■年末特集 2015年勝手に空港10大ニュース
2015年もあとわずか。
今年ニュースな出来事があった空港を、johokotuの独断と偏見で10空港ピックアップしました。
1.成田国際空港/成田空港(千葉県) 第3ターミナルが開業
今年の空港ニュースでは、成田空港の新ターミナル、第3旅客ターミナルビル開業が一番の話題だったでしょうか。純粋なターミナル新設は、今年は成田のみでした。
4月にオープンしたターミナルは、成田としては22年ぶりの新設ターミナルです。格安航空会社(LCC)向けに様々な工夫がなされた内装は、グッドデザイン賞金賞を受賞するなど、大きな話題になりました。
第2旅客ターミナルビルのリニューアルも実施され、連絡通路に新設されたギャラリー型トイレは、トイレ大賞も受賞。年末には第2の増築が完成するなど話題が続きました。
2.但馬飛行場/コウノトリ但馬空港(兵庫県) 運営の民間委託がスタート
今年は、空港運営を民間に委託する各空港の計画が進んだ年でした。
第一段として注目を集めたのが、1月1日から、全国に先駆けて民間委託が始まった但馬です。受託したのはターミナルを管理していた但馬空港ビルディングです。
今年は、但馬を追いかけるように、仙台が東急、関空がオリックス・Vinciをそれぞれ代表企業とするグループと契約を締結。各空港とも来年から運営委託が本格的に始まることになっています。また、民活とはタイプが異なりますが、八丈島もターミナル会社が滑走路なども含めた空港運営の指定管理者になる予定と、まだまだ民間活用の流れは止まりそうにありません。
3.大島空港(東京都) 半世紀就航したANAが撤退し羽田線消滅
今年、路線の撤退で最も影響が出たと思われたのが大島空港でしょうか。
半世紀に渡り就航してきたANAが東京国際(羽田)線を冬ダイヤから運休。東京一の主要離島でありながら、またひとつ離島アクセス交通が縮小されてしまいました。
運休したのは利用者減少に歯止めがかからなかったから。利用減のきっかけは、競合船舶便のジェットフォイル化と機材の大型化で、ここ数年は搭乗率が10%台と著しく低迷していました。技術の進歩により離島航空便を維持するのが難しくなるという、なんとも残念な出来事となりました。
ちなみに、大島線分の羽田発着枠は、一便ルール適用路線にも関わらず、なぜか回収されずにANA関西国際線に回されてしまったと報道されており、他社も含めた運航復活は難しそうです。
4.静岡空港/富士山静岡空港(静岡県) 中国便の増便が続き大混雑
今年は地方空港でも、訪日客増加により利用者が急増したのが特徴でした。中でも注目すべき変化があったのが静岡でした。中国便が次から次へと就航し、一気に国内線の路線数・利用者数を突破。国内のローカル空港でありながら、国際空港として発展を始めました。
空港施設はあまりに急激な利用者増加に追い付いていませんが、近年の地方空港では珍しく大繁盛の状況が続いています。
ただ、今年就航した各路線は、着陸料が無料で空港側の持ち出し。有料になる来年、撤退が相次がないか注目です。
5.隠岐空港/隠岐世界ジオパーク空港(島根県) 愛称を世界的名称に決定
空港の愛称は、昨年命名が相次ぎましたが、今年はわずか1か所のみ。隠岐空港が開港50周年を記念して「隠岐世界ジオパーク空港」という愛称を付けただけでした。
流行りのカタカナ空港名である上、文字通り世界に目を向けた命名で注目度を上げています。
今回の命名で、山陰地方の空港は5空港全てが愛称を設定。地名に始まり、漫画、言葉、遺産名と多彩なラインナップで、愛称だけで空港を楽しめる地域になりました。
6.小松飛行場(石川県) 新幹線に対抗して隣県と連携
北陸新幹線の開業で羽田線の利用者が四割も減ってしまったのが富山と小松。その中で、小松は、隣県の福井との連携を強め、注目を集めました。
隣県との連携は、県単位で活用を考えることが多い地方空港では非常に珍しいこと。到着ロビーには、福井の誇る恐竜が登場し、二階には福井土産の売店がオープンしました。
