厚生労働省(厚労省)は12日、空港検疫での新型コロナウイルス感染症検査状況の4月4週目(4月25日〜5月1日)分の速報値を発表しました。
厚労省の速報は、週間の検体数と陽性者数を、日本国籍者、外国籍者別に、滞在国ごとに出した非常に細かいデータです。2020年11月11日以降毎週水曜日に過去4週間分が発表されています。5月6日の公表で、2020年10月4日〜2021年5月1日分が公表されています。
速報のため、日々の発表のデータとかなりのズレが生じてる場合もありますが、分析に活用できます。
■[罹患状況推移分析] 検体は日外ともに増加、陽性者は外国籍が異常な急増
2020年
10/04-10/10 検体12,421・陽性57=罹患率0.46%(日本国籍0.46%:外国籍0.46%)
10/11-10/17 検体 7,364・陽性24=罹患率0.33%(日本国籍0.29%:外国籍0.34%)
10/18-10/24 検体12,213・陽性46=罹患率0.38%(日本国籍0.39%:外国籍0.37%)
10/25-10/31 検体17,833・陽性47=罹患率0.26%(日本国籍0.22%:外国籍0.29%)
<11/01〜入国者の多い低感染国9か国が検査解除>
11/01-11/07 検体10,589・陽性84=罹患率0.79%(日本国籍0.75%:外国籍0.83%)
11/08-11/14 検体10,823・陽性89=罹患率0.82%(日本国籍0.54%:外国籍1.02%)
11/15-11/21 検体11,627・陽性79=罹患率0.68%(日本国籍0.52%:外国籍0.79%)
11/22-11/28 検体13,789・陽性90=罹患率0.65%(日本国籍0.61%:外国籍0.65%)
11/29-12/05 検体14,226・陽性89=罹患率0.63%(日本国籍0.50%:外国籍0.74%)
12/06-12/12 検体16,488・陽性86=罹患率0.52%(日本国籍0.43%:外国籍0.64%)
12/13-12/19 検体18,554・陽性74=罹患率0.40%(日本国籍0.28%:外国籍0.62%)
12/20-12/26 検体18,835・陽性98=罹患率0.52%(日本国籍0.51%:外国籍0.54%)
12/27-01/02 検体13,123・陽性83=罹患率0.63%(日本国籍0.49%:外国籍0.75%)
2021年
01/03-01/09 検体14,098・陽性76=罹患率0.54%(日本国籍0.23%:外国籍0.72%)
<01/09〜全入国者検査開始>
01/10-01/16 検体21,399・陽性67=罹患率0.31%(日本国籍0.31%:外国籍0.31%)
01/17-01/23 検体22,678・陽性41=罹患率0.18%(日本国籍0.31%:外国籍0.15%)
01/24-01/30 検体10,076・陽性25=罹患率0.25%(日本国籍0.12%:外国籍0.37%)
01/31-02/06 検体10,435・陽性20=罹患率0.19%(日本国籍0.13%:外国籍0.27%)
02/07-02/13 検体 9,423・陽性19=罹患率0.20%(日本国籍0.15%:外国籍0.26%)
02/14-02/20 検体 9,523・陽性19=罹患率0.20%(日本国籍0.11%:外国籍0.28%)
02/21-02/27 検体11,779・陽性23=罹患率0.20%(日本国籍0.22%:外国籍0.17%)
02/28-03/06 検体14,086・陽性29=罹患率0.21%(日本国籍0.16%:外国籍0.26%)
03/07-03/13 検体14,467・陽性27=罹患率0.19%(日本国籍0.14%:外国籍0.25%)
03/14-03/20 検体17,879・陽性49=罹患率0.27%(日本国籍0.20%:外国籍0.41%)
03/21-03/27 検体14,040・陽性42=罹患率0.30%(日本国籍0.15%:外国籍0.48%)
03/28-04/03 検体14,615・陽性70=罹患率0.48%(日本国籍0.24%:外国籍0.81%)
04/04-04/10 検体12,694・陽性62=罹患率0.49%(日本国籍0.16%:外国籍0.85%)
04/11-04/17 検体11,974・陽性74=罹患率0.62%(日本国籍0.40%:外国籍0.90%)
04/18-04/24 検体11,268・陽性60=罹患率0.53%(日本国籍0.26%:外国籍0.89%)
04/25-05/01 検体13,039・陽性95=罹患率0.73%(日本国籍0.29%:外国籍1.30%)
検体数の日外比率は、今週は、日外ともに増え、1:0.78と前週と同水準になっています。
