2020年12月31日

2020勝手に空港10大ニュース

■年末特集 2020年勝手に空港10大ニュース


2020年(令和2年)も最終日まで「情報交通ホットライン 日本空港情報館ブログ」をご覧いただきありがとうございます。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックで、未曾有の大混乱に陥った年もあとわずか。
今年、空港利用者にとっての大きな出来事があった10空港を、当サイト管理人johokotuの独断と偏見に基づき、ピックアップしました。
一年の最後に、ほんの少しだけですが、今年の空港の動きを振り返ります。


1.東京国際空港(羽田空港)/東京都:3月 新航路、新国際線スタートも日本の水際へ
今年最も話題だった空港は、良くも悪くも、東京国際(羽田)でしょう。
羽田では、東京2020オリンピック・パラリンピックの玄関空港として様々な整備が進みました。新しい離着陸ルートの運用開始、第2ターミナル国際線施設増設、第3ターミナルの増築、ターミナル名と駅名の変更、国際線発着枠の大幅拡大、HANEDA INNOVATION CITY開業と羽田エアポートガーデンの造成など、多くの整備が行われました。
ところが、COVID-19の影響で、第2ターミナル国際線施設は二週間持たずに一時閉鎖。国際線は100%近くまで減便・利用者減少に陥りました。羽田エアポートガーデンは未だに開業が延期されています。
国際線での入国者の感染確認は、国内の数十倍レベルでまだまだ続いており、羽田でも数多くの感染者が発見されています。東京2020で外国からの訪日客を迎え入れるはずが、ウイルス密輸を阻止する日本の水際最前線に様変わりしたことも注目されました。

2.福岡空港/福岡県:10月 ターミナルリニューアルで開放感
福岡では10月までに国内線旅客ターミナルビルリニューアルの大部分が完了しました。元々三つあったターミナルを一つにまとめて改築するという珍しい方法は、何度もターミナルの誕生・合併を繰り返してきた福岡のお家芸でした。
内装は大きく変わり、中央に印象的な吹き抜けホールを配置。広い展望デッキとそこに面して眺めの良いビアホールをオープンするなどしました。
今回の改修は滑走路や誘導路増設に伴うもの。回転翼機用のヘリポート機能も奈多地区へ移転するなど、ターミナル以外でも再編が進みました。
また、運航に関して、国際線が全便欠航となった空港が数多くある中で、国際線定期旅客便が細々ながらも続いたことで、その存在感を誇示。中部国際よりも便数が多く注目されました。そして、3月にソラシドエア、8月にエアアジア・ジャパン(WAJ)が新規就航。2社はCOVID-19の影響で欠航が多かったですが、日本一の国内線定期便就航社数を更新し、ますます便利な空港に様変わりしました。(WAJは12月に事業廃止済み)

3.大阪国際空港(伊丹空港)/大阪府:4月 国内線保安検査後唯一のウォークスルー店舗開業
大阪国際空港(伊丹空港)でも旅客ターミナルビルのリニューアルが完了しました。数年間に渡って段階的に整備されてきたもので、今年は、最後に残っていた出発エリアなどを中心に大きく改修しました。
既に昨年までに到着エリアを中心に改修が完了しており、今年の目玉は、国内線で国内空港唯一となる保安検査後エリアのウォークスルー店舗開業でした(保安検査前エリアでは徳島などで先行事例有り)。また、保安検査場のスマートレーン化も完了。ムービングウォークも増設され、利便性が大幅に向上しています。
アクセス交通の改善も進み、6月に立体駐車場との間にアクセスデッキがオープン。7月に長距離バスの専用待合室を新設し、8月にはレンタルバイク専門店が開店しました。

4.鹿児島空港/鹿児島県:7月 国際線ターミナル拡張も未だ国際線定期旅客便ゼロ
鹿児島空港では国際線旅客ターミナルビルの増築が行われました。旅客搭乗橋が2箇所から3箇所になったほか、手荷物受取場のターンテーブルを2か所に増設。ロビーや待合室も拡張しました。
しかし、COVID-19の影響で国際線は3月以降全路線全便が長期欠航中。増築後は、臨時便でわずかに使われた以外は全く使われない状況が続いています。
全路線全便欠航となっても、施設だけは準備しておかなければならない―。そんな地方空港の置かれている状況を最も示した空港になってしまいました。
今年は10月、この空港に本社のある日本エアコミューター運航便がJAL便名に変更されたほか、アイベックスエアラインズが新規就航するなど、運航路線が大きく変わったのも特徴のひとつでした。

