2021年05月02日

空港検疫全検(2)隔離重要明白

◇STAY HOME特集 空港検疫全員検査分析(その2) 三日間強制隔離で罹患率急上昇、14日間隔離の重要性明白

昨日に引き続き、空港検疫の全員検査結果を確認していきます。今日は強制隔離の影響を見てみます。
今年1月9日〜4月3日の感染状況は、二回検査を考慮すると罹患率は上昇。強制隔離の重要性はもちろん、14日間隔離する重要性が改めて明らかになりました。


二回検査を考慮すると罹患率は上昇
12月下旬から、三日間強制隔離となる国が出てきました。12月26日の英国、南アフリカから開始され、5月1日までに31か国と2か国の5地域まで広がっています。
これらの国・地域からの入国の場合、入国時と三日後の二回検査が実施されます。

1人の人に2回検査が行われるので、実際の人数は検体数の半分以下になるはず。
それを考慮すると、1月9日〜4月3日の数は、
検体数170,392件・陽性者数430人=罹患率0.252%
▼ 
推定人数165,142人・陽性者数430人=罹患率は0.260%

と悪化します。

陽性者数は変わらず検体数だけが減るので、罹患率は当然悪化してしまいます。
ただ、公表されているデータ(3月28日の週まで)で件数÷2で計算できる国数は、24か国にとどまり、その期間もあまり長くありません。入国者も陽性者も多いフィリピンや、4月上旬に陽性者が爆増したパキスタンなども含まれていません。
4月中旬迄のデータがあれば、もう少し違った傾向も出てきたのでしょうが、上記数字はそれほど悪化していない印象です。

しかし、対象となる国だけを見た場合、その傾向の変化は顕著です。
対象となる国だけ見た場合、
検体数23,570人・陽性者数168人=罹患率0.772%

推定人数18,320人・陽性者数168人=罹患率0.917%

となっています。
三日間強制隔離になる国だけあって、元々の罹患率も非常に高いですが、さらに率が跳ね上がっています。

実際の検査は、二回ではなく三回以上検査を受けている人もいますから、入国者数は検体数の半分以下になるはず。国際線到着空港が異常に危険であることが分かります。すべての国が三日間強制隔離になった場合に数字が跳ね上がるのではないかと疑われる数値になっています。


三日間強制隔離がなかったら罹患率は0.02P低下していた?
三日間強制隔離の国が特に増えたのは3月になってからです。
三日後検査での陽性者は、それまでの隔離・検査方法のままだったら、入国時検査で陰性ならすり抜けていました。
仮に三日間強制隔離がなかった場合に、罹患率がどこまで下がるか見てみます。

三日後陽性となっている人は、データ集計方法が違うので数人前後する可能性はありますが、到着日別で個々の情報を見ると、1月9日〜4月3日に46人いたとみられます。
それをそのまま当てはめれば、罹患率は以下の(2)のようになります。

(1)検体数170,392件・陽性者数430人=罹患率0.252%

(2)検体数170,392件・陽性者数384人=罹患率0.225%


さらに、三日間強制隔離がないということは、三日後検査もないので、検体数が減少するので、以下の(3)のようになります。

(2)検体数170,392件・陽性者数384人=罹患率0.225%

(3)推定人数165,142人・陽性者数384人=罹患率0.232%


母数が減るので、若干罹患率が上がることになります。
(1)が三日間強制隔離が考慮された実際の結果、(3)は三日間強制隔離がない場合です。

もしも三日間強制隔離が無かったら、実際の罹患率よりも0.02Pほど低い数値で推移していた可能性があったということを示しています。
よく考えてみると、ふつうは母数が減れば罹患率は上がるはずです。それが逆に下がっているということは、それだけ三日間強制隔離中の陽性者が多いということを示しています

20210109-20210403b.gif
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グラフは、週間ごとの推移を示したものです。分かりやすくするため、検査数は省略し、実際の陽性者数と罹患率の推移のみ示しています。
上のグラフは、実際のデータをグラフ化したものです。濃赤色が3日後陽性者の人数です。
下のグラフは、3日後陽性を無しとしてグラフ化したものです。罹患率は緑実線がそれにあたります。緑点線は比較用に上のグラフのものをそのまま描いています。

検査数の表示を省略しているので少しわかりづらいですが、1月24日の週、1月31日の週、2月7日の週、2月28日の週は、3日後陽性がなかった時の方が罹患率がわずかながら上がっています。
1月24日の週を例にとれば、実際には検体数10,077件・陽性26人=陽性率0.258%なのですが、英国と南アフリカはすでに3日間強制隔離が始まっていましたので、下のグラフは2国の検体数は半分になり、推定入国者数9,980人となります。一方で陽性者に3日後陽性者はいませんでしたから、26人のまま。従って、3日強制隔離がなかった場合は、推定入国者数9,980人・陽性26人=陽性率0.261%となっています。
3日強制隔離がなかった場合に、罹患率が上がっている週は、すべて、3日後陽性者が出なかった週です。
3日後陽性者が出ている他の週は、罹患率が下がっています。1月17日の週、2月14日の週、2月21日の週はすべて3日後陽性者が1人しか出ていないのですが、それでも罹患率は下がります。
それだけ、3日後陽性者が出る影響が強く出ることが分かります。母数が少ないので、陽性者が1人出ただけでもダメだという結果でした。

三日間強制隔離の対象国が増えた3月以降はこの傾向がかなり顕著に出ています。
3月29日の週に限って言えば、0.479%→0.376%と0.1P以上も減少しています。3月29日の週は、24か国が対象になっています。

この減ってしまう数値が、これまでの検査方法ではすり抜け/ウイルス密輸となっていた数字なわけですが、流石に0.1Pは多すぎます。
0.1Pとは、1000人に1人陽性者が変わるということです。今の1日の入国者は大体2千人ぐらいなので、1日2人はすり抜けを許していると言えるわけです。緊急事態宣言の出ている東京ですら罹患率は0.046%ですから、この変化がいかに高い数値かが分かります。
英国と南アの2か国だけの時はほとんど目立たなかった変化も、24か国になっただけでこれほどまで変化します。この24か国には、最近陽性者が多いパキスタンもインドもネパールも、入国者数の多いフィリピンや米国も含まれていません。これらの国が入ったら、さらにこの差が顕著になると推定されます。

入国したごく珍しい数人がウイルスを運び、珍しく国内感染が拡大したのではありません。
明らかに非常に多くのすり抜け事例が発生し、国内に撒き散らしたということが分かるデータになっています。
改めて入国後14日間の自主隔離が非常に大事だということがよく分かりました。


明日もSTAY HOME特集と題して、空港検疫の全員検査結果を確認していきます。


STAY HOME→PROTECT HEALTH CARE HEROES→SAVE LIVES
お家にいることが、防疫ヒーローを助け、世界の命に繋がる
STAY HOME NOW, FLY LATER

ラベル:検疫 感染症
posted by johokotu at 18:00| 東京 ☀| Comment(0) | ◇COVID-19関連 | 更新情報をチェックする
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