2020年05月24日

全員検疫_50日で米比英から多数

◆空港での全員検疫 50日間詳細を簡単集計した結果、85人の感染者は米国・フィリピン・英国からの入国が多数であることが判明

空港検疫が全員検査を始めてから50日間経過しました。毎日出されている詳細結果を簡単に集計したところ、確認された85人の感染者は、米国からの入国者が突出して多く、フィリピンから、英国からの入国者が続いていることが分かりました。

23日に厚生労働省から発表された空港検疫の詳細結果で、全員検査が始まった4月3日から50日間の感染者詳細データがまとまりました。
50日間で確認された感染者は85人。データは翌日には発表されるため、「確認中」とされている人数も多いですが、入国者の感染状況について詳細が見えてきました。

感染が確認された85人のうち、2件はデータ非公開なので、83人分の集計結果となります。
本当はこういった分析は専門家の方にお願いしたいのですが、誰一人見向きもしていません。統計素人の一次集計程度になってしまいますが、参考にしていただければ幸いです。

罹患率(推定値)
0.212%(推定値)
 検査を受けた人数が正確には出ていないのであくまで推定値に過ぎません。
 検査数は別資料で発表されており、4月4日発表〜5月23日発表の単純足し算で、対象38,548人という数値が出ています。率が低くなる方向で入国者(検査者)が4万人と仮定しても、0.212%の罹患率になります。4月上旬はこの率が0.4%台まで跳ね上がった日も連続していました。ここ数日は収まってきています。4月上旬は罹患の自覚有無関係なく、とにかく帰国だという人が、多かったと推定されます。
 罹患率0.212%は、だいたい470人に1人という数値です。ジャンボジェット(ボーイング747型機)が満席の時に1人感染者がいる計算。身近で言うと、山手線のE235系(中間車で定員が160人)では、乗車率たった100%でも1列車に3人感染者がいることになります。東海道新幹線N700系16両編成で座席数約1,200席なので、満席ならのぞみ1列車に2.7人感染者がいる計算です。商業施設で全国一位のラゾーナ川崎や西宮ガーデンズはお客さんだけで年間約3,800万人なので、毎日200人以上の感染者が買い物に来ている計算になりますね。
 いずれも少なく見積もってなので、かなり怖い数字が出てしまいました。

症状別(唯一85人データ有)
無症状76・有症状9
 無症状率は89.4%です。
 現地で飛行機に乗れている人達ですから、本来全員無症状なはずですが、とにかく帰国するために我慢して隠して搭乗している人もいると思われるので、9割は少し多い印象です(有症状も「頭痛」や「倦怠感」だけといった数人います)。有症状者は8人が4月10日までの入国。4月21日以降は一人も出ていません。4月上旬は無理してでも帰ってこようとしていた人が多数いたと推定される結果になっています。
 PCR検査はウイルス保有者なのに陰性と出てしまういわゆる偽陰性もかなりの割合であると言われています。ここまで無症状者が多いと、検査をすり抜けた人もかなりいそうです。一応、入国者には14日間の自主隔離が要請されていますが、実際、守らずに発症した人も出ていますので、あまりに高すぎる、気になる数字です。
 これをこのまま国内に当てはめると、外出歩けないですね、、、。

空港別
成田33・羽田48・関空2
 4月3日以降、国際線の発着が続いているのは、成田国際(成田)、東京国際(羽田)、関西国際(関空)、福岡の4空港のみです。福岡は就航便数がごくわずかで台湾便のみのため、感染者は確認されませんでした。
 羽田よりも成田の方が残っている発着便数は多いですが、感染確認は圧倒的に羽田の方が多くなっています。羽田ユーザーの方が罹患しやすいということでしょうか。入国者に対しては、14日間の外出自粛は要請されているようですが、空港内でトイレに行ったりお茶飲んだりすることは禁止されていないようですので、特に成田と羽田はオリンピック特別機を撮影しに行くなどといった不要不急の空港訪問は絶対に控えた方が良いですね。

