□南洋群島 ついに日本路線全滅、訪問は第三国経由へ
デルタ航空(DAL)は、7日に成田国際(成田)-北マリアナ・サイパン線、8日に成田-パラオ・コロール線を運休しました。この運休で、日本を発着する南洋群島路線の定期便が全て消滅。一つの時代が終わりを告げました。
今回定期便が運休となったのは、成田と北マリアナのサイパン、成田とパラオのコロールを結ぶ2路線です。
サイパン島とパラオは、1919年から26年間日本が委託統治していた南洋群島を構成していたことのある島々です。日本にゆかりのある島々で、今も日本ととても深い関係を持ちますが、今回の運休で、日本からの直行便が消滅。これにより、南洋群島と日本本土を結ぶ直行便が全滅することになりました。
日本と南洋群島を結ぶ路線の歴史は、日本の航空史のなかでも古く、1941年には横浜からサイパンやパラオへ飛行艇が就航しています。1945年の敗戦で米国管理下に移り、日本からの直行便は一時消滅していましたが、数十年を経て民間輸送が復活。長年にわたり、日本との架け橋になってきました。
サイパン島や周辺のテニアン島、ロタ島は、1990年代を中心に、グアムとともに気軽に行ける最も近い海外として注目を浴び、多くの日本人が訪れています。サイパンには、成田だけでなく、大阪や名古屋からも運航。日本航空はジャンボ機を飛ばしていたことでも知られています。
パラオは、日本語がルーツの単語も多くあり、親日国として知られています。定期便の直行便の就航は2010年代ですが、70年の時を経て繋がった路線が再び運休することになります。日本航空等が夏期にチャーター直行便を飛ばしてはいるものの、定期便としては運休となります。
南洋群島は、戦前から非常に多くの日本人が関わっています。南洋群島への直行便廃止は、単なる国際線の一路線が廃止になったということではなく、それにより一つの時代が終わりを告げたと言っても、言い過ぎではない出来事なのです。
こういった古くからの、身近な国・地域との繋がりが途切れることは、非常に残念な事態です。近年近場の海外観光地と言えば、韓国や台湾といった流れが強くなり、かつて、行くことが憧れでもあった近場の南国リゾートのあり方も考えさせられるものになっています。
今後、日本からサイパンへ行くには、サイパンを通り越して米国のグアム経由で行くか、韓国ソウル経由で日本上空に戻りながら行くか、のいずれかが主流になるものと思われます。パラオへも、グアムかソウル、マニラなどを経由しなければ行けなくなります。
かつて日本が委託統治していたエリアに第三国経由で行かなければならなくなる。非常に残念な事態になってしまいました。
地元などでは、格安航空(LCC)を誘致する動きもあるようですので、日本からの直行便が再開されるかもしれませんが、具体的な話はまだ出てきていませんね。
今後の動きに期待したいと思います。
※南洋群島という呼び名は、太平洋戦争の戦場になったこともあり、一部の方にはあまり良い印象がない様です。しかし、ここでは、何十年も前からの日本との深い繋がりを示すために、また、こういった地域との繋がりを大切にしていきたいという想いも込めて、敢えて、この区切りで話題にしています。今回は、特に、韓国や台湾からの直行便が残っているのに、日本本土からの直行便がなくなることへの残念感がとにかく強いです。
サイパン同様に人気のある近場の太平洋リゾートにグアムがあります。グアムへはまだ日本からの直行便が残ってるから、気にする必要ないのでは?という方も多いと思います。しかし、グアムは、地学的にはサイパンと同じ群島を構成しているものの、南洋群島には属していない飛び地的な統治をされた島です。日本は戦争中に一時占領しただけに過ぎず、日本と古くからの関係は希薄です。そんな背景もあり、これまでグアム便が少なくなろうが、あまり気にしなかったのですが、サイパンやパラオへの直行便がなくなるのは、特別なことだけに、今回、思わず記事にしてしまいました。
2018年05月09日
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