陽性数の日外比率は、今週は外国籍者が急増し、1:3.52と外国籍者比率が急増しています。後述しますが、主因はネパールからの外国籍者です。
検査対象が全入国者になっています。検査数(≒入国者)の多さは、米国、中国、フィリピン、インドネシア、韓国の順でした。インドネシアが191人増加とジリジリ増え、韓国を超えました。
日本人は今週は増加したものの7,337人でした。12月4週目に12,354人いたのち、1月以降は一度激減後、徐々に回復していましたが、ここのところ減少気味です。
外国人はここのところ大幅減少が継続。今週は増加したものの、1月3週目に17,873人だったものが、今週は5,702人と3分の1程度まで減ったままです。
全体の罹患率は、0.7%台で大幅悪化しています。
10月の4週間は日本国籍者と外国籍者の罹患率に差はなく0.35%程度でした。
その後半年以上細かいデータが出ていますが、外国籍者の方が罹患率が高く、日本国籍者は上下を繰り返している印象です。
前週と比べると、日本国籍者は、検査数が14%増加に対して陽性者数は24%増加。外国籍者は検査数が18%増加に対して陽性者数は72%増加です。
このため、罹患率は、日本国籍者は横ばい〜やや悪化。外国籍者は1%超えの急激悪化しています。外国籍者の罹患率が0.1%を超えたのは、今年1月9日の全員検査開始以降初めてです。データは昨年10月以降しかありませんが、1月迄は入国者が多い上に低感染の国が多数検査対象外だったために、罹患率が高く出やすい傾向にありました。そんな期間も含めて昨年10月以降で最悪の数字という超危険状態になっています。
■[陽性者数多い国分析] 全12か国、南アジアに集中、米比も陽性者多め
今週陽性者が確認されたのは、前週に続いて陽性者が出ているインド、ネパール、米国、フィリピン、パキスタン、インドネシア、タイ、韓国などを含めて12か国でした。
変異株の影響が出ているインドは36人(前週比+10人)とさらに増加しています。日本国籍者は入国者数が290人(前週比+91人)・有症状者は10人(前週比+5人)。外国籍者は入国者数は335人(前週比+101人)・有症状者は26人(前週比+5人)で、日外仲良く陽性者が増加しています。前週に外国籍者のみ状況が悪化していますので、日外で差が出たままです。
ネパールは31人(前週比+28人)と激増。日本国籍者は入国者数が22人(前週比+13人)・有症状者は1人(前週比+1人)。外国籍者は入国者数は332人(前週比+103人)・有症状者は30人(前週比+27人)です。元々入国者が圧倒的に外国籍者が多い国で、陽性者増加もほぼ外国籍者要因でした。入国者も増えてはいますが、それ以上に陽性者の急増が目立ちます。
続いて多かったのが米国とフィリピンで7人。米国は6人日本国籍者、フィリピンは逆に6人外国籍者です。南アジアの陰に隠れていますが、この2か国は入国者が多いため陽性者数はずっと高水準です。
4月初めまで悪化の一途だったパキスタンは二週連続の6人。日本国籍者が1人です。一時に比べれば減ったとはいえ、まだ陽性者が多い状況が続いています。
次に多かったのがインドネシアで2人です。インドネシアは日本国籍者の入国が増え3倍近くいますが、陽性者は2人とも外国籍者です。
残り6か国は1人ずつで、ロシアとタイが日本国籍者。韓国とタイは超低感染の非上陸拒否国ですが、2週連続で陽性者が出ています。
チュニジアとカメルーンが、1桁入国者数で陽性者が出ている異常状態です。
相変わらず欧米は日本国籍者、南アジアは外国籍者が多い印象です。
■[罹患率高い国分析] 1%超えは12か国6か国も、南アジア3か国入国多い中率高すぎ
罹患率は、最も率が悪かったのは、チュニジアで33.33%(検体3人中1人陽性=全員外国籍者)、続いてカメルーン20.00%(検体5人中1人陽性=外国籍者検体4人中1人陽性)でした。二桁割合の超危険状態は以上の2か国です。
続いて率が悪かったのは、ネパールで8.76%(検体354人中31人陽性)、インド5.76%(検体625人中36人陽性)、パキスタンが4.76%(検体126人中6人陽性)と南アジア3か国。エジプトが2.94%(検体34人中1人陽性)と続いています。
1%超えは以上の6か国でした。
ネパール、インド、パキスタンと3か国も、前週から連続で1%超えの異常状態です。
アフリカと東欧がもともと多かったですが、欧州は収まり気味で、南アジア〜中央アジアばかりになってきました。
ネパール、インド、パキスタンの南アジア諸国はここのところずっと1%超えが続いています。いずれも入国者数がある程度多くいる中でのこの罹患率ですので、非常に危険であることが分かります。。
