厚生労働省(厚労省)は20日、空港検疫での新型コロナウイルス感染症検査状況の3月5週目(3月28日〜4月3日)分の速報値を発表しました。
今週は発表が5日ほど遅れましたが、発表は14日発表とされています。
厚労省の速報は、週間の検体数と陽性者数を、日本国籍者、外国籍者別に、滞在国ごとに出した非常に細かいデータです。2020年11月11日以降毎週水曜日に過去4週間分が発表されています。今回の公表で、2020年10月4日〜2021年4月3日分が公表されたことになりました。
速報のため、日々の発表のデータとかなりのズレが生じてる場合もありますが、分析に活用できます。
■[罹患状況推移分析] 罹患率0.4%台後半まで悪化、原因は外人の急激悪化
2020年
10/04-10/10 検体12,421・陽性57=罹患率0.46%(日本国籍0.46%:外国籍0.46%)
10/11-10/17 検体 7,364・陽性24=罹患率0.33%(日本国籍0.29%:外国籍0.34%)
10/18-10/24 検体12,213・陽性46=罹患率0.38%(日本国籍0.39%:外国籍0.37%)
10/25-10/31 検体17,833・陽性47=罹患率0.26%(日本国籍0.22%:外国籍0.29%)
<11/01〜入国者の多い低感染国9か国が検査解除>
11/01-11/07 検体10,589・陽性84=罹患率0.79%(日本国籍0.75%:外国籍0.83%)
11/08-11/14 検体10,823・陽性89=罹患率0.82%(日本国籍0.54%:外国籍1.02%)
11/15-11/21 検体11,627・陽性79=罹患率0.68%(日本国籍0.52%:外国籍0.79%)
11/22-11/28 検体13,789・陽性90=罹患率0.65%(日本国籍0.61%:外国籍0.65%)
11/29-12/05 検体14,226・陽性89=罹患率0.63%(日本国籍0.50%:外国籍0.74%)
12/06-12/12 検体16,488・陽性86=罹患率0.52%(日本国籍0.43%:外国籍0.64%)
12/13-12/19 検体18,554・陽性74=罹患率0.40%(日本国籍0.28%:外国籍0.62%)
12/20-12/26 検体18,835・陽性98=罹患率0.52%(日本国籍0.51%:外国籍0.54%)
12/27-01/02 検体13,123・陽性83=罹患率0.63%(日本国籍0.49%:外国籍0.75%)
2021年
01/03-01/09 検体14,098・陽性76=罹患率0.54%(日本国籍0.23%:外国籍0.72%)
<01/09〜全入国者検査開始>
01/10-01/16 検体21,399・陽性67=罹患率0.31%(日本国籍0.31%:外国籍0.31%)
01/17-01/23 検体22,678・陽性41=罹患率0.18%(日本国籍0.31%:外国籍0.15%)
01/24-01/30 検体10,076・陽性25=罹患率0.25%(日本国籍0.12%:外国籍0.37%)
01/31-02/06 検体10,435・陽性20=罹患率0.19%(日本国籍0.13%:外国籍0.27%)
02/07-02/13 検体 9,423・陽性19=罹患率0.20%(日本国籍0.15%:外国籍0.26%)
02/14-02/20 検体 9,523・陽性19=罹患率0.20%(日本国籍0.11%:外国籍0.28%)
02/21-02/27 検体11,779・陽性23=罹患率0.20%(日本国籍0.22%:外国籍0.17%)
02/28-03/06 検体14,086・陽性29=罹患率0.21%(日本国籍0.16%:外国籍0.26%)
03/07-03/13 検体14,467・陽性27=罹患率0.19%(日本国籍0.14%:外国籍0.25%)
03/14-03/20 検体17,879・陽性49=罹患率0.27%(日本国籍0.20%:外国籍0.41%)
03/21-03/27 検体14,040・陽性42=罹患率0.30%(日本国籍0.15%:外国籍0.48%)
03/28-04/03 検体14,615・陽性70=罹患率0.48%(日本国籍0.24%:外国籍0.81%)
