■空港検疫(週間速報)1月1週目 外国籍者悪化したまま 日本人は検査数激減で年末は不要不急の行き来が多かったとみられる結果に
厚生労働省(厚労省)は20日、空港検疫での新型コロナウイルス感染症検査状況の1月1週目(1月3日〜1月9日)分の速報値を発表しました。
厚労省の速報は、週間の検体数と陽性者数を、日本国籍者、外国籍者別に、滞在国ごとに出した非常に細かいデータです。2020年11月11日以降毎週水曜日に過去4週間分が発表されています。20日の公表で、2020年10月4日〜2021年1月9日分が公表されたことになりました。
速報のため、日々の発表のデータとかなりのズレが生じていますが、分析に活用できます。
■[罹患状況推移分析] 外国籍者の罹患率悪化したまま下がらず
2020年
10/04-10/31 (日本国籍0.34%:外国籍0.35%)
11/01-11/07 検体10,589・陽性84=罹患率0.79%(日本国籍0.75%:外国籍0.83%)
11/08-11/14 検体10,823・陽性89=罹患率0.82%(日本国籍0.54%:外国籍1.02%)
11/15-11/21 検体11,627・陽性79=罹患率0.68%(日本国籍0.52%:外国籍0.79%)
11/22-11/28 検体13,789・陽性90=罹患率0.65%(日本国籍0.61%:外国籍0.65%)
11/29-12/05 検体14,226・陽性89=罹患率0.63%(日本国籍0.50%:外国籍0.74%)
12/06-12/12 検体16,488・陽性86=罹患率0.52%(日本国籍0.43%:外国籍0.64%)
12/13-12/19 検体18,554・陽性74=罹患率0.40%(日本国籍0.28%:外国籍0.62%)
12/20-12/26 検体18,835・陽性98=罹患率0.52%(日本国籍0.51%:外国籍0.54%)
12/27-01/02 検体13,123・陽性83=罹患率0.63%(日本国籍0.49%:外国籍0.75%)
2021年
01/03-01/09 検体14,098・陽性76=罹患率0.54%(日本国籍0.23%:外国籍0.72%)
検査数は、12月中旬〜下旬に日本国籍者が外国籍者の二倍ほどいたのに対し、前週日本国籍:外国籍=6:7と逆転。今週は5:9と、年末増えた日本人の減少が止まらず、年末減った外国人が増えています。
9日に検査対象が全入国者に変更されています。わずか1日間ですが、入国者総数の多い韓国、中国、ベトナムなど非上陸拒否国が対象なため、検体数は増える傾向になるはずです。全員検査は9日の1日間のみで、ベトナムは千人近く(ほとんど外国籍者)、中国と韓国はそれぞれ250人程の検体数となっています。しかし、ネパールやインドネシアは半減しています。
日本人も2月4週目に12,354人いたのに対し、今週は5,155人だけ。減少幅が大きすぎます。
日本人の場合、原因は年末年始帰省とみられますが、ここまで露骨に数値に差が出ると、年末入国した日本人は不要不急の行き来が多かったと言えそうです。国内間では帰省自粛の動きもありましたが、海外-日本間はその動きはなかったということかもしれません。
10月の4週間は日本国籍者と外国籍者の罹患率に差はなく0.35%程度でした。
11月に入ってからは、日本国籍者、外国籍者ともに急上昇しています。外国籍者の方が多い印象ですが、差は小さく、日本国籍者の割合も追いかけるように増えています。
今週は検体数が増えた一方、陽性者数は減ったため、全体の罹患率は下がっています。それでもまだ0.5%超えです。
前週と比べると、日本国籍者は、検査数が14%減少に対して陽性者数は59%減少。外国籍者は検査数が25%増加に対して陽性者数は19%増加です。
このため、罹患率は、日本国籍者は半減、外国籍者は横ばいでした。
日本国籍者と外国籍者との間での罹患率の差はさらに拡がりました。日本国籍者は0.2〜0.6%、外国籍者は0.5〜0.8%といった感じです。
総じて見ると、日本国内の罹患率は0.06%(人口約1億2500万人のうち治療中+死者約70,000人)ですから、空港検疫は相変わらず国内の10倍程度危険であることが分かります。
■[陽性者数多い国分析] 米国は外人急激悪化で四割
今週も、日本国籍者は減少、外国籍者は横ばいといった傾向です。
相変わらず数が最多なのは米国。30人と前週の1.5倍になり、全体の四割を占めています。前週までは日本国籍者の方が陽性者が多かったですが、今週は外国籍者が24人と激増。外国籍者の罹患率は1.30%と急激悪化しています。
