厚生労働省(厚労省)は8月13日、空港検疫での新型コロナウイルス感染症検査状況の7月4週目(7月25日〜7月31日)分の速報値を発表しました。
厚労省の速報は、週間の検体数と陽性者数を、日本国籍者、外国籍者別に、滞在国ごとに出した非常に細かいデータです。2020年11月11日以降毎週金曜日に過去4週間分が発表されています。8月13日の公表で、2020年10月4日〜2021年7月31日分が公表されたことになります。
速報のため、日々の発表のデータとかなりのズレが生じてる場合もありますが、分析に活用できます。
■[罹患状況推移分析] 日本国籍者は急激悪化中
2020年
10/04-10/10 検体12,421・陽性57=罹患率0.46%(日本国籍0.46%:外国籍0.46%)
10/11-10/17 検体 7,364・陽性24=罹患率0.33%(日本国籍0.29%:外国籍0.34%)
10/18-10/24 検体12,213・陽性46=罹患率0.38%(日本国籍0.39%:外国籍0.37%)
10/25-10/31 検体17,833・陽性47=罹患率0.26%(日本国籍0.22%:外国籍0.29%)
<11/01〜入国者の多い低感染国9か国が検査解除>
11/01-11/07 検体10,589・陽性84=罹患率0.79%(日本国籍0.75%:外国籍0.83%)
11/08-11/14 検体10,823・陽性89=罹患率0.82%(日本国籍0.54%:外国籍1.02%)
11/15-11/21 検体11,627・陽性79=罹患率0.68%(日本国籍0.52%:外国籍0.79%)
11/22-11/28 検体13,789・陽性90=罹患率0.65%(日本国籍0.61%:外国籍0.65%)
11/29-12/05 検体14,226・陽性89=罹患率0.63%(日本国籍0.50%:外国籍0.74%)
12/06-12/12 検体16,488・陽性86=罹患率0.52%(日本国籍0.43%:外国籍0.64%)
12/13-12/19 検体18,554・陽性74=罹患率0.40%(日本国籍0.28%:外国籍0.62%)
12/20-12/26 検体18,835・陽性98=罹患率0.52%(日本国籍0.51%:外国籍0.54%)
12/27-01/02 検体13,123・陽性83=罹患率0.63%(日本国籍0.49%:外国籍0.75%)
2021年
01/03-01/09 検体14,098・陽性76=罹患率0.54%(日本国籍0.23%:外国籍0.72%)
<01/09〜全入国者検査開始>
01/10-01/16 検体21,399・陽性67=罹患率0.31%(日本国籍0.31%:外国籍0.31%)
01/17-01/23 検体22,678・陽性41=罹患率0.18%(日本国籍0.31%:外国籍0.15%)
01/24-01/30 検体10,076・陽性25=罹患率0.25%(日本国籍0.12%:外国籍0.37%)
01/31-02/06 検体10,435・陽性20=罹患率0.19%(日本国籍0.13%:外国籍0.27%)
02/07-02/13 検体 9,423・陽性19=罹患率0.20%(日本国籍0.15%:外国籍0.26%)
02/14-02/20 検体 9,523・陽性19=罹患率0.20%(日本国籍0.11%:外国籍0.28%)
02/21-02/27 検体11,779・陽性23=罹患率0.20%(日本国籍0.22%:外国籍0.17%)
02/28-03/06 検体14,086・陽性29=罹患率0.21%(日本国籍0.16%:外国籍0.26%)
03/07-03/13 検体14,467・陽性27=罹患率0.19%(日本国籍0.14%:外国籍0.25%)
03/14-03/20 検体17,879・陽性49=罹患率0.27%(日本国籍0.20%:外国籍0.41%)
03/21-03/27 検体14,040・陽性42=罹患率0.30%(日本国籍0.15%:外国籍0.48%)
03/28-04/03 検体14,615・陽性70=罹患率0.48%(日本国籍0.24%:外国籍0.81%)
04/04-04/10 検体12,694・陽性62=罹患率0.49%(日本国籍0.16%:外国籍0.85%)
