■空港検疫(週間速報)12月4週目 日本国籍者の陽性が激増 欧州は日本国籍者・非公表も目立つ
厚生労働省(厚労省)は6日、空港検疫での新型コロナウイルス感染症検査状況の12月4週目(12月20日〜12月26日)分の速報値を発表しました。
厚労省の速報は、週間の検体数と陽性者数を、日本国籍者、外国籍者別に、滞在国ごとに出した非常に細かいデータです。11月11日以降毎週水曜日に過去4週間分が発表されています。6日の公表で、10月4日〜12月26日分が公表されたことになりました。
速報のため、日々の発表のデータとかなりのズレが生じていますが、分析に活用できます。
■[罹患状況推移分析]年末年始一時帰国か、日本人陽性者が激増
10/04-10/31 (日本国籍者0.34%:外国籍者0.35%)
11/01-11/07 検体10,589・陽性84=罹患率0.79%(日本国籍者0.75%:外国籍者0.83%)
11/08-11/14 検体10,823・陽性89=罹患率0.82%(日本国籍者0.54%:外国籍者1.02%)
11/15-11/21 検体11,627・陽性79=罹患率0.68%(日本国籍者0.52%:外国籍者0.79%)
11/22-11/28 検体13,789・陽性90=罹患率0.65%(日本国籍者0.61%:外国籍者0.65%)
11/29-12/05 検体14,226・陽性89=罹患率0.63%(日本国籍者0.50%:外国籍者0.74%)
12/06-12/12 検体16,488・陽性86=罹患率0.52%(日本国籍者0.43%:外国籍者0.64%)
12/13-12/19 検体18,554・陽性74=罹患率0.40%(日本国籍者0.28%:外国籍者0.62%)
12/20-12/26 検体18,835・陽性98=罹患率0.52%(日本国籍者0.51%:外国籍者0.54%)
10月の4週間は日本国籍者と外国籍者の罹患率に差はなく0.35%程度でした。
11月に入ってからは、日本国籍者、外国籍者ともに急上昇しています。外国籍者の方が多い印象ですが、差は小さく、日本国籍者の割合も追いかけるように増えています。
全体の罹患率は、検査総数の増加につられて少し減少し始めていましたが、再び増加しました。
増加した原因は日本人。前週と比べ、検査人数は日本国籍者が微増、外国籍者が微減の一方で、陽性者数は日本国籍者が倍増、外国籍者が微減です。日本人の年末年始の一時帰国が集中したためと考えられます(14日間自主隔離だから3週間以上の休暇がないと意味なし帰国になりますが、そんな休暇を取れる欧米の会社が羨ましいです、、、)。
このため、罹患率については、日本国籍者と外国籍者との間で差がほぼなくなりました。日本国籍者は0.3〜0.6%、外国籍者は0.5〜0.8%と言った感じです。日本国内の罹患率は0.02%(人口約1億2500万人のうち治療中+死者約28,000人)ですから、相変わらず非常に危険であることが分かります。
■[陽性者数多い国分析] 英国が日本人原因で急激悪化、米国も
今回の期間は、入国者が過去最多ピークを迎えた時期です。
今回目立って悪化したのが英国。英国は、前週と比べ、日本国籍は検査人数が減っているにもかかわらず、陽性者数は4倍と急激に悪化しています。罹患率は前週の0.33%から、今週は1.50%と一気に五倍になりました。たまたま同じ人数が検査されたドイツとの差は一目瞭然です。英国は17人も陽性者が出ましたが、全員日本人でした。
ウイルスの変異なんてしょっちゅうしているのに、今回に限って政府がアタフタと入国規制を急いだのも何となく理解できます。
相変わらず数が最多なのは米国で24人が陽性。前週に比べ、検査人数は日本国籍が増加、外国籍者が減少したとはいえ、日本人陽性者は倍増と急激に悪化しています。
欧州の陽性者はそのほとんどが日本国籍者。北米・南米も日本国籍者が多いです。また、12月初旬までは外国籍者がほとんどだったインドネシアも、日本国籍が増えました。
欧米からの年末年始一時帰国の日本人が主原因(=在米・在欧の日本人の一時帰国がなければ年の瀬の陽性者入国を減らせた)と、はっきりと言えるレベルの感染状況です。
