◇空港検疫結果分析(週間別)1月3週目 検査数急増で罹患率0.1%台まで低下
4月3日に入国者に対する新型コロナウイルス感染症検査(PCR検査または抗原検査)の全員実施が始まってから9か月半が過ぎました。
1月3週目(1月15日〜1月21日)は、検査対象数27,317人中、陽性者数53人、罹患率0.194%(推定値)となりました。
■検査人数は急増
1月3週目は、1日平均3,902人が検査しました。検査数は過去最高となりました。週間2万人を超えたのは初めてです。全入国者に対する検査が始まっています。
陽性者は週間53人と前週より減りました。罹患率は0.194%(推定値)まで下がってきました。
陽性者数はまだ昨年7月レベルで多めですが、検査数が非常に多かったので、罹患率は最も低かった昨年5月レベルまで落ちてきました。
罹患率0.1%台は一見かなり低くなったように見えますが、感染が緊急事態の今の日本国内ですら罹患率は0.06%弱ほど(人口1億2571万人中治療必要者7万人)なので、空港検疫が、まだまだ国内よりも危険な状態には変わりません。
グラフ化すると、検査者数(青)は急増、陽性者数(赤)は減少。このため罹患率(緑)は急落しています。
(赤が感染者数(左目盛)、青が検査者数(右目盛)、緑が罹患率(右目盛))
■羽田着が引き続き減少したまま
[空港別] 53人中 成田34・羽田8・中部2・関空8・福岡1
成田国際着が相変わらず最多です。64%(前週-6P)です。
東京国際(羽田)着の減少は続いており、15%(前週比+2P)です。15%(前週比-1%)とやや高め推移が続いている関西国際着と同数でした。
中部国際着、福岡着ともに陽性者が出ています。
米国からの入国者が激減しているので、羽田着が減ったものと思われます。羽田発着の便は不要不急の利用者の乗る便が多いと言えるかもしれません。
■男性比率戻る
[男女別] 53人中 男39・女14
男性は74%(前週比+12P)で男性比率が元の水準(4人に3人程度)に戻りました。
■30代増えたまま、ビジネスは個人多い?
[年齢別] 53人中 10代下7・20代9・30代15・40代11・50代8・60代3・70代0・80代上0
20代〜40代は前週同等の35人66%(前週比-10P)とかなり減りました。30代が15人28%(前週比-5P)と多い状況が変わっていません。20代より40代の方が多いです。年が明けて戻ったのは、技能実習生などの団体や留学生より、ビジネス個人入国が多そうです。
10歳未満は4人8%(前週比+2P)とやや増加しています。
■米国やや悪化、アフリカ増加続く
[渡航元] 53人中 米国15人・アフリカ大陸7人・非上陸拒否国8人
米国は15人28%(前週比+8P)とやや悪化しています。
欧州は合計2人4%(前週比-8P)とさらに減少しました。欧州は年末の不要不急の行き来が多かったということでしょうか。
変異株で騒ぎになっている英国は該当なし、アラブ首長国連邦1人2%、ナイジェリア4人8%、南アフリカは1人2%でした。
アフリカから入国の陽性が増加中で、7人13%(前週比+2P)でした。
南アジアは合計10人19%(前週比-5P)と高水準が続いています。
8日から全入国者に対する検査が始まり、非上陸拒否国の陽性も再び目立っています。中国、ベトナム、シンガポール、スリランカから10人19%(前週比+6P)確認されています。やはり偽陽性多いのでしょうか、、、。
カザフスタンとガンビアは、全員検査が始まった2020年4月3日以来初めての確認です。
間近の感染が急激に増加中の国:中国・フィリピン・インドネシア・スリランカ・UAE・カザフスタン・フランス・ガンビア・ナイジェリア・メキシコ・ペルー
感染状況がピークの国:日本・インドネシア・スリランカ・UAE・ナイジェリア・メキシコ
以上の異常状態の国からの入国者も感染確認されています。
ロイターのページが分かりやすいです。https://graphics.reuters.com/world-coronavirus-tracker-and-maps/ja/
グラフにすると、紫系統の欧州(青系統)が減り、その他(濃灰色)が増加しています。
(東アジア:赤系統、東南アジア:黄系統、南アジア:緑系統、欧州:青系統、米州:紫系統)
・トルコからの入国者の陽性確認数がタイと並びましたので追加しました。
アフリカ大陸諸国の感染確認が異常に増えているように感じたので、グラフ化してみました。
アフリカ大陸諸国からは入国者自体が少なく、陽性者もほとんどいません。2020年4月3日から、ほぼ全体の1%前後で推移してきており、7日平均も高くて5%程度、しかも単発ばかりでした。それが昨年12月末から陽性者が急増しており、7日平均の率は今週15%程度まで上がってきています。