今週は、ロシアが、インドネシアとともに2番目に悪い数値になりました。ロシアは元々罹患率が悪い国です。米国に集中し他の国が数を減らす中、横ばい推移だったため、数も悪い結果となりました。感染要注意国ですね。
欧州は外国籍者が増えた印象です。
■[罹患率高い国分析] ロシアは相変わらず悪く2.5%超え
罹患率は、ある程度の検体数(100人以上)がいる国では、ロシアが相変わらず罹患率が高く、2.56%と非常に悪いです。1%を超える国がロシア、パキスタン、アラブ首長国連邦、インド、ミャンマーと5か国もあります。ユーラシア大陸中央部ばかりですね。
検体数が少ない国でも、南アフリカは特に異常で、26人中3人感染の11.54%。変異株発生国でもあり、10人に1人を超える感染とは、かなりの注意が必要です。
二番目に数値の悪いクロアチア、三番目に数値の悪いナイジェリアは、二週連続の悪い数値で、ロシア同様現地の感染状態が悪いのかもしれません。非上陸拒否国で検査がほぼ9日1日間のみと思われるスリランカが3.13%でなぜか高確率になっています。
東欧も罹患率が高い国が傾向もあまり変わらず。クロアチア、ルーマニアと北欧のスウェーデンが1%を超えています。
■[非公表の多い国分析] 非公表消滅したのに誤差が発生
毎日の詳細発表で非公表者は消滅しました。
非公表者が消滅したので、誤差がなくなるかと思いきや、かなり誤差が出ています。原因が謎です。
ナイジェリア、アラブ首長国連邦と変異株警戒国も含まれています。
■[航空便利用者数分析] 米中横ばいも増減国によりバラバラ
合計の利用者数は五千人ほど増えて、3万人台を回復。31,606人でした。
米国直行便と中国直行便の利用者数は横ばい。フィリピン直行便が約1,000人/週増加した一方、インドネシア直行便は約800人/週減と半減。ネパール直行便も半減しています。
ベトナムは約2,500人/週増えて倍増。韓国も約2,300人/週増と倍増し前々週レベルに回復しています。
技能実習生などが、インドネシアとネパールは渡航を諦めた一方、ベトナムは駆け込みがあったと言った感じでしょうか。
ベトナムは翌週から感染者が連発しており、まだ全入国者検査が始まっていなかったこの週にすり抜けが多くなかったか気になるところです。
フィリピンと韓国は年末年始休みが明けてビジネス客が動いたのかもしれません。
毎週データは更新されているようですので、今後も注視していきます。
※非公表がなくなりましたので、細かい分析は今週で終了します。
■米国からの入国者の動向
10月04日〜10月10日:罹患率0.23%
日本国籍 検体1,674・陽性4=罹患率0.24%、外国籍 検体547・陽性1=罹患率0.18%
10月11日〜10月17日:罹患率0.54%
日本国籍 検体532・陽性4=罹患率0.75%、外国籍 検体215・陽性0=罹患率0.00%
10月18日〜10月24日:罹患率0.15%
日本国籍 検体823・陽性0=罹患率0.00%、外国籍 検体489・陽性2=罹患率0.41%
10月25日〜10月31日:罹患率0.13%
日本国籍 検体1,545・陽性1=罹患率0.06%、外国籍 検体783・陽性2=罹患率0.26%
11月01日〜11月07日:罹患率1.19%
日本国籍 検体1,832・陽性26=罹患率1.42%、外国籍866・陽性6=罹患率0.69%
11月08日〜11月14日:罹患率0.67%
日本国籍 検体1,829・陽性11=罹患率0.60%、外国籍851・陽性7=罹患率0.82%
11月15日〜11月21日:罹患率0.78%
日本国籍 検体2,043・陽性11=罹患率0.54%、外国籍1,017・陽性13=罹患率1.28%
11月22日〜11月28日:罹患率0.64%
日本国籍 検体3,307・陽性20=罹患率0.60%、外国籍933・陽性7=罹患率0.75%
11月29日〜12月05日:罹患率0.75%
日本国籍 検体2,644・陽性14=罹患率0.53%、外国籍1,209・陽性15=罹患率1.24%
12月06日〜12月12日:罹患率0.37%
日本国籍 検体3,544・陽性10=罹患率0.28%、外国籍1,080・陽性 7=罹患率0.65%
12月13日〜12月19日:罹患率0.42%
日本国籍 検体4,300・陽性12=罹患率0.28%、外国籍 963・陽性10=罹患率1.04%
12月20日〜12月26日:罹患率0.42%
日本国籍 検体4,887・陽性20=罹患率0.41%、外国籍 789・陽性 4=罹患率0.51%
12月27日〜01月02日:罹患率0.50%
日本国籍 検体2,746・陽性11=罹患率0.40%、外国籍1,426・陽性10=罹患率0.70%
01月03日〜01月09日:罹患率0.71%
