一昨日、昨日に引き続き、空港検疫の全員検査結果を確認していきます。今日は行動歴別(滞在国別)を見てみます。
今年1月9日〜4月3日の感染状況では、ナイジェリア、パキスタン、ハンガリー、エジプト、ウクライナなどが本当にリスキーな国と言えそうです。
※4月以降はパキスタン、インド、ネパールが高すぎる結果になっていると推定されますが、まだデータがないのでしょうさいは不明です。
■陽性者が多い=リスキーではない
毎日発表される空港検疫での陽性者を見ていると、特定の国が多いです。
今年4月に特に目立ったのが、パキスタン、インド、ネパール、フィリピンなどでしょうか。
昨年4月3日以降、昨年6月にパキスタン、7月にフィリピン、11月にインドネシア・米国、12月に米国・英国、今年2月にアラブ首長国連邦(UAE)など、これまで目立った国は少しずつ変わってきています。
しかし、増加した要因は様々です。
・昨年06月パキスタン:現地での感染拡大と渡航解禁が重なった結果。
・昨年07月フィリピン:船員の移動が多かったと推定されています。
・昨年11月インドネシア:外国籍者の新規入国解禁で技能実習生が急増。
・昨年12月米国:大統領選頃の現地感染拡大とビジネス渡航解禁が重なる。
・昨年12月英国:現地変異株爆発と年末年始帰省で日本国籍者陽性者ラッシュ。
・今年02月UAE:現地感染拡大時期と一致。
以上のように、単純に現地の感染拡大だけが増加要因にはなっていません。
そして、米国が分かりやすいですが、昨年4月以降ずっと陽性確認が続いています。
米国が陽性確認が継続しているのは、入国者が多いからというのが要因の一つです。母数が増えれば陽性者数も増えるのも当たり前です。このため、「陽性者が多い=とにかくリスキー」とは一概には言えません。
さらに同じ米国でも、昨年6月頃と、昨年11月頃、今では要因もリスクも大きく異なっている印象です(米国も昨年11月・12月頃は罹患率高すぎました)。
また、入国者が多くても中国のように陽性者が少ない国もありますから、リスクの高い国かどうかは、陽性者数よりも罹患率(入国者数に占める陽性者数の割合)で見る必要があります。
■罹患率高い感染リスクの高い国 罹患率1%超えは25か国も
そんな罹患率を、三日後検査を加味した検体数で比較してみます。
その結果、1月10日〜4月3日の間、罹患率が1%(100人に1人以上陽性)を超えたのは25か国ありました。入国者数が500人を超えている多い国ですと、パキスタン、ウクライナ、アラブ首長国連邦の3か国が該当します。
※罹患率1%は100人に1人が陽性者ということです。200席の機材の場合、搭乗率25%でも2便に1便は陽性者がいることになります。
電車の混雑が分かりやすいですが、100人は、1両の中で、席が全部埋まり、それより少し少ない人数立っている人がいる程度の混雑です。朝のラッシュになれば普通に1両に1人、2人陽性者がいるような感じ。1%ですら多すぎる印象です。
罹患率が最も悪かったのは、ガンビアで16.67%です。しかし、ガンビアは入国者がたった6人しかいません(陽性1人)。これでは母集団が少なすぎ、正しい罹患率とは言えないかもしれません。
次に多いコートジボワールも7.55%ですが入国者は53人(陽性4人)。3番目のモルドバも入国者14人(陽性1人、7.14%)と母集団が少ないです。
以下、カメルーン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ギニアと続いています。
罹患率の高い国は、アフリカや東欧が多い印象ですが、入国者数が少ない国ばかりです。
ある程度の人数がいる国(入国者が200人以上の国)で見ていくと、
・ナイジェリア 4.65%(入国322.5人・陽性15人)
・パキスタン 3.44%(入国2,270.5人・陽性78人)
・ハンガリー 3.06%(入国294.5人・陽性9人)
・エジプト 2.74%(入国438人・陽性12人)
・ウクライナ 2.13%(入国750人・陽性16人)
となっています。
最悪の国ともいえるナイジェリアは22人に1人は陽性者です。
パキスタンは陽性人数が最も多かった国でもあり、29人に1人が陽性者となっています。
ただ、これらの国からの帰国じゃないからそれほどリスキーじゃないと考えるのは、考えが甘いです。
上に挙げた11か国はいずれの国も日本からの直行便はありません。
ナイジェリアやエジプトなどアフリカ諸国は中東経由、パキスタンは東南アジア経由、ハンガリーとウクライナなど東欧は欧州経由で日本入りしているパターンが多いとみられます。
例えばドイツは入国者の罹患率は低いですが、東欧諸国から乗り継いでくる人が多いとみられ、純粋にドイツからの入国者だけが利用している場合より、機内感染のリスクは高いとみられます。
ちなみに罹患率ではなく、陽性人数の多さで言うと米国が66人陽性と2番目に多いです。しかし、入国者が31,100人もいたため、罹患率は0.212%にとどまっています。
■国籍はバラバラ 人種によるかかりやすさに差はなし?