陽性が増え始めているのが全入国者検査が始まった1月9日頃ではなく、それより前の12月末なので、急増の原因は、変異株の可能性があります。南アフリカやナイジェリアからの入国者に変異株が多数確認されており、異常な増え方とともに気になる傾向です。
■東北地方がいきなり5人
[居住地] 53人中非公表が6人、南関東23人・東北5人
非公表者は6人11%(前週比+11P)となりました。
南関東は23人49%(前週比-14P)と半数程度まで減りました。東京が7人15%(前週比-15P)と激減し、神奈川の8人17%(前週比-4P)が最悪となりました。神奈川は米国からが多いです。船員なら千葉も増えそうですし、南関東三県でここまで露骨に差が出る理由が引き続き謎です。
今週は、これまで陽性者がほとんど出ていなかった東北地方からいきなり5人確認されています。
グラフを見ると、相変わらず東京(濃赤色)がやや減ってきています。
(関東:赤黄系統、中部:緑系統、関西:青系統、中四国九州:紫系統)
■有症状悪化したまま
[その他] 団体感染疑い2件、有症状者が7人と悪いまま
・詳細は公開されていないので推定でしかないですが、同日に同一空港へ同一国からの入国で同一都道府県在住者が連番確認された場合の、団体感染の疑いが強い事例は2件でしたが、2件とも10歳未満が含まれる家族感染疑い事例でした。
・行動歴、居住地とも非公表者は2週連続いませんでした。
・有症状者は7人13%(前週比-1P)と悪い状態が続いています。
・2か国以上滞在者は1人のみです。
・変異株は今週到着分ではまだ確認されていません。
・自県の感染者増加でアップアップしているのか、在住都道府県からの発表がほぼなくなっています。
■団体感染が疑われる事例(連番確認)
・1月15日 2059 関空 30代 男性 兵庫県 カザフスタン 無症状
1月15日 2060 関空 10歳未満 女性 兵庫県 カザフスタン 無症状
1月15日 2061 関空 10代 男性 兵庫県 カザフスタン 無症状
・1月18日 2085 羽田 30代 女性 非公表 米国 倦怠感
1月18日 2086 羽田 10歳未満 男性 非公表 米国 無症状
1月18日 2087 羽田 10歳未満 男性 非公表 米国 無症状
■団体感染が疑われる事例(10歳未満)
・1月15日 2058 関空 10歳未満 女性 兵庫県 トルコ 無症状
・1月15日 2060 関空 10歳未満 女性 兵庫県 カザフスタン 無症状
・1月18日 2086 羽田 10歳未満 男性 非公表 米国 無症状
・1月18日 2087 羽田 10歳未満 男性 非公表 米国 無症状
■在住地が非公表の事例
・1月17日 2078 成田 50代 男性 非公表 米国 無症状
・1月18日 2080 成田 60代 男性 非公表 メキシコ 無症状
・1月18日 2085 羽田 30代 女性 非公表 米国 倦怠感
・1月18日 2086 羽田 10歳未満 男性 非公表 米国 無症状
・1月18日 2087 羽田 10歳未満 男性 非公表 米国 無症状
・1月20日 2091 羽田 40代 女性 非公表 フランス 無症状
■有症状事例
・1月15日 2056 成田 50代 男性 埼玉県 パキスタン 咳嗽
・1月18日 2083 成田 30代 男性 神奈川県 米国 発熱
・1月18日 2085 羽田 30代 女性 非公表 米国 倦怠感
・1月19日 2090 成田 30代 女性 東京都 南アフリカ 鼻汁、頭重感、咽頭痛
・1月21日 2099 成田 40代 男性 東京都 米国 発熱
・1月21日 2100 成田 50代 男性 秋田県 アラブ首長国連邦 咳嗽
・1月21日 2101 成田 30代 男性 大阪府 ガンビア 咳嗽
■2か国以上滞在者事例
・1月16日 2069 羽田 30代 男性 東京都 ロシア/トルコ 無症状
■変異株
・未確認
■非上陸拒否国からの入国者
・1月15日 2049 成田 30代 男性 東京都 シンガポール 無症状
・1月15日 2054 成田 30代 女性 岐阜県 中国 無症状
・1月16日 2062 成田 40代 男性 千葉県 スリランカ 無症状
・1月16日 2063 成田 40代 男性 神奈川県 スリランカ 無症状
・1月17日 2076 中部 10代 男性 愛知県 ベトナム 無症状
・1月17日 2077 成田 50代 男性 山梨県 中国 無症状
・1月18日 2079 成田 20代 男性 新潟県 ベトナム 無症状
・1月17日 2081 関空 30代 女性 大阪府 ベトナム 無症状
・1月20日 2095 成田 30代 男性 神奈川県 スリランカ 無症状
・1月20日 2097 成田 20代 男性 東京都 ベトナム 無症状
■空港検疫での感染確認 週間別の傾向(検査対象人数が推定値)
・2020/04/03-2021/01/21:検査対象465,222人(1,582人/日) 感染2,136人=罹患率0.459%