検査数は、12月中旬〜下旬に日本国籍者が外国籍者の二倍ほどいたのに対し、12月5週目に日本国籍:外国籍=1:1.16と逆転。1月1週目に1:1.8、1月2週目に1:2.6、1月3週目に1:3.7とどんどん外国籍者が増えていました。
1月4週目に外国籍者が急激に減って日本国籍:外国籍=1:1.05とほぼ同じになり、2月1週目に1:0.88と日本国籍者が逆転。2月2週目は1:0.82まで進みました。
2月3週目に再び外国籍者が多くなり1:1.11になったものの、2月4週目は再び1:1.02とほぼ同数に逆戻り。その後は日本国籍者が多い傾向が続いており、3月1週目は1:0.86、3月2週目は1:0.63、3月3週目は1:0.52、前週3月4週目は1:0.79でした。
今週は日本国籍者がやや増え、1:0.73となっています。。
検査対象が全入国者になっています。検査数(≒入国者)の多さは、前週と変わらず米国、中国、韓国、フィリピン、タイの順でした。
日本人は12月4週目に12,354人いたのに対し、1月以降は激減後徐々に回復していましたが、今週は再び減少して8,416人でした。
外国人は大幅に減少が継続。1月3週目に17,873人だったものが、今週は6,199人と3分の1程度のまま変わりません。
10月の4週間は日本国籍者と外国籍者の罹患率に差はなく0.35%程度でした。
11月に入ってからは、日本国籍者、外国籍者ともに急上昇しました。外国籍者の方が多かった印象ですが、差は小さく、日本国籍者の割合も追いかけるように増えていました。
検体数が増加していますが、三日間強制隔離対象国が増えており、二回検査する人が増えていることも、増加した一因と推定されます。
前週と比べると、日本国籍者は、検査数が7%増加に対して陽性者数は67%増加。外国籍者は検査数がほぼ横ばいに対して陽性者数は67%増加です。外国籍者の陽性者の増加が目立ちます。
このため、罹患率は、日本国籍者、外国籍者ともに悪化。特に外国籍者の悪化が急激です。
罹患率は、0.4%台後半まで上がってきました。
日本国内の罹患率は、最悪のピークだった1月初旬でも0.06%(人口約1億2500万人のうち治療中+死者約70,000人)ですから、空港検疫は国内より著しく危険であることが分かります。
■[陽性者数多い国分析] 全20か国、パキスタンの悪化止まらず
今週陽性者が確認されたのは、前週に続いて陽性者が出ているパキスタン、米国、インド、フィリピン、ブラジル、ネパール、ジブチ、カメルーン、アラブ首長国連邦(UAE)などを含めて20か国でした。
最多だったのはパキスタンで24人。前週の倍の人数で、急激悪化が止まりません。2人除いて22人が外国籍者という異常状態でした。
米国、エジプト、インドが7人で続いています。3か国とも外国籍者の方が陽性者が多く、米国は4人、エジプトとインドはそれぞれ5人でした。
フィリピンが6人で続いており全員外国籍者です。
ブラジルは3人。2人が外国籍者です。
ハンガリーとイタリアがそれおぞれ2人で、全員日本国籍者でした。
残り12か国は1人ずつで、UAE、ドイツ、デンマーク、チェコ、スウェーデン、ジブチは日本国籍者でした。ジブチ、カメルーンは入国者数が1桁なのに陽性者が出る異常事態です(ジブチは2週連続、カメルーンは3週連続の超異常)。
相変わらず欧米は日本国籍者、南アジアは外国籍者が多い印象です。
■[罹患率高い国分析] 1%超えは20か国中14か国も
罹患率は、ジブチが最も悪く50.00%(検体2人中1人陽性=全員日本国籍)。カメルーンが16.67%(検体6人中1人陽性=外国籍者5人中1人)、パキスタンが11.65%(検体206人中24人陽性=外国籍者176人中22人)、エジプトが10.61%(検体66人中7人陽性=外国籍者28人中5人)で、合計4か国が二桁割合の超危険状態(ジブチは2週連続、カメルーンは3週連続の超異常)でした。
パキスタンは人数も多く陽性率も高いので、非常に危険な状況です。
ハンガリーが8.00%(検体25人中2人陽性)、デンマークが7.69%(検体13人中1人陽性)、アフガニスタンが3.85%(検体26人中1人陽性)、イタリアが3.03%(検体66人中2人陽性)、チェコが2.94%(検体34人中1人陽性)、ウズベキスタンが2.70%(検体37人中1人陽性)、ケニアが2.33%(検体43人中1人陽性)、スウェーデンが2.04%(検体49人中1人陽性)、インドが1.58%(検体443人中7人陽性)、ブラジルが1.55%(検体194人中3人陽性)と続いています。
1%超えは以上の14か国でした。
ジブチ、カメルーン、パキスタンは前週から連続で1%超えの異常状態です。相変わらずアフリカと東欧が多い印象で、南アジア〜中東も増えてきています。
■[航空便利用者数分析] 航空利用者は増加
合計の利用者数は、18,914人(前週比+1,161人)と前週から増加しました。
多くの国で利用者数が増加しています。最も人数が増えたのはインド直行便406人(前週比+328人)と激増しています。このほか、UAE直行便が828人(前週比+266人)、タイ直行便が1,023人(前週比+197人)などとなっています。
減少した国は少なく、インドネシア直行便が446人(前週比-388人)が比較的多めに減少したのが目立った程度でした。
皆増したのが、パプアニューギニア直行便・バングラデシュ直行便各3人、オーストリア直行便25人、コートジボワール直行便32人、ボリビア直行便33人、ミャンマー直行便145人でした。定期便が飛んでいない国も多く、チャーター便が飛んだものと思われます。
皆減したのが、モンゴル直行便(56人皆減の0人)、ポーランド直行便(45人皆減の0人)でした。
変異株で騒ぎになっている英国直行便は245人(前週比-61人)でジリジリ減少しています(日本国籍者の年度末帰国が減ったためと推定)。
■[変異株陽性者数分析] 変異株陽性者が2週連続過半数!!
詳細発表された71人の陽性者のうち、32人が英国で確認された変異株、1人がブラジルで確認された変異株、6人が南アフリカで確認された変異株と判明しています。実に55%も占めています。
そのうち6人は3日遅れ陽性で、従来の入国方法ではすり抜けていた事例でした。
毎週データは更新されているようですので、今後も注視していきます。
■週間速報内容
03/28-04/03
全検査
合計 検体14,615陽性70 0.48%↑
日本 検体 8,416陽性20 0.24%↑
外国 検体 6,199陽性50 0.81%↑
検体数の多い国
米 国:検体2,991 陽性 7=0.23%
日本国籍 検体2,245 陽性 3=0.13%/外国籍 検体 746 陽性 4=0.54%
中 国:検体2,495 陽性 0=0%
日本国籍 検体 915 陽性 0=0%/外国籍 検体1,580 陽性 0=0%
韓 国:検体1,004 陽性 0=0%
日本国籍 検体 301 陽性 0=0%/外国籍 検体 703 陽性 0=0%
フィリピン:検体 730 陽性 6=0.82%
日本国籍 検体 118 陽性 0=0%/外国籍 検体 612 陽性 6=0.98%
タ イ:検体 648 陽性 0=0%
日本国籍 検体 559 陽性 0=0%/外国籍 検体 89 陽性 0=0%
罹患率の高い国
ジ ブ チ:合計 検体 2、陽性 1=50.00%
日本国籍 検体 2 陽性 1=50.00%/外国籍 検体 0 陽性 0=0%
パキスタン:合計 検体 206、陽性24=11.65%
日本国籍 検体 30 陽性 2=6.67%/外国籍 検体 176 陽性22=12.50%
エジプト:合計 検体 66、陽性 7=10.61%
日本国籍 検体 38 陽性 2=5.26%/外国籍 検体 28 陽性 5=17.86%
ハンガリー:合計 検体 25、陽性 2=8.00%
日本国籍 検体 25 陽性 2=8.00%/外国籍 検体 0 陽性 0=0%
デンマーク:合計 検体 13、陽性 1=7.69%
日本国籍 検体 7 陽性 1=14.29%/外国籍 検体 6 陽性 0=0%
■毎日の個別発表との誤差状況(3月28日〜4月3日)
(A)週間発表(今回の滞在国・地域ごとの検査実績発表):70人
(B)毎日発表:71人中非公表0人(2か国滞在者なし)
(誤差が出ている国)Aが超過していると非公表の可能性有
フィリピン(A)6人(B)7人=Bが1人超過
■水際対策(厚生労働省公式サイト)
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kansenkakudaiboushi-iryouteikyou.html#h2_7
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