日本国籍 検体2,384・陽性 6=罹患率0.25%、外国籍1,850・陽性24=罹患率1.30%
■英国からの入国者の動向
11月22日〜11月28日:罹患率0.77%
日本国籍 検体 304・陽性 2=罹患率0.66%、外国籍 87・陽性 1=罹患率1.15%
11月29日〜12月05日:罹患率0.29%
日本国籍 検体 587・陽性 2=罹患率0.34%、外国籍 105・陽性 0=罹患率0%
12月06日〜12月12日:罹患率0.17%
日本国籍 検体1,066・陽性 2=罹患率0.19%、外国籍 136・陽性 0=罹患率0%
12月13日〜12月19日:罹患率0.33%
日本国籍 検体1,102・陽性 4=罹患率0.36%、外国籍 108・陽性 0=罹患率0%
12月20日〜12月26日:罹患率1.50%
日本国籍 検体 986・陽性17=罹患率1.72%、外国籍 149・陽性 0=罹患率0%
12月27日〜01月02日:罹患率0.39%
日本国籍 検体 168・陽性 1=罹患率0.60%、外国籍 87・陽性 0=罹患率0%
01月03日〜01月09日:罹患率0.52%
日本国籍 検体 241・陽性 1=罹患率0.41%、外国籍 141・陽性 1=罹患率0.71%
■週間速報内容
12/20-12/26
全検査
合計 検体14,098陽性76 0.54%↓
日本 検体 5,155陽性12 0.23%↓陽性人数半減!!
外国 検体 8,943陽性64 0.72%
検体数の多い国
米 国:検体4,234 陽性30=0.71%
日本国籍 検体2,384 陽性 6=0.25%/外国籍国 検体1,850 陽性24=1.30%
フィリピン:検体1,636 陽性 5=0.31%
日本国籍 検体 154 陽性 0=0%/外国籍 検体1,482 陽性 5=0.34%
ベトナム:検体 943 陽性 1=0.11%
日本国籍 検体 20 陽性 0=0%/外国籍 検体 923 陽性 1=0.11%
フランス:検体 516 陽性 1=0.19%
日本国籍 検体 195 陽性 0=0%/外国籍 検体 321 陽性 1=0.31%
インドネシア:検体 451 陽性 3=0.67%
日本国籍 検体 153 陽性 1=0.65%/外国籍 検体 298 陽性 2=0.67%
罹患率の高い国(検体数100以上)
ロ シ ア:合計 検体 195、陽性 5=2.56%
日本国籍 検体 43、陽性 0=0%/外国籍 検体 152、陽性 5=3.29%
パキスタン:合計 検体 254、陽性 4=1.57%
日本国籍 検体 14、陽性 0=0%/外国籍 検体 240、陽性 4=1.67%
U A E:合計 検体 339、陽性 4=1.18%
日本国籍 検体 194、陽性 1=0.52%/外国籍 検体 145、陽性 3=2.07%
イ ン ド:合計 検体 392、陽性 4=1.02%
日本国籍 検体 54、陽性 0=0%/外国籍 検体 338、陽性 4=1.18%
ミャンマー:合計 検体 400、陽性 4=1.00%
日本国籍 検体 10、陽性 1=10.00%/外国籍 検体 390、陽性 3=0.77%
※特記
罹患率は南アフリカが最悪です(検体26(日本国籍7)・陽性3(全員外国籍者)の11.54%)。
二週連続でクロアチア(6.25%、外国籍13人中陽性1人)、ナイジェリア(6.25%、外国籍14人中陽性1人)が数値が悪いです。スリランカ(3.13%、外国籍59人中陽性2人)が続いています。
■毎日の個別発表との誤差状況(1月3日〜1月9日)
(A)週間発表(今回の滞在国・地域ごとの検査実績発表):76人
(B)毎日発表:77人中非公表0人(複数国滞在者なし)
(誤差が出ている国)Aが超過していると非公表の可能性有
アラブ首長国連邦(A)4人(B)2人=Aが2人超過(日本籍1・外国籍3)
パキスタン(A)4人(B)5人=Bが1人超過(日本籍0・外国籍4)
インドネシア(A)3人(B)4人=Bが1人超過(日本籍1・外国籍2)
ナイジェリア(A)1人(B)2人=Bが1人超過(日本籍0・外国籍1)
フランス(A)1人(B)0人=Aが1人超過(日本籍0・外国籍1)
コートジボワール(A)0人(B)1人=Bが1人超過
■水際対策(厚生労働省公式サイト)
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kansenkakudaiboushi-iryouteikyou.html#h2_7
2021年01月23日
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