2019年04月23日

席で左右された快適旅(旅行後)

※2019年5月にアップした2019年4月の旅行記です。
旅行前1日目/2日目(旅行無)/3日目旅行後

■2019.04 東京国際・熊本・福岡・静岡の旅行後

今回の旅では、空港ではなく、熊本駅前でバス路線を調べた結果、熊本空港でリムジンバス以外に路線バスが複数系統走っていることが分かりました。

そこで今回は、空港アクセス交通が分からないという体験を少し掘り下げてみます。

■停車バス停がバラバラで分かりにくい熊本
熊本空港に乗り入れているバス路線は、大部分が九州産交バスによる運行です。ネットでダイヤを調べてみると、空港を発着するバス路線について調べることができます。
しかし、複数系統あるバス路線の公開ページは系統ごとにバラバラ。空港バス停の時刻表は、空港発の全便を一括表示できますが、一便一便見ていかないとどの系統のバスかは分かりません。そして、空港着のバスは調べようがありませんでした。
結果、現地に行って初めて熊本駅前から空港へ路線バスがあることにも気がつけたという状況になっていました。

ただ、現地の表示は、経由地などは一部のバス停しか記載がありません。全ての停車バス停の記載があるのは熊本駅直行便のみ。空港リムジンバスと快速たかもり号はほんの一部だけ経由バス停が異なりますが、現地の時刻表は一緒の表示です。

熊本空港を発着するバスは、路線も便数もとても多く、気軽に利用できるその形態は、優等生的な存在として知られています。
しかし、同じ行き先でほぼ同じ経路を辿るのに、様々な停車停留所があるため、分かりにくいという大きな問題がありました。

このような路線網は、他の空港ではあまり例がありません。
例えば、長崎空港も似たように便数が多いバス路線が乗り入れており、長崎駅行きが複数系統あります。しかし、熊本とは異なり、長崎駅行きは、同じ行き先であっても、途中に通る道路が明らかに違い、明確に別路線と見ることができます。熊本は通る道路が同じですから、言ってみれば、鉄道の種別のような分かれ方になっています。種別のように特急、快急、急行、快速、準急、各停みたいにはっきり分けてくれればまだしも、同じ特急でも停車バス停が違ったりするので、あっちのバスは停まるのに、こっちのバスは前を通るのに停まらないの???とカオスになっています。そもそも違いがあることに気がつかないまま乗っている人も多そうです。
他空港だと、那覇空港から名護へ行くバスが、近い存在ですが、こちらも経由地が違うので、路線の違いには比較的気付きやすくなっています。

空港に乗り入れているバス路線を普段から調べている人ですら、こんな感じですから、たまたま熊本空港を使った客からすると、もう何がなんだか訳が分からないバス路線と言えるかもしれません。

<熊本空港から熊本市中心部へ向かうバスの現状>( )内はバスポールでの記載
■1番乗り場
・空港リムジンバス [熊本駅前経由]西部車庫行*C(「空港リムジンバス」「行先 熊本駅前(西部車庫)」「経由 グランメッセ・熊本県庁・水前寺公園・通町筋・交通センター」
・快速たかもり号  [熊本駅前経由]西部車庫行*D(「空港リムジンバス」「行先 熊本駅前(西部車庫)」「経由 グランメッセ・熊本県庁・水前寺公園・通町筋・交通センター」
・熊本阿蘇線    [熊本駅前経由]西部車庫行*B
・熊本駅直行便   [熊本駅前経由]西部車庫行*E(「熊本駅前直行便」「行先 熊本駅前(西部車庫)」「降車バス停 熊本駅前・二本木口・田崎橋・西部車庫」
・特急たかちほ号  熊本駅前行*B(「やまびこ号・たかちほ号」「行先 熊本駅前」「経由 熊本県庁・水前寺公園・通町筋・交通センター」
・特急やまびこ号  熊本駅前行*B(「やまびこ号・たかちほ号」「行先 熊本駅前」「経由 熊本県庁・水前寺公園・通町筋・交通センター」
・九州横断バス   熊本駅前行*A(「九州横断バス」「行先 熊本駅前」「経由 県庁前・交通センター」
■3番乗り場
・路線バス県16系統 熊本駅前行*F=九州産交バス(「行先 熊本駅前(各停)」「経由 通町筋、熊本交通センター」

