■北海道七空港 特定運営事業等、北海道エアポートグループの提案概要を発表
国土交通省(国交省)は9日、北海道七空港(稚内、旭川、女満別、釧路、帯広、新千歳、函館)の運営委託に係る優先交渉権者の選定に関して、優先交渉権者(北海道エアポートグループ)の客観的評価結果と提案概要を発表しました。
北海道エアポートグループの提案概要によりますと、「世界の観光客を魅了し北海道全域へ送客する マルチ・ツーリズムゲートウェイ」とする計画です。
七空港合計の路線数と旅客数は、提案時の60路線2,846万人(新千歳以外で19路線537万人)から、30年後に142路線4,584万人(新千歳以外で62路線1,048万人)まで増やすことを目指すとしています。
「7空港の明確な役割分担による航空ネットワークの分散・拡大」を目指すほか、「北海道の魅力発信と地域活性化への貢献」、「デジタルマーケティングによる段階的な観光流動づくり」、「安全・安心を最優先とする長期安定の空港運営」を進めるとしています。
国際ゲートウェイ機能を七空港に分散。七空港は大きく三つに分け、新千歳をグローバルゲートウェイ、函館と旭川を広域ゲートウェイ、稚内と道東三空港(女満別、釧路、帯広)は地域ゲートウェイとして戦略的に位置付けしています。国際線はグローバルゲートウェイがアジア圏ローカルと長距離、広域ゲートウェイが東アジア・東南アジア首都、地域ゲートウェイが東アジア首都と明確にターゲット路線を分けています。
各空港ごとの計画も発表されています。
新ターミナル建設が発表されたのが稚内と新千歳。稚内は、5年後までにターミナルビルを建て替え、道の駅機能を付加するとしています。
新千歳では、10年後までに既存国内線旅客ターミナルの南側少し離れた位置に内際共用旅客ビルのT3を整備、既存ターミナル間連絡通路からBRTを整備する計画です。
ビジネスジェット専用施設も、新千歳の千歳飛行場側の国際線貨物ビル地区と、帯広(専用格納施設とエプロン)の2空港に整備することが示されました。
また、新千歳では、5年後までの整備として、南千歳駅周辺の旧・千歳空港旅客ターミナル跡地にホテル・従業員施設の新設が示されています。
既存ターミナルの改修や駐車場の増強は、規模は様々ですが、全七空港で行われます。
稚内は、5年後までに、24時間駐車場・トイレ、空港広場を整備します。
旭川は、10年後までに、前面への大規模増築、10年後以降に国際線エプロン・施設の拡大を実施。ターミナル直結のエアポートホテル誘致も示されています。
女満別は、5年後までに、旅客ビルを拡張・リニューアル、国際線専用施設の整備、温度管理設備を備えた貨物ビルを新設するほか、10年後までに、リーズナブルな価格のホテルを誘致するとしています。
釧路は、10年後までに、現ターミナルの改修と増築による国際線専用施設設置を行います。
帯広は、5年後までに、カーブサイドの再編、10年後までに、国際線施設を増築します。
新千歳は、10年後までに、既存ターミナル間連絡通路を交通・観光センターに改修、T3に直結ホテルを整備する予定です。
函館は、5年後までに、国際線施設の拡張を行う計画になっています。
就航を目指す路線も各空港ごとに明確化されています。
明確に新規就航先が示されたのは、稚内が関西方面と台北、旭川が成田国際(成田)・神戸・関西国際(関空)・福岡・ソウル・北京・哈爾浜・天津・上海・香港・バンコク、女満別が成田・関空・ソウル・上海・台北、釧路が仙台・成田・中部国際(中部)・ソウル・上海・香港・台北、帯広が成田・中部・大阪国際・神戸・ソウル・上海・香港・台北、函館が成田・関空・高松・福岡・ユジノサハリンスク・ソウル・北京・天津・上海・香港・バンコクの各都市です。
新千歳は、欧米豪等だけでも5年後に倍増の6路線、30年後に8路線化を目指す内容になっています。
道内航空路線についての言及はありませんでしたが、旭川-新千歳、帯広-新千歳を結ぶ図は示されました。
航空以外の交通機関との連携等も示されており、北海道全体の周遊を意識しアクセス交通も考慮した注目すべき計画になっています。
新千歳が苫小牧港との連携するほか、函館で新幹線との接続強化、女満別と釧路の2空港は釧網本線の利用促進も示されました。特に女満別はアクセス向上が一つの項目として詳細が示されましたが、残念ながらすぐそばにある石北本線西女満別駅との具体的な連携はない模様です。
今回は、審査講評は発表されませんでした。
■北海道内7空港特定運営事業等の優先交渉権者選定に係る客観的評価結果等の公表について(国交省公式サイト)
http://www.mlit.go.jp/report/press/kouku05_hh_000138.html
2019年08月11日
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