■2021.10 東京都東京へリポート・東京国際の旅行後
今回は、東京都東京ヘリポートをメインに訪問しました。そこで、ヘリポートの分類について取り上げます。
■数少ない公共用のヘリポート
空港は全国で97か所あります。
一方、ヘリポートは、各離島ごとにあったり、山の中に突然あったり、病院にあったり、都心だとビルの屋上などにもあったりしています。イベントなどで牧場などに突然現れたりもします。随分たくさんある印象です。
しかし、実は、正式にヘリポートとして分類されている施設はあまり多くはありません。
国土交通省の航空局のページ(→リンク)で示されている公共用ヘリポートは全国でわずか13か所だけです。非公共用とされているところを含めても102か所です。
飛行機が離着陸できる所として、空港の他に、離着陸場があるように、ヘリポートも設置の基準により様々あります。
空港と同じような扱いなのが公共用ヘリポートで、これは、一般ピープルが気軽に利用できるはずのものです。施設にも気軽に入れるところもあり、日本空港情報館ブログでは、主にこちらを取り上げています。今回訪問した東京都東京へリポートもこの分類です。
一方で、非公共用ヘリポートは、地方公共団体や民間が独自に設置しているもの。非公共用も正式に設置基準を満たしたヘリポートになります。ほとんどは自社使用を前提としています。地方公共団体が設置しているものは、消防や救急、警察の業務用に特化しているところが多いです。当然収益事業として遊覧飛行などで使用させているケースも多少ありますが非常に限定的。公共用ではないので、一般ピープルは立ち入りできないところがほとんどです。建物の屋上に設けられているものも多いので、そもそも地上から見えないこともあります。
一例である浦安へリポートは非公共用ですが、エクセル航空が遊覧飛行を展開しており、同社も「正規へリポート」とPRしています。(→リンク)
そして、ヘリコプター(専門用語で言う回転翼航空機の1つ)が離着陸できる、公共用、非公共用に分類されない場所として、場外離着陸場が数知れず存在しています。航空法第79条の規定により、「航空機は、陸上にあっては空港等以外の場所において離陸し、又は着陸してはならない。」とされていますが、ただし書きがあり、国土交通大臣が許可すれば空港等以外の場所でも離着陸が可能です。この場所が場外離着陸場で、基準を緩和して許可することでヘリコプターの離着陸が可能になっています。
防災対応離着陸場だと、普段は公園などとして開放されているケースもあります。

三宅島北方にあった三宅村へリポート。場外離着陸場として整備されています。
急患輸送で欠かせない離島のヘリポートもその多くが場外離着陸場です。
かつて定期便が飛んでいましたが、2018年11月から三宅島空港発着に変更されています。
(2013年訪問時に撮影)
■何となく近寄り難いヘリポート
空港の旅客ターミナルは、開館時間内であれば、誰でも気軽に訪れることが出来ます。飲食店や売店を充実させ、航空便を利用しない人も利用できます。
しかし、ヘリポートの場合、運航各社が共同で使用する旅客ターミナルが設けられているのは皆無です。
そして、ヘリコプターでの旅客輸送で定期便を運航している事業者は多くなく、ヘリポート内にある自社事務所が格納庫も兼ねているケースが多いです。
大きなヘリポートでは、遊覧飛行などでヘリポートを利用する際も各社の格納庫へ直行することがほとんどで、旅客ターミナルは不要です。
このため、ヘリポートには、一般ピープルが気軽に訪れることが出来る施設がほとんどありません。
群馬へリポートでは、ヘリコプター学習館を設けて、普段から気軽に訪問してもらう工夫をしていますが、そのような事例は稀です。
定期便がないから普段使いで利用する機会も少なく、遊覧飛行も各社でバラバラ。仲間うち、関係者向けな印象で、ヘリポートは、何となく近寄り難い存在になってしまっています。
今回訪れた東京都東京へリポートはまさにその典型例で、敷地内に入ることも重々しい雰囲気を醸し出していました。
周辺の新木場緑地公園にはヘリポートに関する展示がなされ、身近な雰囲気を出そうとはしていたものの、空飛ぶ人以外は完全に蚊帳の外の印象でした。

