この記事は、公式発表ではなく報道だけをもとにしています。
情報源にご注意ください。
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17日付中日新聞によりますと、空港検疫体制の不足で中部国際空港(セントレア)の国際線旅客定期便の再開が延期になったことが判明。愛知、岐阜、三重の3県の知事が厚生労働省(厚労省)に水際対策強化を要請したことが報道されています。
セントレアの国際線旅客定期便は、16日のマニラ線到着便から再開される予定でしたが、当日欠航になっています。翌17日朝の出発便は運航されたため、客扱いをしなかっただけあることが分かっていますが、その原因は、まさかの空港検疫体制の不足でした。
「PCR検査を受けた人の待機場所が確保できないなどの理由で欠航」したと報道されています。
入国者のうち検査対象者となっているのは、全国で毎日千人前後います。検査結果が出るまでの待機場所は、自宅など検疫の指定する場所に限定されており、市中のホテルなど不特定多数の人が利用する施設での待機は禁じられています。入国者は全員が空港付近に居住しているわけではなく北海道や沖縄など実質的に戻れない人や国内住所不定のまま入国する人(海外移住した日本人など)などもいることから、検査結果待ちの待機場所確保は不可欠になっています。陽性ならそのまま入院or療養施設入り、陰性なら市中ホテルなどへの移動可になります。
例えば、成田国際(成田)では4月当初は到着手荷物受取場に段ボールベッドを用意したこともあったほど。現在は、ホテル日航成田などが指定待機場所として確保されています。今回セントレアでは、マニラ線はA321neoで満席でも200人に満たないですが、これらの施設を確保できなかった模様です。
似たようなことは海外でも起こっており、例えば中国は、検査体制徹底などのため、乗り入れる航空便数を制限し、北京便を一度別の空港に降ろして検査するなどの措置をとるなどしています。
日本乗り入れの国際線は、7月以降は再開される路線も増え、利用者も多少増えてくると見込まれます。これらの施設を準備できるかが、今後の国際線維持のための一つのポイントになりそうです。
一方、中日新聞記事のメインは、これら水際対策を強化するよう3県知事が要請したとの内容です。
中部地方では、5月下旬以降、空港検疫で陽性となった人の入県が相次いでおり、二次感染とみられる事例も複数発生しています。そのほとんどが上記検査結果が出るまで待機OKの自宅へ帰ったケースであるため、厚労省に対し、「検査結果が判明するまで空港に留め置くなどの水際対策を徹底するよう申し入れた」と報道されています。
検査結果が出るまでに帰宅すると、入県してから感染発覚するので、入院先として自県のベッドを占領することになります。海外で入院できた入国者が貴重な病床を使ってしまうことで、自県民の医療体制を圧迫することになりますから、県のトップ判断としては当然の要請でしょうか。千葉県居住者が宮城県に入県してから陽性確認されたケースもあり、このような要請をしたくなるのも理解できます。
ただ、現在入国する空港のある千葉県や東京都は、いまだ患者が多い地域であり、自県民をこれらの都道府県に押し付けるのも医療崩壊を招きかねません。
航空便も一方通行の場合や単発運航などが多く、再入国を拒否っている国も非常に多いです。そもそも陽性となったら飛行機には乗れませんし、通常時のように、気軽に「検疫上入国拒否だから次の便で出発国に帰って」というわけにもいきません。そもそも、入国管理は法務省の仕事。厚労省は難しい立場ですね。
5月下旬はブラジル、6月に入ってからはパキスタンからの入国者の感染確認が急増しています。中部地方はこれらの国の国籍を持つ在住者が多く、陽性者の居住地が異様に中部地方に偏る一因になっています。
※2019年6月データですが、在留外国人統計によりますと、ブラジル国籍者が多いのがダントツで愛知、そして静岡、三重、パキスタン国籍者が多いのが埼玉、愛知、茨城となっています。人数が少ないですが、今回陽性者が出た富山や宮城、岐阜などにはパキスタン人が集まるエリアがありますね。
■空港水際対策強化を東海3知事が要請(中日新聞公式サイト)
https://www.chunichi.co.jp/article/74651
■PCR検査結果待ち一時待機場所としての待機者受け入れについて(2020年6月12日更新)(ホテル日航成田公式サイト)
https://www.nikko-narita.com/news/news_202004_08.html
■在留外国人統計(旧登録外国人統計) (公式サイト)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00250012&tstat=000001018034