◆空港検疫結果分析(国籍別) 11月外国籍者の感染率やや減少・入国激増、ついに日本国籍者の方が高い罹患率に!
厚生労働省(厚労省)では6月から空港検疫での陽性者の国籍内訳(日本国籍・外国籍別)を発表しています。11月分の詳細を確認したところ、ついに、日本国籍者の方が罹患率が高くなりました。
25日に出入国管理統計が更新されて11月の出入国者数の詳細数値が出ましたので、厚労省発表の国籍内訳と合わせて軽く分析してみます。
■半数以上が検査対象外に!
11月は、入国者は、外国籍者が激増しており、入国者のうち外国籍者の占める割合は69.4%(前月比+10.7%)と日本国籍者を大幅に超えました。
11月1日から、入国者数が多いのに低感染国の9か国(韓国、中国、台湾、ベトナム、タイ、シンガポール、ブルネイ、オーストラリア、ニュージーランド)が原則入国時検査なしになったため、検査数が急減しています。
入国者数(日本国籍者+外国籍者+米軍協定該当者)と検査数(推定値)を比較してみると、5月から10月までは、検査数の方が多いことが分かります。これは、乗員上陸等の特別上陸の人も一部検査対象になっていたり、複数回検査する人がいたりするからです。
※乗員の検査を巡っては、英国便のパイロットが日本初の変異株市中感染を起こしたことから、国の検疫が管理しておらず、責任は運航会社に丸投げされている驚愕の実態が発覚。本邦社も検査を実施していなかったことが分かっています。活況の貨物便だらけとなっている海港に至っては、旅客便がないために、2021年1月まで検査が全く行われていないと思われる状況です(海港からの入国も、乗員上陸とは別に、毎月数十人単位でいます)。
例えば10月は検査数66,494件に対し、入国者数64,508人(特別上陸含むと100,369人)でした。
これが、11月は、検査数49,381件と、入国者数99,663人(特別上陸含むと141,874人)の半分ほどに激減しています。
入国する人の半数以上が検査しない人たちになりました。
入国審査場では、どこの国から入国したかは確認していませんから、国籍別でしかデータがありません。今回の入国規制で、たまたま誓約書に、どこの国から来たかを記入するようですが、そのデータは公開されていませんので、それぞれの国からの正確な入国者数は不明です。
唯一データがある外国籍者の国籍別の入国者数を見ると、だいたい半数程度は、11月1日から検査免除となった9か国の国籍者でしたから、だいたい半数が検査外となった今回発表の11月の数値と合致しています。日本国籍者も9か国からの入国がそれなりにいると考えて良いのでしょう。
(11月1日配信)空港検疫_解除9国の陽性動向
http://johokotu.seesaa.net/article/478230664.html
■日本国籍者の方が罹患率高い!
検査数が激減し、感染者数が急増しているため、罹患率は増加傾向です。
日本国籍者は、30,453人中感染者128人で罹患率0.420%(前月比+0.139P)でした。
一方、外国籍者は、特別上陸者を除くと、69,210人中感染者226人で罹患率0.326%(前月比-0.049P)と減少しました。
この結果、全員検査が始まった昨年4月以降、初めて日本国籍者の方が罹患率が高い状況になりました。特別上陸者を含めると入国者111,421人となり、その全員が外国籍だとすると、その場合は罹患率0.203%となります。
入国者の一部は、検査しなくても入国できます。総検査人数を基に感染率を計算すると、日本国籍者0.847%、外国籍者0.659%と推定できます(検査人数は49,381人と推定されており、それを入国者の比率で分散すると、推定検査数=日本国籍者15,111人・外国籍者34,270人)。この切り口でも、日本国籍者の方が罹患率が悪いとの結果になりました。
一つの要素として、11月1日以降に低感染国9か国が検査対象外になった影響があると思われますので、それらの国からの入国者を抜いて考えてみます。
とは言っても、当該国からの入国者という括りのデータがありません。唯一あるのは、外国籍者の国籍別の入国者数だけ。確実にその国から入国してきたというわけではないですが、全員が、母国から入国してきたと仮定して、外国籍者の母数から、その9か国分の人数を引いてみます。
