◆空港検疫 検査方法変更前後の低感染国・10歳未満動向
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックに伴う空港検疫で、検査方法が7月29日に鼻咽頭ぬぐいPCR検査から唾液抗原検査に変更されてから、低感染国から入国者の陽性、10歳未満の陽性が多くなっているように感じます。以前に分析をしましたが、今回は割合を中心に見ていきます。
割合で見ても低感染国は明らかに増加
低感染国からの入国者については、明らかに検査変更を境に増加しています。
しかも、増加が続いている状況です。
日本よりも罹患率(陽性者数/人口)が低い国を低感染国としています。
※例えばシンガポールは日本より死亡率(死亡数/人口)は低いですが、罹患率は高いので、ここに含まれません。
上のグラフは、到着日別。棒は陽性者数、そのうち色付きが低感染国からの入国者の陽性者数です(左目盛)。折れ線は低感染国からの入国者の割合です(右目盛)。
下のグラフは、累計で表したもの。棒は陽性者数、そのうち色付きが低感染国からの入国者の陽性者数です(左目盛)。折れ線は低感染国からの入国者の割合です(上のグラフと同じ)。
割合を見れば分かる通り、入国者が増えるにつれて、低感染国の割合はずっと低下傾向でしたが、明らかに7月29日を境に低感染国の割合がグングン上がっています。
全体の10%を占めており、上昇は未だに止まっていません。
中国、ベトナム、韓国、台湾などからは入国者数も多いので、ある程度割合が高くなるのは仕方がないです。しかし、入国者数の多さは、それは7月29日以前も以後も変わらないので、このような変化が出るのは異常です。
明らかに検査方法の変更により低感染国からの入国者の陽性が増加していると言えるのは間違いないようです。
10歳未満は一定に近い
逆に感覚よりも、割合に変化があまり見られなかったのが10歳未満の陽性。
棒グラフは、低感染国から入国者の陽性数だけを表示しています。色付きが10歳未満です。(左目盛)
折れ線は、10歳未満の陽性数の全陽性者数に占める割合を表しています。濃い青は低感染国も含めた全陽性者数の数値で、薄い青は低感染国のみの数値です。(右目盛)
7月29日を境に、低感染国の率が高まっていますが、全陽性者も、低感染国だけもだいたい7〜8%前後でほとんど違いはありません。
低感染国だから、10歳未満の率が高いというわけではないようです。
そして、7月29日以降だからというわけでもなさそうです。
この分析をしたのは、10歳未満と10代以上で検査方法が異なると推定されたため。大人でも検査に必要な唾液量を出せない人がいるそうですので、10歳未満は鼻咽頭ぬぐいによる検査が多く、10代以上は唾液による検査が多いと考えられます。
7月29日以降に変化がないということは、鼻咽頭ぬぐいと唾液の違いはあまり関係ないと言えそうです。
以上の二点を考えると、
・抗原検査は、PCR検査より、偽陽性が出やすい(≒偽陰性が出やすい)
・鼻咽頭ぬぐいと唾液では、偽陽性の出やすさに変化はない
・10歳未満の陽性割合はだいたい7〜8%前後(入国者数に占める10歳未満の割合と違いがあるかを知りたいですが、年代別は出ていないです)
といったことが考えられそうです。
■(前回同内容分析記事)空港検疫全員検査半年経過、検査方法の変更が感染動向に強く影響している可能性
http://johokotu.seesaa.net/article/477847498.html
2020年10月26日
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