そのような中で、陽性者が外国籍者の方が多い国もあります。南アジアは、年末になっても相変わらず外国籍者の入国・陽性が圧倒的に多いままでした。ネパールに至っては、日本国籍者は検査数がたったの8人。外国籍者は618人(うち陽性6人)とはっきりと差があります。
ロシアも外国籍者の陽性が多めで推移しています。
■[罹患率高い国分析] 英国急激悪化、ロシアや東欧は悪化したまま
罹患率は、ある程度の入国者(100人以上)がいる国では、英国が最悪になり、アラブ首長国連邦(UAE)、ロシアと続いています。相変わらずロシアは感染リスクが高いですね。
入国者数を無視すると、目立つのは、これまで通り東欧諸国。デンマーク、ポーランド、ハンガリーが1%以上です。中南米も率が高い国が散見されますが、入国者数が著しく少ないために高く出てしまったという印象です。
英国、UAE、ロシア、ポーランドからは直行便が継続しており、利用する際には要注意ですね。
南アジアは外国籍者の陽性人数は多いですが、率にするとネパールを除き0.6%前後なので、人数の割には意外と抑えられている印象です。
感染拡大を防ぐために入国規制を本気でかけるなら、米国・インドネシアからの入国、欧米からの日本人の入国、フィリピン・南アジア・ロシアからの外国人の入国を防ぐのが一番手っ取り早いと言う傾向は全く変わらずといった感じです。
6月のパキスタンの空港待機や英国変異株はすぐ対応してましたけど、米国が相手じゃあ、まあ、これ以上の規制は無理でしょうね。
■[非公表の多い国分析] 非公表は相変わらず米国多い
全く傾向は変わらず、非公表が多いのが米国。半数が非公表だった前週からは減りましたが、まだ4人います。毎週必ず誤差(≒非公表者)が出ている状況で、この国だけは非公表にする人が常に一定数いる、隠匿しやすい国家です。
メキシコも3週連続で非公表が出ました。3人中2人非公表で、いずれも日本国籍者です。
英国は17人中2人非公表で日本国籍者です。先週に引き続き連続で日本国籍者による非公表となっています。
一方、ロシアは3人中2人非公表で外国籍者です。
非公表者14人(計上誤差が含まれている可能性あり)のうち4人が外国籍者、4人が日本国籍者であることが確定する結果となっています。(残り6人は国籍不明)
この週を最後に、12月末から、行動歴の非公表が全くいなくなりました(在住地の非公表はまだ存在)。変異株対応で検疫が強化された中で、行動歴の非公表が禁止になった可能性があります。
速報で全員の行動歴を伝えてますから、非公表にする意味が全くなくなっていましたし、隠匿しようとする住民が多い国家がどこかが暴露されるだけで悪影響しかありませんでしたから、良い方向に転んだ感じです。
■[航空便利用者数分析] 日本人客増加はっきり
前週まで利用者がなかったベルギーが出てきました(246人)。ANAの臨時便が1月まで4往復だけ運航されています。検査人数と比較すると、ほとんどが日本人客だったとみられます。
利用者数はベトナムが約900人/週も増加したのが目立ちます。同国は原則検査なし国なので、入国人数の推定は今のところまだ出来ません。
月初と比べると、米国は約2,000人/週、英国とドイツは約600人/週の増加。一方でニュージーランドは122人減少し、約4分の1(46人)になってしまっています。
検査数は欧米は日本国籍者ばかり増えており、やはり、12月中旬〜下旬は日本人需要が急激に高まっていたと言えます。
毎週データは更新されているようですので、今後も注視していきます。
今年の分析は本日で終了します。
■米国からの入国者の動向
10月04日〜10月10日:罹患率0.23%
日本国籍 検体1,674・陽性4=罹患率0.24%、外国籍 検体547・陽性1=罹患率0.18%
10月11日〜10月17日:罹患率0.54%
日本国籍 検体532・陽性4=罹患率0.75%、外国籍 検体215・陽性0=罹患率0.00%
10月18日〜10月24日:罹患率0.15%
日本国籍 検体823・陽性0=罹患率0.00%、外国籍 検体489・陽性2=罹患率0.41%
10月25日〜10月31日:罹患率0.13%
日本国籍 検体1,545・陽性1=罹患率0.06%、外国籍 検体783・陽性2=罹患率0.26%
↓明らかに11月から傾向変化(ハワイ便再開、日本人超短期ビジネス行き来再開がありました=日本人が激増しているのに合致!!)