韓国4,125人、中国(香港(中国・英国とも)、その他含む)21,656人、台湾1,586人、ベトナム14,894人、タイ1,294人、シンガポール183人、ブルネイ4人、豪州286人、ニュージーランド110人の合計44,138人です。外国籍者は69,210人でしたから9か国以外から入国した外国籍者数は25,072人になります。この場合の罹患率は0.901%です。こうなると日本国籍者より高くなります。
別の切り口で、入国者数はそのままに、9か国からの入国者に罹患者がいると想定してみます。7月〜10月には、元々罹患者の一割〜二割が上記9か国からの入国者でした。そこで、当該国からの陽性者は全員外国籍者と仮定して、外国籍者の感染者数を(高く見積もって)二割増しにしてみると、推定271人です。この場合の罹患率は、0.391%となります。これだと、まだ日本国籍者よりも罹患率が低いです。
これらの国から入国しているのは外国籍者だけではなく日本国籍者もいます。上の想定では日本側の数値は9か国からの入国者を引いていないので単純比較はできませんし、細かい話をすれば、スリランカなどの元々検査のない非上陸拒否国を引いていませんので、厳密には正確な数値ではありませんが、一つの参考にはなりそうです。
11月以降、入国者の陽性事例が増え、さらに変異株が出たことで、これまで数値を追ってきていなかった人たちの関心が高まっています。この中で、外国籍者の陽性者数が日本国籍者より多いことから、外人入れるのが危険だ!という議論が高まっているのですが、単純比較では、11月以降は日本国籍者の方が罹患率が高く危険と言えそうです。
■入国者が多いから感染確認が多いわけではない
11月1日から原則検査なしになった国が多かったので、大幅に傾向が変わっています。
11月に空港検疫で感染確認された人の渡航元別人数を見てみます。非公表を除くと291人の渡航元が分かっています。
外国籍者の入国者数の多い国順だと、インドネシア48人、フィリピン20人、ネパール19人、米国90人、インド13人でした。
※非上陸拒否国含めると、入国者数は中国、ベトナム、韓国、インドネシア、フィリピン、台湾、ネパール、米国、タイ、インドの順に多いです。
また、感染者が多い順では、米国90人、インドネシア48人、ロシア20人、フィリピン20人、ネパール19人でした。
インドネシアは入国者数が増えたので、連動して陽性者が増えたという側面が一つあります。
しかし、米国はそうではありません。こうやって見ると、米国の異常さは際立っていますね。
なお、10月4日以降は、週間別に、非常に細かい国別の入国者数、感染者数の公表が始まっています。2週間遅れ程度で情報が開示されていますので、より早い段階で、より細かく見ていくことが可能です。
■新型コロナウイルス感染症の検査実績について(空港検疫)(厚生労働省公式サイト)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00201.html
■罹患率推移
03月:日本国籍 0.011%/外国籍 0.002% 04月:日本国籍 0.174%/外国籍 0.213%(特別上陸を加え0.034%)
05月:日本国籍 0.127%/外国籍 0.512%(特別上陸を加え0.083%)
06月:日本国籍 0.150%/外国籍 0.997%(特別上陸を加え0.246%)
07月:日本国籍 0.214%/外国籍 1.746%(特別上陸を加え0.364%)
08月:日本国籍 0.322%/外国籍 0.647%(特別上陸を加え0.215%)
09月:日本国籍 0.274%/外国籍 0.474%(特別上陸を加え0.177%)
10月:日本国籍 0.281%/外国籍 0.375%(特別上陸を加え0.192%)
11月:日本国籍 0.420%/外国籍 0.326%(特別上陸を加え0.203%)
■空港検疫での感染状況
03月:検査1,679人/日本国籍60人・外国籍 6人=合計66人(日・外=90.9%・ 9.0%)
04月:検査26,990人/日本国籍68人・外国籍12人=合計80人(日・外=85.0%・15.0%)
05月:検査18,223人/日本国籍19人・外国籍26人=合計45人(日・外=42.2%・57.7%)
06月:検査30,676人/日本国籍31人・外国籍93人=合計124人(日・外=25.0%・75.0%)
07月:検査43,878人/日本国籍58人・外国籍219人=合計277人(日・外=20.9%・79.1%)
08月:検査47,982人/日本国籍77人・外国籍120人=合計197人(日・外=39.1%・60.9%)