04/11-04/17 検体11,974・陽性74=罹患率0.62%(日本国籍0.40%:外国籍0.90%)
04/18-04/24 検体11,268・陽性60=罹患率0.53%(日本国籍0.26%:外国籍0.89%)
04/25-05/01 検体13,039・陽性95=罹患率0.73%(日本国籍0.29%:外国籍1.30%)
05/02-05/08 検体11,551・陽性82=罹患率0.71%(日本国籍0.25%:外国籍1.29%)
05/09-05/15 検体12,891・陽性50=罹患率0.39%(日本国籍0.23%:外国籍0.59%)
05/16-05/22 検体11,644・陽性39=罹患率0.33%(日本国籍0.33%:外国籍0.34%)
05/23-05/29 検体13,680・陽性32=罹患率0.23%(日本国籍0.19%:外国籍0.29%)
05/30-06/05 検体16,066・陽性40=罹患率0.25%(日本国籍0.14%:外国籍0.41%)
06/06-06/12 検体16,515・陽性17=罹患率0.10%(日本国籍0.08%:外国籍0.14%)
06/13-06/19 検体16,771・陽性44=罹患率0.26%(日本国籍0.18%:外国籍0.39%)
06/20-06/26 検体16,536・陽性45=罹患率0.27%(日本国籍0.19%:外国籍0.41%)
06/27-07/03 検体22,338・陽性60=罹患率0.27%(日本国籍0.24%:外国籍0.32%)
07/04-07/10 検体23,362・陽性79=罹患率0.34%(日本国籍0.38%:外国籍0.29%)
07/11-07/17 検体32,329・陽性97=罹患率0.30%(日本国籍0.44%:外国籍0.22%)
07/18-07/24 検体35,885・陽性67=罹患率0.19%(日本国籍0.33%:外国籍0.13%)
07/25-07/31 検体24,273・陽性89=罹患率0.37%(日本国籍0.50%:外国籍0.24%)
今週の検体数は、日本国籍者は増加、外国籍者は半減。日外比率は1:1.10と一気に差が縮まりました。
今週の陽性数は、日本国籍者25人も増、外国籍者3人減。日外比率は1:0.53で、日本国籍者の悪い状況がついに4週連続となりました。
検査対象が全入国者になっています。検査数(≒入国者)の多さは、米国、中国、フランス、インドネシア、ドイツの順でした。欧州からの入国者が激減しています。
日本人は11,559件でした。増加したものの急増とまではいかず、12月4週目の12,354件も下回りました。
外国人は一気に激減。2週連続で2万件を上回っていたのに、今週は12,714件と一気に半減。1月3週目の17,873件も下回りました。
前週と比べると、日本国籍者は、検査数が16%増加に対して陽性者数は76%増加。外国籍者は検査数が51%減に対して陽性者数は9%減です。
この結果、罹患率は、日本国籍者は大幅悪化、外国籍者は悪化しています。
全体の罹患率は0.37%と大幅悪化しました。前週が数値が低かったのは入国者の急増に対して陽性者が増えなかったからです。2週前の水準より少し悪化した状態に戻った印象です。
原因は、五輪関係者の入国と日本国籍者の一時帰国と考えられます。
五輪関係者は検査頻度が高く陽性だと競技に出られなくなってしまうので感染管理が一般人よりも厳重と思われ、急激な罹患率低下につながっていると推定されます。一方で、日本国籍者の一時帰国が増えると、いつも感染状況が悪くなる傾向があり、今回の夏休みもそれが出ています。県を跨ぐ移動すらも自粛が呼びかけられる中で、長期休暇だからと一時帰国する時点で、公衆衛生よりも私権を優先する人が多そうですから、当たり前と言えば当たり前の結果と言えそうです。
日本国内の感染悪化を五輪のせいだという人が後を絶たないのですが、結果を見る限りでは、
・五輪によるウイルス持ち込みはあまり多くない(ただし、すり抜けはそれなりにいると推定されます)
・ウイルス持ち込みの最大の原因は、昨年4月〜5月、昨年7月〜8月、昨年12月〜1月に引き続きまたまたまたまた日本人
ですね。
