新型コロナウイルス感染症の空港検疫での検出について、ラムダ株検出の発表が遅いとして批判が出ています。これを受けてか、3日から変異株の系統別検出状況の公開が始まりました。
変異株の系統別検出状況は、厚生労働省公式サイト内で公開されています。3日に続き、10日にも情報が更新されたので、毎週金曜日に更新がされる模様です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html#henni(ページ中「新型コロナウイルス 国立感染症研究所のゲノム解析による検疫の系統別検出状況」がそのデータです。)
かなり詳しいデータです。空港検疫の結果は、世界の感染状況を反映したものですので、気になる方は、ぜひ細かく調べてみてはいかがでしょうか。
■そもそもVOCに位置付けられないといちいち発表されない
ラムダ株に関しては「発表まで遅すぎる→隠匿だ→オリンピック忖度だな」と、空想が超飛躍して、なぜか騒ぎになっていますが、厚生労働省は隠匿していたわけではないとみられます。
ラムダ株やミュー株に関しては、そもそも国内ではVOC(懸念される変異株)に位置付けていなかったため、検出はしたけれども、集計として報道発表されていないだけだからです(VOCに位置付けていないのが後手過ぎるかどうかは、未発表とは全くの別問題)。
同株が初めて検出されたのが7月20日着ペルーからの入国者で、8月上旬に海外メディアが報道したことで、日本メディアで取り上げるところが急に出現しました。しかし、実は、この7月20日着の事例は、未だに報道発表資料としては公表されていません(つまり、一般ピープルは知ることはできません)。
ただただ報道機関や政治家から問い合わせがあったから厚生労働省が答えただけとなっています。
そもそも海外メディアが、この件に気が付いたのは、ウイルスの遺伝子配列を登録する「GISAID」に、日本(分析した国立感染症研究所)から情報が登録されていたから。つまり、日本メディアもそれをちゃんと追っていれば気付けたのに、大本営発表があるまで騒ぎにならないというのも不思議な話です。
※GISAIDには、日本は9万件以上のゲノム情報を登録しています(アジアでトップ、世界6位)。
3日に厚生労働省の公式サイトで公表が始まった「変異株の系統別検出状況」については、10日発表のデータを見てみると、空港検疫で検出されているのは、PANGO系統で132系統もあります。VOCでない系統もたくさんあります。
これらすべてをいちいち、初めて検出されましたとやっていたら、集計するだけで日が暮れてしまうでしょう。
そもそも、ラムダ株やミュー株など特定株だけを特別に騒ぎ立てて、100以上あるその他の系統についてはダンマリというのも、おかしな話です。
騒ぐなら、すべての系統について騒ぎませんか。132系統も違いがあるのだから、132通りの感染の広がり具合も分かるはずで、それ(罹った人の行動履歴等)を分析することで、感染対策にも役立つのですから。(でも、空港検疫で確認されたということは、日本の中には持ち込まれていないものだから行動履歴等は調べるのは困難ですね、、、)
■そもそも空港検疫での変異株検出の公表は2〜3週間後
さらに、ラムダ株の検出については、2週間ほど経ってから分かったことに「遅すぎる=隠匿だ」との声が上がっているのも本来はおかしな話です。
そもそも、通常、分析が終わった変異株の情報が集計され、報道発表資料として公表されるまで、早くて10日程度、遅いと3週間ほどかかるからです。例えば、9月10日発表のデータは、8月20日着〜8月30日着分です。
2週間経っても変異株かどうかの集計が済まないこともあるわけで、隠匿しているのではないのでしょう。
厚生労働省の公式サイトでの発表は、ここのところ毎週金曜日発表です。ラムダ株で「遅すぎる→隠匿だ」と騒ぐのなら、毎週金曜日に発表するデータも遅すぎるものがたくさんあります。報道機関も政治家もなぜ、毎週金曜日に「遅すぎる→隠匿だ」と騒がないのか不思議な話です。
国内で検査が全然受けられないなかで、唯一の全員データなのですから、正直、報道機関にも政治家にももっと注目してほしいデータです。
オリンピックの時もそうでしたが、なぜか急にAirport is dangerous!と叫ぶ人がいました。でも、Airport is dangerous!は昨年1月からずっとです。
変異株の公開が2週間程度遅れているのは、今年1月からずっとです。
もっと前から、指摘しときましょうよ。
■ちゃんと分析が終わるまでは時間がかかるからこそ14日間の隔離を
さて、そんな感じで、結局、入国者のウイルスの分析には時間がかかります。
だからこそ、14日間の隔離が非常になってきます。隔離さえしていれば、たとえ非常に危険なウイルスを航空機内でうつされたとしても、14日間で分析が終われば、注意喚起もでき、国内に拡大することはありません。
入国後14日間の隔離をぜひ頑張って頂ければと思います。
STAY HOME NOW, FLY LATER
結果を見れば一目瞭然。隔離しないとダメなんです。
入国後隔離を頑張る皆さんを応援します。
結果を見れば一目瞭然。隔離しないとダメなんです。
入国後隔離を頑張る皆さんを応援します。