■2020.10 東京国際の旅行後
新型コロナウイルス感染症が収まらないせいで、空港見学に行けない日々が続いています。一方で、そういう不要不急利用も激減し、空港の売店は売上げが上がらず、店がドンドン撤退しているというニュースも流れているほどです。
できるだけ利用して、空港を支援したいのに、なんとも歯がゆいところです。
出張や帰省といった、きちんとした理由のある人に、ついでに沢山利用して貰い、変化の様子をレポートして貰えば良いのですが、それもそれでなんだか空しいというか、ズルいなあ、という感覚も覚えます。
今回、そんな不満を払拭するため、屁理屈を並べて空港見学を敢行しましたが、流石にターミナルの中までは入れませんでした。
今回は、そんな空港のCOVID-19の危険性と空港訪問方法について考えてみます。
■実は市内よりも何十倍も危ない入国者のウイルス持ち込み事例
「空港検疫での陽性確認なんて多くても一日10人位なんだから一握りでしょ。東京なんてまだ100人単位で感染者が出ている。心配しすぎだ。」という人も多いです。しかし、そんな甘い考えは捨てた方が良いです。
空港検疫の人口に当たる人数(≒検査数)は、日本全体や東京全体の人口(≠検査数)より圧倒的に少ないです。母数の人口が多いのだから、日本全体や東京の方が一日当たりの陽性者数は多くて当たり前。母数が大きく異なるので、東京は100人感染、空港検疫は10人感染だと、東京の方が10倍危ないという風にはなりません。
比較すべきは、感染者数ではなく、同じ土俵に上げられる罹患率(=感染者/人口)です。
10月24日現在で、日本全体の罹患率は0.076%、比較的高い東京でも0.212%です。一方で、空港検疫の罹患率は毎日、ここのところ、だいたい0.3〜0.5%、平均0.4%前後でほとんど変わっていません。これを見ただけの単純計算で、空港検疫は、日本の約5倍、東京の約2倍もの感染リスクがあることが分かります。危険度はあっという間に逆転してしまいました。
しかしこの数値比較も実は少しおかしいです。それは、感染者数の基準が違うからです。
日本全体や東京の罹患率は、3月以来の累積感染者数を対象にしている一方で、空港検疫の数値は、常に母集団が新しくなるので、常に今現在の数値と、基準が大きく違います。
ならば、日本全国や東京都の感染者数を、空港検疫と同じように、今日の新規感染者数を採用すれば良いように見えます。しかし、これも違います。
空港検疫の新規感染者数とは、入国者ほぼ全員という母数の中のその日時点での感染者数を示します。このため、日本全国や東京都の数字で採用すべきなのは、その日時点での感染者数です。ざっくり言うと、これまでの総感染者数から退院した人数を除いた数値になります。
そこで、その数値を、10月下旬の数字で見てみると、
日本:退院者を除いた数約6千人/人口1億2千万人=現感染者罹患率0.005%
東京:退院者を除いた数約2千人/人口1400万人=現感染者罹患率0.014%
空港:一日の感染者数約7人/検査数約1千8百人=現感染者罹患率0.389%
となります。
空港検疫と同じように、今現在罹患している感染者数から率を考えると、日本全体や東京都の罹患率はグッと数字が下がってしまいました。
このため、空港検疫は、日本全体の約78倍、東京都の約26倍という、はるかに高い比率でウイルス保持者が見つかっているということがわかりました。
東京が200人感染で、空港検疫が7人感染だから、空港検疫は全然大丈夫。と思っていたら、実際には約26倍ものリスクがあるのですから驚きです。
「飛行機に乗る人は陰性確認してきた人たちだし、危険度は空港も都内も同じくらいか、せいぜい倍くらいでしょ」と思っていたのなら、大間違いなんです。
さらに、空港検疫で行われているのは、ほとんど無症状者なのに抗原検査です。抗原検査は、無症状の場合、街中の診断で行われるPCR検査よりも偽陽性や偽陰性の可能性が高いと言われており、実際、偽陽性とみられる事例が多発しています。偽陰性ですり抜けている人も相当多い可能性が高いです。
空港を、日本国内の他の場所と同じような感染リスクの場所だと考えるのは極めて甘いわけです。
■入国場所は限定されるので対策が可能
ただ、海外から入国してくる空港は限定されています。
その他の多くの空港では、ウイルス密輸者がいないのですから、リスクは街中と同じです。国際線が到着しない空港まで、危険だ危険だと言うのはおかしいです。