*A)益城インター口・熊本県庁前・通町筋・熊本交通センター・ANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイ・熊本駅前
*B)経由Aの各停留所に加え、益城インター口-熊本県庁前間に東町中央・自衛隊前 追加、熊本県庁前-通町筋間に水前寺公園前・味噌天神 追加、ANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイは未経由、熊本阿蘇線のみ熊本駅前の次に西部車庫追加
*C)経由Bの各停留所に加え、阿蘇くまもと空港-益城インター口間に国際線ターミナル・テクノリサーチパーク入口・テクノ団地入口・グランメッセ前 追加、熊本交通センター-熊本駅前間に河原町・商工会議所前・ANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイ 追加、熊本駅前-西部車庫間に蓮台寺 追加
*D)経由Cの各停留所経路に加え、味噌天神-通町筋間に 交通局前 追加
*E)(空港で乗車したあと降車できる停留所)熊本駅前・二本木口・田崎橋・西部車庫(乗車専用停留所として8か所にも経由)
*F)テクノリサーチパーク入口など38か所を経由


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熊本空港の自動券売機上に掲げられていた路線図。停車バス停や系統が全て書かれているわけではありません。

■実は重要な公共交通機関の情報提供
レンタカーを使わない場合、旅行先での移動は、現地の公共交通機関を使うことが多いでしょう(お金を出せばチャーターできますけど、、、)。そして、事前に公共交通機関について調べた結果、路線がないからとか、接続がうまくいかないからとか、そういった理由で寄り道を諦めることは多々あるかと思います。
公共交通機関が走ってなくても、レンタカーを借りればチョチョチョイよ、という人は問題ないですが、公共交通機関しか利用できない人にとって、路線がうまく繋がらないということは、それはそのままイコール訪問先から外れるということになります。それが、路線情報がきちんと伝わっていないから、そんなことになっているのだとすると、こんな馬鹿げた話はありません。
公共交通機関の情報がきちんと伝わらないというのは、集客する上で致命傷になり得る出来事です。

ここ数年増え続けている訪日外国人向けの情報提供がまさにそんな状況なのをよく見かけます。
よく、地方の名所に外国人が多くなったという特集が組まれていますが、よく見てみると、そこまで来た外国人は、公共交通機関を利用しているパターンが多いです。いや、逆に言うと、訪日外国人がよく来ている場所は、公共交通機関で行けるところが多いんです。
もちろんレンタカーを借りて旅行する、あるいはタクシーを借り上げて訪れるという人もいるでしょうが、外国に来て、(大多数の国は右左が逆で)車を運転するのはリスキーですし、タクシーは高額で手を出しづらい。そういう人は公共交通機関に頼らざるを得ません。
その時、公共交通機関が使いづらいと、予約する時から利用者を減らしている可能性が高いです。

それが顕著に現れている一例に、長野県と岐阜県の妻籠宿-馬籠宿があります。
両宿場間の歩いての峠越えは、最近外国人比率が非常に高いのだそうです。その多くはJR中央本線とバスを組み合わせて来るのだとか。
日本在住の人間なら、中央高速に車を走らせ、峠は車でそのまま越えて妻籠と馬籠を別々に観光、という感覚でしょう。日本人は不便な公共交通機関ではなかなか来ないので、歩いて峠越えをしない。一方で、外国人は公共交通機関で行かざるを得ない。自動的に外国人比率が高まっているというわけ。中央本線やバスの情報がきちんと伝わらないと、これらの外国人はこの峠にはたどり着けないことになります。
京都の名所、天橋立も外国人に人気が出ていますが、ここも個人が鉄道を利用して気軽に訪れやすい場所です。

どこの観光地も、数年前までは、大型観光バスで中国人が大挙して押し寄せて、という感じだったのでしょうが、最近個人旅行が増えています。個人旅行だと、公共交通機関を使う比率が高いので、その情報の出し方は非常に大切になってきます。
今回利用した静岡では、まだ大型観光バスで中国人が移動していましたが、、、。

201904l.jpg
静岡空港に出ていたバスの発車案内。行先がはっきり分かれていれば、迷うところはあまりありません。自分の場合は、JR東海道本線に乗り換えて、沼津方面に向かう予定だったので、どれにするか迷い所でしたが、、、。

■海外ではバスも電車も並列
で、話を空港バスに戻していきますが、バスが、どこをどう走っているのか分からないのは、一番の問題点になってきます。
日本の場合、鉄道が圧倒的に定時性に優れ、値段も安いことから、日本人の多くは鉄道>バスという意識でしょう。成田国際や東京国際等では、アクセスに路線バスを使う人も増えていますが、例えば仙台は鉄道開通と同時にバスがほぼ全廃されるなどしています。

しかし、海外だと、そもそもこの環境がまるで違います。
海外では、鉄道が走っていても、定時性に難があるせいか、バスを使うユーザーも結構多く見られます。鉄道が発達している国も例外ではありません。さらに、鉄道とバスが連続的な運賃で利用できるところも多いので、海外では、鉄道とバス、あるいは路面電車などを同等の交通手段として並列的に見ている人がとても多いです。
乗換検索を使ってみても、まるで鉄道路線のようにバス路線が出てくるのが当たり前になっています。例えば、ロンドンのヒースロー空港から西方面のウェールズへ向かう場合、国鉄のサイトで経路検索・予約をしようとすると、一度東へ向かうヒースローエクスプレス+西方面へ向かう特急といった鉄道だけのルートは一切出てこず、空港から西方面へ向かうバス+特急といった経路が出てきてしまいます(鉄道経由は予約すらできない)。
日本の場合は、こうしたものは、ごく限られた路線しかヒットしません(空港バスはヒットすることは多いです)。

最近流行りのテレビ番組に、なんでそこにいるんだと海外の人に会いに行く、とか、世界の果てまで行くのにとても時間がかかる、みたいな番組があります。現地の国際空港に着いてから移動することが多いですが、その大半は、(実際には飛行機や鉄道路線もあるのに)なぜか現地の人にバスを案内されるパターンが多いです。鉄道が当たり前の日本人からしてみたら、違和感だらけなのですが、海外ではそれだけバス移動が当たり前ということなのでしょう。

日本だと、鉄道とバスが並行していると、バスは揺れるし、渋滞にはまるし、時間通り来ないしなどとマイナスイメージで、鉄道利用を選択する人が多いですが、海外の人は、バスで移動することの抵抗感がほぼ無い。この感覚は、日本人と大きく違うところです。

そんな人たちにとってみれば、空港から最寄りの大都市に出るバスがどこを通っているのか分からないのは、論外な出来事。
もっと簡単に行けるのに、行けないと思い込んでしまうから機会損失していたということも充分あり得るわけです。

今回利用した熊本空港のバスの場合は、交通局前バス停が良い例でしょうか。
このバス停には、リムジンバスは停まらず、快速か一部の路線バスしか停車しません。実質的に空港から利用できる便数は一日数便しかありません。経路検索せずに、空港でチケットを買おうとすると、単純になかなか良い便がヒットしません。
しかし、実は、このバス停へは、15分に1便程度運行しているリムジンバスで(路線バスだと)2つ隣のバス停である味噌天神に行き、そこから歩いても数分しかかからない位置にあります。
そういったことは、路線図がないと気が付けません。もっと高頻度で気軽にアクセスできるのに、なぜかアクセス不便な場所になってしまっています

もっと言うと、両バス停の間に九州学院前というバス停があるのですが、そこに行くとなったらどうでしょう。空港発のバスでここに停まる路線はありません。リムジンバスで空港→味噌天神を利用し、そこから5分ほど歩くだけで済むのに、詳しい経路検索したりすると、空港→(リムジンバス)→交通局前→(路線バス)→九州学院前といったルートや、空港→(バス)→肥後大津駅→(電車)→新水前寺前駅→(バス)→九州学院前といったルートがヒットしてしまいます。
さらに、バスルートの上ならまだしも、ルートから少し外れただけの尚絅校前なんて言われたらもうお手上げに近いです。しかし、少なくとも空港バスのルートが地図で見えていれば、尚絅校前バス停の位置が分からなくても、尚絅校は見つけられるので、何となく交通局前で降りれば歩いていけそうなのは分かるでしょう。

空港に降り立った人が向かう目的地は、そもそもバス停ではなく、ホテルだったり、会社や学校だったり、レストランだったり様々です。バス停の目の前にある場合もあれば、バス停から歩かなくてはならない場合もあります。これらは、路線図で見られていれば、自分なりにもっと便利なルートも探し当てられるでしょう(九州学院前や尚絅校の場合は地図付きのものが最適)。