5.徳島飛行場(徳島阿波おどり空港)/徳島県:8月 別棟を新設、レンタサイクル始まる
徳島飛行場(徳島阿波おどり空港)では8月、ターミナルから少し離れたところに別棟(交流施設)が新設されました。
別棟には、飲食店とレンタサイクル店がオープン。飛行機を降りてすぐチャリで街めぐりを出来るようになりました。
ここ数年、全国の空港でレンタサイクルできるところが増えていますが、案内所などでシティサイクルを貸し出すところがほとんど。そんな中、今回新設された徳島は専門店の出店で、四国巡りにも使える本格的な自転車を借りることが可能です。
自転車は荷物をたくさん載せられないので、空港アクセスに使うのはこれまであまり考えられてきませんでした。しかし、(徳島は飛んでいませんが)格安航空(LCC)の普及で、身軽な利用者が増えたのに加え、環境負荷への関心も高い時代。飛び恥後に、もっと二酸化炭素排出量の多い車にのりかえるのに抵抗がある人にはひとつの選択肢になります。そんな世界の関心が分かる出来事になりました。

6.成田国際空港/千葉県:4月 入国規制で大混乱も施設変化し対応
COVID-19パンデミックに伴う入国規制の影響で、施設に大きな変化が生じたのが成田国際です。
4月3日以降、指定国からの入国者は、日本で唯一となるCOVID-19の全員検査(PCR検査→抗原定量検査)が義務付けられました。成田では、海外との行き来が激減した中でも、国際線利用日本一を継続。入国者の検疫が大幅に強化されました。
到着ターミナルを限定して、検疫対象者の到着動線を集中。普段ならただ素通りしているだけの検疫ブースでは全く足りず、専用区画が出現しました。通路に大量の椅子を置いて待合スペース化したり、トイレを検疫ブースに改造したり、さらに到着手荷物受取場にダンボールベッドまで登場したりするなどしています。また、11月には第2ターミナル北側国内線施設(旧搭乗待合室跡地)などを活用してPCRセンターを開設するなど、施設に大きな変化が見られました。
建物の利用では、10月にPeach Aviationが発着を第3ターミナルから第1ターミナルに変更。スカイマークが第1ターミナルから撤退した一方、新しい本邦社としてZIPAIRが第1ターミナル北ウイングに就航するなど、日本の航空会社の使用ターミナルが多く変更となったのも目を引きました。

7.与論空港/鹿児島県:7月 小規模離島初のクラスターも淡々輸送
COVID-19でほとんどの空港が影響を受けた今年。与論島(よろんじま)では、空港のある小規模離島では初めてとなるクラスターが発生しました。
離島の与論島への出入りは船か航空機のみ。島内では対処できずに、自衛隊や海上保安庁が、患者を島外の医療機関へ回転翼機などを使って空路で輸送し、離島の航空路維持の大切さを強く実感することになりました。一方で、来島希望者に対して不要不急の来島自粛が強く求められ、定期便は飛んでいるのに客が少ない状況が続きました。例年だと一番の稼ぎ時の8月、他の空港が昨年比三割程度まで利用を戻す中、昨年比10%代まで落ち込んでいます。
それでも、感染は1か月かからずに抑え込みに成功。来島者の受け入れを再開し、島は再活性化を始めています。
今年の離島空港の状況とCOVID-19抑え込みの大切さを示す最も代表的な存在でした。
離島クラスターは、11月にも北海道の利尻島、奥尻島、12月には同じ鹿児島県の徳之島などで相次いで発生。与論島と同様に島外への輸送に空路が役立てられました。

8.下地島空港/沖縄県:10月 三路線新設も二路線は運休
定期便の設定で話題となったのは、下地島でしょうか。
COVID-19の影響によって全路線全便欠航していた期間が、国内で最も長かったのが下地島で、2か月定期便が来ませんでした。
そんな厳しい状況の中で、10月にスカイマーク(SKY)が新規就航。那覇線を始め、神戸線、羽田線の三路線を新設しました。
定期便による県都・那覇線は実に26年ぶりの復活。神戸線は初就航、羽田線は政策コンテストの実験として羽田発着枠を特別に使った珍しい路線です。SKYお得意の乗り継ぎ運賃を活用すれば、百里(茨城)や中部国際、福岡からも一区間分程度の値段でアクセス出来るようになり、本土からなら宮古より宮古諸島へ行きやすくなっています。
一方で、二年前の新旅客ターミナル完成に合わせて就航したジェットスター・ジャパンは、冬ダイヤは大幅減便して年末年始のみの運航に変わっています。
離島の航路が維持できるのか、引き続き注目を集める存在でした。