東京都東京へリポートは目の前にあるのに非常に遠い存在でした。
ヘリポート外で演出されているせいで、逆に疎外感を醸しだしています。
飛ばない豚野郎は蚊帳の外から指咥えて羨ましそうに見てろと、
空の上から目線で馬鹿にされた印象でした。
■今後は空飛ぶクルマでバーティポートが注目
空港に比べて排他的イメージの強いヘリポートですが、それだけに普段気に掛ける人が少ないせいか、ここ数年、公共用へリポートが立て続けに供用廃止になっています。
公共用ヘリポートは、2005年1月には全国に22か所あったのですが、足寄(2014年4月3日)、増毛(2018年6月1日)、砂川(2018年3月31日)、占冠(2017年4月1日)、ニセコ(2018年6月30日)、乙部(2015年2月5日)、舞洲(2019年7月8日)、神戸(2018年4月1日)、播磨(2008年9月25日)、湯村温泉(2008年9月25日)、佐伯(2018年4月1日)と11か所も供用廃止になりました。
公共用として供用廃止となっただけで、非公共用や場外離着陸場として残存しているところもありますが、さらに気軽な利用が出来なくなってしまっています。
それでも供用廃止になったところで、不便になった人はほぼおらず、文句を言う人もいないという悲しい状況です。
しかし、ヘリポートは、急患の搬送などで欠かせない社会インフラです。ドクターヘリが忙しく飛び回る病院のヘリポートも数多く存在しています。
公共用がメインとなりますが、今回へリポートを訪問し始めたのは、2006年ごろに相次いだ空港廃止と同じように、無駄だ無駄だと言われたまま消えてなくなるのを防ぎたいためでもありました。
そんなヘリポートですが、少し変化の兆しがあります。
今後は、一般の人がもっと気軽に利用できるようになる可能性があるのです。
それが、電動・垂直離着陸型航空機(eVTOL機)、いわゆる空飛ぶクルマの登場による発着場としての役割です。
空飛ぶクルマが、自家用車のように自分で操縦(=時代的には自動操縦?)できるようになれば、高速道路とそのインターチェンジのように、空路と離着陸する場所が必須になります。
助走の要らないドローンタイプの場合、その離着陸する場所として、まず候補になるのはヘリパッドです。
国土交通省でも、短期的には、既存の空港等の活用や空港等以外の場所における離着陸の許可で対応とするとしており、eVTOL用離着陸場の新規設置は中長期的に進めるとしています。
バーティポート(垂直離着陸用飛行場)という名称で整備を進める話が少しずつ出始めています。
空港ほど大規模な施設にならなくても、離着陸直前に整備したり、確認したりする場所が必要であることを考えれば、ヘリポートやeVTOL用離着陸場は今以上に必要になってきます。そうして利用者が増えれば、今は近寄り難い存在であるヘリポートも、もっと身近に感じられる、誰もが気軽に利用できる施設に代わっていくのかもしれません。

兵庫県立豊岡病院但馬救命救急センターのヘリポート。
公共用にも非公共用にも分類されない私設の場外離着陸場ですが、
ドクターヘリが日本一忙しく飛び、命を繋いでいます。
こういう社会インフラをもっと身近に支えていきたいものですね。
(2019年訪問時に撮影)
今回は、昨年10月に引き続き、ヘリポート見学するためにとにかく屁理屈を並べてみました。STAY HOMEを頑張ったり、仕事で仕方なく空港を利用する人が大勢いる中で、独り善がりの考えでヘリポート訪問をしてしまいましたので、今回の記事にご不満やズルいぞ、という方も大勢いらっしゃると思います。
一応、他人を感染させるリスクは最大限低減する動きをしたつもりですので、ご容赦いただきたいですが、何だかモヤモヤ訪問でした。
ヘリポートは、COVID-19でますます身近から遠く離れてしまった印象でした。
早く日常生活が戻り、技術革新が進んで、ヘリポートがもっと身近に、気軽になれば良いなあと思いつつ、軽く旅行記を〆たいと思います。
※「東京都東京へリポート」と馬から落ちて落馬したかのような表現を続けていて、違和感を持った方もいらっしゃるかと思うのですが、これが正式名称ですので、ご了承ください。(東京都「立」東京へリポートとか東京都「営」東京へリポートとかでもないです。道路上の案内標識をはじめ、東京都港湾局の公式サイト内の表記すら「東京へリポート」ですけど、、、。)