罹患率の高い国からの入国者の日本国籍者の数値を見てみると以下のようになります。
・ナイジェリア 入国60人 陽性3人
・パキスタン 入国252人 陽性4人
・ハンガリー 入国245.5人 陽性6人
・エジプト 入国265人 陽性4人
・ウクライナ 入国275人 陽性10人
ナイジェリア:入国者は外国籍者の方が断然多いですが、罹患率は日本国籍・外国籍であまり差はありません。
パキスタン:入国者が外国籍者の方が断然多く、罹患率も外国籍者の方が明らかに高いです。
ハンガリーとエジプト:入国者が日本国籍者の方が多いですが、罹患率は外国籍者の方が明らかに高いです。
ウクライナ:入国者が外国籍者の方が多いですが、罹患率は日本国籍者の方が明らかに高いです。
国によって、日本国籍者、外国籍者の罹患率の高さは様々です。
インドやパキスタンは宗教行事で感染爆発したと言われますので、信仰による差は何かあるのかもしれないですが、少なくとも空港検疫結果からは人種による罹りやすさの違いはあまり感じられないといったところでしょうか。
4月以降はインド、ネパールの陽性者が爆増していますので、最新のデータではリスクの高い国が変わっている可能性もあります。
データ更新が止まっているので取り上げられていませんが、更新が再開したら毎週取り上げていきますので、そちらで最新のリスキー国はご確認ください。
■罹患率の低い国 超低感染国ばかりではない
逆に罹患率の低い国は以下の通りです(入国者数200人以上)。
・タ イ 0%(入国6,002人・陽性0人)
・シンガポール 0%(入国3,561人・陽性0人)
・ミャンマー 0%(入国1,765人・陽性0人)
・オーストラリア 0%(入国1,387人・陽性0人)
・カンボジア 0%(入国709人・陽性0人)
・オーストリア 0%(入国502.5人・陽性0人)◆3日間強制隔離国
・ニュージーランド 0%(入国457人・陽性0人)
・フィンランド 0%(入国320人・陽性0人)◆3日間強制隔離国
・サウジアラビア 0%(入国292人・陽性0人)
・クロアチア 0%(入国213人・陽性0人)
こうやって見ていくと、感染リスクの高い渡航先は自然と見えてきます。
タイ、シンガポール、ミャンマー、オーストラリア、カンボジア、ニュージーランドなどは、現地の感染が著しく低い印象で、それがそのままよく作用しているものと推定されます。陽性者が出ている国も、中国、台湾、韓国、ベトナムなど低感染国は罹患率も低いです。
こういった国からの入国者なら、香港-シンガポール間のような専用直行便で14日間隔離が条件なら、入国時はわざわざ空港の場所をとって留め置いて検査しなくても良いように感じます(当然14日間は強制隔離で14日目に検査陰性が条件)。
興味深いのはオーストリアとフィンランドです。いずれも3日間強制隔離国ですが、ある程度入国者がいる中でも陽性者が出ていません。フィンランドの場合入国者は320人ですから1人陽性者が出ると0.31%に跳ね上がりますが、だいぶ低い印象です。
ドイツやカナダも現地感染状況は結構深刻ながら、空港検疫での罹患率は低い部類です。いずれも直行便があるので、こういった国の渡航時(航空利用時)の対策を知りたいですね(すり抜けているだけ???)。
正直、パキスタンなど、現地の空港地上スタッフが無症状感染者で撒き散らしているのでは?と思えるほど陽性人数が多いのと比べると雲泥の差なので、、、。
帰国で国際線をどうしても利用せざるを得ない時の感染対策で考慮したいところです。
今回でデータ確認の特集は終了します。
少しはお家でGWの暇つぶしになりましたでしょうか。
<1月10日〜4月3日の入国者の行動歴別陽性率>(陽性0人の国は除く)
左から推定入国者数、陽性者数、算出された陽性率
合計 165,142 430 0.26%
ガンビア 6 1 16.67%
コートジボワール 53 4 7.55%
モルドバ 14 1 7.14%
カメルーン 48 3 6.25%
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ 20 1 5.00%
ギニア 42 2 4.76%
ナイジェリア 323 15 4.65%
シリア 22 1 4.55%
パキスタン 2,271 78 3.44%
キューバ 30 1 3.33%
カザフスタン 96 3 3.13%
ハンガリー 295 9 3.06%
エジプト 438 12 2.74%
セネガル 86 2 2.33%
ウクライナ 750 16 2.13%
クウェート 56 1 1.79%
ジブチ 170 3 1.76%
エチオピア 119 2 1.68%
セルビア 60 1 1.67%
ドミニカ共和国 60 1 1.67%
アイルランド 138 2 1.45%
アラブ首長国連邦 1,895 24 1.27%
ガーナ 173 2 1.16%
チュニジア 93 1 1.08%
マルタ 290 3 1.03%
ケニア 308 3 0.97%
南アフリカ共和国 105 1 0.96%
ブルガリア 118 1 0.85%
ペルー 489 4 0.82%
タンザニア 126 1 0.79%
アフガニスタン 256 2 0.78%
イタリア 661 5 0.76%
ボリビア 143 1 0.70%
バングラデシュ 1,076 7 0.65%
ポーランド 351 2 0.57%
デンマーク 182 1 0.55%
トルコ 794 4 0.50%
ベルギー 413 2 0.48%
スリランカ 671 3 0.45%
スウェーデン 224 1 0.45%
ブラジル 2,637 11 0.42%
ルーマニア 245 1 0.41%
ロシア 1,551 6 0.39%
チェコ 287 1 0.35%
インドネシア 4,433 15 0.34%
インド 4,939 16 0.32%
フランス 1,902 6 0.32%
ウズベキスタン 331 1 0.30%
ネパール 2,727 8 0.29%
フィリピン 12,959 38 0.29%
オランダ 704 2 0.28%
メキシコ 1,774 5 0.28%
スイス 755 2 0.27%
英国 1,639 4 0.24%
米国 31,100 66 0.21%
カタール 486 1 0.21%
スペイン 826 1 0.12%
ドイツ 2,827 2 0.07%
カナダ 1,725 1 0.06%
マレーシア 2,147 1 0.05%
ベトナム 15,557 7 0.04%
韓国 10,356 3 0.03%
台湾 4,921 1 0.02%
中国(香港、マカオ含む) 25,555 4 0.02%
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