厚生労働省(厚労省)は24日、空港検疫での新型コロナウイルス感染症検査状況の3月2週目(3月7日〜3月13日)分の速報値を発表しました。
厚労省の速報は、週間の検体数と陽性者数を、日本国籍者、外国籍者別に、滞在国ごとに出した非常に細かいデータです。2020年11月11日以降毎週水曜日に過去4週間分が発表されています。今回の公表で、2020年10月4日〜2021年3月13日分が公表されたことになりました。
速報のため、日々の発表のデータとかなりのズレが生じてる場合もありますが、分析に活用できます。
■[罹患状況推移分析] 罹患率はさらに横ばい続く
2020年
10/04-10/10 検体12,421・陽性57=罹患率0.46%(日本国籍0.46%:外国籍0.46%)
10/11-10/17 検体 7,364・陽性24=罹患率0.33%(日本国籍0.29%:外国籍0.34%)
10/18-10/24 検体12,213・陽性46=罹患率0.38%(日本国籍0.39%:外国籍0.37%)
10/25-10/31 検体17,833・陽性47=罹患率0.26%(日本国籍0.22%:外国籍0.29%)
<11/01〜入国者の多い低感染国9か国が検査解除>
11/01-11/07 検体10,589・陽性84=罹患率0.79%(日本国籍0.75%:外国籍0.83%)
11/08-11/14 検体10,823・陽性89=罹患率0.82%(日本国籍0.54%:外国籍1.02%)
11/15-11/21 検体11,627・陽性79=罹患率0.68%(日本国籍0.52%:外国籍0.79%)
11/22-11/28 検体13,789・陽性90=罹患率0.65%(日本国籍0.61%:外国籍0.65%)
11/29-12/05 検体14,226・陽性89=罹患率0.63%(日本国籍0.50%:外国籍0.74%)
12/06-12/12 検体16,488・陽性86=罹患率0.52%(日本国籍0.43%:外国籍0.64%)
12/13-12/19 検体18,554・陽性74=罹患率0.40%(日本国籍0.28%:外国籍0.62%)
12/20-12/26 検体18,835・陽性98=罹患率0.52%(日本国籍0.51%:外国籍0.54%)
12/27-01/02 検体13,123・陽性83=罹患率0.63%(日本国籍0.49%:外国籍0.75%)
2021年
01/03-01/09 検体14,098・陽性76=罹患率0.54%(日本国籍0.23%:外国籍0.72%)
<01/09〜全入国者検査開始>
01/10-01/16 検体21,399・陽性67=罹患率0.31%(日本国籍0.31%:外国籍0.31%)
01/17-01/23 検体22,678・陽性41=罹患率0.18%(日本国籍0.31%:外国籍0.15%)
01/24-01/30 検体10,076・陽性25=罹患率0.25%(日本国籍0.12%:外国籍0.37%)
01/31-02/06 検体10,435・陽性20=罹患率0.19%(日本国籍0.13%:外国籍0.27%)
02/07-02/13 検体 9,423・陽性19=罹患率0.20%(日本国籍0.15%:外国籍0.26%)
02/14-02/20 検体 9,523・陽性19=罹患率0.20%(日本国籍0.11%:外国籍0.28%)
02/21-02/27 検体11,779・陽性23=罹患率0.20%(日本国籍0.22%:外国籍0.17%)
02/28-03/06 検体14,086・陽性29=罹患率0.21%(日本国籍0.16%:外国籍0.26%)
03/07-03/13 検体14,467・陽性27=罹患率0.19%(日本国籍0.14%:外国籍0.25%)
検査数は、12月中旬〜下旬に日本国籍者が外国籍者の二倍ほどいたのに対し、12月5週目に日本国籍:外国籍=1:1.16と逆転。1月1週目に1:1.8、1月2週目に1:2.6、1月3週目に1:3.7とどんどん外国籍者が増えていました。1月4週目に外国籍者が急激に減って日本国籍:外国籍=1:1.05とほぼ同じになり、2月1週目に1:0.88と日本国籍者が逆転。2月2週目は1:0.82でしたが、2月3週目は再び外国籍者が多くなり1:1.11になりました。2月4週目は再び1:1.02とほぼ同数になり、先週3月1週目に再び1:0.86と日本国籍者が増加しています。
今週はさらに日本国籍者が増加し、1:0.63となっています。完全に年度末需要と推定されます。
検査対象が全入国者になっています。検査数(≒入国者)の多さは、米国、中国、フィリピン、韓国、タイの順でした。
日本人は12月4週目に12,354人いたのに対し、1月以降は激減していますが少しずつ増えつつあり、今週は8,891人でした。
外国人は大幅に減少。1月3週目に17,873人だったものが、今週は5,576人と3分の1になっています。
10月の4週間は日本国籍者と外国籍者の罹患率に差はなく0.35%程度でした。
11月に入ってからは、日本国籍者、外国籍者ともに急上昇しました。外国籍者の方が多かった印象ですが、差は小さく、日本国籍者の割合も追いかけるように増えていました。
陽性者数が同数で、全体の罹患率もほぼ横ばいです。
前週と比べると、日本国籍者は、検査数が17%増加に対して陽性者数は8%増加。外国籍者は検査数が14%減少に対して陽性者数は18%減少です。
このため、罹患率は、日本国籍者、外国籍者とも若干改善。全体は8週連続同水準の0.19%でほぼ横ばいですが、外国籍者の方が悪い状況には変わりありません。