09月:検査48,310人/日本国籍64人:外国籍 98人=合計162人(日:外=39.5%:60.5%)
10月:検査66,494人/日本国籍75人:外国籍142人=合計217人(日:外=34.6%:65.4%)
11月:検査49,381人/日本国籍128人:外国籍226人=合計354人(日:外=36.2%:63.8%)
※検査対象数は、何月何日着が何人という発表ではなく、2日遅れで集計発表していると思われる数値しか公表されていません。毎日更新されているので、それほど大きくブレることはないと思いますが、確実に何月何日到着分の数値かは不明です。推定値に近い数値として捉えてください。
■出入国者数
03月:日本521,730人・外国217,679人・米軍7,116人=合計746,525人
日本国籍・外国籍・米軍協定該当者=69.8%・29.1%・0.9%
寄港 3,075人/通過 980人/観光 0人/乗員 93,507人/その他特別 37人
04月:日本38,983人・外国 5,312人・米軍312人=合計44,607人
日本国籍・外国籍・米軍協定該当者=87.3%・11.9%・0.6%
寄港 183人/通過 24人/観光 0人/乗員 28,472人/その他特別 44人
05月:日本14,864人・外国 4,488人・米軍586人=合計19,938人
日本国籍・外国籍・米軍協定該当者=74.5%・22.5%・2.9%
寄港 1人/通過 0人/観光 0人/乗員 26,169人/その他特別 68人
06月:日本20,615人・外国 8,028人・米軍1,296人=合計29,939人
日本国籍・外国籍・米軍協定該当者=68.8%・26.8%・4.3%
寄港 0人/通過10人/観光 0人/乗員 28,354人/その他特別 39人
07月:日本27,135人・外国10,300人・米軍2,244人=合計39,679人
日本国籍・外国籍・米軍協定該当者=68.4%・26.0%・5.7%
寄港 0人/通過 2人/観光 0人/乗員 34,981人/その他特別 70人
08月:日本23,939人・外国15,882人・米軍2,658人=合計42,479人
日本国籍・外国籍・米軍協定該当者=56.3%・37.4%・6.3%
寄港 0人/通過 合計2人/観光 0人/乗員 37,108人/その他特別 36人
09月:日本23,351人・外国18,861人・米軍1,824人=合計44,036人
日本国籍・外国籍・米軍協定該当者=53.0%・42.8%・4.1%
寄港 0人/通過 合計1人/観光 0人/乗員 34,748人/その他特別 81人
10月:日本26,645人・外国35,578人・米軍2,285人=合計64,508人
日本国籍・外国籍・米軍協定該当者=41.3%・55.2%・3.5%
寄港 0人/通過 6人/観光 0人/乗員 35,793人/その他特別上陸 62人
11月:日本30,453人・外国66,603人・米軍2,607人=合計99,663人
日本国籍・外国籍・米軍協定該当者=30.6%・66.8%・2.6%
寄港上陸 19人
通過上陸 1人
観光上陸 0人
乗員上陸 42,152人
その他特別上陸 39人(38人乗客緊急上陸、1人乗員緊急上陸)
■出入国管理統計統計表(法務省公式サイト)
http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_nyukan.html
2020年10月分の分析 http://johokotu.seesaa.net/article/479240604.html
2020年09月分の分析 http://johokotu.seesaa.net/article/478700846.html
2020年08月分の分析 http://johokotu.seesaa.net/article/478127506.html
2020年07月分の分析 http://johokotu.seesaa.net/article/477602024.html
2020年06月分の分析 http://johokotu.seesaa.net/article/477054510.html
2020年05月迄の分析 http://johokotu.seesaa.net/article/476514749.html
2021年01月27日
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