9.広島空港/広島県:2月 水陸両用機定期的運航開始・オンラインも充実
新路線就航といえば、珍しかったのが広島空港です。2月、せとうちSeaplanesが、オノミチフローティングポートとの間に定期的運航便を就航。国内空港で唯一、水陸両用機の定期的運航便が飛ぶ空港になりました。(オノミチフローティングポートは空港ではありません)
さらに、今年の広島は、COVID-19に対応して、オンラインコンテンツを充実させたのが目を引きました。子ども向けのコンテンツを次々に配信。STAY HOME期間中、お家に居ながら空港を楽しめるようになっています。
今年は多くの空港が、オンラインコンテンツを充実させています。特に、それほどお金がかからない、SNS配信の更新頻度が上がった空港が見られました。飛行機に乗れない間に空港を忘れさせない工夫が求められた年。広島はそれに素早く対応した空港のひとつでした。

10.北海道7空港(稚内空港、旭川空港、女満別空港、釧路空港、帯広空港、新千歳空港、函館空港)/北海道:4月 北海道エアポートの運営開始
今年は、珍しい7空港一体の民間委託がついに始動しました。
まずは1月、全7空港で、空港ターミナルビル部分の委託がスタート。4月に新千歳、10月に旭川の全面的な民間委託が始まりました。
委託の数値目標になっている航空路線の充実は、COVID-19の影響を受けて湿り気味。国際線は定期便就航がある旭川、新千歳、函館では4月以降全便欠航しているほか、国内線は稚内では東京国際線、旭川や女満別でも中部国際線が長期間にわたり欠航・運休になるなど、路線の縮小が目立ちました。一方で、女満別では、道内路線が拡大するなどしています。
いきなり初年度から苦しい状況に陥ったものの、今後の復活に期待が残りました。


2020年は、COVID-19に振り回された一年でした。
定期便の長期欠航が相次ぎ、国際線は、毎日運航が継続できたのは成田国際と東京国際だけ。未だに主要5空港のみでの発着が続いています。国内線は、4月〜6月にかけて12空港で全路線全便が長期間欠航になり、その後も利用は低調に推移。未だに全便欠航が続く路線があります。
空港では入国者の検疫が注目され、水際対策の重要性がクローズアップされました。日本唯一の全員検査の結果、入国者の罹患率は国内の罹患率より著しく高いことが判明するなど、今後の対策に使える情報も収集でき、大きな成果を上げています(全く活用されていませんけどね)。

日本にこんなにも多くの在日外国人がいた。
有事の際には海外から帰れなくなる可能性がある。
そんな海外には、様々なリスクを考慮して行く必要がある。
母国以外では保護や援助は難しい。
仕事がないと嘆く日本人が激増しているのに、在日外国人が来られないから仕事が回らないという経営者がいる。
有事の時には外国人や新人類には日本人的常識は通じない。
クラスターの場所や生活様式、遺伝的要因等から、人種や生活場所、遊びに行く場所により、病気の罹りやすさは全く違う。
島国だから感染症密輸を抑えやすい。
だからこそ、検疫を軽視したらあかん。
三四半世紀前に海外にこそ共栄があると外ばかり見て内需を疎かにした結果大失敗しているにもかかわらず、またまた海外にこそ活路があると思って内需を疎かにしていたら、危機にも対応できない。
公共交通機関は採算度外視でもやり続けねばならない衣食住級のインフラだった。
そんなインフラを動かし、判断するのは全てヒトだった。

普通の思考ならごくごく当たり前だけど、すっかり忘れていた、そんなことを、空港や空路の変化を通じて、多くの日本人が意識した年でもあったのではないでしょうか。

厳しい中でも公共交通機関たる航空便は淡々と輸送が続き、空港も毎日開いています。
利用が落ち込んだ時でも離島路線は搭乗率が高かった一方、感染防止が甘く感染者が多くなると利用者はすぐ去って行くことは、生活路線を維持する大切さと難しさを教えてくれました。
THANK YOU KEY WORKERS !
THANK YOU AIRPORT USERS !


来年は、どんな年になるでしょうか。
まずはウイルスに怯えないで済む生活に戻り、もっともっと空港が活用されることを願いつつ、2020年を締めくくりたいと思います。

今年も「情報交通ホットライン 日本空港情報館ブログ」を
ご覧いただきありがとうございました。
それでは、みなさま、良いお年をお迎えください。


2020年12月31日


THANK YOU KEY WORKERS
#Light It Blue
posted by johokotu at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | ◆その他の話題 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: