■年末特集 2019年勝手に空港10大ニュース
2019年(平成31年・令和元年)も最終日まで「情報交通ホットライン 日本空港情報館ブログ」をご覧いただきありがとうございます。
令和最初の年もあとわずかとなりました。
今年、空港利用者にとっての大きな出来事があった空港を、johokotuの独断と偏見に基づき、10個のニュースでピックアップしました。
一年の最後に、ほんの少しだけですが、今年の空港の動きを振り返ります。
1.下地島空港/沖縄県:3月 新ターミナル完成し24年ぶりに定期便就航
今年最も盛り上がった空港は、沖縄県の離島にある下地島空港でしょう。リゾート風で珍しいデザインのターミナルが新設され、24年ぶりに定期便が就航。7月には国際線定期便も就航し、離島空港で、久々の明るい話題になりました。「新空港」や「開港」といった勘違い報道もあるほどの大きな出来事でした。
ただ、冬ダイヤ期間中、新規に開設された関西国際線は12月には早くも運休。成田国際線も特定曜日のみの運航に戻っています。地元民の官公庁対応移動から堅調に推移することが多い県都・那覇線は未だになく、唯一の国際線もゴタゴタが続く香港線であるなど、早くも暗雲が垂れ込めています。来年以降どうなるのか注目です。
2.中部国際空港(セントレア)/愛知県:9月 第2ターミナルが開業
もうひとつ、新ターミナルが大きな話題となったのが中部国際空港(セントレア)です。9月、格安航空会社(LCC)の使用を念頭に置いた第2ターミナルが開業しました。航空会社が利用しない懸念もあり着工が延期されてきた建物ですが、蓋を開けてみれば、早速、日本最多となる8社が使用する人気ぶり。ユニバーサルデザインを重視した空港が造る簡素なターミナルは注目を浴びました。
航空用のターミナルだけでなく、8月には、愛知県国際展示場 Aichi Sky Expoがオープン。日本で初めて免税展示をできるようにするなど、空港ならではの新しい施設が誕生しました。
これらの拡張にあわせて、トヨタのお膝元らしく、駐車場も大幅拡張され、ますます便利になっています。
3.那覇空港/沖縄県:4月 三つのターミナルが統合で一つに
ターミナルの増築では、那覇空港が大きかったでしょうか。那覇空港では、三つに分かれていたターミナルが一つに統廃合されました。国内線と国際線の間に新たな建物を設けて繋げたもので、チェックインロビーが大幅拡張されています。この開業で、日本で唯一貨物ターミナルを使用していた非常に珍しいLCCターミナルが閉館しました。
那覇では、10月に、空港アクセス鉄道のゆいレールが延伸して増発。アクセスも改善し、益々注目を集める存在になっています。
4.新千歳空港/北海道:8月 国際線ターミナルが大幅拡張
新千歳空港でも大規模な改修が実施されました。8月に国際線ターミナルが約二倍に増築され、チェックインロビーや搭乗待合室、到着手荷物受取場などが拡張。訪日外国人の大幅増加で大混雑していたターミナルが広く快適になりました。
11月には拡張した国際線ターミナルに多目的ホールがオープンしました。来月には新ホテルも開業予定で、まもなく拡大が完了する予定です。
5.青森空港/青森県:8月 増築リニューアルが完了
青森空港では、8月に館内の増築リニューアルが完了しました。
チェックインロビーと到着ロビーを拡張したほか、国際線施設を増強。増えそうでなかなか増えない国際線定期便を柔軟に受け入れる体制が整いました。
リニューアルでは、店舗を大幅に配置替えしています。新店舗のオープンは、1月頃から少しずつ行われたため、話題が連続。売店の移設に始まり、6月にはフードコートが新設され、エアポートラウンジも拡張されました。
6.岩国飛行場(岩国錦帯橋空港)/山口県:4月 建物増築もアクセスは乗合タクシー廃止
岩国飛行場では4月に別棟の南館が新設されました。
南館には、館内で初めてとなる飲食店がオープン。団体向けの待合室も開設されるなど、待ち合い機能が拡充されました。
一方で、同じ4月に、空港発着の乗合タクシーがすべて廃止に。アクセス交通の維持が難しい事態になっています。
利便性の向上と低下がほぼ同時に起こり、地方空港の運営の難しさを考えさせられる空港になりました。
7.神戸空港(マリンエア)/兵庫県:7月 増枠で新規就航続々
ターミナル増築が各地で相次いでいるなか、今年、施設はそのままに、運用のみで増便を果たしたのが神戸です。
7月に、開港以来初めて発着枠が緩和され、一日60便から80便に拡大されました。拠点とするスカイマークがすぐに増便したほか、10月にはフジドリームエアラインズが新規就航し、路線数も大幅に増加。松本線、出雲線、高知線と、近距離路線が相次いで開設され、ついに二桁路線数に達しました。
8.成田国際空港(成田空港)/千葉県:10月 運用時間を開港以来初めて延長
さらに運用で話題となったのが、日本のトップナンバーを持つ成田国際です。53年ぶりに基本計画を改訂し、拡張に向けた動きが加速しました。
10月には、開港からの41年間で初めて運用時間帯の緩和が実現。航空機の定期便が設定できる時間が一時間延長され、24時までになりました。海外で呆れられている成田門限がほんの少しですが改善しました。
これに合わせて一部の航空会社は最終便を後ろ倒しにし、鉄道やバスが増便して対応。本当に少しずつですが利便性が向上しています。
9.南紀白浜空港/和歌山県:4月 民間委託開始で新サービスを次々実施
4月に民間委託が始まった南紀白浜空港では、様々な取り組みが続き、関心を呼びました。
香りや音など五感を意識したおもてなしや地元花火大会での渋滞対策への協力など、他の空港ではあまり見られない取り組みも多数行われ、話題になりました。
施設では、アクセス強化が行われており、レンタカーステーションの開設やバス路線の拠点化がスタート。関東方面や大阪へのバスの発着が始まった他、観光需要を狙って串本回りの新宮方面が新設されるなど、利便性向上が進みました。
10.大分空港/大分県:6月 国際線増築も韓国線運休で就航ゼロに
今年、地方空港の国際線は、インバウンド向け施設拡充、ラグビー関係の欧米からの訪日客増加、韓国線の大幅運休の三点が大きな話題でした。大分空港は、そんな国際線を巡る地方空港の置かれた状況を象徴的に示した空港になりました。
大分では、地方で唯一ラグビーワールドカップの決勝リーグが行われたこともあり、欧米からの訪日客が大幅に増加。これに先立ち、6月に国際線施設を拡張し、多くの訪日客を迎え入れる準備を整えました。ところが、唯一運航していた韓国便が運休となり、国際線定期便がなくなるという事態に陥りました。
旭川、青森、美保(米子)、鹿児島など多くの地方空港で、今年は似たような事態が発生。国際線定期便が全廃まで至ったのは大分位でしたが、羽田に集約が進むなか、国際空港以外がインバウンドを取り込む難しさを実感することになりました。
2019年は、平成最後、令和最初ということで様々な歴史に注目が集まった年でした。情報交通ホットライン日本空港情報館ブログでも、平成最後の4月に、毎日、平成の空港の動きを振り返る特集を組みました(→後書きに特集の全ページリンクあり)。
今年の空港は、そんな歴史も背負いながら、来年行われる一大イベントに向かって、お客様を迎え入れる玄関口としての準備が進んだ一年でしたでしょうか。
かつてのユダヤ人排斥を彷彿とさせる特定民族排斥運動による特定国からの不思議な訪日客急減や、ラグビーワールドカップの開催などによる欧米人の訪日増加で、訪日外国人の質が大きく変化したのも今年の特徴でした。これまでは、観光客なんてこんなもんでしょ、という感じでしたが、街の中での訪日客の振る舞いが大きく変わったことで、国によって民度に差があることを実感したり、これまであまり感じられなかった訪問国やその文化に対するリスペクトやマナー向上などを肌で感じる人が増えたりしたことで、訪日客を迎え入れること、そしてその玄関口である空港を、多くの日本人が意識した年でもあったのではないでしょうか。
2020年は、どんな年になるでしょうか。海外からの玄関口として、地域の拠点として、もっともっと空港に注目が集まることを願いつつ、2019年を締めくくりたいと思います。
今年も「情報交通ホットライン 日本空港情報館ブログ」を
ご覧いただきありがとうございました。
それでは、みなさま、良いお年をお迎えください。
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それでは、みなさま、良いお年をお迎えください。
2019年12月31日