男女別
男性47・女性33・確認中3
 入国者の男女比が分かりませんが、男性の方が女性よりも1.4倍多いです。
 国内の感染者も男性の方が多い(データによっては2倍といったケースも)ので、傾向そのままと言える内容です。

年代別
10代下3・20代23・30代20・40代13・50代7・60代5・70代1・80代1・確認中10
 20歳代、30歳代が非常に多くなっており、40歳代が続いています。
 これは、中高年が多い国内の感染動向と大きな違いが出ています。若い留学生や在留者の帰国が比較的多かったということでしょうか。
 若い人は、高齢者に比べて無症状者が多いとの話もあります。すり抜け案件で、撒き散らしている人がいないか気になる結果です。

渡航元別
中国1・香港1・フィリピン8・タイ2・インドネシア3・UAE1
スイス1・フランス2・英国7・アイルランド1
コンゴ1
カナダ4・カナダ米国3・米国17・米国チリ1・ブラジル4・ペルー1
豪州2
確認中23

 4分の1も確認中となっており、かつ、各国からの航空便の運航数に偏りがあるため、単純な比較はできません。しかし、各国の感染状況をある程度推定するのに役立つデータです。
 圧倒的に米国絡みが多いという結果に。フィリピン、英国、カナダが続いています。
 米国便はかなりの便数が残存していますので、米国とカナダはそもそもの入国者数が多かった可能性があります。一方、フィリピンは運航便数も多すぎるわけでもなく、同国内での感染確認も日本と同レベルでそれほど多くありませんので、少し異様で突出しているイメージです。
 欧州は、ドイツ、オランダからも就航便が残っていますが、確認されていません。一方で、残存航空便が多いとはいえ、英国は7人も確認されています。直行便がないブラジルが多いのは、感染者が多いから当然といった感じでしょうか。
 完全に抑え込んだとされている中国からも1人確認されています。抑え込みの実態がどうなっているのか気になるところです。

居住地別
北海道1
栃木3・茨城3・埼玉2・千葉4・東京20・神奈川8
長野1・石川1・岐阜1・愛知6
京都1・大阪2
鳥取2・広島1
福岡2・大分1
確認中24

 このデータも確認中が4分の1以上で、データを扱うには少々注意が必要です。
 東京都が圧倒的に多く、神奈川、愛知と続いています。東北、四国、沖縄は確認されていません。国内の感染動向に比較的近い分布です。
 関東が非常に多く、南関東では東京、神奈川が多いのも、国内の傾向に合致しています。これらの地域は海外から持ち込まれたものが原因と言われても否定はできない数値です。
 一方で関西の感染者は非常に少なく、国内の傾向と大きく異なります。別のデータで、伊丹空港の減少率が芳しくなかった(=出歩いている人が多い)結果も出ており、関西は、海外からの持ち込みではなく、国内での市中感染が多いと推察される結果になっています。
 公共交通機関で帰れないので、北海道の方は入院か2週間ホテル住まいであったと推察されます。文字通りの検疫(Quarantine=由来は40日(の停泊))を頑張っていただいたでしょうから、頭が下がります。


数値も確認中が多いので、どこまで参考になるかはわかりません。そもそも退院数も一向に変わらないことから、追っかけ確認を一切していないと推察されますし。
しかし、空港検疫の結果は、いま日本で唯一全員検査から出ている貴重なサンプルです。ぜひ参考にしていただければと思います。

早々に入国規制を緩めるといった議論もありますが、米国の数値などを見ると、「そう簡単にはいかないぞ」というデータが出てきた印象です。入国者の男女比や年代、国別数、居住地など含めて、早期にもう少し細かいデータ公開を期待したいところですね、、、(出入国管理統計4月分の月報は6月末ごろ発表予定)。
ラベル:検疫 感染症
posted by johokotu at 19:00| 東京 ☀| Comment(0) | ◇COVID-19関連 | 更新情報をチェックする
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