(上記合計は11月5日分の過計上1,838件をマイナス済。下記各週の数値はマイナスせず。)
2020年
・04/03-04/09:検査対象10,010人(1,430人/日) 感染34人=罹患率0.339%
・04/10-04/16:検査対象 7,375人(1,053人/日) 感染16人=罹患率0.216%
・04/17-04/23:検査対象 4,480人( 640人/日) 感染 8人=罹患率0.178%
・04/24-04/30:検査対象 4,744人( 677人/日) 感染13人=罹患率0.274%
・05/01-05/07:検査対象 3,861人( 551人/日) 感染 5人=罹患率0.129%
・05/08-05/14:検査対象 4,130人( 590人/日) 感染 5人=罹患率0.121%
・05/15-05/21:検査対象 3,948人( 564人/日) 感染 3人=罹患率0.075%
・05/22-05/28:検査対象 3,988人( 569人/日) 感染23人=罹患率0.576%
・05/29-06/04:検査対象 5,869人( 838人/日) 感染20人=罹患率0.340%
・06/05-06/11:検査対象 6,081人( 868人/日) 感染29人=罹患率0.476%
・06/12-06/18:検査対象 6,788人( 969人/日) 感染41人=罹患率0.604%
・06/19-06/25:検査対象 7,677人(1,096人/日) 感染30人=罹患率0.390%
・06/26-07/02:検査対象 9,458人(1,351人/日) 感染20人=罹患率0.211%
・07/03-07/09:検査対象10,800人(1,542人/日) 感染41人=罹患率0.379%
・07/10-07/16:検査対象 9,702人(1,386人/日) 感染76人=罹患率0.783%
・07/17-07/23:検査対象 9,388人(1,341人/日) 感染64人=罹患率0.681%
・07/24-07/30:検査対象 9,055人(1,293人/日) 感染84人=罹患率0.927%
・07/31-08/06:検査対象12,190人(1,741人/日) 感染67人=罹患率0.549%
・08/07-08/13:検査対象 9,453人(1,350人/日) 感染36人=罹患率0.380%
・08/14-08/20:検査対象10,254人(1,464人/日) 感染39人=罹患率0.380%
・08/21-08/27:検査対象10,612人(1,516人/日) 感染31人=罹患率0.292%
・08/28-09/03:検査対象11,895人(1,699人/日) 感染47人=罹患率0.395%
・09/04-09/10:検査対象 9,679人(1,382人/日) 感染27人=罹患率0.278%
・09/11-09/17:検査対象11,654人(1,664人/日) 感染41人=罹患率0.351%
・09/18-09/24:検査対象11,262人(1,608人/日) 感染45人=罹患率0.399%
・09/25-10/01:検査対象13,766人(1,966人/日) 感染48人=罹患率0.348%
・10/02-10/08:検査対象12,579人(1,797人/日) 感染51人=罹患率0.405%
・10/09-10/15:検査対象12,755人(1,822人/日) 感染43人=罹患率0.337%
・10/16-10/22:検査対象15,304人(2,186人/日) 感染44人=罹患率0.287%
・10/23-10/29:検査対象16,650人(2,378人/日) 感染51人=罹患率0.306%
・10/30-11/05:検査対象15,804人(2,257人/日) 感染54人=罹患率0.341%
・11/06-11/12:検査対象10,227人(1,461人/日) 感染100人=罹患率0.977%
・11/13-11/19:検査対象11,591人(1,655人/日) 感染77人=罹患率0.664%
・11/20-11/26:検査対象12,322人(1,760人/日) 感染88人=罹患率0.714%
・11/27-12/03:検査対象13,348人(1,906人/日) 感染83人=罹患率0.621%
・12/04-12/10:検査対象15,699人(2,242人/日) 感染79人=罹患率0.503%
・12/11-12/17:検査対象17,378人(2,482人/日) 感染69人=罹患率0.397%
・12/18-12/24:検査対象21,365人(3,052人/日) 感染115人=罹患率0.538%
・12/25-12/31:検査対象13,804人(1,972人/日) 感染63人=罹患率0.456%
2021年
・01/01-01/07:検査対象13,130人(1,875人/日) 感染92人=罹患率0.701%
