◆空港検疫全員検査半年経過、イベントが感染動向に影響
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、4月3日から特定国からの入国者全員を対象にPCR検査・抗原定量検査が実施されています。
10月2日で半年(184日間)となりました。昨日に引き続き細かい動向を見ていきます。
昨日の記事 http://johokotu.seesaa.net/article/477743960.html
まずは昨日の記事で2つ目のグラフです。
数字を一部間違えておりまして、「確認中」の人数が「その他の国」に含まれてしまっていました。
「非公表・確認中」に変更して作成しなおしました。
主要なイベントを追記しています。
■イベントが大きく影響
赤折れ線が罹患率の推移です。
空港検疫の結果は、常に新しい乗客の全員検査結果になります。国別の感染率は、全員検査しているわけではないので、どんどん増えていく一方です。しかし、空港検疫は常に新しい乗客の全員検査結果なので、「全世界の感染平均」を見ることができます。
一つの課題は、すべての国からの入国者を対象にしているわけではないこと。
4月3日時点では73か国・地域のみであり、その後6回にわたり対象国が増加しています。
例えば、5月にバングラデシュからの入国者が千葉県で感染確認されているのですが、当時は対象国ではなかったため、上記グラフに含まれていません。
8月30日以降159か国・地域が対象となっています。世界の国は200弱ですから、4分の1の国・地域は未だに対象外ですが、だいたい日本に入国する人がいる国は網羅されている印象です。
上のグラフを見てみると、この対象国の増加が、感染動向に影響している可能性が見えてきました。
特にこの影響による特徴が出たのがパキスタンです。
グラフを見ると、
5月下旬まで 0.25%前後
5月下旬から上昇
6月中旬〜7月初旬 0.3%前後
7月上旬から上昇
8月初旬以降 0.4%前後
となっています。
それぞれの上昇が検査対象国追加直後から始まっているのです。
■5月下旬からの上昇
パキスタンなど11か国の追加の直後から。見事にパキスタンからの入国者が急増しています。
この時の上昇は、検査対象国化が大きく影響していることが明らかです。
ただ、検査対象国化が大きく影響しているのはこの時ぐらいで、その後は別のイベント事が影響していると思われます。
■7月上旬からの上昇
イランなど18か国の追加の直後から。しかし、こちらは追加国の急増は見られません。
この時期は、フィリピンからの入国者が急増しています。フィリピン航空による就航が急増した時期です。
この時の上昇は、航空会社の就航による急増が原因と推定されます。
■8月以降の安定
7月29日にPCR検査から抗原検査に変更された直後から。行動歴の国も大きく変化しています。
この時の安定は、検査方法の変更が原因と思われます。
こういった傾向を知ることで、今後の対策に役立てられるかもしれません。
■特定地域に住む特定国からの入国者の感染が結構多い?
続いて、在住都道府県別の人数をグラフ化してみました。
特に人数が多い10都府県を色分けしています。
東京都145人、千葉県144人、神奈川県78人、愛知県66人、大阪府55人、埼玉県50人、福岡県25人、兵庫県19人、岐阜県13人、茨城県12人確認されています。
関東は赤系統、中部は緑系統、関西は青系統、九州は紫色としています。
6月頃は緑系統=中部地方が非常に多かったですが、7月頃に千葉が急増、その後は東京が継続的に確認されています。
関西地方や福岡は8月以降に出てきていることが分かります。
全体的に赤系統なので、関東地方の感染が多いことが分かります。
成田国際や東京国際への到着便が多いですから、関東が多いのは当たり前です。
問題は6月頃の中部地方です。一気に急増し、一気に激減しています。
この時期はパキスタンからの入国者が非常に多かったころでした。
また、7月の千葉県も異常です。この時期もフィリピンからの入国者が非常に多かった頃です。
つまり、特定地域に住む特定国からの入国者の感染が結構多いと推定される事態となっています。
対策を考えるのであれば、こういった地方自治体と協力し、その自治体にある当該国人のコミュニティなどに注意喚起することが必要になるのではないでしょうか。
情報が公開されていないので分かりませんが、こういったコミュニティで国内感染が拡大していないか調べるたら、感染の傾向や対策が分かるかもしれません。
■引き続き注視が必要
徐々に入国規制を解除する動きが出てきていますが、5月頃に比べると、まだ感染は全然収まっていませんし、何となく空港検疫がジリジリ増加傾向なので、国内感染が来週あたりから再びジリジリ増加し始めるような気もします。
引き続き、入国者には14日間の自主隔離をしっかりしていただいて、国内の感染状況が悪化しないようにしてもらいたいところです。
情報交通ホットライン日本空港情報館ブログでは、今後もしばらくは、毎日の感染状況を取り上げていく予定です。
このほか、空港検疫結果の様々な数値を紹介しています。
元データが粗いので大した分析にはなっていませんが、参考にしてみてください。
「◇COVID-19関連カテゴリ」http://johokotu.seesaa.net/category/27549355-1.html
2020年10月06日
この記事へのコメント
コメントを書く