◆空港検疫 上陸拒否対象解除国9か国のこれまでの陽性確認動向
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックに伴う上陸拒否(入国拒否)について、11月1日に初めて解除される国が出てきました。11月1日以降解除国からの入国者は原則空港検疫でのCOVID-19検査の対象外となるので、今回解除となる9か国のこれまでの陽性者確認動向をまとめておきます。
今回上陸拒否解除の対象となったのは、韓国、中国(香港・澳門含む)、台湾、ベトナム、タイ、シンガポール、ブルネイ、オーストラリア、ニュージーランドの9か国。いずれも日本よりも感染状況が低い国です(罹患率だけ見ると日本よりも率が高い国があります)。
■検査対象者は11月1日以降半減へ?
今回解除対象となった9か国は入国者も多いのが特徴です。公表されているデータでは、出入国管理統計で発表されている入国外国人の国籍別でしか分かりませんが、このデータだけ見ると、7月以降は入国外国人のうち5割以上がこの9か国の国籍者で占められています(下グラフ)。
同国籍者が全員同国からの入国とは限りませんが、現在は、COVID-19による制限で、ビザ発行も限定的で自国以外の行き来ができない場所が多いです。このため、実際の入国者の直前14日間に滞在していた国の比率は、グラフの比率に近いと考えられます。データがないので日本国籍者の行動歴が分かりませんが、入国者の5割程度は9か国からの入国者と見ても問題ないと思われます。
10月31日は3,739人、10月23日〜10月29日の平均で1日平均2,378人が検査対象になっています。このうち5割が9か国からの入国と考えるのであれば、11月1日以降は検査対象者が一気に1日1,200人程度まで減少する可能性があります。
■陽性者は11月1日以降1割程度減少へ?
続いて、対象9か国からの入国者の空港検疫での陽性確認状況をグラフにしてみました。こちらは毎日の厚生労働省の発表を基に作成しています。
7月29日の検査方法変更から、対象9か国からの入国者の空港検疫での陽性確認が急激に増えて続けており、10月末の時点で感染者全体の9.77%を占めていることが分かります。
10月31日時点での7日間の平均値で1日6.28人が陽性確認されていますので、11月1日からは1日平均5.65人程度に感染確認が減る可能性があります。
これは、逆の見方をすると、1日平均0.63人は9か国から陽性者が入国しているということ。11月1日以降、入国時の検査がなくなることで、これらの人が意識せずに入国してくることになります。
■検査対象者の急減で罹患率上昇の恐れあり
最新のデータがある10月29日時点で全体の陽性率は0.394%ですが、上記の2点を踏まえると、11月1日以降は、罹患率は0.5%程度(=5.65人/1200人)まで上昇する可能性があり、今後の陽性確認発表に注目です。
2020年11月01日
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