2020年10月11日

8月利用復活全くできず

■八月輸送実績 国内線も七月よりも昨年比縮小、利用復活は全くできていない状態

月ごとの輸送実績などを発表している航空各社は9日までに、8月の輸送実績を発表しました。7月下旬以降、国内線は航空需要が戻りつつあるとの報道が多数出ていましたが、7月よりも昨年比が縮小していることが分かりました。

月ごとの輸送実績などを発表しているのは、大手ではANAと日本航空。新興航空会社では、AIRDO、スカイマーク(SKY)、ソラシドエア、スターフライヤーが発表を行っています。また、フジドリームエアラインズとアイベックスエアラインズは国土交通省(国交省)東京航空局から、オリエンタルエアブリッジと天草エアラインは国交省大阪航空局から実績が発表されています(国交省発表は速報値)。
※格安航空会社3社は発表しているところは無し。

8月は、利用者数の前年比が、7月よりも悪化しているところばかりとなりました。そして利用率も大幅に悪化しています。
各社とも7月の需要回復傾向を見て、お盆の時期を中心に供給量を大幅に増やしていましたが、東京や沖縄などで感染が拡大が止まらず、帰省の自粛要請が出たため、利用が直前になって減少。直前に運航を取りやめるわけにもいかず、利用率が急減し、経営に大きな影響を与える結果となっています。

感染状況の影響は大きく、島内クラスター発生が直撃した与論発着は、稼ぎ時の8月なのに、鹿児島線が利用前年比19.4%/搭乗率17.0%(前年83.7%)、奄美線が利用前年比18.1%/搭乗率5.8%(前年30.1%)、那覇線が利用前年比12.7%/搭乗率23.6%(前年86.6%)と惨憺たる状況。感染をしっかり抑えないと利用がついてこないことが良く分かる結果となっています。

大手や新興社の場合、採算ラインは6割〜7割程度と言われています。駐機料の支払いなど色々要素はありますが、単純に利用率だけ見ると、6月程度ならまだ持ちこたえられる可能性があるものの、8月の状況では利用が少なすぎ、非常に厳しいと見えます。
6月頃はとにかく厳しいとしていた報道が、7月以降は国内線は復活傾向と変化。お盆の予約も堅調との報道も一時出ていたこともあり、一般的な印象もそんなところ。しかし、実態は、利用が全然戻っておらず、世間に思われている以上に危険領域といった状況です。

ちなみにSKYは9月分も既に公表しており、前年比36.2%、利用率61.1%となっています。利用はまだ前年の4割に届かず、運航便数の調整で何とかしている状況と見えます。

各社の国内線輸送実績状況(2020年4月〜8月)
・ANA https://www.anahd.co.jp/group/pr/pdf/20201009.pdf(ANA公式)
4月 前年比 8.8%、利用率15.9% / 5月 前年比 4.5%、利用率31.7%
6月 前年比17.6%、利用率53.8% / 7月 前年比24.4%、利用率40.9%
8月 前年比23.7%、利用率29.8%
 東京国際-八丈島  利用率54.4%=利用13,200人(前年比50.5%)、提供24,252席(前年比76.9%)→離島例
 新千歳 -神戸   利用率64.2%=利用2,277人(前年比24.4%)、提供3,546席(前年比33.1%)→需給均衡例
 岩国  -那覇   利用率11.0%=利用400人(前年比5.0%)、提供3,652席(前年比37.3%)→供給過多例


・JAL https://press.jal.co.jp/ja/release/202009/005791.html(JAL公式)
4月 前年比11.5%、利用率19.6% / 5月 前年比 7.6%、利用率22.5%
6月 前年比21.0%、利用率41.6% / 7月 前年比35.3%、利用率46.6%
8月 前年比28.3%、利用率36.4%
 鹿児島 -奄美   利用率43.0%=利用10,799人(前年比45.3%)、提供25,120席(前年比76.8%)→離島例
 東京国際-宮古   利用率62.2%=利用6,265人(前年比)67.6%、提供10,065席(前年比103.4%)→需給均衡例
 奄美  -与論   利用率5.8%=利用157人(前年比18.1%)、提供2,688席(前年比93.3%)→供給過多例(島内クラスター直撃)


・ADO https://www.airdo.jp/corporate/info/flight-data/2020_08.html(ADO公式)
4月 前年比 7.8%、利用率12.0% / 5月 前年比 4.7%、利用率13.3%
6月 前年比13.8%、利用率31.2% / 7月 前年比20.5%、利用率27.0%
8月 前年比25.0%、利用率27.3%