日本国籍者が外国籍者よりも罹患率が悪くなるのは、3週前に19週ぶりに確認されたあと、4週連続となります。日本国籍者の悪化が顕著な状況です。
■[陽性者数多い国分析] 24か国/インドネシアは再び急増、米国が急激悪化
今週陽性者が確認されたのは、前週に続いて陽性者が出ているインドネシア、米国、英国、フィリピン、タイ、キルギス、ロシア、イタリア、スペイン、モロッコ、南アフリカ、フランス、バングラデシュ、ギリシャなどを含めて24か国(前週比-7)からの入国者に陽性者が出ました。国数が多い状況が続いていま下が少し減った印象です。
前週に少し落ち着いたように見えたインドネシアは22人(前週比+9人)と再び急増。日本国籍者は19人。日本国籍者は緊急帰国が多いと思われますがその人たちが大量にウイルスを密輸してくるという皮肉な事態になっています。
急激に悪化したのが米国で19人(前週比+15人)と爆増しています。日本国籍者は10人で、日外ともに同じようなに増えています。一時帰国の日本人も、五輪の外国人も同じように感染してきているといったところでしょうか。
三番目に多かったのは英国で8人(前週比+3人)です。ここのところ悪い状況が続いています。日本国籍者は7人。相変わらず夏休みの一時帰国者の感染悪化が大きく影響していると推定される数字になっています。
続いてはフィリピンで6人(前週比-2人)。日本国籍者は入国者が外国籍者の10分の1ほどしかいないのに、日外ともに3人が陽性で、日本国籍者の悪化が目立ちます。
悪化しているのがタイで5人(前週比+3人)。陽性者は全員日本国籍者です。
キルギスも4人(前週比+1人)と悪化が止まりません。日本国籍者は9人中3人が陽性と相変わらず酷い状況です。
3人陽性だったのは、ロシアとイタリアの2か国。いずれも前週比+2人です。ロシアは2人、イタリアは3人とも日本国籍者です。
2人陽性だったのは、モザンビーク(前週比皆増)、ミャンマー(前週比皆増)、スペイン(前週比±0人)の3か国でした。ミャンマーが2人とも外国籍者だった以外は、日外1人ずつでした。
残り13か国は1人ずつで、モロッコ、フランス、フィジー、オランダの4か国が日本国籍者でした。モロッコは、入国者は外国籍者の方が多いですが、2週連続で日本国籍者が陽性です。
■[罹患率高い国分析] 1%超えは24か国中14か国も、国際線到着空港は超危険
最も罹患率が悪かったのは、ミャンマーで13.33%(検体15件中2人陽性=外国籍者検体6件中2人陽性)でした。
続いてモザンビーク11.11%(検体18件中2人陽性=日外ともそれぞれ検体9件中1人陽性)、キルギス10.26%(検体39件中4人陽性=日本国籍者検体9件中3人陽性)でした。
以上の3か国が二桁割合(10%以上)です。いずれの国も超少人数入国の国で複数人陽性という超異常な状況です。特にキルギスは3週連続で10%超え、4週前は陽性者がいませんでしたが、その前も10%超が続いていて超絶危険です。アフリカ諸国や中央アジア諸国は元々の入国者数がごく少ないので、1人出ただけで率が一気に跳ね上がります。
この後は、アルジェリア7.14%(検体14件中1人陽性=外国籍者検体9件中1人陽性)、ギニア5.56%(検体18件中1人陽性=外国籍者検体17件中1人陽性)、フィジー3.13%(検体32件中1人陽性=日本国籍者検体31件中1人陽性)、アゼルバイジャン2.08%(検体48件中1人陽性=外国籍者検体47件中1人陽性)、南アフリカ1.72%(検体58件中1人陽性=外国籍者検体43件中1人陽性)、インドネシア1.68%(検体1,308件中22人陽性=日本国籍者検体1,052件中19人陽性)、モロッコ1.67%(検体60件中1人陽性=日本国籍者検体19件中1人陽性)、バングラデシュ1.41%(検体71件中1人陽性=外国籍者検体25件中1人陽性)、スリランカ1.39%(検体72件中1人陽性=外国籍者検体57件中1人陽性)、ギリシャ1.27%(検体79件中1人陽性=外国籍者検体69件中1人陽性)、ケニア1.18%(検体85件中1人陽性=外国籍者検体65件中1人陽性)と続きました。
1%超えは以上の14か国でした。これまで南アジア〜中央アジア〜アフリカにかけてが多かったですが、南米が出てきています。
