◆空港検疫 パキスタンからの入国者に感染確認急増は必然?
6月に入ってから、パキスタンからの入国者に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染確認が急増しています。あまりに異様な増加ですが、いろいろと探ってみると、必然とも思われる状況のようです。
6月1日〜15日に空港検疫で確認されたパキスタンからの入国したCOVID-19感染者は37人。同期間に空港検疫で確認された感染者全部で63人(不明9人除く)の半数以上を占めています。さらに、入国後に国内で発症する事例が何人か出ています。
空港検疫で、パキスタンからの入国者に対する検査が始まったのは5月27日。このため、それまでに入国した人は検査結果が出てきませんから、6月以降、パキスタンからの入国という人が確認され始めてもおかしくありません。
ただ、その数がとにかく多いのが特徴です。これまで、イタリア、米国、ブラジルなどで、ピークの時期に空港検疫での感染が増えた国もありますが、せいぜい平均的に1日1人程度。多い日でも1日4人程度で、1日10人レベルで何度も確認されるなど、ここまで数が多いのは異常です。
パキスタンは、16日現在で、世界15位の感染者数を数えます。しかし、人口も多い国なので、現時点では、罹患率は0.06〜0.07%前後と東京都の約2倍程度の感染状況です。
パキスタンでは、国際線の運航が5月29日まで禁止されており、5月30日から再開されました。6月から同国内の患者が増えていることもありますが、他国と比較して突出して急増しているわけではありませんから、入国する人が6月に入ってから急増していることが一つの要因として考えられます。
また、COVID-19に対するパキスタン特有の考え方もあるようです。日本経済新聞に興味深い記事が載りました。
[英文]パキスタン、遅れるコロナ対策 陰謀論が妨害(日本経済新聞社公式サイト)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60354240V10C20A6000000/
https://asia.nikkei.com/Spotlight/Coronavirus/Conspiracy-theories-help-coronavirus-take-root-in-Pakistan?n_cid=DSBNNAR
宗教的な考え方などが感染拡大にも作用しているのでしょうか。
ブラジルと似たような感じなのでしょうが、予防もせず、罹患した後も祈ってりゃ治ると気にしていないのだとすると、感染しても気が付いていないという例も非常に多いのかもしれません。
直行便が再開していない状況であるにもかかわらず、乳幼児も含めた家族で入国している例が多いことを見ると、国外へ脱出が可能となり、とにかくまずはパキスタンを脱出するという人が多いと推定されます。
このパキスタンからの入国者の感染確認は、まだしばらく続くのかもしれません。
2020年06月17日
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