・SKY https://www.skymark.co.jp/ja/company/investor_loadfactor/__icsFiles/afieldfile/2020/10/08/investor_loadfactor.pdf(SKY公式)
4月 前年比15.7%、利用率26.4% / 5月 前年比 5.5%、利用率28.7%
6月 前年比26.1%、利用率48.8% / 7月 前年比40.5%、利用率41.4%
8月 前年比33.7%、利用率39.6%
 羽田発着 利用率43.5%、新千歳発着 利用率46.9%
 神戸発着 利用率38.1%、福岡発着 利用率47.4%
 那覇発着 利用率25.4%→沖縄は外出自粛要請中


・SNA https://www.solaseedair.jp/corporate/flt_data/(SNA公式)
 路線ごとの発表のみ
 東京国際-宮崎  利用率 4月 9.7%/5月15.2%/6月61.8%/7月24.8%/8月11.8%→運航は欠航多数
 神戸  -那覇  利用率 4月25.1%/5月29.6%/6月80.0%/7月59.0%/8月24.3%→運航は7月迄欠航多数、8月はほぼ全便運航
 那覇  -新石垣 利用率 4月27.8%/5月16.4%/6月59.3%/7月67.5%/8月31.3%→運航は基本全便維持・8月は若干欠航


・SFJ https://ssl4.eir-parts.net/doc/9206/tdnet/1884940/00.pdf(SFJ公式)
4月 前年比13.2%、利用率18.4% / 5月 前年比 9.0%、利用率30.3%
6月 前年比27.2%、利用率48.4% / 7月 前年比31.9%、利用率34.4%
8月 前年比22.3%、利用率33.8%
 東京国際-北九州  利用率46.9%
 中部国際-福岡   利用率25.6%
 北九州 -那覇   利用率19.7%→供給過多例(外出自粛要請中)


・IBX https://www.cab.mlit.go.jp/tcab/img/000/info/info_new/20201002_ks01.pdf(東京航空局発表)
4月 前年比24.4%、利用率19.7% / 5月 前年比25.8%、利用率24.3%
6月 前年比48.7%、利用率50.3% / 7月 前年比54.5%、利用率56.4%
8月 前年比42.3%、利用率44.1%
 仙台  -福岡   利用率58.0%=利用6,898人(前年比46.0%)→最多利用
 大阪国際-福岡   利用率63.6%=利用2,759人(前年比74.6%)→需給均衡例
 中部国際-大分   利用率27.0%=利用2,341人(前年比35.0%)→供給過多例


・FDA https://www.cab.mlit.go.jp/tcab/img/000/info/info_new/20201002_ks01.pdf(東京航空局発表)
4月 前年比15.7%、利用率14.0% / 5月 前年比 1.9%、利用率17.3%
6月 前年比17.1%、利用率28.7% / 7月 前年比43.7%、利用率37.2%
8月 前年比36.1%、利用率29.7%
 名古屋 -福岡   利用率30.0%=利用6,405人(前年比33.9%)→最多利用
 新千歳 -松本   利用率46.1%=利用2,387人(前年比57.4%)→需給均衡例
 名古屋 -出雲   利用率22.6%=利用2,061人(前年比26.9%)→供給過多例


・NCA https://www.cab.mlit.go.jp/tcab/img/000/info/info_new/20201002_ks01.pdf(東京航空局発表)
4月 前年比24.3%、利用率26.1% / 5月 前年比12.1%、利用率24.4%
6月 前年比39.6%、利用率67.8% / 7月 前年比59.0%、利用率60.0%
8月 前年比71.0%、利用率57.3%
 調布  -新島   利用率60.8%=利用2,312人(前年比71.9%)→最多利用
 調布  -大島   利用率53.2%=利用1,396人(前年比68.2%)→最少利用(離島なので比較的利用多い)


・ORC http://ocab.mlit.go.jp/about/total/report/pdf/yusou2008.pdf(大阪航空局発表)
4月 前年比22.7%、利用率15.7% / 5月 前年比15.6%、利用率15.0%
6月 前年比48.2%、利用率36.3% / 7月 前年比60.4%、利用率46.1%
8月 前年比51.5%、利用率37.1%
 福岡  -宮崎   利用率29.6%=利用4,903人(前年比31.0%)→最多利用、離島以外、供給過多例
 長崎  -対馬   利用率52.9%=利用4,777人(前年比66.9%)→需給均衡例
 福岡  -福江   利用率27.8%=利用3,004人(前年比34.5%)→供給過多例


・AMX http://ocab.mlit.go.jp/about/total/report/pdf/yusou2008.pdf(大阪航空局発表)
4月 前年比21.1%、利用率11.0% / 5月 前年比 5.2%、利用率 7.9%
6月 前年比14.7%、利用率14.0% / 7月 前年比42.1%、利用率15.7%
8月 前年比47.9%、利用率13.6%
 福岡  -天草   利用率11.2%=利用970人(前年比33.7%)→最多利用、供給過多例

ラベル:感染症
posted by johokotu at 18:00| 東京 ☁| Comment(0) | ◇COVID-19関連 | 更新情報をチェックする
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