前述のキルギスのほか、インドネシア、モロッコ、バングラデシュが連続で1%超えの異常状態でした。
インドネシアやキルギス等は1%超え常連なのに、いつまで経っても再入国禁止すらもせずにダラダラダラダラウイルス密輸を許している状況です。五輪大会が終わっても何も変化がありません。
■[航空便利用者数分析] 利用者は激減
合計の利用者数は31,980人(前週比-5,894人)と激減でした。
最多は米国便で7,591人(前週比-648人)、フィリピン便が2,495人(前週比+169人)と続いています。
今週は増減バラバラな印象でした。
増加している国:最も人数が増えたのは、インドネシア便1,729人(前週比+622人)。ニューカレドニア便806人(前週比+470
人)と続いています。
皆増した国:フィジー47人、カザフスタン43人、チェコ7人、ミャンマー2人。いずれも五輪絡みのチャーター便とみられます。
減少している国:最も人数が減ったのは、ドイツ便2,348人(前週比-913人)。カタール便680人(前週比-863人)、英国便820人(前週比-795人)、米国便、トルコ便1,168人(前週比-545人)、イタリア便269人(前週比-522人)、フィンランド便359人(前週比-471人)と続いています。
皆減した国:スペイン(221人)、バングラデシュ(13人)、トルクメニスタン(9人)、キプロス(5人)。いずれもチャーター便とみられる国でした。(スペインは五輪絡み確実ですね)
ニューカレドニアは入国者数が数人しかいないのですが、なぜか便利用だけがあります。定期便も飛んでいないのですが、誤記ではないですよね。
毎週データは更新されているようですので、今後も注視していきます。
■週間速報内容
07/25-07/31
全検査
合計 検体24,273陽性89 0.37%↑急増
日本 検体11,559陽性58 0.50%↑急増
外国 検体12,714陽性31 0.24%↑急増
検体数の多い国
米 国:合計 検体5,505、陽性19=0.35%
日本国籍 検体2,950 陽性10=0.34%/外国籍 検体2,555 陽性 9=0.35%
中 国:合計 検体1,885、陽性 0=0%
日本国籍 検体 709 陽性 0=0%/外国籍 検体1,176 陽性 0=0%
フランス:合計 検体1,342、陽性 1=0.07%
日本国籍 検体 794 陽性 1=0.13%/外国籍 検体 548 陽性 0=0%
インドネシア:合計 検体1,308、陽性22=1.68%
日本国籍 検体1,052 陽性19=1.81%/外国籍 検体 256 陽性 3=1.17%
ド イ ツ:合計 検体1,263、陽性 0=0%
日本国籍 検体 742 陽性 0=0%/外国籍 検体 521 陽性 0=0%
罹患率の高い国
ミャンマー:合計 検体 15、陽性 2=13.33%
日本国籍 検体 9 陽性 0=0%/外国籍 検体 6 陽性 2=33.33%
モザンビーク:合計 検体 18、陽性 2=11.11%
日本国籍 検体 9 陽性 1=11.11%/外国籍 検体 9 陽性 1=11.11%
キルギス:合計 検体 39、陽性 4=10.26%
日本国籍 検体 9 陽性 3=33.33%/外国籍 検体 30 陽性 1=3.33%
アルジェリア:合計 検体 14、陽性 1=7.14%
日本国籍 検体 5 陽性 0=0%/外国籍 検体 9 陽性 1=11.11%
ギ ニ ア:合計 検体 18、陽性 1=5.56%
日本国籍 検体 1 陽性 0=0%/外国籍 検体 17 陽性 1=5.88%
■毎日の個別発表との誤差状況(7月25日〜7月31日)
(A)週間発表(今回の滞在国・地域ごとの検査実績発表):89人
(B)毎日発表:89人中非公表0人(複数国滞在者0人)
(誤差が出ている国)Aが超過していると非公表の可能性有
・誤差なし
■水際対策(厚生労働省公式サイト)
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kansenkakudaiboushi-iryouteikyou.html#h2_7
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