厚生労働省(厚労省)は17日、空港検疫での新型コロナウイルス感染症検査状況の3月1週目(2月28日〜3月6日)分の速報値を発表しました。
厚労省の速報は、週間の検体数と陽性者数を、日本国籍者、外国籍者別に、滞在国ごとに出した非常に細かいデータです。2020年11月11日以降毎週水曜日に過去4週間分が発表されています。3日の公表で、2020年10月4日〜2021年3月6日分が公表されたことになりました。
速報のため、日々の発表のデータとかなりのズレが生じてる場合もありますが、分析に活用できます。
■[罹患状況推移分析] 罹患率は横ばい続く
2020年
10/04-10/10 検体12,421・陽性57=罹患率0.46%(日本国籍0.46%:外国籍0.46%)
10/11-10/17 検体 7,364・陽性24=罹患率0.33%(日本国籍0.29%:外国籍0.34%)
10/18-10/24 検体12,213・陽性46=罹患率0.38%(日本国籍0.39%:外国籍0.37%)
10/25-10/31 検体17,833・陽性47=罹患率0.26%(日本国籍0.22%:外国籍0.29%)
<11/01〜入国者の多い低感染国9か国が検査解除>
11/01-11/07 検体10,589・陽性84=罹患率0.79%(日本国籍0.75%:外国籍0.83%)
11/08-11/14 検体10,823・陽性89=罹患率0.82%(日本国籍0.54%:外国籍1.02%)
11/15-11/21 検体11,627・陽性79=罹患率0.68%(日本国籍0.52%:外国籍0.79%)
11/22-11/28 検体13,789・陽性90=罹患率0.65%(日本国籍0.61%:外国籍0.65%)
11/29-12/05 検体14,226・陽性89=罹患率0.63%(日本国籍0.50%:外国籍0.74%)
12/06-12/12 検体16,488・陽性86=罹患率0.52%(日本国籍0.43%:外国籍0.64%)
12/13-12/19 検体18,554・陽性74=罹患率0.40%(日本国籍0.28%:外国籍0.62%)
12/20-12/26 検体18,835・陽性98=罹患率0.52%(日本国籍0.51%:外国籍0.54%)
12/27-01/02 検体13,123・陽性83=罹患率0.63%(日本国籍0.49%:外国籍0.75%)
2021年
01/03-01/09 検体14,098・陽性76=罹患率0.54%(日本国籍0.23%:外国籍0.72%)
<01/09〜全入国者検査開始>
01/10-01/16 検体21,399・陽性67=罹患率0.31%(日本国籍0.31%:外国籍0.31%)
01/17-01/23 検体22,678・陽性41=罹患率0.18%(日本国籍0.31%:外国籍0.15%)
01/24-01/30 検体10,076・陽性25=罹患率0.25%(日本国籍0.12%:外国籍0.37%)
01/31-02/06 検体10,435・陽性20=罹患率0.19%(日本国籍0.13%:外国籍0.27%)
02/07-02/13 検体 9,423・陽性19=罹患率0.20%(日本国籍0.15%:外国籍0.26%)
02/14-02/20 検体 9,523・陽性19=罹患率0.20%(日本国籍0.11%:外国籍0.28%)
02/21-02/27 検体11,779・陽性23=罹患率0.20%(日本国籍0.22%:外国籍0.17%)
02/28-03/06 検体14,086・陽性29=罹患率0.21%(日本国籍0.16%:外国籍0.26%)
検査数は、12月中旬〜下旬に日本国籍者が外国籍者の二倍ほどいたのに対し、12月5週目に日本国籍:外国籍=1:1.16と逆転。1月1週目に1:1.8、1月2週目に1:2.6、1月3週目に1:3.7とどんどん外国籍者が増えていました。1月4週目に外国籍者が急激に減って日本国籍:外国籍=1:1.05とほぼ同じになり、2月1週目に1:0.88と日本国籍者が逆転。2月2週目は1:0.82でしたが、2月3週目は再び外国籍者が多くなり1:1.11でした。先週2月4週目は1:1.02とほぼ同数でした
今週は再び日本国籍者が増加し、1:0.86となっています。
検査対象が全入国者になっています。検査数(≒入国者)の多さは、米国、中国、フィリピン、韓国、台湾の順でした。
日本人は12月4週目に12,354人いたのに対し、1月以降は激減していますが少しずつ増えつつあり、今週は7,575人でした。
外国人は1月4週目に大きく減少したところからさらに減少が続いていましたが、こちらも増加傾向に転じています。1月3週目に17,873人だったものが、今週は6,511人でした。
10月の4週間は日本国籍者と外国籍者の罹患率に差はなく0.35%程度でした。
11月に入ってからは、日本国籍者、外国籍者ともに急上昇しました。外国籍者の方が多かった印象ですが、差は小さく、日本国籍者の割合も追いかけるように増えていました。
陽性者数が同数で、全体の罹患率もほぼ横ばいです。
前週と比べると、日本国籍者は、検査数が30%増加に対して陽性者数は8%減少。外国籍者は検査数が9%増加に対して陽性者数は70%増加です。
このため、罹患率は、日本国籍者は改善、外国籍者は悪化。全体は7週連続同水準の0.21%でほぼ横ばいですが、再び外国籍者の方が悪くなっています。
罹患率は、0.8%超えもあった一時期に比べれば、ここのところ少なめで安定した印象です。しかし、それでもまだ0.21%です。
日本国内の罹患率は、最悪のピークだった1月初旬でも0.06%(人口約1億2500万人のうち治療中+死者約70,000人)ですから、空港検疫は相変わらず国内より危険であることが分かります。
■[陽性者数多い国分析] 17か国まで拡がる、パキスタンが急激悪化
今週陽性者が確認されたのは、前週に続いて陽性者が出ているフィリピン、パキスタン、ウクライナ、ハンガリー、コートジボワール、米国などを含めて17か国でした。
最多だったのはパキスタンで7人でした。このうち日本国籍者は1人のみです。
ウクライナと米国がそれぞれ3人で続き、ロシアとコートジボワールが各2人です。米国は全員外国籍者の一方、ロシアは全員日本国籍者。ウクライナは日本国籍者2人、外国籍者1人で、コートジボワールは日外1人ずつでした。
残り12か国は1人ずつで、ケニア、ハンガリー、トルコ、スイス、フランス、ドイツ、ブラジルは日本国籍者でした。ロシアの1人とトルコ、スイスとフランスはそれぞれ同一人物です。
相変わらず西欧は日本国籍者が多い印象。アフリカは日外バラバラです。
12月に変異株ばかりだった英国は六週連続陽性0人と安定。同じく2月に変異株ばかりで急増していたアラブ首長国連邦も0人でした。
■[罹患率高い国分析] 1%超えは17か国中9か国
罹患率は、ギニアが最も悪く100.00%(検体1人中1人陽性、外国籍者)。コートジボワールが25.00%(検体8人中2人陽性)と2か国は二桁割合の超危険状態でした。ケニアが5.00%(検体20人中1人陽性)、ハンガリーが4.76%(検体21人中1人陽性)、パキスタンが3.61%(検体194人中7人陽性)、ウクライナが2.38%(検体126人中3人陽性)、ロシアが1.82%(検体110人中2人陽性)、トルコが1.19%(検体84人中1人陽性)、スイスが1.02%(検体98人中1人陽性)と続いています。
1%超えは以上の9か国でした。コートジボワールとハンガリー、ウクライナは前週から連続で1%超えの危険状態です。相変わらずアフリカと東欧が多い印象です。
■[航空便利用者数分析] 航空利用者は大幅増加
合計の利用者数は、18,391人(前週比+2,438人)と前週に引き続き大幅増加でした。
横ばいか増加傾向の国が多く、米国直行便が4,348人(前週比+881人)と比較的多めに増加しています。米国の検体数は横ばいですから、米国-アジア間などの乗り継ぎ利用が増えたと思われます。
皆増したのがインド44人、ポーランド22人。ミャンマーが64人皆減の0人でした。
変異株で騒ぎになっている英国直行便は338人(前週比+110人)でした。ジリジリ増えていますね。
■[変異株陽性者数分析] 変異株陽性者4割超え!!
27人の陽性者のうち、12人が英国で確認された変異株と確認されています。実に44%も占めています。
そのうち5人は入国時もしくは発表までに有症状者でした。
毎週データは更新されているようですので、今後も注視していきます。
■週間速報内容
02/28-03/06
全検査
合計 検体14,086陽性29 0.21%
日本 検体 7,575陽性12 0.16%
外国 検体 6,511陽性17 0.26%↑
検体数の多い国
米 国:検体3,083 陽性 3=0.10%
日本国籍 検体2,296 陽性 0=0%/外国籍 検体 787 陽性 3=0.38%
中 国:検体1,831 陽性 0=0%
日本国籍 検体 609 陽性 0=0%/外国籍 検体1,222 陽性 0=0%
フィリピン:検体1,206 陽性 1=0.08%
日本国籍 検体 132 陽性 0=0%/外国籍 検体1,074 陽性 1=0.09%
韓 国:検体 892 陽性 0=0%
日本国籍 検体 309 陽性 0=0%/外国籍 検体 583 陽性 0=0%
台 湾:検体 504 陽性 1=0.20%
日本国籍 検体 268 陽性 0=0%/外国籍 検体 236 陽性 1=0.42%
罹患率の高い国
ギ ニ ア:合計 検体 1、陽性 1=100.00%
日本国籍 検体 0 陽性 0=0%/外国籍 検体 1 陽性 1=:100.00%
コートジボワール:合計 検体 8、陽性 2=25.00%
日本国籍 検体 6 陽性 1=6.67%、外国籍 検体 2 陽性 1=50.00%
ケ ニ ア:合計 検体 20、陽性 1=5.00%
日本国籍 検体 14 陽性 1=7.14%/外国籍 検体 6 陽性 0=0%
ハンガリー:合計 検体 21、陽性 1=4.76%
日本国籍 検体 19 陽性 1=5.26%/外国籍 検体 2 陽性 0=0%
パキスタン:合計 検体 194 陽性 7=3.61%
日本国籍 検体 13 陽性 1=2.27%/外国籍 検体 181 陽性 6=3.31%
■毎日の個別発表との誤差状況(2月14日〜2月20日)
(A)週間発表(今回の滞在国・地域ごとの検査実績発表):29人
(B)毎日発表:29人中非公表0人(2か国滞在者2人)
(誤差が出ている国)Aが超過していると非公表の可能性有
今週は誤差がありませんでした。
■水際対策(厚生労働省公式サイト)
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kansenkakudaiboushi-iryouteikyou.html#h2_7
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