・01/08-01/14:検査対象19,668人(2,809人/日) 感染63人=罹患率0.320%
・01/15-01/21:検査対象27,317人(3,902人/日) 感染53人=罹患率0.194%
[空港別] 成田34・羽田8・中部2・関空8・福岡1
[男女別] 男39・女14
[年代別] 10代下7・20代9・30代15・40代11・50代8・60代3・70代0・80代上0
[渡航元] 中国2・フィリピン2・ベトナム4・シンガポール1・インドネシア1・
ネパール2・インド1・パキスタン4・スリランカ3・
UAE1・トルコ1・ロシア/トルコ1・カザフスタン3・
ウクライナ1・フランス1・
エチオピア1・ガンビア1・ナイジェリア4・南アフリカ1・
米国15・メキシコ1・ペルー2・非公表0
[居住地] 青森1・秋田1・宮城1・山形1・福島1・
埼玉4・千葉4・東京7・神奈川8・
静岡2・新潟1・岐阜1・愛知5・
大阪4・兵庫4・岡山1・広島1・非公表6
15日13、16日10、17日9、18日8、19日3、20日7、21日3=53
42週(294日)経過
※検査対象数は、何月何日着が何人という発表ではなく、2日遅れで集計発表していると思われる数値しか公表されていません。毎日更新されているので、それほど大きくブレることはないと思いますが、確実に何月何日到着分の数値かは不明です。推定値に近い数値として捉えてください。
※1月18日に海港検疫での陽性者が初めて確認されました。その後、18日神戸港着で11人の陽性が発表されています。この日までは海港のデータが含まれていません。海港で上陸できるのは乗員のみで、乗員は空港でも検査が基本行われていません(変異株の初の市中感染は航空便パイロットが起こしているので乗員が検査されないことが判明)。
海港検疫での陽性判明は18日神戸港着のみ。この船には1人体調不良者がいたことが分かっており、有症状者とその濃厚接触者以外は、海港では検査は行われていないと考えられます。つまり、海港での検査数はごく少ないと推定されます。
この日以降、検査者数は海港検疫での数が含まれたものしか発表されていない一方で、陽性数は海港と空港で別々に数が発表されています。上記数字は、検査者数は海港検疫を含めた数値、陽性者数は海港検疫を含めない数値で記載しています。
■これまでの毎週配信している期間集計(週間別)の記事
<07月から週間分析>
・01月19日 検疫週間別1月2_検査あまり増えず
・01月12日 検疫週間別1月1_激増0.7%超
・01月03日 検疫週間別12月5_減少も0.45%超
・12月27日 検疫週間別12月4_過去最悪陽性115人
・12月20日 検疫週間別12月3_検査最多 陽性60人台
・12月13日 検疫週間別12月2_70人台0.5%超
・12月06日 検疫週間別12月1_悪化続き80台
・11月29日 検疫週間別11月4_悪化したまま
・11月22日 検疫週間別11月3_まだ率0.6%超
・11月15日 検疫週間別11月2_状況過去最悪
・11月08日 検疫週間別11月1_検査前増後減
・11月01日 検疫週間別10月4_罹患率0.3%超
・10月25日 検疫週間別10月3_検査1日2千人超
・10月18日 検疫週間別10月2_南亜急増中
・10月11日 検疫週間別10月1_9週ぶり50人超 グラフ掲出開始
・10月04日 検疫結果週間別9月5_最多検査0.3%超
・09月27日 検疫結果週間別9月4_罹患0.4%肉薄
・09月20日 検疫結果分析9月3_陽性40人台
・09月13日 検疫結果分析9月2_9週ぶり20人台
・09月06日 検疫結果分析9月1_4週ぶり40人超
・08月30日 検疫結果分析8月4_罹患0.3%切
・08月23日 検疫結果分析8月3_罹患横ばい
・08月16日 検疫結果分析8月2_若干落ち着き
・08月09日 検疫結果分析8月1_検査増で罹患減
・08月02日 検疫結果分析7月4_最悪0.9%超
・07月26日 検疫結果分析7月3_高水準続く
・07月19日 検疫結果分析7月2_過去最悪
・07月12日 検疫結果分析7月1_感染拡大戻り
・07月05日 検疫結果分析(6月4週)_少し落ち着き
・06月28日 検疫結果分析(6月3週目)_罹患高率(4月1〜6月3迄分析)
<07月まで上中下順別分析>
・08月03日 検疫結果分析7月下_最悪悪化
・07月23日 検疫結果分析7月中_最悪更に大悪化
・07月13日 検疫結果分析7月上_感染数最悪
・07月03日 検疫結果分析_6月下旬変化?
・06月23日 検疫結果分析_6月中旬率最悪
・06月13日 検疫結果分析_6月上旬も異常
・06月04日 検疫結果分析_5月下旬異常(4月上〜5月下迄分析)
2021年01月26日
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