■年末特集 2016年勝手に空港10大ニュース
2016年もあとわずか。
今年ニュースな出来事があった空港を、johokotuの独断と偏見で10空港ピックアップしました。
1.オノミチフローティングポート(広島県):半世紀ぶりに旅客便が離着水
最初に取り上げるニュースな空港は、いきなり空港ではないところから。広島県尾道市のオノミチフローティングポートで、水上機が離着水できる発着場です。
8月、日本では実に半世紀ぶりとなる水陸両用機による旅客運航が実現。その離着水場として、尾道に新しいフローティングポートが誕生し、注目を集めました。
海に囲まれた日本で、今後、このような発着場が各地にできていくのか、期待が高まっています。
2.熊本空港/阿蘇くまもと空港(熊本県) 二度の震度7で大きな被害も復旧へ全力
4月、熊本県阿蘇地方を震源とする大地震が発生しました。熊本空港(阿蘇くまもと空港)がある益城町では、史上初めて震度7を二度も観測し、熊本空港も大きな被害を受けました。
被災直後は運航が停止しましたが、素早く再開、6月には国内線が平常化しています。一方で、旅客ターミナルビルの被害は大きく、現在も復旧作業が進められています。
地震の多い国で安全に空港が機能する難しさを痛感する出来事になりました。
3.那覇空港(沖縄県) 国際線や駐車場の増築を実施
今年は複数の空港で旅客ターミナルビルの増築工事が完成しています。その中で、那覇空港では、9月に第三駐車場が全面開業。7月と9月に各ターミナルと駐車場を結ぶ連絡通路が新設され、10月には国際線旅客ターミナルビルに新しい搭乗橋が完成するなど、動きが続きました。
那覇では、ここ数年、国際線の運航が急増。混雑が激しい状態が続いており、増築の完成で、国際線の利便性と快適性が向上しました。
4.仙台空港/仙台国際空港(宮城県) 新しい運営を開始、路線バス続々開設
新しい空港経営として、ここ数年、急速に進み始めた運営の民間委託。今年も複数の空港で始まっています。東日本大震災からの復興へのステップとして注目された仙台でも7月、民間委託が全面スタートしました。
国管理の地方空港が民間委託されるのは初めて。鉄道会社を母体とする運営者も初めてで、新しい取り組みが次から次へと出てくるのではと大きな期待が寄せられています。
交通系の強みを活かしてか、8月に地元の岩沼、11月に福島、12月に岩手への新しい路線バスを運行開始するなど、早速新しい動きを見せています。
5.福岡空港(福岡県) 半世紀親しまれた第1ターミナルが閉館
寂しいニュースもありました。
10月、福岡で半世紀近く親しまれた第1旅客ターミナルビルが、再整備事業の工事進捗に併せて閉館となりました。第1は福岡で最も古い旅客ターミナルビル。螺旋階段や檻のような展望デッキなど、独特な雰囲気で、多くの人に親しまれてきました。
今後は、ランド側に移動する形で新しい旅客ターミナルビルを設置し、跡地には駐機場ができる予定です。
第1を閉鎖する一方で、第2、第3ではターミナルを改修。出発口など新しい施設が出てきています。新しい福岡空港に向けてのワンステップとなりました。
6.札幌飛行場/札幌丘珠空港(北海道) 初めてのジェット機定期便が就航
今年、路線変化で最もインパクトがあったのは、札幌でしょうか。
6月、開港以来初めてとなるジェット機運航の定期便が就航し、注目を集めました。
就航会社は大手航空会社ではないフジドリームエアラインズ、就航先も大都市圏ではない静岡だったことから、就航地以外ではあまり大きく取り上げられませんでしたが、短い滑走路ではジェット化はできず、プロペラ機よりうるさいという日本独特の常識を打ち破り、世界に並ぶ、空港の新しい歴史を作りました。
7.静岡空港/富士山静岡空港(静岡県) 中国便が今年は次々と廃止に
路線変化が悪い方に流れてしまった空港もありました。札幌とジェット機で結ばれた静岡です。
昨年中国便が次々に就航して話題となりましたが、今年は一転して路線が次々に廃止される事態に。昨年以降に就航した中国便のうち、一年以上持った路線はわずか5路線と、路線維持の難しさを実感できる空港になってしまいました。
今年の後半からは、海外から路線を誘致するだけでなく、中(静岡)からの需要を意識した取り組みも進行。12月から新たに東京・渋谷とを結ぶ路線バスを開設するなど利便向上に向けた模索が続いています。
8.沖永良部空港/えらぶゆりの島空港(鹿児島県) 珍しい愛称が決定
毎年増えている空港名の愛称。年明けすぐ元日に、沖永良部空港が、島の名産であるえらぶゆりをベースにした愛称を発表しました。
花の名前は、宮崎、福江に続く命名。さらに離島をPRするため、新石垣に続き、「〜の島」と付ける、珍しい名称に確定しました。
今年、空港の愛称は、この他に佐賀が有明佐賀から九州佐賀国際に変更。仙台が会社名に合わせて仙台国際でのPRを始めるなど、新しい形での広がりを見せました。
9.成田国際空港/成田空港(千葉県) 増築やリニューアルで利便性向上
日本のトップナンバー空港である成田は今年も話題が豊富。利便性向上に向けた取り組みが続きました。
3月、第1旅客ターミナルビルに固定ゲート2スポットと新しいエプロンを増設。第2旅客ターミナルビルでは到着ロビーのリニューアルを完了しました。7月には空港初となる旅客向けの24時間営業飲食店を開業。さらに10月には、第2-第3旅客ターミナルビル間の無料連絡バスの所要時間を大幅短縮しました。
一方で、戦争直後から多くの便を就航してきたデルタ航空が冬ダイヤから大幅減便を敢行。東京国際路線の拡大で日系、米系ともに成田切りを加速させるなど苦しい状況が続いています。
10.関西国際空港/関空(大阪府)&大阪国際空港/伊丹空港(大阪府) 二空港まとめて民間委託
関西国際空港(関空)と大阪国際空港(伊丹空港)では4月、二空港まとめて民間委託が行われました。委託を受けたのは、オリックスとともに、フランスのVINCI AIRPORTが外資として日本で初めて本格的に出資した運営会社関西エアポート。関西地方が地盤の企業をはじめとした30社も出資し、オール関西での運営になっています。
9月に中国の支付宝決済をスタート。10月には世界で採用されているスマートセキュリティーを導入するなど、日本で初めてのサービスが始まっています。サービス向上へ向けた動きが進んでいます。
このほかにも話題となった空港トピックスはたくさんありました。
が、独断と偏見で、10個に絞って今年の空港の話題を振り返ってみました。
2016年は、地震や台風の被害が大きく、陸をほとんど必要としない空港の重要さが再認識された一年でしたでしょうか。水上離着陸場も出来、空、陸、海の連携が注目されたように感じます。
2017年は、どんな年になるのでしょうか。今年よりももっと明るい年になることを願いつつ、2016年を締めくくりたいと思います。
今年も「情報交通ホットライン 空の駅情報館」をご覧いただきありがとうございました。