新幹線開通後は減便や運休が行われるのがこれまでの通例です。今回は機材小型化で対応し、減便は避けられましたが、来年は、このまま便数で、空港が「かがやき」を保てるか、正念場の一年となりそうです。
7.宮古空港(沖縄県) 利用減なのに混雑増の不思議
スカイマーク(SKY)の破綻を受け、問題が発生してしまっているのが宮古です。
SKYが那覇-宮古線を運休して競争がなくなったことで運賃が急上昇。2月以降、伊良部大橋の開通に伴う観光客増加が期待されていましたが、景気回復で全国的に利用が増加傾向のなか、なんと利用者数が減少してしまいました。さらに、利用者数は減少しているのに、便数減に伴い混雑が増加し、予約が取りにくくなるという不可解な事態に見舞われています。
利用を促す運賃、適切な便数、そして、競争の重要性を強く実感できる空港となってしまいました。
8.関西国際空港/関空(大阪府) ついに24時間アクセス化が実現
関空では、7月に深夜時間帯のバスを増発し、最低でも1時間1便のバス運行を確保。日本で初めて、アクセス交通の24時間化が実現しました。
アクセス交通の24時間運行は、世界の空港ではごくごく当たり前。これで、やっと日本の空港もグローバルスタンダードに追い付いたことになります。
関空では、春に第1旅客ターミナルのリニューアル工事が完了。来年には運営の民間委託も始まる予定で、まだまだ目が話せない話題が続いています。
9.礼文空港(北海道) 廃止逃れ平成33年まで休止延長
礼文空港廃止逃れる!今年の空港ニュースのなかで、意外と大きな出来事だったのは日本最北空港の話題だったかもしれません。
今年3月で休止期間が終了する予定だった礼文では、休止期間の延長が実現。平成33年まで運営が継続されることになりました。ここ数年、空港や飛行場の廃止が続いていただけに、安堵の結果となっています。
ただ、廃止は逃れたものの、休止であることには変わりなく、一般利用者が気軽に利用できる状態ではないことは引き続きとなります。
今後の空港活用方法が注目されます。
10.調布・広島・粟国・慶良間 離着陸事故による空港の一時閉鎖が相次ぐ
残念なことに、今年は、離着陸時の事故により、数日間空港が一時閉鎖され、運用の制限が拡大する事態が相次ぎました。
4月に広島空港でアシアナ航空機が着陸に失敗して誘導灯などの空港施設を破壊。滑走路を外れて停止する事故が発生し、広島空港は3日間閉鎖されました。その後も5か月間にも渡りILSが暫定使用となり、定期便の欠航が相次ぐなど大きな影響が出ました。
6月には、慶良間空港で米軍の飛行クラブ所属機が着陸時に滑走路を逸脱しています。米軍機の事故のため、日本は手を出せずじまい。慶良間は定期便もないために注目もされず、沖縄以外では大きなニュースになりませんでしたが、7日間滑走路が閉鎖されました。
翌7月には、調布飛行場で慣熟飛行の小型機(ベルハンドクラブ所有・日本エアロテック検査・シップアビエーション使用)が離陸直後に近接住宅地に墜落し、死傷者が出る痛ましい事故が発生してしまっています。このときの滑走路閉鎖は当日のみだったものの、その後、調布では、定期便と緊急利用以外の離着陸が禁止されました。
さらに、8月に粟国空港で第一航空機が着陸時に滑走路を逸脱。5日間、滑走路閉鎖となりました。この事故では、8月から運航し始めたばかりの新機材が事故を起こし、第一航空ではその後定期チャーター便全便が欠航しています。第一航空では、なぜか八尾での遊覧飛行は継続していますが、定期チャーター便は再開の目処すら未だにたっておらず、秋に予定されていた波照間航路の再開も延期となるなど、離島輸送に大きな影響が出ています。
このほかにも話題となった空港トピックスはたくさんありました。
が、独断と偏見で、10個に絞って今年の空港の話題を振り返ってみました。
2015年は、離着陸失敗の多発やスカイマークの破綻など暗い航空ニュースがあった一方、空港の民間委託の手続きが進み、未来への期待が残る一年でした。
2016年は、明るい年になることを願いつつ、2015年を締めくくりたいと思います。
今年も「情報交通ホットライン 空の駅情報館」をご覧いただきありがとうございました。