2021年05月23日

インド株隠匿?パキスタン実は

◇インド変異株の分析結果発表 3月から確認していたのにまた情報隠匿? インド・ネパールは7割以上がインド株 パキスタンは実は英国株ばかり

21日、厚生労働者(厚労省)は、空港検疫での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のB.1.617の確認状況を初めて発表しました。3月から確認していたのに意図的に隠していたとみられるほか、インド株はインド・ネパールばかりで、バングラデシュは南ア株、パキスタンは英国株が多いのに水際対策がきつくなっていることも明らかになりました。

21日に厚労省が発表したのは、COVID-19でインドで初めて検出された変異株(B.1.617、インド株)の空港検疫での確認状況です。
これにより、最新の感染状況が判明しています。

インド株以外も含めた、空港検疫でのインド株確認状況は「入国者変異株感染状況」をご覧ください。
https://johokotu.seesaa.net/article/481616974.html

3月末以降インドは7割以上、ネパールは8割以上がインド株
確認されたのは、3月28日到着分〜5月7日到着分まで全部で160人です。
行動歴はわずか8か国にとどまっており、そのほとんどがインドとネパールです。

インドからの入国者:86人
エジプトからの入国者:1人
カザフスタンからの入国者:1人
カメルーンからの入国者:1人
チュニジアからの入国者:1人
ネパールからの入国者:69人
英国からの入国者:1人
韓国からの入国者:1人

同期間にインドから入国の陽性者は114人、ネパールから入国の陽性者は81人いました。
つまり、インドは全体の75.4%、ネパールは全体の85.2%がインド株でした。
(ネパールは5人除いていずれかの変異株に罹っています。)

発表をわざわざ控えていた?
今回の発表は、「5月12日に国立感染症研究所において、インドで初めて検出された変異株(B.1.617)が、懸念すべき変異株(VOC)と位置づけられたことから、これまでの国立感染症研究所の検査の結果を改めて集計し、160例確認されましたので公表」と発表されています。

前述の通り、最も早く確認された事例は3月28日到着の入国者です。分析まで2、3週間程度かかるとはいえ、それでも4月中旬にはこの状況は分かっていたはず。分析結果を意図的に隠匿していた可能性があります。国立感染症研究所からは、4月26日に感染事例を確認したことの発表がありましたが、具体的に何日着で行動歴がどこかは明らかにされていなかったため、飛行機に乗ってやってくる入国者は予防する意識も起きない状況でした。

ウイルスの変異は常に起こるものなので、問題とならない限りは分析はしないということなのでしょうが、4月上旬には感染者が急増して騒ぎになっていたのに、これまで状況が発表されなかったのはなんともおマヌケです。
ちなみに、WHOが注目すべき変異株としているのは、新たに加わったインド株含め、英国株、南ア株、ブラジル株の4つです(フィリピン株はどこ行った?)。

インド株対応6か国の謎
インド株を巡っては、なぜか、英国等で最初に確認された4つの変異株(英国株、南ア株、ブラジル株、フィリピン株)と異なり、水際対策がきつくなっています。
正直、5月12日までは注目株にすらなっていなかったわけですし(=だから発表もしてこなかった)、重症化するかどうかも、ワクチンが効くかどうかも不透明。それなのに、なぜか従来株よりも他の変異株よりも危険視されています。非常に不思議です。

で、その対象が南アジアの6か国(インド、ネパールのほかに、バングラデシュ、パキスタン、スリランカ、モルディブ)なのですが、きつい水際対策がこの6か国に限定される理由も何だか不透明です。見方によっては南アジア差別とも言えてしまいます。
6か国はインドの近くなんだから、と言う方も多いと思うのですが、空港検疫での確認状況をよくよく見ると話はそう簡単に片づけられません。

実は空港検疫での変異株確認状況をよくよく見てみると、世界の人の動きがよ〜く分かります。
例えば、フィリピンは、確認された変異株は、フィリピン株は実はそれほど多くなく、南ア株が最も多いんです。そして最近は英国株が増えています。
同じアフリカ大陸の国でも、英国株のところと南ア株のところでくっきり分かれています。
アジアでも、アフガニスタンは南ア株が多いですし、アラブ首長国連邦は英国株中心ですが、南ア株がポツポツ出ています。
英国株が多い欧州だとイタリアはいろいろ混ざってますね。
フィリピン株はフィリピン以外ではほぼ確認されていません。

よく考えてみればその理由の答えは簡単。人が動いて感染が広がるのですから、交流が深い国同士で変異株の色が分かれてくるわけです。

今回入国規制がきつくなった6か国からの入国者は以下のような特徴があります。

・インド:もともと英国株が多かったものが、4月に一気にインド株に変化しています。未だにポツポツ英国株がいます。
・ネパール:3月以降英国株が少し出た後インド株ばかりになっています。
・パキスタン:英国株ばかりで、インド株は未確認。変異株と確認されていない人も多いです。
・バングラデシュ:それほど数は多くないですが、南アフリカ株が多いです。
・スリランカ:3、4月では1人だけで英国株です。
・モルディブ:陽性者は出ていません。

6か国を見ただけでも、インド株なのは、インドとネパールだけ。パキスタンの3月頃の感染拡大は英国株中心とみられます。パキスタンはインドの隣国ですが、喧嘩している国ですから、インドとの間に人の動きがそれほどないのかもしれません。そもそも、パキスタンは、宗教行事を抑え込めなかったとは言え、4月中旬には外出規制をし、外国との行き来を一気に制限していますから、何とかインド株流入拡大阻止に繋げたのかもしれません。
そんな一方で、インドと関係が深い英国などで感染が広がっていることが報告されており、実際に4月13日着英国からの入国者はインド株だったのに、水際対策では完全に無視されています。

距離が近いので、念のため水際対策を強化するのは分かりますが、6か国だけ水際対策をきつくするのはおかしな話。極論すれば、空港検疫でインド株が確認された8か国の水際対策をきつくしなきゃという話です。

そして、インド株以外の変異株がインド株ほど脅威でない(未だに強制隔離は3日間)と言うなら、パキスタンやバングラデシュはたとえインドの隣国であったとしても現時点では、6日間強制隔離にするのはおかしいです。
現地感染急拡大を理由にパキスタンやバングラデシュを6日間強制隔離にするのなら、インド近隣で急拡大しているタイとかバーレーンあたりも対象にならないとおかしいです。
隣国だから強化という扱いなら、中国も対象にしなきゃなりません。
また、その他の変異株だってインド株同様に脅威なのだから、これらの確認国も6日間強制隔離にすべき話です。例えばフィリピンなどは確認数も多いですし、、、。
そうやって考えていくと、特定の国だけを規制を強化するのはおかしいことに気付けます。
昨秋に米国からの入国者の陽性が爆増した時も全然強化しようともしなかった水際対策を、今回、一気にきつくしているのは、あまりに差別的と言わざるを得ないですね。

パキスタンに関しては昨年6月にウイルス密輸→国内家族を通じた拡散が横行してしまいましたから、そういう国民性だからと危機感を持つのは大いに結構なのですが、、、。オセアニア各国や台湾などのように一律入国禁止とするわけでもなく、米国のように全体的に緩いわけでもない。日本では、特定国を狙い撃ちにした中途半端で差別的で、おかげですり抜けいっぱいの水際対策が、今後も続いていくのかもしれませんね。


新型コロナウイルス感染症(変異株)の患者等の発生について(空港検疫)(厚労省公式サイト)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18805.html
posted by johokotu at 22:00| 東京 ☁| Comment(0) | ◇COVID-19関連 | 更新情報をチェックする
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