2021年08月31日

空港検疫_意外?パラで率変化無

◇空港検疫 意外?パラリンピック入国増加で陽性者数増加も、罹患率は大きな変化なし

東京2020パラリンピック関係者の入国がピークを迎える時期に空港検疫での陽性確認数が増加傾向であったことが分かりました。一方で、罹患率は、前後期間と大きくは変わっていなかったことも明らかとなりました。オリンピック、パラリンピックとも、空港検疫のリスク悪化は無かったとみられる結果となりました。

最新の週間結果は下記にて公開しています。グラフなどはそちらを参照ください。
https://johokotu.seesaa.net/article/483175833.html
これを基に、オリンピック、パラリンピック関係者の入国による空港検疫の変化を考察します。

オリンピック時の特徴(開会式7月23日)
・検体数
7月16日5,126件、7月17日5,126件、7月18日7,367件、7月19日5,082件、7月20日5,252件、7月21日5,146件。
最多だったのは7月18日です。だいたい1日2〜3千件台だった入国者数が一気に増えていますので、この前後にオリンピック関係者が大挙して押し寄せたことは確実なようです。

・陽性者数
7月16日21人(隔離中陽性11人)、7月17日11人(同3人)、7月18日9人(同4人)、7月19日9人(同4人)、7月20日8人(同3人)、7月21日9人(同2人)。
16日は数が多かったものの、それ以外の日は10人を切っている日が多かったです。オリンピック関係者の入国者数急増時期と、空港検疫の陽性者数減少時期がほぼ一致しています。隔離中陽性者は前後期間比べると少し減った印象です。
7月は、非常に珍しく外国籍者の入国が増加したのに、陽性者は非常に珍しく4週連続で日本国籍者の方が多くなっていました。
7月の空港検疫での陽性者数の急増は、オリンピック関係者要因とは言えないといった印象です。

・罹患率
7日間罹患率は、7月23日に0.175%まで下がっており、7月16日〜7月21日は前後期間に比べるとぐっと下がっていました。
陽性者数は増えたものの、入国者数はそれ以上の急増だったので、罹患率が下がるのは当然の結果です。罹患率が下がっていることから、オリンピック関係者は一般の入国者よりもウイルス密輸が少ないと言えるかもしれません。ただし、隔離中陽性者数も下がっていることからするとすり抜けが多かったと考えられ、単に空港検疫では引っ掛からなかっただけとも取れる結果となっています。


パラリンピック時の特徴(開会式8月24日)
パラリンピック関係者の入国ピークは8月3週目の週末(21日、22日)と報道されています。

・検体数
8月19日4,135件、8月20日4,493件、8月21日3,658件、8月22日4,032件。
最多だったのは8月20日です。だいたい1日2〜3千件台だった入国者数が一気に増えていますので、この前後にパラリンピック関係者が大挙して押し寄せたと推定されます。

・陽性者数
8月19日着23人(隔離中陽性7人)、8月20日着27人(同7人)、8月21日14人(同2人)、8月22日8人(同3人)。
パラリンピック関係者の入国者数急増時期と、空港検疫の陽性者数急増時期が見事に合致しています。隔離中陽性者は前後期間と大きな変化はありません。8月下旬の空港検疫での陽性者数の急増は、パラリンピック関係者要因と言っても過言ではない状況と言えます。

・罹患率
7日間罹患率は、8月20日に0.419%まで上がっています。この数値は毎日結構な上下をするものですが、7月に入ってからは0.38%前後で横ばいが続いています。
陽性者数は増えたものの、入国者数も増えているので、横ばい傾向が続いたものと推定されます。罹患率が前後期間とあまり変わらないことから、パラリンピック関係者も、一般の入国者も、ウイルスを持ち込む可能性は、大して差がないといったところでしょうか。パラリンピック関係者が特別にウイルスを密輸しているというわけではないと推定できます。




空港検疫の陽性者数は、7月に月間最多を記録しており、8月も多い状態が続いています。その原因をオリンピック・パラリンピックだと根拠なく言う人が非常に多いです。
しかし、空港検疫の数値だけを見ると、
・オリンピック関係者入国期間は、明確に、空港検疫の陽性率は低下 ⇒ リスクは五輪関係者の方が低い
・パラリンピック関係者入国期間は、空港検疫の陽性率に大きな変化はなし ⇒ リスクは一般の入国者とほぼ同じ
といった傾向になっており、7月や8月の陽性者急増の原因がオリンピックやパラリンピックとは全然言えない結果になっています

オリンピック・パラリンピックで「Airport is dangerous」になったと思い込んでいる人には、少し意外な結果がだったかもしれません。
しかし、よく考えてみれば、一般の入国者もオリンピック・パラリンピック関係者も条件はほぼ同じわけですから、結果に差が出る方が異常です。

ただし、オリンピックははっきりと空港検疫での陽性者増加とは無関係と言えそうですが、パラリンピックは入国者が増えた分だけ陽性者も増えたわけですから空港検疫での陽性者増加と無関係とは言えなさそうです(パラリンピック関係者のせいでリスクが悪化したとまでは言えない)。

注意したいのは、これらのデータは空港検疫の数値であること。空港検疫で陰性で日本国内に入り込んだすり抜け者がどれだけいて、国内の感染拡大に影響したのかまでは全く分かりません。オリンピックはすり抜け者が多かったと推定される数値が出ており、数字を見る際には、注意しなければなりません。
選手村や宿泊ホテル、競技会場というバブルから日本国内に抜け出した入国者がウイルスを撒き散らしたかどうかは、データがないので、誰も分かりません。


なお、今回の分析で、オリンピック・パラリンピックの影響を考えるのを難しくしているのが、7月下旬、8月下旬という時期です。
7月や8月は長期休暇期間で、世界の多くの国では9月から新学年が始まります。
このため、日本への入国者は、
 ・7月下旬〜8月上旬 (盆休みで一時帰国する)日本国籍者
 ・8月中旬〜8月下旬 (母国で休暇を過ごした)外国籍者の再入国+外国籍者の新学年の新規赴任者
が多くなる傾向にあります。
空港検疫のデータは、入国目的と連動発表されていないので、その違いを見極めるのが難しいです。

それでも、空港検疫での陽性者の状況は、7月中は日本国籍者の陽性が激増しており、8月に入ってからは外国籍者の陽性が再び増えているので、一応、上記入国者傾向に近い状況にはなっています。
ざっくり提示すると、
 ・7月:オリンピック関係者入国爆増も陽性少+日本国籍者の陽性爆増
 ・8月:入国増のパラリンピック関係者も外国籍者も日本国籍者も陽性率大差なし(外国籍者がやや増加)
以上のような傾向が見られています。
そして、オリンピック・パラリンピック関係者以外の入国者数は6月までと大して変わらないのに、陽性者数が7月に月間最多を記録し、8月も多い状態が続いています。

以上から、日本国内感染が沸騰する直前の7月にウイルスを運んできているのは、オリンピック関係者でもパラリンピック関係者だけでもなく、「休暇で移動した一般の入国者で、7月中は特に、一般入国の日本国籍者こそが主因」と言っても過言ではない結果にはなっています。

そう考えると、オリンピック・パラリンピック期間中の本当の勇者たちは、オリンピアンでもパラリンピアンでもなく、「そもそも帰国を我慢した在留邦人」だったということになるのかもしれません。勇気をもって翼を広げて空港から飛び立たないことで日本に世界に貢献していますね。ありがとうございます。


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posted by johokotu at 03:00| 東京 ☀| Comment(0) | ◇COVID-19関連 | 更新情報をチェックする
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