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熊本空港の到着口前にあるのが交通情報を公開する大画面。最近色々な空港で増えてきていますが、熊本ほど複雑だと、交通局前に停まるバスかどうかなんて気付けません。

■安心して旅行するための路線図
熊本の話ばかりでローカルすぎて想像つかないかもしれませんが、東京でも同じです
羽田から都心へのバス路線網なんて、頭に入っている人は、関係者以外ほぼゼロでしょう。券売機だってピンポイントに行き先を選ぶ方式なので、10分後のバスで近くまで行けるのに、直行のバスが出る2時間後まで待ちます、みたいなアホみたいなことも、普通に起こっているわけです。

私自身は、初めて行った海外の街で、バス路線図があって助かったことが何度かあります。
ひとつの事例は、カナダのヴィクトリアに行ったとき。この街の空港は、街の中心部から車で小一時間ほど離れた場所にあります。いわゆるシャトルバスが中心部から空港まで走っているのですが、その値段は25ドルと高額。一方で、市バスを乗り継げば、少し時間は余計にかかるものの、2.5ドルで済みます。
さすがに値段が10倍となると、市バスの方が良かったので、事前にネットで調べてみました。
幸いなことに、現地の日本人が紹介しているサイトがいくつかヒット。日本語で色々調査ができ、McTavishで乗り継ぎ、乗り継ぐ系統番号は○番と□番があるといったことまでは分かったのですが、乗り継ぐバス停の位置や市バスが通るルートはよく分かりませんでした。
実は、中心部からMcTavishの間を結んでいるバスの一部は、遠回りのルートのバスも存在しています。ただ系統番号だけしか分からないと、大幅に遠回りする系統を選んでしまって時間だけが過ぎ去る可能性もあります。また、文字が読めず会話も通じなかった時に乗り継ぎバス停に停まったと気が付かず乗り過ごしてしまうこともありえます。
そこで、空港サイトからリンクが飛んでいた市バスの公式サイトを見に行ったところ、主要バス停だけですが時刻表と、路線図が提供されていました。提供されていた路線図は地図に重ねたものではありませんでしたが、道路の形状にあわせたルートマップになっていたため、片手でGoogleマップ、片手で路線図を照らし合わせると、ほぼ通るルートの特定ができました。
さらに、それが分かったことで、現地で実際に通る道を見ながら、そろそろ降りるバス停だ、と身構えることもできました。

日本に来る外国人も同じです。海外から来る客皆が金持ちで、皆が皆、タクシーを利用できるわけではありません。
鉄道は地図に落ちているからどこに行けるか一目で理解しやすいけど、バスはそうはいきません。そんななかで、バスを利用すると便利になる場所はたくさんあります
バスをもっと視覚的に分かりやすくすることは、結構重要なことなんです。

日本にも、分かりやすい路線図の提供を実践しているバス会社はいくつかあって、個人的には東京都交通局や西武バスが分かりやすい路線図を提供していると思います。私設で良ければ、那覇空港もカバーしている「バスマップ沖縄」(http://www.kotsu-okinawa.org/)が日本一と言えるでしょう。
バスマップ沖縄を見れば、自分の行きたい風光明媚な場所やホテルとバスルートの関係が一目瞭然です。那覇中心部から空港に行くのは、駅まで歩いてゆいレールに乗るより、近くのバス停からバスに乗った方が実は便利だった、なんてことが分かるかもしれません。

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例に出したカナダ ヴィクトリア空港の路線バスのりば。さすがに中心部へ向かう乗り継ぎ路線は出ていませんが、下の方に地図形式の路線図を掲出。日本でも路線図が出ているところがありますが、地図形式は少数派です。


色々書いてきましたが、今回利用した熊本のバスは、同じようなルートなのに微妙に停車バス停が違うという、少し特殊な事例でした。他の空港で、ここまで紛らわしいアクセス交通は国内では見られませんが、長崎のように経由が違うルートのバスが運行されている所ですら、迷っている客はいます。

熊本の空港アクセスも、微妙に異なるから迷ってしまうので、ぜひその辺がもっと分かりやすくなればなあと思いつつ、いつもの通り、徒然なるままに、薄っぺらい感想で旅を〆たいと思います。


posted by johokotu at 21:00| 東京 ☀| Comment(0) | ◆旅行記 | 更新情報をチェックする
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