ネパールは12人に1人、インドは17人に1人、パキスタンは21人に1人という超危険状態となっています。特にインドとネパールは、この期間は3日間強制隔離対象になっておらず(インドは5月1日は該当)、すり抜け含めると陽性者はもっと多いと推定されます。1機200人搭乗していると10人〜17人は陽性者という異様な飛行機になりますね、、、。
■[航空便利用者数分析] 航空利用者は増加
合計の利用者数は、17,892人(前週比+1,186人)と一気に増えました。
全体では利用者は増えていますが、国によって増減がバラバラです。
増加している国は、最も人数が増えたのは米国直行便で4,061人(前週比+352人)。続いてシンガポール直行便934人(前週比+284人)、タイ直行便1,029人(前週比+223人)、インドネシア直行便834人(前週比+215人)などとなっています。
減少している国は、最も人数が減ったのは中国直行便で1,485人(前週比-343人)。ここのところずっと減り続けています。続いてフィリピン直行便が2,142人(前週比-178人)などとなっています。
皆増した国は、モンゴル直行便37人のみ。皆減した国は、ミャンマー直行便(93人皆減)、ベルギー直行便(12人皆減)でした。
変異株で騒ぎになっている英国直行便は265人(前週比+16人)で久々に増加しました。陽性急増の南アジア3か国は、インド直行便は912人(前週比+39人)とずっと増加が継続、ネパール直行便は170人(前週比+5人)と微増。パキスタンは直行便は飛んでいません。
入国者がインドは625人、ネパールは354人です。インドから米国などへの乗り継ぎ利用、ネパールからインド経由での入国なども多そうですね。機内クラスターが心配されます。
■[変異株陽性者数分析] 変異株陽性者はデータ反映前
詳細発表された95人の陽性者のうち、4人が英国で確認された変異株と判明したのみです。
今週は変異株発表が行われておりませんので、まだデータ反映前です。
陽性が急増しているインドで最初に確認された変異株は検出対象となっていません。これを加えると、一気に変異株陽性者が急増する可能性があります。
毎週データは更新されているようですので、今後も注視していきます。
■週間速報内容
04/25-05/01
全検査
合計 検体13,039陽性95 0.73%↑急増
日本 検体 7,337陽性21 0.29%
外国 検体 5,702陽性74 1.30%↑激増
検体数の多い国
米 国:合計 検体2,560、陽性 7=0.27%
日本国籍 検体1,923 陽性 6=0.31%/外国籍 検体 637 陽性 1=0.16%
中 国:合計 検体1,734、陽性 0=0%
日本国籍 検体 777 陽性 0=0%/外国籍 検体 957 陽性 0=0%
フィリピン:合計 検体 858、陽性 7=0.82%
日本国籍 検体 127 陽性 1=0.79%/外国籍 検体 731 陽性 6=0.82%
インドネシア:合計 検体 679、陽性 2=0.29%
日本国籍 検体 505 陽性 0=0%/外国籍 検体 174 陽性 2=1.15%
韓 国:合計 検体 664、陽性 1=0.15%
日本国籍 検体 249 陽性 0=0%/外国籍 検体 415 陽性 1=0.24%
罹患率の高い国
チュニジア:合計 検体 3、陽性 1=33.33%
日本国籍 検体 0 陽性 0=0%/外国籍 検体 3 陽性 1=33.33%
カメルーン:合計 検体 5、陽性 1=20.00%
日本国籍 検体 1 陽性 0=0%/外国籍 検体 4 陽性 1=25.00%
ネパール:合計 検体 354、陽性31=8.76%
日本国籍 検体 22 陽性 1=4.54%/外国籍 検体 332 陽性30=9.04%
イ ン ド:合計 検体 625、陽性36=5.76%
日本国籍 検体 290 陽性10=3.45%/外国籍 検体 335 陽性26=7.76%
パキスタン:合計 検体 126、陽性 6=4.76%
日本国籍 検体 38 陽性 1=2.63%/外国籍 検体 88 陽性 5=5.68%
■毎日の個別発表との誤差状況(4月25日〜5月1日)
(A)週間発表(今回の滞在国・地域ごとの検査実績発表):95人
(B)毎日発表:95人中非公表0人(複数国滞在者1人)
(誤差が出ている国)Aが超過していると非公表の可能性有
メキシコ (B)が1人超過(*2か国滞在者)
■水際対策(厚生労働省公式サイト)
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kansenkakudaiboushi-iryouteikyou.html#h2_7
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