一部を紹介します。

稚内空港
夏の間だけレンタサイクルが実施されており、最北端の平原を爽快に走れます。
ただ、ここのレンタサイクルは、空港発着のみの取り扱いで、乗り捨てなどはできません。周囲の観光地であるメグマ沼・大沼などは湿地帯で自転車では入れないところが多いという問題も。チャリで周囲を楽しんだあとに市内へ行こうとしても、市内へのアクセスバスの便数は航空便に合わせた便しかなく、活用方法はなかなかの難題です。

新千歳空港
ターミナルに駐輪ラックが設置され、インフォメーションで空気入れの貸し出しが行われています。
これらの設備は、地元民がチャリでアクセスするとか、レンタサイクル向けに設置しているのではなく、自分で自転車を持ち込んだサイクリスト向けのものとなっています。万人が活用できるわけではないですが、広大な北海道でツーリングを楽しみたいと、自転車を持ち込んだ人へ優しい施設と言えるかもしれません。

三沢飛行場
レンタサイクルを実施しています。三沢は市街地に近いところに空港ターミナルがあるので、市内に用事がある場合は有効なアクセス交通のひとつです。
レンタサイクルを実施する空港ビル会社では、周囲の観光地へ行くのに活用できるとPRしています。
三沢駅も近いので、乗り捨てができれば、利便性を高められるかもしれません(三沢駅には連絡バスが経由します)。

静岡空港(富士山静岡空港)
新たにターミナル脇に自転車用ラックが設置されました。
自転車アクセスに合わせたものとなっていますが、空港は山の上にあり、一般利用者が自転車で来るのは不向きです。
空港自体は行き止まり、周囲に何もない場所で、サイクリングの途中に寄るような場所でもなく、利用率が高まるか注目です。

大阪国際空港(伊丹空港)
市街地の中にある空港で、大阪モノレール下に自転車が多数止められています。地元民が空港ターミナルに買い物に来るのに使っている例もあるそうです。
さすが市街地の空港と思いきや、実はここ、正式な駐輪場ではなく、あくまで臨時の駐輪場なのだとか。
大阪モノレールでは、各駅でレンタサイクルが設置されているのですが、数多くの駅の中で、なぜか大阪空港駅だけが唯一未設置。公共交通が発達していて自転車選択度合いは低いですが、ぜひ欲しい施設と言えるかもしれません。

美保飛行場(米子鬼太郎空港)
美保では、今年からレンタサイクルが始まりました。
美保は、目の前を通る境線の駅を空港そばまで移設するなどアクセス向上に積極的。地方空港では珍しく、電車、自動車、自転車と多くのアクセス交通が完備されています。
このレンタサイクルは、米子駅などで返却できる便利なものとなっていて、周囲の観光地を楽しみながら、移動する使い方が可能です。

松山空港
しまなみ海道にサイクリングに来る人が多いことから、ラックや空気入れなどを用意したコーナーがあります。
残念ながらレンタルはできませんが、お遍路さん用に設けた着替えスペースをサイクリスト向けにも開放していて、持ち込み自転車に使いやすい空港になっています。

福岡空港
羽田や伊丹と同じく、空港内に駐輪場はありません。しかし、直結駅の福岡空港駅に駐輪場が整備されていて、実質的に気軽にチャリ利用ができる珍しい空港になっています。
市街地の中にある空港なので、地元民は気兼ねなく、自転車でアクセスできます。

大分空港+熊本空港(阿蘇くまもと空港)
今年度から空港を拠点としたサイクルツーリズムを推進することになりました。風光明媚な両空港間を自転車で回ってもらおうという取り組みです。
空港内には、サイクリスト向けの施設として、自転車ラックはもちろん、専用の更衣室も設け、空気入れや工具などの貸し出しも実施する計画。沿道にもサイクリスト向けの施設を整備し、空港を拠点とした自転車利用を推進する予定です。
レンタサイクルや地元民向けの自転車アクセスが向上するかまでは分かりませんが、全国的にも珍しい取り組みで注目されます。

喜界空港
空港内の喜界空港売店でレンタサイクルの取り扱いがあります。保管場所は空港ではないため、飛び込み利用時は借りるまでに時間がかかりますが、送迎があるので非常に便利です。
島は、自転車でも日中で充分一周できる大きさで、島を一周して日帰りするなら、最適な交通手段です。


上記以外にも、仙台、名古屋、岩国、宮崎など多くの地方空港で、気軽に利用できる駐輪場が整備されています。

空港にレンタサイクルがあると便利なのは、例えばスポッターが空港周辺に遠征に来たときとか、空港近くに訪問先・観光地があるときなどでしょう。
函館や羽田、松山のように市街地が近く周囲が比較的平坦な場合や、熊本などのようにターミナルとは反対側などに撮影スポットがある場合などのように、歩くにはきつく、レンタカーを借りるほどではない、といった状態で有効かもしれません。

また、一日二往復以上がある小さな離島とか、空港周辺に見所がコンパクトに固まっている場合などなら、空港にレンタサイクルがあれば、即観光を始められるメリットがあります。喜界がまさにそれを実践しています。
新島とか壱岐島、与論島、粟国島、南大東島、久米島、多良間島、波照間島、与那国島などはもちろん、体力に自信があれば、少し大きめの離島で、利尻島とか、三宅島、福江島、屋久島、徳之島、沖永良部島、宮古島、石垣島なんかも、空港にレンタサイクルがあったら使いやすいかもしれません。

そして、山形や米子のような、駅などでの返却が可能なレンタサイクルなら、片道利用ができて非常に便利です。

いくつかの空港は山の上にあり、自転車でのアクセスに向かないところもあります。しかし、平らなところが必要な空港は平野や盆地にあるところもまだまだたくさんあります。今後、自転車アクセスという気軽な手段が広がって、空港がもっと身近になることを願いつつ、今回の旅を〆たいと思います。


ラベル:山形空港
posted by johokotu at 18:00| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | ◆旅行記 | 更新情報をチェックする
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