11月01日〜11月07日:罹患率1.19%
日本国籍 検体1,832・陽性26=罹患率1.42%、外国籍866・陽性6=罹患率0.69%
11月08日〜11月14日:罹患率0.67%
日本国籍 検体1,829・陽性11=罹患率0.60%、外国籍851・陽性7=罹患率0.82%
11月15日〜11月21日:罹患率0.78%
日本国籍 検体2,043・陽性11=罹患率0.54%、外国籍1,017・陽性13=罹患率1.28%
11月22日〜11月28日:罹患率0.64%
日本国籍 検体3,307・陽性20=罹患率0.60%、外国籍933・陽性7=罹患率0.75%
11月29日〜12月05日:罹患率0.75%
日本国籍 検体2,644・陽性14=罹患率0.53%、外国籍1,209・陽性15=罹患率1.24%
12月06日〜12月12日:罹患率0.37%
日本国籍 検体3,544・陽性10=罹患率0.28%、外国籍1,080・陽性 7=罹患率0.65%
12月13日〜12月19日:罹患率0.42%
日本国籍 検体4,300・陽性12=罹患率0.28%、外国籍 963・陽性10=罹患率1.04%
12月20日〜12月26日:罹患率0.42%
日本国籍 検体4,887・陽性20=罹患率0.41%、外国籍 789・陽性4=罹患率0.51%
■英国からの入国者の動向
11月22日〜11月28日:罹患率0.77%
日本国籍 検体 304・陽性 2=罹患率0.66%、外国籍 87・陽性 1=罹患率1.15%
11月29日〜12月05日:罹患率0.29%
日本国籍 検体 587・陽性 2=罹患率0.34%、外国籍 105・陽性 0=罹患率0%
↓明らかに12月から入国者数に傾向変化(日本人が激増=年末年始帰国が増加?)
12月06日〜12月12日:罹患率0.17%
日本国籍 検体1,066・陽性 2=罹患率0.19%、外国籍 136・陽性 0=罹患率0%
12月13日〜12月19日:罹患率0.33%
日本国籍 検体1,102・陽性 4=罹患率0.36%、外国籍 108・陽性 0=罹患率0%
12月20日〜12月26日:罹患率1.50%
日本国籍 検体 986・陽性17=罹患率1.72%、外国籍 149・陽性 0=罹患率0%
■週間速報内容
12/20-12/26
全検査
合計 検体18,835、陽性98、0.52%↑
日本 検体12,354、陽性63、0.51%↑率倍増!!
外国 検体 6,481、陽性35、0.54%↓
検体数の多い国
米 国:合計 検体5,676、陽性24、0.42%/日本 検体4,887、陽性20、0.41%/外国 外国籍 789、陽性 4、0.51%
フィリピン:合計 検体1,786、陽性 2、0.11%/日本 検体 288、陽性 0、0%/外国 検体1,498、陽性 2、0.13%
インドネシア:合計 検体1,544、陽性12、0.78% /日本 検体 704、陽性 6、0.85%/外国 検体 840、陽性 6、0.71%
英 国:合計 検体1,135、陽性17、1.50%/日本 検体 986、陽性17、1.72%/外国 検体 149、陽性 0、0%
ド イ ツ:合計 検体1,135、陽性 1、0.09%/日本 検体1,025、陽性 1、0.10%/外国 検体 110、陽性 0、0%
罹患率の高い国(検体数100以上)
英 国:合計 検体1,135、陽性17、1.50%/日本 検体 986、陽性17、1.72%/外国 検体 149、陽性 0、0%
U A E:合計 検体 275、陽性 3、1.09%/日本 検体 186、陽性 2、1.08%/外国 検体 89、陽性 1、1.12%
ロ シ ア:合計 検体 288、陽性 3、1.04%/日本 検体 116、陽性 0、0%/外国 検体 172、陽性 3、1.74%
カ ナ ダ:合計 検体 300、陽性 3、1.00%/日本 検体 234、陽性 2、0.85%/外国 検体 66、陽性 1、1.52%
チ ェ コ:合計 検体 103、陽性 1、0.97%/日本 検体 99、陽性 1、1.01%/外国 検体 4、陽性 0、0%
※特記
罹患率はタンザニアが最悪です(検体5(日本国籍3)・陽性1(外国籍)の20.00%)。
コロンビア(7.14%、日本国籍10人中陽性1人)、ドミニカ共和国(6.67%、外国籍8人中陽性1人)、デンマーク(1.92%、日本国籍49人中陽性1人)が続いています。
■毎日の個別発表との誤差状況(12月20日〜12月26日)
(A)週間発表(今回の滞在国・地域ごとの検査実績発表):98人
(B)毎日発表:98人中非公表14人(複数国滞在者2人)
(誤差が出ている国)
米 国 (A)4人超過(日本籍20・外国籍4)
英 国 (A)2人超過(日本籍17・外国籍0)=非公表2人は全員日本国籍者(2週連続非公表は日本人確定)
インドネシア(A)2人超過(日本籍6・外国籍6)
メキシコ(A)2人超過(日本籍4・外国籍0)=非公表2人は全員日本国籍者(3週連続非公表は日本人確定)
ロシア (A)2人超過(日本籍0・外国籍3)=非公表2人は全員外国籍者
フィリピン(A)1人超過(日本籍0・外国籍2)=非公表1人は全員外国籍者
タンザニア(A)1人超過(日本籍0・外国籍1)=非公表1人は全員外国籍者
■水際対策(厚生労働省公式サイト)
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kansenkakudaiboushi-iryouteikyou.html#h2_7
2021年01月09日
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