10月25日の冬ダイヤ開始日時点で、一般の入国者がいる空港は、成田国際、東京国際、中部国際、関西国際、福岡の5空港しかありません。(米軍が三沢、岩国の各空港、沖縄の飛行場からも入国者有り)
そして、それらの空港も、全域がリスクが高いわけではありません。それを見てみます。
■成田国際空港(千葉県 現感染約400人/人口630万人=罹患率0.006%)
第1・・・国際線到着有り。感染リスク千葉県の約65倍と、論外レベル。
第2・・・国際線到着有り。感染リスク千葉県の約65倍と、論外レベル。
第3・・・国際線到着無し。感染リスク千葉県の約1倍。国内線利用者が少ない時間帯を狙うべし(深夜??)。全時間帯満遍なく客がいるイメージです。
■東京国際空港(東京都 現感染約2,000人/人口1400万人=罹患率0.014%)
第1・・・国際線到着無し。感染リスク東京都の約1倍(利用者が地方の人が多いことを考えればむしろリスクは少し下がる)。国内線利用者が少ない時間帯を狙うべし(到着は早朝・出発は深夜が人少ない)。
第2・・・国際線到着無し。感染リスク東京都の約1倍(利用者が地方の人が多いことを考えればむしろリスクは少し下がる)。国内線利用者が少ない時間帯を狙うべし(到着は早朝・出発は深夜が人少ない)。
第3・・・国際線到着有り。感染リスク東京都の約26倍と、論外レベル。
■中部国際空港(愛知県 現感染約200人/人口760万人=罹患率0.003%)
第1・・・国際線到着有り。感染リスク愛知県の約130倍と、論外レベル。ただし、今なら国際線の運航は曜日限定+一日1便程度なので、国際線のない曜日の国内線利用者が少ない時間帯を狙うべし(到着は早朝・出発は深夜が人少ない)。
第2・・・国際線到着無し。感染リスク愛知県の約1倍。国内線利用者が少ない時間帯を狙うべし(到着は早朝・出発は深夜が人少ない)。
■関西国際空港(大阪府 現感染約700人/人口900万人=罹患率0.008%)
第1・・・国際線到着有り。感染リスク大阪府の約49倍と、論外レベル。ただし、今なら便数少ないので、利用者が少ない時間帯を狙うべし(到着は早朝・出発は深夜が人少ない)。もっとも、成田や羽田と比べると、便数の割に陽性者が多い印象なので要注意です。このため、不要不急の入館はなかなか難しい気がします。
第2・・・国際線到着無し。感染リスク大阪府の約1倍。利用者が少ない時間帯を狙うべし(深夜?)。全時間帯満遍なく客がいるイメージです。
■福岡空港(福岡県 現感染約70人/人口520万人=罹患率0.001%)
国際線ターミナル・・・国際線到着有り。感染リスク福岡県の約389倍と論外レベル。ただし、今なら国際線の運航は曜日限定+一日1便程度なので、利用者が少ない時間帯を狙うべし。でも、非運航日にはターミナルが開いていません。台湾便とフィリピン便なので、台湾便の時を狙うべし。
国内線ターミナル・・・国際線到着無し。感染リスク福岡県の約1倍。利用者が少ない時間帯を狙うべし。全時間帯満遍なく客がいるイメージ+深夜閉館なので、不要不急の入館はなかなか難しい気がします。
中部国際や福岡は、国際線の運航便数が少なく、正直、国際線の到着客がウロつく時間を避けられれば、入国者から密輸ウイルスを貰うことはほぼないです。(入国者数は成田の100分の1程度しかありませんし、福岡はそのうち半分は超低感染国の台北便。マニラ便の日はハズレです。)
また、各空港とも複数のターミナルがあり、国際線到着と関係ないターミナルなら、これもやはり入国者からウイルスを貰う可能性は低くなります。羽田や福岡は、国内線と国際線が完全にターミナルが分かれています。入国者は、14日間の公共交通利用禁止と自主隔離が求められていますから、国内線側のターミナルなら、入国者が来る「はずはなく」、入国者から密輸ウイルスを貰うリスクはゼロと言えるでしょう。
羽田、福岡と残りの92空港では、結局、課題となるのは、国内感染の拡大防止という観点だけになります。
空港見学の場合、チェックインカウンタや保安検査場などで係員と接する必要はないのですから、(他の利用者がいなければ、)感染拡大リスクは低いまま。人の少ない時間帯に行き、アクセスに公共交通を使わなければ、見学訪問は、無問題なはずです。