罹患率は、0.8%超えもあった一時期に比べれば、ここのところ少なめで安定した印象です。しかし、それでもまだ0.19%です。
日本国内の罹患率は、最悪のピークだった1月初旬でも0.06%(人口約1億2500万人のうち治療中+死者約70,000人)ですから、空港検疫は相変わらず国内より危険であることが分かります。
■[陽性者数多い国分析] 全14か国でフィリピンが急激悪化
今週陽性者が確認されたのは、前週に続いて陽性者が出ているフィリピン、パキスタン、ウクライナ、インド、ブラジル、ネパールなどを含めて14か国でした。
最多だったのはフィリピンで6人で急激悪化しています。日外3人ずつでした。
アラブ首長国連邦(UAE)、パキスタン、ウクライナがそれぞれ3人で続き、インドとブラジルが各2人です。パキスタンとブラジルは全員外国籍者ですが、UAEとウクライナは日本国籍者2人・外国籍者1人、インドは日外1人ずつでした。
残り8か国は1人ずつで、インドネシア、カナダ、ポーランド、ナイジェリア、マルタは日本国籍者でした。シリアとモルドバは入国者数が1桁でいずれも外国籍者が陽性です。
相変わらず西欧は日本国籍者が多い印象です。
12月に変異株ばかりだった英国は7週連続陽性0人と安定。同じく2月に変異株ばかりで急増していたアラブ首長国連邦は再び増加傾向です。
■[罹患率高い国分析] 1%超えは14か国中8か国
罹患率は、モルドバが最も悪く33.33%(検体3人中1人陽性=外国籍者1人中1人)。シリアが25.00%(検体4人中1人陽性=外国籍者2人中1人)と2か国は二桁割合の超危険状態でした。マルタが3.45%(検体29人中1人陽性)、ウクライナが前週と同レベルの2.86%(検体105人中3人陽性)、ナイジェリアが2.78%(検体36人中1人陽性)、ポーランド2.38%(検体42人中1人陽性)、パキスタンが1.55%(検体194人中3人陽性)、UAEが1.48%(検体203人中3人陽性)と続いています。
1%超えは以上の8か国でした。ウクライナとパキスタンは前週から連続で1%超えの危険状態です。相変わらずアフリカと東欧が多い印象です。
■[航空便利用者数分析] 航空利用者は横ばい
合計の利用者数は、18,429人(前週比+38人)と前週から横ばいでした。
国によって増減はバラバラ。タイ直行便が968人(前週比+179人)と比較的多めに増加、UAE直行便が793人(前週比-379人)、フィリピン直行便が1,898人(前週比-299人)と比較的多めに減少しています。
皆増したのがベルギー35人、モンゴル17人、ハンガリー10人。インドが44人皆減の0人でした。
変異株で騒ぎになっている英国直行便は331人(前週比-7人)でわずかながら減りました。
■[変異株陽性者数分析] 変異株陽性者半数弱!!
27人の陽性者のうち、13人が英国で確認された変異株と確認されています。実に48%も占めています。
そのうち1人は3日遅れ陽性で、従来の入国方法ではすり抜けていた事例でした。
毎週データは更新されているようですので、今後も注視していきます。
■週間速報内容
03/07-03/13
全検査
合計 検体14,467陽性27 0.19%
日本 検体 8,891陽性13 0.14%
外国 検体 5,576陽性14 0.25%
検体数の多い国
米 国:検体3,069 陽性 0=0%
日本国籍 検体2,454 陽性 0=0%/外国籍 検体 65 陽性 0=0%
中 国:検体2,084 陽性 0=0%
日本国籍 検体 791 陽性 0=0%/外国籍 検体1,293 陽性 0=0%
フィリピン:検体1,036 陽性 6=0.58%
日本国籍 検体 172 陽性 3=1.74%/外国籍 検体 864 陽性 3=0.34%
韓 国:検体 864 陽性 0=0%
日本国籍 検体 288 陽性 0=0%/外国籍 検体 576 陽性 0=0%
タ イ:検体 711 陽性 0=0%
日本国籍 検体 650 陽性 0=0%/外国籍 検体 61 陽性 0=0%
罹患率の高い国
モルドバ:合計 検体 3、陽性 1=33.33%
日本国籍 検体 2 陽性 0=0%/外国籍 検体 1 陽性 1=:100.00%
シ リ ア:合計 検体 4、陽性 1=25.00%
日本国籍 検体 2 陽性 0=0%、外国籍 検体 2 陽性 1=50.00%
マ ル タ:合計 検体 29、陽性 1=3.45%
日本国籍 検体 14 陽性 1=7.14%/外国籍 検体 6 陽性 0=0%
ウクライナ:合計 検体 105、陽性 3=2.86%
日本国籍 検体 69 陽性 2=2.90%/外国籍 検体 36 陽性 1=2.78%
ナイジェリア:合計 検体 36 陽性 1=2.78%
日本国籍 検体 8 陽性 1=1.25%/外国籍 検体 28 陽性 0=0%
■毎日の個別発表との誤差状況(3月7日〜3月13日)
(A)週間発表(今回の滞在国・地域ごとの検査実績発表):27人
(B)毎日発表:26人中非公表0人(2か国滞在者0人)
(誤差が出ている国)Aが超過していると非公表の可能性有
シリア (A)1人(B)0人=Aが1人超過(日本国籍0・外国籍1)
■水際対策(厚生労働省公式サイト)
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kansenkakudaiboushi-iryouteikyou.html#h2_7
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