2021年08月15日

空港危険原因は五輪でない?

◇Airport is dangerousの原因は五輪ではない?日本人原因であるデータが次々出現
−五輪で危険なのは空港バブルより市中バブル


東京2020オリンピック・パラリンピック(東京五輪)のため、空港が危険だと騒いでいる人が大勢いましたが、どうもデータを見る限りでは、原因は五輪ではなく、日本人が原因と思える状況になってきました。

東京五輪が開催されていることから、空港のバブル崩壊→日本国内での感染拡大を危惧する声が高まっています。連日のように空港でバブルが崩壊している!とする報道がなされ、都庁では、ジャーナリストの1人がバッハ国際オリンピック委員会会長に「Airport is dangerous」などと叫んだことが話題になりました。

そもそも空港検疫は市中よりも危険
まず押さえておきたいのは、そもそも国際線到着空港は、市中よりも危険だということです。

空港検疫の陽性者発生状況は毎日発表されており、情報交通ホットライン日本空港情報館ブログでも毎日取り上げ、毎週データの集計をしています。
https://johokotu.seesaa.net/article/482850780.html

空港検疫で特定国から入国する際に全員検査が始まった2020年4月3日以降の平均罹患率は0.4%弱で推移しています。また、低感染国なども含めた全入国者の検査が始まった2021年1月9日以降の平均罹患率も0.3%弱です。

8月13日時点の罹患率(=治療中人数/人口)は、日本国内では0.1%強、感染が異常だと騒いでいる東京都ですら0.25%程です。
空港検疫では、国内よりも非常に高い割合で陽性者が出ています。
しかも、今年3月以降は、隔離中の陽性確認も相次ぎ、飛行機に乗れないはずの有症状者もどんどん増加しています。

五輪が開催されようがされまいが、入国者の陽性状況は日本国内よりも危険です。五輪を止めれば入国者の陽性状況が改善するのものではないんです。


空港検疫での陽性事例は東京五輪入国者は少なめ
そして、そんな状況で五輪が開催されたから、空港検疫がさらに危険になったかと言えば、データを見る限りでは、実はそうではありません。

毎日発表されている陽性状況を見てみると、東京五輪選手団の入国がピークだった7月20日前後は感染状況が極小の状況です。
この時期は入国者数が爆増していたにもかかわらず、前後の期間と比べると陽性者はむしろ減っています

・東京五輪関係者は陽性になりづらい
・東京五輪関係者はすり抜けが多い

これには、以上の2点が原因と考えられます。

五輪選手は陽性になれば一発アウトですから、出発前から毎日検査を行い、一般の入国者よりも対策していると考えられます。前者は「なりづらい」と言うよりは、「ならないように気を付けている」と言った方がより正確な言い方かもしれません。
一方後者については、特定国で義務付けられている強制隔離が免除されていましたら、その分の空港検疫での陽性判明数が減っています。代わりにバブルの中での陽性確認(=空港検疫をすり抜けた陽性)が多数確認されており、これは別記事(https://johokotu.seesaa.net/article/482796909.html)でも触れました。7月1日〜8月5日までに100人以上がすり抜け陽性となっており、明らかに危険なのは空港のバブルではなく市中のバブルです。

現在、陽性者の3、4割は強制隔離中の陽性確認なので、その分が減っているわけです。しかし、それを考慮しても、7月20日前後の感染状況が極小で、データからは、五輪原因で空港のリスクは上がっているとはとても言えず、むしろリスクは下がっていると言えます
バブル方式により、市中の感染リスクは上がったのかもしれませんが、空港は感染リスクはむしろ低下傾向で、「空港のバブル崩壊→日本国内での感染拡大」は明らかに嘘だったわけです。
それでも、なぜか「五輪でAirport is dangerous」とクローズアップされてしまっていて、空港は完全にトバッチリでした。


日本人の一時帰国で空港の危険度は増している
五輪原因での空港のリスク悪化は認められなかったわけですが、実は、別原因で空港のリスクは悪化しています。

情報交通ホットライン日本空港情報館ブログでは、昨年4月から毎日の空港検疫での陽性発表を追い続けていますが、これまでに大きな山がいくつかあります。

外国籍者の感染状況はずっと悪い状況が続いていて、一つの原因となっています。これが五輪時期には低下しています。
これに加え、空港検疫でのリスクが悪化するのが、日本国籍者の一時帰国が増える時期であることが分かります。これまで春・夏・年末と日本国籍者が一時帰国するタイミングで、日本国籍者の感染が急増しています。しかも、その時期は欧米からの入国者や10歳未満の陽性が増えることも分かっています。

