国土交通省(国交省)は13日、旅客の保安検査すり抜けによる不法侵入が発生した事案について、航空運送事業者及び全国の空港管理者等に対して再発防止を指示したと発表しました。
今回の指示は、8月5日に新千歳空港で保安検査を受けずに搭乗待合室内に不法侵入し、搭乗した旅客がいたことに対する対策。全国の空港で10月末までに完了し、「航空機へ搭乗の際に搭乗手続きの確認を厳格に行い、確認できない場合は搭乗でき」なくなるようになるとしています。
対策は、「搭乗口の手順の改善」「保安検査場の運用改善」「旅客に対する搭乗手続・保安検査に関する周知・案内の改善」「事案発生覚知時の初動対応・手順の改善」の四つの改善が柱。保安検査場の隙間を埋めて物理的にすり抜けできないようにするとともに、搭乗券等を持たない旅客は、保安検査場、搭乗口の両方で入場を拒否するとしています。
8月5日の保安検査場すり抜けについては時系列の内容も公表されました。それによりますと、12時20分発のAIRDO20便搭乗客が12時11分に保安検査を通過しようとした際に発生しています。
既に保安検査場通過締切時刻を過ぎており、搭乗手続きが完了していない状態であったため、保安検査場で入場が拒否されていたことが判明しました。この際、係員が待機を指示したにも関わらず、2分後に検査場の隙間をすり抜け不法侵入していたとしています。
搭乗口では、保安検査を受けているのが当然であるため疑うこともしなかったのか、係員は本人確認の上、搭乗を許可。12時28分に搭乗機は出発していたとしています。
すり抜けが発覚したのは、その10分後の12時38分で、不法侵入者はいない状態で無関係の2万人以上に影響が出ています。
これまで詳細が公表されておらず、なぜ不法侵入者が保安検査場で入場を拒否されたのか疑問視されていました。搭乗券のかざし方の問題なのか、携帯端末の操作ができずに搭乗券を表示できなかったのかなど、搭乗する側が何に気を付ければ良いのか分からず不安な状態でした。
しかし、そもそも搭乗資格がなくなっていたという単純な理由であることが判明しました。
今後は搭乗口でも搭乗券チェックが厳しくなります。保安検査場でかざした搭乗券を搭乗待合室でなくさないように注意する必要があります。また、携帯端末の表示などで搭乗する場合、保安検査場通過後に搭乗券データを再取得したりすると、別の搭乗券データになってしまうこともあるため、操作に慣れていない人は、保安検査場通過後は端末をいじらないようにするか操作方法を予め勉強しておく必要がありそうです。
■8 月5 日に新千歳空港で発生した保安検査すり抜け事案への対応について(国交省公式サイト)
http://www.mlit.go.jp/report/press/kouku09_hh_000086.html
ラベル:新千歳空港