利用者の多い空港にはなかなか行きづらいですが、普段、「飛行機が飛んで来ねー、ヒマだんベ〜」と嘆いている空港こそ、いまこそ見学に最適と言えるのかもしれません。実際、静岡や鳥取など、感染防止に配慮しながら集客イベントをやっている空港もみられます。
ぜひ地元民の皆様には、見学はもちろん、食事や買い物で利用して地元の空港を支えてほしいところです。
もちろん、ソーシャルディスタンスとマスク着用、頻繁な手指消毒などのニューノーマルな行動は必須ですけど。ジョギングの感覚で来られると困ります。
羽田は少し特殊です。第1や第2で、他の利用者が少ない時間帯を狙えば行けそうな気もしますが、ターミナル会社が不要不急の来館自粛を要請しています。このため、空港見学や撮影目的ではターミナルに行けない空港になっています。利用者も全時間帯に満遍なくいる空港なので、そもそも行きづらいことは確かなのですが、、、。
羽田第3ターミナル前を通り過ぎた建物北側に検疫の送迎バス乗り場がありました。
自宅に帰れない人が14日間隔離のために泊まる近隣ホテルに行くときに使うバスです。
今回、大荷物持った到着入国者とすれ違うことはなかったのですが、
密輸ウイルスを飛ばされる危険があるエリアは、ターミナル内とハイヤー乗り場、
駐車場だけと思っていたので、意表を突かれた感じでした。
5空港は、入国後14日過ぎていない入国者(ウイルス保有者予備群)がいるわけですから、
油断は禁物です。
■行ける空港を確かめよう
こうやって考えると、
・成田(第3除く)、羽田、関空(第2除く)のターミナル、駐車場、ハイヤー乗り場に行くのは自粛すべき
・中部第1と福岡国際線は、行くのなら、国際線到着のない時間帯だけにすべき(理想は国際線就航の無い曜日か到着前の時間帯)
・その他の空港は、行くのなら、利用者の少ない時間帯だけにすべき(=地方の主要空港はそれなりの便が飛んでいるので難しい?)
・アクセスには公共交通を使わない
といったところでしょうか。
地方ではほとんど感染と無縁の地域もあるのでそういった所なら、地元の感染状況とにらめっこしながら、空港見学にドンドン行って良いと思います。
一方で、大都市圏では、まだ第二波の感染が収まっていません。また、北海道や沖縄は九月の四連休を境に感染者が明らかに増加。東京でも同四連休を境に感染低下が止まり、減少するはずの分が増加しています。こんな感じで旅行起因の感染増加が明らかになってしまいましたから、大都市圏の空港にはまだまだ行けない感じでしょうか。
私のように首都圏に住んでいると、感染が全然落ち着かないので、空港見学に行くのは憚られる感じです。今回やったように未明にほとんど人と接触せずに訪問するといった工夫が求められそうです。
五月の状況を経験し、努力すれば、感染を限りなくゼロに近づけることができることは明白になっているので、周囲の感染状況も気にしながら、見学だけの目的で空港に行けるタイミングを図りたいところです。
今回は、とにかく空港見学するために屁理屈を並べてみました。STAY HOMEを頑張ったり、仕事で仕方なく危険な空港を利用する人が大勢いる中で、独り善がりの考えで空港訪問をしてしまいましたので、今回の記事にご不満やズルいぞ、という方も大勢いらっしゃると思います。
一応、他人を感染させるリスクは最大限低減する動きをしたつもりですので、ご容赦いただきたいですが、何だかモヤモヤ訪問でした(空港にお金落とせませんでしたし、、、)。
空港には、COVID-19中も動かさざるを得ない仕事(医療とか食料調達、インフラ系など)で仕方なく航空便を利用している人も大勢います。
そういった人たちの感染リスクを少しでも軽減しながら、一方で空港の運営維持に寄与していければ良いですね。
今回は、旅行の日のページは、実験的に写真メイン、文章サブでの旅行記にしてみました。いかがだったでしょうか。
旅行記、と言いますか、日本空港情報館自体も目的は、初期の頃にも書いたとおり、そこにこれから行こうとする人が事前に情報を入手して安心して訪問できるようにするのが主眼にあります。
このため、無駄に文章だらけなのは、大きく見ると全員には必要ないけど、特定の人には必要だという場合のために、小さな情報をひとつでも多く散りばめようとしているためです。
今回、文章を減らしてみて、わかりやすくなったとか、必要な情報が少なくなった!とか、はたまた、逆に情報増えたんでない?といったことになるのか、ちょっと様子見してみようと思います。
ご意見あればコメント欄でお待ちしています( ・∀・)つ