だいたいその後国内感染が酷くなるという悪循環が続いており、「空港のリスク悪化→日本国内での感染拡大」と言う流れは、海外在留の日本国籍者が作っていると言っても過言ではない状態です。

つまり、Airport is dangerousの原因は、どちらかと言うと五輪ではなく、在留邦人と言えます。運動会の会長に叫ぶことじゃなくて、海外に日本人を派遣している会社の社長や各国駐留の大使、現地日本人会などに叫んだ方が適切なのかもしれません。


空港従業員の感染は国内線の方が多く厚労委員会でも質問できずじまい
8月4日に行われた衆議院厚生労働委員会で、野党の長妻昭氏が五輪での感染拡大について触れ、その際に、東京国際空港(羽田空港)従業員の感染状況を示すデータを用意していたようです(同氏公式サイトで公表されています→https://naga.tv/article-15183.html)。

示されているデータは、国土交通省から出されたもので、羽田空港従業員の陽性人数が書かれています。
それによりますと、4月18人、5月6人、6月7人、7月22人だったそうです。一見すると、五輪関係者の入国が増えた7月に感染者が増えている=五輪のせいだとしたくなるようなデータなのですが、よくよく見てみると、7月の22人のうち、国際線関連は6人だけ。しかも4人は貨物関係者で、五輪とは全く関係がありません。
残りの16人は国内線関係者で、五輪で感染が拡大しておらず、むしろ空港リスクは国内線(=日本居住者利用)の方が高い数字になっています。

羽田空港従業員は東京都内に住んでいる人も多いでしょうし、業務中に罹患したかどうかも分かりません。クラスターが起こった新宿の百貨店に比べれば人数も少ないですし、ただ単に東京都内の感染拡大に伴って、感染者が伸びただけとも見える数字になっています。

この数字でも、結局、感染拡大の原因は五輪ではなく日本居住者であることが分かります。

長妻氏は、五輪と感染拡大の関係を追及するためにこの資料を用意したのだと思いますが、データがはっきり五輪原因とは言えないものだったためか、厚生労働委員会では、結局この資料に関する質問はなされませんでした。

なお、この委員会で、尾身参考人は「オリンピックのバブルの中の感染がありますよね、今。このことが今の急激な感染拡大に直接関係しているとは全く思いません。ただし、オリンピックをやるということが人々の意識に与えた影響というのはあるのではないかというのが我々専門家の考えであります。」と述べています。
示されるデータも、専門家の意見も一致しているのは、「国内の感染拡大は五輪のせいではなく日本居住者のせい」ということがかなり明確になっています。

つまり、Airport is dangerousは、「五輪のせいで空港が危ない」という意味ではなく、「日本居住者のせいで空港が危ない」という意味なら適切と言えます。運動会の会長に叫ぶことじゃなくて、出張させようとする会社の社長とか、旅行に行こうとする家長、田舎にいる長老などに叫んだ方が適切なのかもしれません。


個人的には、空港の利用者が減って、運営が窮地に立つのは非常に心苦しいです。
国際線到着空港は市中よりも危険ですが、国内線空港は感染リスクは市中と同じで、「空港だけが危険」なわけではありません。データも出てはっきりしたことですし、そこの部分はもう少し取り上げてもらいたいところですね。

空港での感染拡大は、五輪のせいではなく、日本居住者のせいであることを自覚して、空港を利用するにしても、安心安全な帰省に向けて全力で取り組んでいきたいですね。

STAY HOME NOW, FLY LATER
防ごうウイルス密輸! ウイルス疑いを運ぶ航空従事者 防疫ヒーローにエールを!
防ごうウイルス拡散! 十四日間一人隔離を頑張る帰省者 防疫ヒーローにエールを!
防ごうウイルス拝受! 十四日間接触を我慢する実家の家族 防疫ヒーローにエールを!
防ごうウイルス持込! そもそも帰省するのを我慢した残留者 防疫ヒーローにエールを!

ラベル:検疫 感染症
posted by johokotu at 01:00| 東京 🌁| Comment(0) | ◇COVID-19関連 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: