※2019年2月にアップした2019年1月の旅行記です。
■2019.01 竜ヶ崎・百里の旅行後
今回の空港訪問では、最寄駅からアクセスバスで訪れました。数年前より便数が多くなり、かなり使いやすくなった印象でした。
今回は、そんな最寄駅からのアクセスバスについて軽〜く取り上げます。
■バスが便利な空港は意外と多かった
茨城空港の最寄駅からのアクセスバスは、石岡駅-空港間の関鉄グリーンバスの路線です。平成31年1月現在、16.5往復運行で、だいたい1時間に1本、最短で30分間隔で運行されています。
このバス路線は、開港時にはたった2往復、航空便に合わせたダイヤだったところからスタートした路線。前回平成25年に訪問した時は12往復でしたので、かなり便数が増えてきています。常磐線がだいたい30分間隔なので、なんとなく、鉄道からバスへ気軽に乗り継ぎ利用できるようになってきた印象でした。
国内の多くの空港は、最寄駅からアクセスバスが走っています。しかし、航空便と連動した運行の場合が多いのが特徴。そんな中で、茨城のように、航空便連動にこだわらずに最寄駅からの連絡バスがポンポン走る空港があります。
今回の私みたいに、空港に見学に行く需要は、気軽で行きやすいことが結構重要なポイントになりますから、アクセスバスが高頻度で走っていると、それだけで空港の利用を増やせます。
そんな高頻度運行の最寄駅アクセスバスがある空港を、まずは見てみます。
函館 航空便 国内21・国際1 程度
函館駅 シャトルバス38往復
青森 航空便 国内20・国際1 程度
青森駅※ 路線バス17往復
仙台 航空便 国内31・国際3 程度
館腰駅 路線バス12往復
百里 航空便 国内 6・国際2 程度
石岡駅 路線バス16.5往復
調布 航空便 国内10・国際0 程度
調布駅 路線バス17往復
新潟 航空便 国内23・国際2 程度
新潟駅※ アクセスバス33往復
新潟駅※ 路線バス平18土休13.5往復
松本 航空便 国内 3・国際0 程度
松本駅※ アクセスバス3往復(航空便連動)
松本駅※ 路線バス平16土休13往復
富山 航空便 国内 5・国際1 程度
富山駅 アクセスバス5往復(航空便連動)
富山駅 路線バス10往復
小松 航空便 国内19・国際2 程度
小松駅 路線バス36.5往復
静岡 航空便 国内 8・国際2 程度
島田駅 アクセスバス8往復(実質的に航空便連動)
藤枝駅 アクセスバス7往復(実質的に航空便連動)
名古屋 航空便 国内23・国際0 程度
西春駅 路線バス平39土休32.5往復
勝川駅 路線バス平21.5土休18往復
岡山 航空便 国内12・国際3 程度
岡山駅 アクセスバス22往復
広島 航空便 国内26・国際4 程度
白市駅 路線バス25.5往復
山口宇部 航空便 国内10・国際1 程度
宇部新川駅※ アクセスバス9往復(航空便連動)
宇部新川駅※ 路線バス平9土休6往復
徳島 航空便 国内13・国際1 程度
徳島駅※ アクセスバス14往復(航空便連動)
徳島駅※ 路線バス10往復
高松 航空便 国内18・国際4 程度
高松駅※ アクセスバス22往復程度(一部航空便連動)
松山 航空便 国内37・国際1 程度
松山駅※ アクセスバス49往復
高知 航空便 国内22・国際0 程度
高知駅※ アクセスバス50.5往復
北九州 航空便 国内18・国際5 程度
朽網駅 路線バス32往復
長崎 航空便 国内36・国際1 程度
大村駅 路線バス20.5往復
熊本 航空便 国内39・国際2 程度
肥後大津駅 路線バス27往復
※は厳密には最寄駅ではないですが、実質的に最寄駅として機能している発着地
ざっくり挙げてみたのが上の通り。意外と多くの空港で運行されている印象です。
最寄駅アクセスバスの便数が少ない空港もあるものの、函館や北九州などバスの本数が20往復を超えている空港も多く、これらの空港は事前にダイヤを調べなくても、来たバス便に気軽に乗って行ける印象があります。
ただ、やはりアクセスバスの便数が多いのは、航空便の便数が多い空港がほとんどです。
茨城のように航空便が少なめなのに、バスがたくさん出ているのは、結構珍しい存在のようです。便数が一桁台の空港では、連絡バスはほぼ航空便と完全連動で、バスが高頻度で走っているのは、茨城以外では松本ぐらいしか見られませんでした。
■茨城空港はよく考えられたバス路線群
茨城が優れているところは、乗り入れるバス路線が複層構造になっていることでしょうか。
茨城を発着するバス路線は、
(1)大都市直行(遠距離バス):東京駅行
(2)地域拠点都市連絡(中距離バス):水戸駅行(多頻度)、つくば駅行、常陸太田市行
(3)最寄駅連絡(近距離バス):石岡駅行(多頻度)、新鉾田駅行
(4)地元向け(近距離バス):小美玉市コミュニティバス
と、ターゲットが異なる四重構造になっています。
(1)の長距離バスのターミナルとしても機能しているため、航空利用以外の呼び込みに成功。よく考えられたバス路線群と言えそうです。
航空便が少ない空港の場合、同じような方面に多くの路線を運行させると、それぞれの便数が少なくなるために利用が分散してしまい、それぞれの路線維持が難しくなります。
このため、1路線のみしかバスがない空港も多いです。1路線しかない空港は、小さな空港に多く、「(2)地域拠点都市直行路線」か「(3)最寄駅路線」の場合がほとんど。北は稚内から、南は宮古までかなり多くの空港で採用されており、航空便と完全連動のことが多いのが特徴です。
茨城は複数路線を設定できるぐらいの利用がありますが、ターゲット別に利用を集中させることで、多方面の路線の維持に成功しています。結果として、バスの多頻度運行が実現できています。
四重構造にもなっている空港は非常に珍しく、普通は3種類ぐらいが限界です。先に挙げた空港の中では、近い存在は北九州ぐらいですが、それも「(1)大都市直行路線」(福岡市内行)は深夜のみなどと、完全ではありません。
北九州の場合、平成18年の開港当時は「(3)最寄駅路線」として朽網駅行(当時34往復)と苅田駅行(当時17往復)の二種類が運行されていましたが、現在は朽網駅行(32往復)に集中させています。苅田に行くなら朽網から15分間隔で運行する鉄道で一駅ですから、バス路線としてはほとんど変わらない存在でした。全体の運行便数は減っていますが、気軽に行きやすい便数と言う点では全く問題ないまま、路線維持につなげられています。
同じターゲットで同方面に複数路線を運行しているために、結果的に利用が分散しているケースは結構見られます。
例えば、静岡は「(3)最寄駅路線」が島田駅行と藤枝駅行の2方面あって同じターゲットの乗客を奪い合うことになっています。このため、結局、便数を維持できず、運行されているのは航空便に連動する便だけになってしまっています。こうなると、航空利用以外の利用の呼び込みは難しくなってしまいます。
この2駅は、鉄道では二駅間。どちらか1方向に統合し便数を二倍にした方が、行きやすさは格段に上がってきます。
■訪日外国人で公共交通機関のアクセス向上はポイント
訪日外国人が最近多くなってきていますが、訪日外国人が増えれば増えるほど、空港からの公共交通機関のアクセス向上は重要なポイントになります。
空港への個人利用者のアクセスは、タクシー利用やレンタカー利用が一般的と思われがちです。ツアー客なら空港からチャーターバスでサヨウナラでしょう。
しかし、個人旅行客、特に訪日外国人は気軽にレンタカーは借りられないでしょうし、タクシーは財布に響きますから、公共交通機関は頼みの綱です。ここを便利にすることは重要です。
例えば、日本人が海外旅行に行くことを考えてみれば分かりやすいでしょうか。
バカ高い金を出してツアーを組んで、空港からチャーターバス(日本で言う白タクでしょうか?日本人(中国人)が手配した日本人(中国人)の運転手の日本人(中国人)の車で日本(中国)で決済して乗るんですよね?)で観光地をグルグル回るのも方法としてはありますが、自分の好みの場所に行きたいなら、現地の鉄道なりバスなりを利用するでしょう。特に鉄道やバスが発達している国なら尚更です。
訪日外国人が日本で感じるのも同じでしょう。
個人旅行の場合、空港アクセスを調べて、それが不便だと、それだけで選択肢から外れてしまうこともありえます。
事前の調査で、ネットで調べにくいバスの複数路線を見比べるのは本当に面倒です。特定の最寄駅まで出ればあとは鉄道で、となっている方が、はるかに分かりやすさも利便性も向上します。
広島空港の白市ルートなどは、そういった分かりやすさという点では、非常に優れていることが分かります。
交通事情が分かりにくい地域こそ、公共交通機関がいかに分かりやすく使いやすいかが、非常に重要なポイントになってくるわけです。
バス路線が工夫されていた茨城空港を今回利用してみて、アクセスバスは多経路運行しなくても、ポイントとなる路線に集中させて頻度を上げれば使いやすくなるということが、なんとなく分かりました。
最近、航空利用以外の利用者を呼び込むため、ターミナル施設の充実を図ろうとする空港は多いです。
しかし、アクセスが不便では人を呼び込めません。そもそも、航空便連動の便しかなかったら、出発・到着前後のついで利用も期待できないでしょう。
箱モノを整備するだけでなく、茨城のようにアクセス交通の工夫が必要なのかもしれません。
非常に簡単な内容ではありますが、そんなことも体感できたことに驚きながら、今回の旅行を〆たいと思います。
2019年01月20日
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